「ラ・ウニオン」予選報告&明日セビージャを発ちます。

みなさんこんにちは!いかがお過ごしでしょうか?

たくさんの方々からロンダ・コンクール優勝お祝いメールを頂き、とても嬉しいです。本当にどうもありがとうございました。この優勝を出発点にし新たな気持ちで精進しますので、これからもどうぞよろしくお願い致します!
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私は元気です。木曜に「ラ・ウニオン『カンテス・デ・ラス・ミーナス(鉱山の歌)』」コンクールの予選に行ってきました。この予選は5月中旬からスペイン各地で行われ、私の予選会場は「カルタヘーナ」。セビージャからその街まで車で片道6時間。あまりに遠いので予選の後はあちらのホテルに1泊、次の日セビージャに戻りました。
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そのホテルなのですが・・・車中で歌い手のヘロモに「ジュンコ、予約したホテルどこなの?」と聞かれ「予選会場の近くで高速道路沿いだよ」と言ったら、ヘロモ無言。あれ?と思い「コンクールのホームページのホテル紹介リストの中から選んだんだけど?」と言ったら、ヘロモは「・・・それはもしかすると『ポルベーラ』かもしれないな。」とにやにや。『ポルベーラ』???そしてヘロモは「そんなホテルに泊まったら今晩眠れないぞ〜!」と爆笑。
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えええええええっ!もしかして『ポルベーラ』って、♡ホテルのことですか?!
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やだ〜、どうしよう。私、ラブホ予約しちゃったの?!え〜、でもそのホテルはコンクールの公式ホームページで紹介されていたのに。そんなことってあるの?!するとヘロモが「コンクール準決勝・決勝の行われる8月中旬は近隣のどのホテルもいっぱいになるから、きっとそのホテルもリストに入っているんだよ。ホテルの外観をネットで見た?」・・・・そういえば外観の写真の変わりに、海と船の写真がアップされていた〜!!!予約電話をした時も、「シングルルーム3つ」と言ったら、ホテルの人に「うちはダブルばかりなんだよ」とつっけんどんに言われ、変なホテルだな〜と確かに思った・・・なんで気づかなかったんだろう〜!!!
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これはもう確実。私はラブホを予約してしまったのでした。でも普通載せるか?!公式ホームページに。ラブホを?!(そうそう、だからここはスペインなんです。)・・・・というわけですぐに市内の別のホテルを予約。無事に普通のホテルに泊まることができたのでした。
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そして予選会場は・・・これまたホテル。しかも、リゾート開発地にある5つ星の最高級ホテルのテラス。そこに設置された屋外舞台の背景は広大なゴルフ場。審査員席の周りはディナー席。観客はその5つ星ホテルに泊まっているリッチな外国人観光客。みなさん着飾って着席されていますよ。でもさぁ、これって“フラメンコ・ディナーショー”じゃないの〜?!ここでコンクール予選するんですかぁ???
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この日の予選出場者はカンテ4人、ギター1人、踊り3人でした。みんなぶーぶー文句を言っています。「こんな場所、アンチ・フラメンコだ」とか「こんなところで予選させられるなんて不公平だ〜」とか。う〜ん、確かに。予選は夜8時半きっかりに始まりました。(なんたって“ディナーショー”ですからね。)夜11時〜12時頃始まり、夜通し行われる他のコンクールに慣れている私は、なんか変な気分。しかもこの時期のスペインの夜8時半といえばまだ周りは明るいのです。そしてコンクールが始まってもお客さんは食事を注文しているし、舞台と審査員席の間をウエイターが行き来しています。さらには後ろの方で歓談をしている人のしゃべり声、笑い声が舞台にまではっきり聞こえてくる・・・・なんじゃこれは・・・・。
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でも私はそんなに気にならなかったかな。1曲目はタラント。そんな状況の中で踊ったタラントでしたが、私は自分がものすごい集中力で踊っているのを感じていました。ロンダ・コンクールの時は床がつるつる滑って満足な踊りができなかったけど、今回は自分の足が舞台の板を貫通してしっかり大地とつながっていた。出だし好調。よしよし。2曲目はバタ・デ・コーラのアレグリアス。この頃には周りが暗くなってきたので、やっとフラメンコらしい雰囲気に。(でも照明がなかったので、黒い衣装の人はかわいそうでした・・・)みなさんのお食事も終わり、やっと鑑賞ムードになっています。よしよし、さらによし。私のアレグリアスものってきました!・・・・と客席から何か光るものが。何????そして次々と光る!・・・・なんと、カメラのフラッシュだ〜!!!お客さんが私の踊りの写真を撮っているのです。「エクスキューズ・ミー!これはコンクールなんですけど〜!」と心の中で思いながら、でもなんだか余計に楽しくなってきて、そのまま踊りきってしまいました。あのアレグリアスはよかったな〜。終わった後に、歌い手のヘロモが「あんなにざわついていたお客さんが、全員ジュンコに釘付けだった。」と。ギタリストのフアン・カンパージョくんも「ギターを弾きながら、僕の足はジュンコと一緒に踊っちゃったよ!」と目をきらきらさせていました。
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ロンダのコンクールに比べて、踊り自体がずいぶん安定してきたと思います。舞台の上で動じなくなってきた。もちろん舞台に立つ前は緊張するけれど、その緊張をコントロールできるようになってきた。やはり「何か」を学んできているんだ。これまでは無我夢中で自分では分からなかったけど、今回の予選でそれをはっきり感じました。今まで大変だったけど、挑戦してきてよかった。
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予選前々日にギター、カンテとの合わせをし、また、個人レッスンをお願いしていたラファエル・カンパージョにも踊りを見てもらいました。そしてラファはこう言ってくれたのです。「ボタ(男性用フラメンコシューズ)を持って来たけど、履く必要はなかったね。もう踊りはできているから僕が手を加える必要はない。そのまま踊るんだ。多分決勝に進出できるから、その時は呼んで。また踊りを見てあげるから」そう言ってにっこり笑われた時、本当に嬉しかった。
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あの日の踊りで、私は予選通過できる実力を示したと思う。でも時によって実力がそのまま結果に反映しないこともあるから。。。。もし自分の力の及ばない所で何かが陰で動いているとしたら、もうそれは仕方がない。特別な名字も特別な関係も持っていない人間はそれに太刀打ちすることはできない。でもそれを承知の上で私はこのコンクールに出場した。そしてロンダでは何も持っていない私に優勝が与えられたのだ。そんなコンクールだってある。正義バンザイ!!!
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結果がどうであれ私は進んでいきます。悔しい思いをしたのは数知れず。でも私は自分の実力だけで突き進むのだ。これまでずっとそうしてきたからこそ、今の自分がある。コネやカネでひょいひょいと階段を上らせてもらえる人が絶対に絶対に得られないものを私は持っている。それは踊りがうまいとか下手だとか、スペイン人だとかヒターナだとか、日本人だとか、コンクールで何位とかそう問題ではない。私が私である絶対的な自分の存在価値。他人との比較でもなく、他人からの評価でもなく、ただ単にこの世の中で私という人間はたった一人しか存在しないこと。それに誇りを持ち、それと共に生き続けること。それが舞台の上の自分を支えていること。勝ち組でも負け組でもない。私は私一人で『ハギワラジュンコ組』なのだ!!!
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明日セビージャを発ちます。木曜から東京クルシージョで一生懸命教える。恵比寿サラ・アンダルーサライブでも踊る。そして8月末のロンダ・フェスティバルに向けて準備する。やることは山ほどあり、どれもおろそかにできません。
よし、がんばるぞ!・・・・その前に目の前に広がっているスーツケースをなんとかしないと。。。と思いつつ、ちょっと買い物に行っちゃおうかな〜。今週からバーゲンが始まったので日曜だけどお店が開いているだよね!うひひ。
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2010年7月4日 明後日夕方に成田に着きます。 今の所はまだ、セビージャにて。

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