¨SOMOS JAPON¨ ⑮ ミゲル・ペレス

みなさんこんにちは。

今日はミゲル・ペレスへのインタビュー&彼からのメッセージです。ミゲルは3月26日と4月2日に行われたチャリティー公演に出演してくれました。私ともよく一緒に仕事をしてくれるギタリスト。彼のことを人間としてギタリストとして私はとても尊敬しています。(インタビュー、写真:萩原淳子)

第15回 ミゲル・ペレス

(フラメンコギタリスト)

【質問①】差し支えなければ、あなたの人生の中で起きた、厳しくつらい状況について語って頂けますか?

【質問②】その状況をどのように乗り越えたのですか?

【質問③】あなたの将来のプロジェクトを教えて下さい。

【質問④】日本の人へメッセージをお願いします。

【答え①】4〜5年前の父の死。今年1月31日に亡くなった母の死。孤独になったというよりも空っぽになってしまった。孤児になった感じ。今までつながっていたへその緒が断ち切られてしまった。(微笑みながら話すミゲル)仕事がないこととか、人生にはつらいこともたくさんあるけれど、そんなことは表面的なつらさ。両親の死こそが自分にとって本当につらいことだった。それが本当なんだよ。

【答え②】もともと自分を飾り立てるのは好きではない。でも母の死を境に、もっとお金や物質的なものに興味がなくなったんだ。興味がないというか、それを持っていたり身につけていることが自分にしっくりこない。心地よくないんだ。そして本当の友情というものの大切さが身にしみるようになった。今まで“友達”はいたよ。でも“友達”と思っていた人から裏切られたりして、傷ついた。フラメンコアーティストにはそういう人間が多いのは知っているだろう?(萩原うなずく。)みんな表面的なんだ。自分を飾ることばかり考えて。(萩原、大きくうなずく。)ある人が言っていた。「オレはカンテ(フラメンコの歌)は好きだけど、カンタオール(フラメンコの歌い手)はきらいだ」。(ミゲル・萩原共に大笑い)

母の死後、自分はものすごく繊細になっている。だから自分にとっての本当の友達を大切にしたいと強く思うようになったんだ。それは自分から探すのではない。探してもだめだよ。向こうからやって来て自然にうまれるものだから。愛と一緒。そしてそれは何かとの交換で得られるものではない。これをするから、あれがもらえるとか、そう考えて行動するのではないんだよ。

仕事の面ではとにかく闘うこと。アーティストというのは景気がいい時には稼げるけど、そうでない時は支払われないから。今は特にそういう時期だから。

【答え③】フラメンコには将来があるようで将来がない。2枚目の自分のCDを録音したいと思っている。でもダビ・ビスバル(萩原註:スペインの若手人気ポップ歌手)みたいに稼げるわけじゃないから。自分のモチベーションを上げるため。それと教授活動。自分がこれまでに学んできたことを役立たせたいんだよ。

【メッセージ】誰に罪があるかを探す時ではなく、責任をとれる人間を探す時である。そして、私たちが鏡の中の自分自身を見つめる時。 GAMBATE。

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メッセージを書き終わった後、ミゲルはこう言いました。「『鏡の中の自分自身を見つめる』というのは、普段お化粧したり髪の毛をとかしたりする時に鏡を見る見方とは違うんだ。鏡に映る自分自身の内面を見つめるということだよ。それはとても難しい。ほとんどの人ができない。ある人は言っている。「もし鏡の中の本当の自分を1分間見つめることができれば、人は泣き出してしまうだろう」。でもそれをしなくてはならないんだ。これは日本へのメッセージというより、世界へのメッセージだよ。日本で起こっていることを通して、世界中が自分自身を見つめ直さなければならないんだ。」

2011年4月5日 ミゲルの瞳の中に映る私自身から、私は目をそらすことができませんでした。 セビージャにて。

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