¨SOMOS JAPON¨ ⑬ ナノ・デ・ヘレス

みなさんこんにちは。

今日はナノ・デ・ヘレスへのインタビュー&彼からのメッセージです。昨日行われた、「FESTIVAL FLAMENCO A BENEFICO DAMNIFICADOS DE JAPON」(日本の被災者のためのチャリティー・フラメンコ・フェスティバル)に急遽駆けつけてチャリティー出演して下さいました。(インタビュー、写真:萩原淳子)

第13回 ナノ・デ・ヘレス

(フラメンコ歌手)

【質問①】差し支えなければ、あなたの人生の中で起きた、厳しくつらい状況について語って頂けますか?

【質問②】その状況をどのように乗り越えたのですか?

【質問③】あなたの将来のプロジェクトを教えて下さい。

【質問④】日本の人達へのメッセージをお願いします。

【答え①】今だよ。仕事がない。昔は自分のグループを持っていたり、一人で歌ったりして仕事があった。でも今はない。スペインは経済危機だから。世界的にも。2004〜2005年くらいから仕事がなくなってきた。以前はフェスティバルがたくさんあって、例えば一つのフェスティバルで8人も実力のある歌い手が出演していたとするだろ。でも今は2〜3人しか出演しない。フェスティバル自体も減っている。今が本当にひどい時期なんだ。私は今62才。40年以上アーティストとして歌っている。昔はチョコラーテやチャノ(・ロバート)達と一緒に仕事をしていたのに。今本当に仕事がないんだ。

【答え②】以前だったら歌わなかったような場所でも歌うしかない。出演料が安くても。今度8つのペーニャ(萩原註: “ペーニャ・フラメンカ”フラメンコ愛好会のこと。)を回るよ。でもペーニャ公演だって、ペーニャがお金を払うんじゃないんだ。行政がペーニャにお金を出して、行政から出演料が支払われる。だから支払いが滞るんだよ。歌った後、何ヶ月も経ってからやっと支払われるんだ。もうすぐフェリア(萩原註:各地で行われるお祭りのようなもの。1週間続く場合が多く、フラメンコの催しものが行われたりするので、一部のフラメンコ・アーティストにとってはある意味稼ぎ時でもある。)もあるから。とにかくあるもので稼ぐしかない。食べていくために。

【答え③】自分のCDを録音したいんだ。今自分の中にある歌を10曲くらいね。CD用に歌を作ったりしない。自分の心の中から歌を取り出すんだ。今年中に完成させたい。フェスティバル出演に向けてね。

【メッセージ】トウキョウへ愛をこめて。ナノ・デ・ヘレス
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ナノの話していたことは、本当に切実な問題です。ナノに限ったことではありません。たくさんのスペイン人アーティストが仕事を失っています。もしくは少ない出演料でも引き受けざるを得なかったり・・・。スペイン人アーティストだけでなく、一般スペイン人も。仕事を失って途方にくれている人はたくさんいます。そんな状況の中でも日本のためにチャリティー出演して下さるアーティスト。生活が厳しくてもチケットを買って下さるセビージャの人達。
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私が日本人グループの中でチャリティー出演した、30日の公演の義援金は2755.52ユーロだったとのことです。アーティスト達が、セビージャの人達がどんな経済状況で日本のために協力して下さっているのかを思うと胸がつまります。その気持ちはお金には換算できないけれど、お金よりも本当はもっと価値があるのではないか・・・・復興に必要なものは確かにお金だけど、でもお金じゃないものも必要なんじゃないか、と私は思います。
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2011年4月3日 セビージャにて。

 

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