“テ・デ・トゥリアーナ” ライブ再開!& フラメンコを踊る基本

1932221_10203865641475547_6296912636526721751_n1378080_10203865642315568_1250124627641937244_n10644497_10203865643075587_5296786660900998583_nみなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

先日の、“テ・デ・トゥリアーナ”でのライブはお陰様で無事終了しました。セビージャのトゥリアーナ橋のすぐ近く、グアダルキビル川沿いにあるベティス通りにあり、観光客にも人気でしたが、数ヶ月間フラメンコライブ中止されていた“テ・デ・トゥリアーナ”。数日前に急に、「踊れる?」とギタリストのフィティから連絡があったので、あまり告知の時間がなかったのではないかな?でもその割にはたくさんのお客様にお越し頂きました。やはり人気なのですね。皆様ありがとうございました!

当日は結局ティエントとロメーラを踊りました。ここでのライブは事前のエンサージョ(ギター、歌合わせ)というものがありません。何を踊るかだけを伝えて、そのままぶっつけ本番です。小さな舞台なので踊るスペースが限られていますが、このぶっつけ本番の感覚が面白いです。とても勉強になります。ただね、勉強になるのは相手(ギターや歌)が自分と同じくらいのレベルか、自分より上のレベルの時。レベルというのは、上手に弾ける、歌える、踊れる、という各自のパートのことではなくて、どれだけ相手のことを分かっているかというレベル。上手に弾ける、歌える、踊れる、というのはプロであるなら当たり前。ただそれだけではダメなのがフラメンコの面白い所でもあり難しいところ。特にぶっつけ本番でのライブの場合は、お互い何を行うか事前に分からないわけです。そこで必要になってくるのは、お互いがお互い出すサインのようなもの。各自がそのギターで、歌で、踊りで、パルマでそのサインを出すことによって、それを察知することによって、曲がうまく流れていくわけです。逆に言うと、そのサインを上手く出せなければ相手はどうしていいか分からない。また、サインをちゃんと出しても相手側にそれを察知する能力がなければ、サインが宙に浮き、流れが途切れてしまう・・・。

舞踊伴奏が上手いギタリストというのは、ただ単にギターが上手に弾けるだけでなく、その察知能力が高い人のことを言います。歌い手も同様。習った歌を習った通りに上手に歌うのではなく、踊りを察知しながら歌える人。ということは、当然踊り手にも同じことが言えるわけです。振付を上手に踊れるだけで、ギターやカンテのサインを察知できない人、もしくはサインを出せない人というのは、ただの「Baila bien. バイラ・ビエン(上手に踊る)」。しかしそれプラス察知できる能力のある人は「Sabe escuchar. サベ・エスクチャール(聴くことを知っている。聴く能力がある。)」、サインが出せる人は「Sabe mandar.サベ・マンダール(指示が出せる。)」と言われるわけです。お互いの察知能力が高ければ高い程、フラメンコは盛り上がる。個人的に相手を知らなかったとしても、初共演であっても、その察知能力は舞台の上で察知できるわけです。

ではその察知能力というのはどうやって身につけるのか?自分以外のパートをよく観て聴いて研究することです。踊り手が自分の踊りを研究するように、カンテとギターも研究する。歌い手のように歌えなくてもいい、ギタリストのように弾ける必要はない。でも少しでも相手のパートを研究すればそれだけ相手のことを理解できる。察知能力の土台が出来上がるわけです。あとは実践経験。いろいろ失敗して反省して立ち直ってというのを繰り返す。

それと「Sabe mandar.」というのを勘違いしている人が結構多い。指示を出すというのは、基本的に相手のパートを理解していて、相手を尊重した上で出す指示のこと。自分の振付にしか興味がなくて、とりあえず習った通りに踊りたいので、意味もなく急に止まって「止まって下さい!」とか「手をこう挙げたらギター入って下さい!」というのは、この場合の「Sabe mandar.」ではありません。ギタリストや歌い手はテレビじゃないんだから、リモコンでピっという訳にはいかないんです。(ちなみにリモコンもスペイン語で“mando”マンド、というけれど)ギタリストや歌い手は内心、なんだよ、それ、と思うかもしれないけどそれを口に出すと仕事が減るので(笑)はいはい、と弾いて歌う人が多いかもしれませんね、この世の中。でもそうじゃないんだよということを踊る人は知らなくてはならない。そしてそれを教えてくれるギタリストや歌い手が近くにいるなら、その人達を大切にしなくてはなりません。

これが私にとっての、フラメンコを踊る基本。

それを改めて心に留めて明日からまたがんばろうっと。

次回セビージャでのライブは11月4日(火)カハ・ネグラにて。ヘレスのアーティスト達との共演です!

  • 2014.11.4// カハ・ネグラ  (セビージャ)
    21:45以降開演/入場料9ユーロ(1ドリンク付)
    特別出演:“エル・ソーリ”
  • 4 noviembre copia
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  •  パコ・エル・ガソリーナ
  •  フアン・マヌエル・アギラール

2014年10月26日(日)セビージャにて。 (写真はフィティより。)

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