本日ロンダ・コンクール予選出場!

2010.6.18 // 第16回カンテ、バイレ、トーケ全国コンクール「アニージャ・ラ・ヒターナ・デ・ロンダ」 22H

Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  •  ハビエル・リベーラ
  •  ミゲル・ペレス

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?こちらセビージャは一時の暑さが落ち着き、まあ、暑いですがなんとかなっています。せっかく買ったエアコンの出番がないよ〜。

さて、とうとう今日、ロンダ・コンクール予選、(そして明日がコルドバ・フェスティバル本番です!)いや〜、この1ヶ月ほど本当に練習しました。数えてみたら毎日7時間半はスタジオにこもっていました。どこにそんな体力があるのか自分でも不思議です。毎日毎日、練習をすればするほど自分に足りないものが見えてきて、でもそれを克服することができない・・・・というジレンマと落ち込みと疲れと・・・いろいろなものと向き合い、とうとう今日になってしまいました。

ロンダ・コンクールについては、確かこのブログでは触れていませんでしたね。スペインにはいろいろなコンクールがあり、一番多いコンクールはカンテ(歌)のコンクールです。コンクールの時期になるとアンダルシア各地で毎週のようにあちこちで予選が繰り広げられます。それに比べバイレ(踊り)のコンクールはほんのちょっと。出場年齢制限のある(25才以下)コンクールもありますから、そう見ていくと私が出場できるのは「コルドバ」「ラ・ウニオン」「ウブリケ」「ロンダ」「カディスのアレグリアス」のコンクールくらいですかね?「ウブリケ」では昨年もう賞をとったので今年は「ロンダ」と「ラ・ウニオン」のコンクールに挑戦します。「コルドバ」のコンクールにもこれから申し込むかもしれません。

これらのコンクールの中であまり知られていないのが「ロンダ」のコンクール。実は私も知りませんでした。昨年のウブリケ・コンクールの後ロンダ・コンクールの主催者から「うちのコンクールにも出てほしい」とメールを頂き、そこで、へえ〜ロンダにもコンクールがあるんだ、と初めて知ったのです。いろいろ調べてみると、知名度は低いけれど優勝している踊り手はきちんとした実力のある若手が多いようなので、これはなかなかいいコンクールかも・・・と思い、今年出場することにしました。

「なぜコンクールに出るの?」と質問されることもあり「よく出るよね〜」と呆れられることもあり・・・。まあ、「なんでこんな大変な思いをしてまで・・・」と自分でも思うので、確かに呆れちゃいますね。でもこれまでいろいろなコンクールに出てみて気づいたことは、最終的には自分が成長しているということです。

最近セビージャでは練習生のレベルでも申し込めば踊れるような場所もあります。しかし、プロの踊り手として踊る場所をつかむのは本当に大変。踊り手はひしめきあっているし(特にセビージャ)ほとんどの仕事が人とのつながりで決まっていきます。それが親戚・家族のつながりだったり、友達つながりだったり、あるいは何かの強力なコネだったり・・・そしてここ数年の大不況。スペイン人でさえ、いい踊り手でも仕事のない人はたくさんいます。そういう状況の中で特別なつながりを持たない私はどうしたらいいんだろう・・・コンクールで自分の踊りを見てもらこと、賞をとることはある意味、一つの方法であると思っています。ただしそのコンクールでも先のつながりが結果に影響を及ぼすこともあるので、そこがまた難しいところですが・・・

でも実際にコンクールに出ると決めて、練習をするようになって、私にとって重要なのはその練習の過程にあると気づくようになりました。普段でも練習はするけれど、やはりコンクールに出るという具体的な目標と日にちが設定されることにより、それに向けてがんばれる。賞をとるための踊りを作るのではなく、そのカンテや踊り、自分自身と向き合うことで、踊りがどんどん深みを増していくと思うのです。もちろん勉強すればするほど、自分の足りない部分が見えてきてそれをコンクールの日までに克服することができない時もあるのですが、とにかく一旦自分の今の踊りを出すことによって、その結果がどうであれ、そこからまた新たなスタートがきれるのではないか・・・そんな気がします。

そして人前で踊るという経験。お友達や家族の温かい目の中で踊るのも素敵ですが、審査されるという立場で踊る経験も重要です。そこでじゃあ、具体的に「何」を得たのか、「どう」学んだのかというのは分かりません。でもその経験は絶対に人を成長させるはず。なぜそう断言できるのか自分でも分からないけれど、でも断言してしまう。もちろん結果が思う通りにいかないこともあるし、(その場合の方が多い)それはそれで「なんのためにこれまで努力したのだろう」と悔し涙を流すのだけど、でもそれすら自分の成長につながるのではないか、そう思います。いや、それこそが実は人を成長させるのではないでしょうか?!

今日のロンダ・コンクールの予選はどうなんだろう・・・。1月から毎週金曜日に行われているこのコンクールの予選は今日が最終日です。予選では2曲踊らなくてはならないので、私はタラントとバタ・デ・コーラのアレグリアスを踊ります。不安な要素もあるけれど・・・でも時間は過ぎて行く。あと数時間後にはセビージャを発ちます。がんばらなくては。よく人は「楽しめ」と言うけれど・・・。そう、舞台の上では楽しみたい。でもそのためにはその前の膨大な時間・労力と葛藤が必要だと思うのです。

自分の踊りができますように。

2010年6月18日 ちょっと曇っているセビージャ。でも気にしない。なぜならすぐに晴れるから。

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