お陰様で昨日の「フラメンケリア」でのライブは無事終了しました。ご来場下さいましたお客様、ギターのミゲル・ペレス、カンテのクリスティーナ・トバル、そして今回のライブ主催の福岡の踊り手さん、平山奈穂ちゃん、共演の大井昌子ちゃん、ありがとうございました!!!
今回のライブはいろいろと考えることがありました。福岡在住の平山奈穂ちゃんは私より10歳年下。そんなこともあって、自分がその年の頃のことを思い出したり・・・。あの頃はセビージャで外国人が踊るということはほとんどなかったから、実力をつけてここで踊り手としてやっていくために、スペインのコンクールに出場したり、賞を頂いたり、それでもなかなか外国人、特に東洋人ということもあって本当に大変な思いをしていたような気がする。
踊る場所もそうだけど、共演者探しも大変だったり・・・。今じゃスペインは不況だから、何人(ナニジン)だろうと仕事になれば引き受けてくれる場合がほとんどだ。もっと言えば、泡よくば日本に連れて行ってもらえるかも?なんて思って、おべっかを使ってまでも日本人と仕事をしたがるアーティストだっているくらいだから。でも10年前は「誰?日本人?なんで俺が日本人なんかに歌わなくちゃなんないわけ?」とか平気で人前で言っている人もざらにいたし。
それからギャラ(出演料)の交渉。「日本人なんだからカネ持ってんだろ」みたいのがミエミエで高いギャラをふっかけてくる人もざらにいた。もちろんそういう人にはその時点で断っていただけど、状況によって共演アーティストを自分で選べずに、主催者側がセッティングする場合もあって、今でも信じられないけど、ギャラを横取りされたこともあった。悔しかったという言葉では済まされない。あれはなんと表現すれば良いのか。
共演者はギターとカンテだけではない。意地悪な踊り手もいた。意地悪されても、結局そういう踊り手は実力がないからそういうことするんでしょ、って思うようにしていた。そんなの屁のカッパって思わなければやっていけない。さすがに靴の中に画びょうを入れられたことはなかったから(マンガの読みすぎ?笑)身体に危害を加えられたことはなかったし、その意味では問題なかったけど、意地悪されたことって忘れないよね。もちろん根に持ったり逆恨みしたりする訳ではなく、自分がされて嫌なことは他人にはしないという話。とは言え、やっぱりプロのスペイン人の踊り手達だったから、ありがたく学ばせて頂いた。実力がないって言ったって、私の方がもっと実力がなかったし実践にも欠けていた訳だし。
いろんなことがあって、いろんな人がいて、いろんなケースがあった。私はそういうのをうまく流して世渡りすることが苦手だから、その度にいつも自分の部屋で泣いてた。でも泣いているだけでは踊り手になれないから、そこから何かしらつかむように、学ぶようにした。それがなかなかうまくできなくて、でもやるしかなくて。やらなくてはならないと分かっていても、やり方が分からなくて、周りに相談したくても「じゃあ日本に帰れば」とか「結局日本人には無理なんだよ」と言われるのが怖かった。今思うと、もっと人に頼ればよかったのかもしれない。全部自分で背負わないで。でもあの時の自分はそれができなかったんだな。
でもそれでも自分がつぶれずに今に至っているのは、素晴らしい人達にも恵まれたからだと思う。比率で言えばそういう人達の方が少ないような気がしないでもないけど(私の経験上。笑)本当に素晴らしいアーティストというのは、人としても素晴らしい。人として公平だし、他人を助けてくれる。実際に本当に助けてくれるかどうかは別としても、助けるための心は開かれている。
どんなに歌やギターや踊りがうまくても、どんなに世の中でもてはやされていても、そこに人間性が伴っていない場合、金メッキは剥がれるよ。その時はいいかもしれないけれど。そんな人達を何人も見てきた、この10年間。
そういうのが見えるようになったのも、一つの成長といえるのかな。
だからこの10年間自分で学び取ってきたことは自分の財産。それが今の私と今の踊りに繋がっているんだって、長い年月を経てやっと自分で納得できるようになってきた。
でもそこで止まってはいけない。過去を振り返るのは今の自分を知るため。そしてその今はもうすでに過去になり、未来が始まっている。
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今回のライブで踊ったのは、バタ・デ・コーラのグアヒーラ。バタで即興でグアヒーラを踊るのはまだ難しかったけど、挑戦してよかった。
挑戦しなければ未来はない。私にとっての未来とはそういうもの。
踊る曲だけじゃなくて。