¨SOMOS JAPON¨⑨ アナ・モラレス

みなさんこんにちは。

今日はアナ・モラレスへのインタビュー&彼女からのメッセージです。「自分のつらい体験を話すことで日本の人達の役に立つなら何でも話すわ。私には隠すことなんて何もないから」そう言うアナの笑顔でインタビューが始まりました。(インタビュー、写真:萩原淳子)

第9回 アナ・モラレス

(フラメンコ舞踊家)

【質問①】差し支えなければ、あなたの人生の中で起きた、厳しくつらい状況について語って頂けますか?

【質問②】その状況をどのように乗り越えたのですか?

【質問③】あなたの将来のプロジェクトを教えて下さい。

【質問④】日本の人達へのメッセージをお願いします。

【答え①】父の死。(アナ、笑顔で答える。)12月で父が亡くなって1年経った。父の死は自分の人生の中で一番つらいことだったわ。父は私の身体の一部だったの。自分の人生を失ったのと同じ。自分の腕や足ともぎ取られたのと同じだった。私は完全に空っぽになったの。人は死ぬ。それは当たり前のことだけど、絶対に乗り越えることなんてできない。今までと違う方法で生きて行くしかないのよ。愛する人を失う苦しみ、悲しみに対して準備できている人なんていない。どんなに勉強しても、どんなにいろいろなことを教わってもね。
【答え②】落ち込んでそこから抜け出せない人も多い。でも私はアーティストだから、自分の痛みや苦しみを表現するの。表現できるの。踊りが私にとって立ち上がるための薬だったのよ。でも踊りでなくてもいいのよ。文章を書く、絵を描く、お年寄りを助けることだってそう。私たちスペイン人はただ黙っていることができないの。何もしないでいることができないのよ。
自分にとって「自然」でいること。無理して前に進む必要なんてない。痛みがあるならそれと一緒に生きるの。人生には喜びがあるように悲しみもある。両方あって人生なの。でもそこに留まっていてはだめ。通り過ぎなければ。でも飛び越えてはだめよ。「自然」でいるのよ。時間が少しずつ痛みを和らげてくれるから。だから「自然」にしていればいい。
周りの人達の愛情や友情も必要。人前で自分の痛みを話すことを恐がらないで。泣くことを我慢しないで。そしてそれを受け止めてくれる人達がいるということを忘れてはだめ。自分がいつまでも苦しんでいたら、そんな周りの人達が幸せになれない。あなたの周りには、あなたが幸せにしなくてはいけない人がいるのよ。
【答え③】私のプロジェクトは踊りと、家族を作ること。私個人の人生。まず踊りの方では、自分の第2作品目のソロ公演を行いたいわ。今その公演名を考えているところなの。今、社会がとても冷たい感じがする。それがフラメンコにも現れていると思うの。でもフラメンコに必要なのは「感情」よ。伝統的なスタイルだろうが、前衛的なスタイルだろうが、特殊な舞台装置を使おうが、それはいろいろあると思うけど、でもどんな形にしろ絶対に失っていけないのは「感情」。スペインは今経済危機で、たくさんの人が職を失い、皆無気力になっている。それがフラメンコにも現れているわ。でも私は、観客に楽しんでもらいたいの。自分も楽しみたいの。そういう舞台を創りたい。そして他のアーティストとの共演ね。ルベン・オルモ、ハビエル・バロンの舞台へ参加したりね。私は一人で踊るよりいろいろな人と共演したり一緒に何かを創るのが好きなの。教授活動やタブラオで踊るのも好き。でも今はソリストとして踊りたい。そういう時期なの。
そして自分個人の人生は、ヘスス・ゲレーロとの人生。素晴らしいギタリストでもあるのよ。私の公演にも参加してくれている。今日は二人で家を見に行ったの。子供を持ちたいと思っているの。
【メッセージ】
つらいことがあると夢は消える。踊る意欲も。でもそれを持たなくてはいけないのよ。持てるように自分がポジティブにならなくてはいけない。探すのよ。今それがないのなら、いつの日かそれを手に入れることができると信じること。信じるのよ。
写真の中のメッセージ:心を生まれ変わらせる力を持たなければならない。幸せになるために。あなたの周りの人もあなた自身との幸せを分かち合えるように。アニータ(萩原註:アナの愛称)
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2011年 3月26日 最初から最後まで笑顔で、そして一生懸命インタビューに答えてくれたアナ。彼女の内面の強さと優しさに心を打たれました。 セビージャにて。

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