萩原淳子 セビージャ・ペーニャ公演 初日終了!

 

「ペーニャス・デ・グアルディア 2009」萩原淳子ソロ出演!

  • 2009.11.26 トゥルニュエロ文化協会(トゥリアーナ、セビージャ) ・・・・終了!
  • 2009.11.30 テルトゥリア・フラメンカ・カンテス・アル・アイレ(トゥリアーナ、セビージャ)
  • 2009.12.2 ペーニャ・フラメンカ・トーレス・マカレナ(マカレナ、セビージャ)
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • ダビ・エル・ガジ
  • ファビオラ
  • アントニオ・ガメス

みなさんこんにちは。初めての方もいつもブログを読んで下さる方もありがとうございます!先日セビージャ・ペーニャソロ公演初日を無事終えることができました。本当に無事だったのかどうか・・・今でも疑問ですが、とりあえず終えました。メールを送って下さったみなさん、どうもありがとうございます!以下が初日報告です。

先日のブログでもお伝えした通り、このペーニャ出演の話はある日突然降ってわいてきました。そのためアーティストと事前の合わせの時間がとれず本番の日を迎えることに。歌い手2人(ガジとファビオラ)とは一緒に仕事をするのは初めてなので、本番1時間くらい前に来てもらいちょっと楽屋で合わせよう、ということになったのですが・・・。早く着きすぎた私は「そういえばここの料理はおいしかったな〜」というのを思い出して(昨年もこのペーニャで踊ったことがあります。)早速「ミニ・セラニート」を注文。「セラニート」とはスペイン式サンドイッチみたいなものですが、パンの間に焼いたお肉、ハモン・セラーノ、トマト、揚げたピーマンがはさまったもの。そしてこのペーニャのセラニートには卵も入っています。う〜む、すばらしくうまい。もぐもぐ食べていたら、そこにギタリストのアントニオ・ガメスと歌い手のガジが登場。食いしん坊のガジは早速私が食べているものに目をつけ、同じものを注文。ガメスも注文。3人で「うまいうまい」と食べているところにファビオラ登場。彼女も注文。とにかくうまいので、ガジはなんと続けて2つ追加。それじゃあ「ミニ」を頼む意味ないじゃん、と思いつつ私もちょっと足りないような気がしてきて、他のタパを注文。4人でもむしゃむしゃ・・・・。

さてそろそろ食べ終わったし、合わせを始めるか、という時になんと「そろそろ始めるよ〜」と司会者の声。「えええええええつ!まだ22時ですけど?!」と叫んだら「だから22時開始だって」と平然とした返事が。そう、確かにこの公演は22時開始なのですが、ペーニャ公演で時間通りに始まることはまずありません。「そ、そ、そうだけど、ペーニャ公演って、最低30分は遅く始まるでしょう?」と慌てて聞く私に「ここはお客が少ないからこれ以上待っても仕方ないよ。」・・・・・

・・・・そうだった・・・・思い出しました。ここは「ペーニャ」とも言われているけれど、実体は「文化協会」。つまり近隣住民の集会所なのです。巨大テレビを設置してるそこはサッカーの試合がある日には観戦場。でも一応舞台らしきものも設置しているので、フラメンコ会場にも早変わりするというわけ。だから他のフラメンコ専門ペーニャのように会員がどっと押し寄せるというわけではないのです。客席を覗くと確かにお客さんもまばら。(同じ日にイスラエル・ガルバンの公演があり、そのせいもあると思いますが。)がーん。ギタリストも歌い手もお客さんが少ないのでやる気がなさそう。「ジュンコ、合わせは本番、舞台の上で。」と言われ、またまたがーん。確かにもう始めなくてはいけないみたいだし・・・。

ガジやファビオラは超一流アーティストですから、本来、お客さんの少ないペーニャに出演するようなアーティストではないのです。しかもこのペーニャ公演の出演料は彼らからするとお駄賃のようなもの。でも私にとってはお客さんが少なくても(ギャラが少なくても!)踊ることには変わりません。ゴチャゴチャ言っても仕方ないので、結局腹をくくって始めることに。

ガメスのギターソロに始まり、ガジのカンテソロ。すごい。すごいフラメンコだ。こんな歌い手と本当に私は仕事するんだ、と思うと身震いします。そして私のシギリージャ。ファビオラのこれまたすごいカンテが始まり、とうとう私が舞台に上がろうとしたその瞬間・・・・

「フォルクス・ワーゲン」

え?今誰か私に「フォルクス・ワーゲン」と言った???はっと振り返ると文化協会の人が一言。「君の車、フォルクス・ワーゲン?」

???????は?なんなのその質問?なんでそんなこと今きかれなくちゃいけないの???ただ今、今、今舞台に上がるところなのに???意味不明のまま、でも「私は車を持ってません」とやっとの思いで答えると、「フォルクス・ワーゲンが1台まずいところに駐車してあるんだよね。あれ、どかしてもらえないかな。彼ら(ギタリストと歌い手達)に聞いてみて」!!!!!

はああああああああああああ?彼らは舞台の上なんですけど。今から聞きに行けということ?シギリージャを踊る代わりに?・・・・・ありえない。この状況。パニックになりながらやっとの思いで「私、踊るんです」と言うと、「知ってるよ。君、去年もここで踊ったでしょう?」だ、だ、だからそういうことではないんだって!!!もう本当に訳が分からなくなり、とにかく舞台の上へ。悲しげな顔で首を振っていたその人を無視して。悪いけど。

そんな状況で始まった私のシギリージャ。合わせをしていなかったことよりも、直前のフォルクス・ワーゲン事件が後を引いたのか私はやはり動揺を隠せず、すっとこどっこいなリズムを出してしまい、その日のシギリージャはサイテーサイアク。

全てが終わってもなお落ち込む私に、ガジもファビオラも「ジュンコすごくよかったよ!!!」と言っていたけど、いや〜あれはまずいでしょう。まずい。かなりまずい。家に帰って公演の録音を聞くと、やっぱりひどいサパテアード。あ〜、まだまだだ〜。いつになったら私はちゃんと踊れるようになるんだろう。こっちで踊る時って日本では考えられない状況にしょっちゅう出くわす。その度に動揺して踊りがとんちんかんになる私。毎回それを乗り越えなければいけないのに、それがなかなかできない。これではプロとしての一定のレベルが保てない。

でもきちんとこの録音を聞かなくちゃ。自分の欠点を直視(直聴)しなくちゃ。・・・・えっ?でもちょっと待って。お客さんからのすごい「Ooooooooleeeeeeee!!!」というハレオが聞こえてくるんだけど・・・・・・何これ?そう、本番で全然気づかなかったのですが、あんなに少ないお客さんだったのに、ものすごいハレオがかかっていたのようなのです。うっそ〜。信じられない。でもこの録音は事実のはず。じゃあなんだったんだろう、私のシギリージャは・・・・?

疑問を残しながら、でもお客さんも歌い手も満足した公演。一体私は何をどう踊ったのか?そしてもう一つの疑問は、「フォルクス・ワーゲンは結局、誰の車だったのか」????

謎を残したまま、あさってペーニャ公演2日目です。ちゃんと駐車するように彼らに伝えなくっちゃ、ね。

ではみなさん、またお会いしましょう!

2009年11月28日。 電気毛布を入れて温かくなったベッドの中にて。

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