2010.8.21 // ロンダ・カンテ・グランデ・フェスティバル
Baile | Cante | Guitarra |
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こちらセビージャは昨日あたりから気温がぐっと下がって随分過ごしやすくなりました。先週は毎日40度以上あって大変でしたが!
さて、8/21(土)に「第42回ロンダ・カンテ・グランデ・フェスティバル」に出演します。そのポスターをアップしてみました。(ポスター部分をクリックするとでっかくなります!)出演アーティストはホセ・メルセー、クーロ・ルセーナ、ルビート・イホらカンテソリストと、今年のロンダ・コンクール優勝者となっています。開演は22時となっていますが、恐らく始まるのは早くても23時過ぎ、夜通し行われるこのフェスティバルが終わるのはきっと明け方でしょう。
アンダルシアの夏のフェスティバルは7月から9月まで各地で行われます。会場は屋外。地元住民はもちろんのこと、近隣市街からもフラメンコファンが駆けつけ、これぞ夏のアンダルシアのフラメンコ!特設舞台の周辺には仮設のバルが準備され、みなワイワイがやがや、飲んだり食べたりしながらフラメンコを楽しみます。家からクーラーボックスを持ってくるピクニック気分(夜中ですが)の家族連れもいますよ。日本の劇場のように席にじっと座って黙ってフラメンコを観聴きする雰囲気とは大違い。もちろんそういうフラメンコ大ファンも沢山いれば、アーティストの歌に合わせてパルマ(手拍子)をたたいたり、自分が知っている歌詞で歌われると嬉しくなって、一緒に歌ってしまうファンもいます。
私もこれまでにいろいろな村のフェスティバルに行ってきました。そこでたくさんのアーティストのカンテ(歌)を聴き・・・そう、ここではフラメンコとはカンテ。ワイワイがやがやしていたはずの観客がある一瞬になると「ooooleeee!」と叫ぶ。一体となって。有名な歌い手だからという理由で拍手を送るのではありません。有名だろうと無名だろうと、自分の琴線とフラメンコの瞬間が合致した時に出るあの「oooooleeeeee!」。こりゃすごいわ。もちろん踊りもあるけれど、ソリストとして参加する歌い手が沢山いるのに対し、踊りのグループは1つだけの所が多い。踊りだけを勉強する留学生からすると「歌ばっかり」と思う人もいるかもしれないけど、繰り返します。ここでは、フラメンコとはカンテなのです。(だからロンダのフェスティバルも「フェスティバル・デ・カンテ・グランデ」ですね。)
大物舞踊家が出演することが多い、アンダルシアの夏のフェスティバル。私もこれまでマヌエラ・カラスコ、ファルキート、コンチャ・バルガス、カルメン・レデスマなど素晴らしいアーティストのフェスティバルでの踊りに大興奮&感動してきました。かのエバ・ジェルバブエナも、子供の頃に観たとあるフェスティバルでのマヌエラ・カラスコとコンチャ・バルガスの踊りを「これがフラメンコだ、と思った」と語っています。フェスティバルで踊るのはとても名誉なこと。ただ近年は不況のため、フェスティバルの規模を縮小したり、開催すらできない状況になってしまいました。以前のように歌い手も踊り手も大物アーティストがぞろぞろ出演するフェスティバルは、残念ながら減ってきています。そんな中、今年のロンダ・コンクール優勝者という枠内でありながらフェスティバルに出演できるのは、私にとっては本当に光栄極まりない。しかも外国人だし。
フェスティバルまであと1週間。私の踊りはどうなるんだろう。緊張と不安と興奮と期待感が入り交じっています。いっぱい練習したけど、それでも技術は技術でしかない。フラメンコはカンテなんだよな・・・・その「当たり前」のことが私の中に一体どのくらいあるのだろう・・・・
2010年8月14日 涼しくて幸せな朝。日本から密輸してきたカルピスを飲む。 セビージャにて。