みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?
前回に引き続き、トロンボのクラス1週間です。今週は月〜木の4日間だけ。トロンボは金曜にブラジルに行ってしまうのです。1ヶ月間。その後はクリスマスがありロス・レジェス・マゴスというスペインの1月の休日もあり、多分1月中旬くらいまでトロンボに会えないのではないかな・・・トロンボの空気をいっぱい吸い込みたい4日間です。
- 11月14日(月)
パコ・デ・ルシアのロンデーニャを聴きながら身体をafinarさせる。フアナ・ラ・デル・ピパのカンテに合わせて先週使った2本の棒を使ってコンパスを刻む。今度はカホンと2つ縦に重ね、それを台にしてヌディージョでコンパスを刻む。(手をこぶしにして指の関節や爪を使ってコンパスを刻む)ビセンテ、カプージョ、フェルナンダ、カマロン、ルイス・デ・ラ・ピカ。どんどん聴く。彼らのカンテのコンパスを刻む。チャケータのブレリアも聴いた。アントニオ・エル・チャケータ。カディスの巨匠。昨日ちょうど自分の講義「カンティーニャス研究」で生徒さんとチャケータのロメーラを聴いたところだった。なにかつながっている。
今日のトロンボの言葉:「踊り手の価値は踊る場所で決まるのではない。金はどこでも金である。」
そして今日はクラスが途中で終わってしまった。なんとトロンボの友達のバレータ(歌い手です)が刺されたらしい。トロンボとヒターノの子達は、「俺たちのbarrioに戻るぞ!」とバイクでぶ〜んと帰って行きました。バレータ無事だとよいのですが・・・
- 11月15日(火)
今日はアレグリアス特集だった。カディスの歌い手ばかり。ペルラを聴き、カマロンを聴き、アウレリオを聴き、チャノを聴き、フアン・ビジャールを聴く。そしてパルマをたたく。嬉しかった。なぜなら私の大好きな歌い手ばかりだから。そして私のクルシージョで行っている講義「アレグリアス研究」でも同じ歌い手達のカンテを生徒さん達と一緒に聴いていたから。(ちなみに私の講義ではランカピーノとペリコン・デ・カディスも聴いた。)トロンボが持っているアウレリオのカンテは特に素晴らしかった。「誰が歌っている?」とトロンボが聞いた。誰も答えない。私は答えた。「アウレリオ」。トロンボは言う。「彼女がアフィシオナーダだ。」
「アフィシオナード/ダ(“ド”だと男性、“ダ”は女性)」という言葉がある。平たく訳すと「愛好家」という意味。この場合はフラメンコを愛する人。でももっと言うと、カンテを愛する人、である。よく一緒に働いていた歌い手達が、他の歌い手のことを「あいつはアフィシオナードだ」とかいう言い方をよくしていた。つまり、ただ歌がうまい歌い手と、歌をフラメンコを愛して歌う歌い手と、プロの歌い手の中にも2通りいる。歌がうまくても歌をそこまで愛していない歌い手もいれば、前者に比べて歌はそんなに上手くなくても、歌に対して愛が溢れんばかりの歌い手もいるということだ。
踊り手やギタリストの場合も一緒である。
愛をどんどん深めたい。これから先、年をとって身体が動かなくなっても、耳さえあればフラメンコと一緒にいることができる。
今日のトロンボの言葉:「フラメンコには4つの言葉がある。①アンダルシアの言葉 ②ヒターノの言葉 ③町中の言葉 ④フラメンコの言葉」
・・・で、昨日刺されたバレータですが、その情報はガセだったようです。トロンボ達がバレータの家に行くと、刺されたはずのバレータが、なんと台所でトルティージャ・デ・パタータを作っていたそうです。
- 11月16日(水)
なんと今日はクラスを休んでしまった・・・この大切な時に熱を出す私は大バカ。昨日、雨の中強引に自転車に乗っていたのが悪かったか・・・やはりバカ。無理してクラスに行く事もできたけど、明後日は踊りの仕事が入っているし、個人レッスンの生徒さんの振付けを今月中に仕上げなければならない。それは休むわけにはいかない・・・う〜・・・で結局、トロンボのクラスを休んでしまった・・・
というわけでyoutubeでも見てみる。こんな時くらいしか見る時間がない。数年前のトロンボのパルマクラスの映像を見つけました。↓
何の変哲もないオーソドックスなパルマ。でも明らかに生徒のたたくパルマとトロンボのそれは雲泥の差がある。トロンボだけたたいているとそれは普通に聞こえるけど、比べてみると恐ろしい程の差だ。たたいている生徒も別に下手ではないのだろう、要するにトロンボが傑出しているのだろう。この映像では皆座っているけど、今のクラスではみなちゃんと立っていますよ。
ついでに2年前のトロンボのパルマと踊りの映像もあった。お腹が出ていてズボンが短いのがちょっと気になります。でもやっぱりトロンボ。彼がコンパスを持っているのではなく、彼自身そのものがコンパスなんだよね。↓
watch?v=ifGpN0LKrtA&feature=related
その後に踊ったと思われるボボテのブレリアもいいね。↓
watch?v=5cSYngaAmDk&feature=related
最後に、YouTubeにアップされている、今日のトロンボの言葉↓
「“SILENCIO”(沈黙の意味。その言葉を指差して)そこが音楽が始まる所。それだけ、その短いメッセージだけ。」
- 11月17日(木)
今日はとりあえず熱は下がったので調子はイマイチだったけどクラスに向かう。今日がトロンボがブラジルに行く前の最後のクラスだから。・・・しかしトロンボは来ていなかった・・・一足お先にブラジルに行ってしまったというわけか。これまでにも時々そういうことがあったので、やっぱりという気持ちと、でもせっかく来たのにぃ〜という気持ちと。
で、私のように来てしまった生徒達と自主練習をする。ハイメ、アンヘル、サラ、エイミ、私の5人。(ペテーテーとポレーテはもちろん来ていない。トロンボが来ない事を事前に知っていたのだろう。)レベルがてんでバラバラの5人。でもみんな輪になって教え合ったりして楽しい。そこにギタリスタのリソスが登場。明日私が出るライブで共演するギタリストだ。みんな大歓迎。トロンボはいなかったけど、楽しい2時間だった。来て良かった。
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今日私は踊る。体調はいまひとつだけど、トロンボのお陰で気持ちはとってもフラメンコです。トロンボ、ありがとう。
2011年11月18日 セビージャにて