フェスティバル出演終了&前代未聞の音響事件

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

お陰様で昨日の、ラス・カベッサス・デ・サン・フアンでのフェスティバルから無事セビージャに帰ってきました。いや〜、いろいろなことがありました。20日のコンクール決勝で踊る、マントン&バタのアレグリアスを踊ったのですが、なんとマントンが衣装にひっかかり大変なことに・・・それはマントンでカンテをレマタールして、マントンを舞台上に捨てる部分、私のアレグリアスの一番の見せ場なのですが、その一番肝心な所でマントンがひっかかり、舞台に捨てるはずのマントンが私の身体からぶら〜ん。あれ〜垂れ下がっているよ〜。しかもこんがらがって取れないよ〜。仕方がないのでうりゃ〜と引きちぎり、頭にきてマントンをてぃあ〜と投げ捨てたのです。

その後はしばらく怒り狂ったままの即興バタ踊り。よくもまあ、こんなに適当な振り付けが思いつくもんだよ、と自分で自分に呆れながら、でもなんとか収拾をつけて歌振りを終える事に。その後シレンシオに入ってからはまあなんとか持ち直し、いつも通り可もなく不可もなく踊り終えました。あ〜思い出したくもない。

カベッサスの村のお客さん達はなぜか大喜びでしたが・・・終わってから今度は、ショック〜。練習でもあんなひどいことになったことはなかったのに。ギタリストのミゲル・ペレスからは「あれさえなければすごい良かったのに」と傷口に塩を塗りこめられガーン。やっぱりマントンとバタで踊るってのは難しいよ、と大反省した夜でした。でもある意味、決勝前にこんな大失敗してよかったのかもしれないけど・・・。

そういえば、昔何かのビデオで、マティルデ・コラルがマントンで踊っていた時、マントンが頭につけている花にひっかかって、それを引きちぎったのを観た事がある・・・・あんなに優雅でグラシアとアルテたっぷりに踊るマティルデが、急に阿修羅に変わった瞬間だった・・・でもその瞬間が私にとってはオレ!だったのだけど。

でもそれはマティルデだからよいのであって、私のような凡人はやはり練習をしなければいけない。恐るべし、マントン&バタ。

そして音響もすごかった。時々ぼわ〜んぼわ〜んと響いたり。そりゃないでしょう、という音響・・・ミゲルと歌い手のエバに申し訳なかったな・・・あ!!!そうそう。音響といえば・・・数週間前の別のフェスティバルですごい事件が起こっていたことをエバから教えてもらいました。

前代未聞の音響事件はここから↓

それは私が足を運んだ、数週間前のレブリーハのフェスティバル。昨日私に歌ってくれたエバがそこでソロで歌ったのですが・・・・なぜか歌が盛り上がってくると、照明と音響がぶちっと切れてしまうのです。それが少なくとも5回。お客さんもブーイング。でもエバの味方になって、すぐに静かになり応援の拍手を送っていました。その後に歌ったマカニータやトマス・ペラーテ、そしてペペ・トレースの踊りの時はそんな問題はなかったのですが、なぜかエバの時だけ。レブリーハ出身のエバが自分の故郷のフェスティバルでソロで歌えるなんて、彼女の歌い手人生のせっかくの晴れ舞台だったのにあんな目にあってしまって、エバ、本当に本当に可哀想でした。フェスティバルの後に周りの人に聞いたら、経済危機のためいい音響機材が揃えられなくて、そのために起こったこと、とのことでした・・・・

それもひどい。でも、真相はここから始まります。なぜそんな問題が起こるのか音響の担当者達にも全く分からず、その日のフェスティバルの後機材をチェックしたそうです。その機材は別の音響会社から借りた機材だったらしいのですが、よくよく調べてみると、なんと怪しい装置が仕込まれていたそう。そこですぐに警察に通報。フェスティバル次の日には私服警官が大勢会場を巡回していたそう。その日も同じ。急に音響や照明がぶちっと切れる事件が何度も起こり、そして一人の男が、なぜかしょっちゅうズボンのポケットにもぞもぞと手を突っ込み、手を出し、またズボンに突っ込み・・と不審な行動を繰り返していたそう。それを目ざとく見つけた私服警官がその男を連行。「ポケットの中身はなんだ?」と聞いたそうです。男は「車のキー」と答えたそうですが、警官が素早くその「キー」をひったくり、スイッチを入れると・・・・なんと舞台の音響照明が一瞬にして消えたのだそうです!男は現行犯逮捕。その日のフェスティバルの最後にレブリーハ町長が事情を明かすと、町民から「テロリスト!!!」「恥知らず!!!」「カブ◯ン!!!」「イホ・デ・◯ータ!!!!」と怒号が飛んだそうです。そりゃそうだ。この、おたんこなすめ。お前の母ちゃんでべぞ。(ところで、迫力のある日本語の罵倒語というのはないのでしょうか?)

エバが話してくれた内容に、ミゲルと私はさらにのけぞりました。犯人の男は別の音響会社の人間だったそう。機材を貸したくなかったのか、貸したのだけど自分の希望の値段で貸せなかったためか、とにかく腹いせに、装置を仕込んだ機材をレブリーハのフェスティバルに貸したのだそうです。そして自分はその装置を遠隔操作するリモコンをポケットにしのばせ、フェスティバル会場にもぐりこみ、スイッチ一つで音響照明をぶちっと消していたのだそう。

なんと卑劣な。そんな男にフェスティバルを台無しにされてしまうなんて。ひどいひどい。それにしても前代未聞。ギタリスト50周年を迎えるミゲルも初耳!と驚いていました。

いや〜世の中何が起こるか分からない。私のマントンひっかり事件なんて鼻くそみたいなもんだよ。と、すっかり自分のことは忘れていました。が、忘れちゃいけない。コンクールまであと2週間。ここ最近ちょっとダレていたから、これで気合いが入りました。今日の午後には新しいバタ・デ・コーラが出来上がります。決勝用に意を決して大枚をはたくことにしたのです。こんな形でしかがんばれない私ですが、応援よろしくお願い致します。

2011年8月6日 セビージャにて

Comments are closed.