ペーニャ・フアン・タレガ公演大成功!

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

さて、ご報告が遅くなりましたが、先日のペーニャ・ソロ公演は無事に終わりました。直前に「ぎっくり背中」になりどうなることかと思いましたが、踊っている時というのは痛みなんて気にならないですね。心配して下さった皆様、いつも応援して下さる皆様、本当にどうもありがとうございます。

前日の合わせに来なかったモイ。なんでも、毎日毎日エバ・ジェルバブエナの公演の合わせがあって抜けられなかったとのこと。朝11時から途中お昼休憩をはさんで夜19時くらいまで続くんだそうです。その後タブラオの仕事に行くから全然休みがないとのこと。「俺の人生はあの女(エバのこと)に握られているんだよ!ジュンコ!」と訴えていたけど。そりゃ大変だよね〜。でも私との合わせなんて1時間で終わるんだから、そのくらいの時間空けてほしかったんだけどな〜と思う私。でもま、いいか、もう本番だし。

ペーニャ・フアン・タレガはセビージャ郊外にある「ドス・エルマーナス」にあるペーニャ。歴史と格式のあるペーニャです。(ペーニャ・フアン・タレガHPはこちら→public-album.php?id=1&start=0

ちなみにペーニャとは、(以前の私のブログにも書いたような気がするけど・・・)スペイン語で「愛好会」の意味を持ちます。(私のブログの中で出て来るペーニャは「ペーニャ・フラメンカ」つまり「フラメンコ愛好会」の略です。)つまりフラメンコ愛好家が会員となって会費を納め運営するサークルのようなもの。アンダルシア地方だけでも300以上もあると言われるペーニャ。多くのペーニャがそれぞれの集会場所、バル、小舞台を所有しています。そこで会員同士フラメンコを楽しんだり、時にはアーティストを招いてフラメンコ鑑賞をしたりするわけです。

(※フラメンコ・フリーペーパーの「ファルーカ」にペーニャに関する私のエッセイが載っています。PDFファイルをクリックしてね。↓)

新聞・雑誌 タイトル・内容 PDFファイル
フラメンコ・ファルーカVol.16 2009年12月20日発行に掲載。 萩原淳子エッセイ「セビージャ・ダイアリー『ペーニャの魅力』」 farruca-3

そのペーニャで初めて踊ったのが3年前。私にとって初出演のペーニャが「ペーニャ・フアン・タレガ」でした。そして2度目の出演が去年。今回3度目。こんなに何度も呼んで下さるなんて本当に嬉しい。2階の楽屋に上がってみると壁一面にペーニャ出演してきた歴代のアーティストの写真が。そしてその隅っこの方に、なんと3年前の私の踊りの写真が!おおおおおおお!

リラックスした気持ちでストレッチをしていると、ペーニャ会員が続々と楽屋に挨拶に来てくれた。私のことを覚えてくれている人達がここにはいるんだ。感激。ギター、カンテと軽く合わせをしてもう本番。その日私はソレアとアレグリアスを踊った。3年前と同じ。でもこの3年間私はきっと成長してきたのだろう。どこがどういう風にとは言えないけど、そんな気がする。それを舞台の上で感じることができて嬉しかった。

セビージャからもお友達が駆けつけてくれた。数日前のセビージャのライブで私の踊りを見てくれた人達が、もっと観たい!とのことでこのペーニャにまで足を運んで下さったのだ。歌い手「ポラコ」までいた。ポラコは今、セビージャのビエナルで公演をしているはずだ。夏のフラメンコ・フェスティバルの常連の歌い手。そんな人が私の踊りをわざわざ観に来てくれるなんて?!「ペーニャの会長から『ジュンコの踊りはいいから観に来い』と薦められたんだよ」と言っていた。そして「私が観たのは日本人の踊り手ではなくフラメンカだったよ。」とも。ありがたや〜ありがたや〜・・・そしてペーニャ会長が近づいてそっと耳打ちしてくれた。「本当に素晴らしい公演だった!出演料を100ユーロ上乗せするからね。」やった〜!!!!!!!

写真撮影ラッシュにさんざんもまれた後、やっと2階に上がり着替えてミゲル、モイ、ハビエル達と乾杯をする。ここのペーニャはお料理がおいしいので、みんながんがん食べる。(特にモイ)舞台が終わってちょっと落ち着いた時、私はいつもアーティストに聞く事がある。

それは「今後自分が成長するにはどうしたらよいか。」ということ。

私が共演するアーティスト達はほとんど皆率直に意見を言ってくれる。これは非常にありがたい。思うに、その踊り手の真の実力を見抜けるのはギタリストと歌い手なのではないか。観客というのはその場の雰囲気や個人的な感情、思い入れ、好みに流される場合がある。評論家というのは踊らない。(これ、ミゲル・ペレスの言葉)嫉妬や偏見にとらわれずに意見を言える踊り手は少ない。

それまでもぐもぐ食べていたモイが言ってくれたある言葉が忘れられない。それは実は、私の心の中でずっと望んでいたことだったからだ。私が「そんなことできるかな・・・他の踊り手はどうしているんだろう」と言うとミゲルが言った。「他の踊り手はどうでもいい。これはジュンコにだからこそするアドバイスなんだ。ジュンコならできるよ。もう近いところにいる。」

モイとミゲルが言ってくれた言葉は、このブログにはしない。自分の中で大切にとっておきたいから。でもいつの日か、あの二人の言葉をきっかけに変わったんだ、と思えるようになるのかな・・・。そうなりたい。

セビージャでは「ビエナル・デ・アルテ・フラメンコ」という2年に一度の世界的なフラメンコの祭典が始まっている。素晴らしいアーティスト達の舞台を観て、そんな中、自分のペーニャ公演の踊りを振り返るなんてなんだかばかばかしくなってきてしまった。でも人づてに、あるイタリア人のフラメンコ留学生が言ってくれたことを聞いた。「日本人なのに、あんなに遠くの国の人なのにスペインで踊っているなんて。どんなスペイン人の公演よりもそのことに感動した。そして勇気が出た。」と。

私は私でその言葉に感動し、またがんばろうと思っています。

次回公演は・・・

2010.10.18 // カハ・ネグラ -(セビージャ)

Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子

 

  • フランシスコ・チャベス エル・プラテアオ
  • ウーリッヒ・ゴッドワード

 

ではみなさんまたお会いしましょう。季節の変わり目、どうぞご自愛下さいね。

2010年9月26日  今日はビエナル鑑賞お休み。セビージャにて。

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