ソラジャ・クラビホのクラス

1005698_10151528442099724_2086856071_n 966865_10151528442189724_800002921_oみなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

セビージャは明日休日。カトリックの「聖体祭」と呼ばれるものらしいです。スペインはカトリックの国でカトリック関係の祝日が多い。関係のない私は、しかも勤勉な日本人の私は「また休みかー」とか思ってしまうのですが。私の住んでいる所はセビージャのど真ん中にあるので、祝日の前となると大勢の人が外に繰り出す。そして今日は「聖体祭」の前日ということでカトリック信者の音楽隊がひっきりなしに行進しています。

セビージャに戻ってから2週間、生活を戻すためにがんがん練習してきたので、今日はちょっと一息。練習だけでなくて、クルシージョやライブのお申し込み受付、準備も結構大変。日々の生活。やることがたくさんあり過ぎて、やってもやってもなかなか終わらない。毎日毎日あっという間に過ぎて夜になり、あーやっと眠れると思ったら、もう朝です。

今晩は夫が外でご飯を食べてくるというので、イエーーーイ!!!!外を行進している音楽隊を見下ろしながら(うちは日本でいう4階)ベランダで一人で缶ビールを飲んでいました。うまい!!!!夫と二人で飲むお酒も美味しいけれど、一人で飲むのもおいしいのです。

セビージャに着いてから、ソラジャ・クラビホのクラスに入りました。ソラジャに習うのは数年ぶりです。なぜソラジャに習う事にしたかというと、ちょっと前に東京のタブラオで観たソラジャの踊りが素晴らしかったから。あのライブ録画はDVDで発売されるはずですが、やはりフラメンコは生で観た方がいい。あんな素晴らしい踊りを東京で観られるとは思っていませんでした。ティエントとタンゴです。いやー素晴らしかった。あんな素晴らしいものを観せてもらって、習わないわけにはいかない。こちらにいると目と耳がいやでも肥えてきます。だから有名なスペイン人の踊り手、と言われても、その時の踊りが本当に素晴らしいというか、というとそうでもない時もあるし、決して有名でない人でも素晴らしい時だってある。でもそれは実際に自分で観なくてはならないのです。YouTubeで観た、と言う人もいますが、あれはただの情報。それだけでその人を判断するのは僭越。もう亡くなってしまった人はYouTubeでしか観られないから、できるだけ観た方がいい。でも生きている人ならば、できるだけ生で観る機会を作ること。非常に非常に重要なことです。お金がなければ、貯めてでも機会を作るのです。そうやって生の体験を自分の身体や心に刻み付けて行くのです。フラメンコは感じるものだから。

ソラジャのクラス。日本人のお友達からは「ソラジャ恐くないの?」とよく聞かれます。私は全然恐くないです。なぜみんなが恐がるのかは理解できます。でも恐くない。ソラジャはおべっかを使わない人ですからね。自分のクラスに来てもらうために、生徒をちやほやする先生っていますね。そうすれば生徒は気分がよくなって、次の月もクラスに通う。先生の収入は安定。そういう図式です。でもその生徒は本当にフラメンコを学べているのか???大いなる疑問です。

昔、ソラジャに習っていた時に日本人の何人かの生徒達にソラジャが怒鳴りました。「あんた達はホビーでフラメンコならってんのかー。みんな一生懸命お金貯めてスペインに来て学んでんだよ!!!私だって一生懸命教えてんだよ!!!」あの形相で、道路にまで響きそうな声で怒鳴って、そんなソラジャを「恐い」という人もいるのかもしれません。でも私は覚えている。その日本人達は、クラスで習った振付を全然覚えていない人達だった。できないのではない、覚えてこない。現にいつも更衣室でこんな会話をしていた。「えーーー振付全然覚えられないーーー」「ま、いいよねーーー」そして、怒鳴られたその日はこんなことを言っていた。「今日ソラジャ、なんで怒ってたのーーーー???」「わかんなーい」「ソラジャこわーーーーい。」

先週のクラスでもこんなことがありました。ブレリアのクラスです。

「あんた達、“パソ”(足の動き。靴を使った足の音、リズム)だけは真剣にとってるけど、“マルカへ”(フラメンコのリズムを身体で刻むこと。“マルカール”という人もいる)を手抜いてるでしょ。そうし続けてみな。そのマルカへがそのままあんた達に残るから。」

クラス中しーん。

「パソなんてのは、若い世代がどんどん発明して時代と共にどんどん変わっていく。でもマルカへは絶対に変わらない。昔も今も未来も。それがフラメンコなんだよ。」

こういう事を言う先生は恐いのだろうか?本当のことを、正しいことをズバリという先生が?

こんなこともありました。中上級クラスに初心者と思われる人が参加しました。クラスが始まって、その人は全然クラスについて来れない。ついて来れないだけではなく、完全にふてくされて後ろの壁のよりかかり、斜に構えて見ている。スタジオのど真ん中、ソラジャの目の前である。ソラジャはその人に聞く。「あんたのレベルは?」その人は言う。「中級くらいだと思います。でももう少し下かな。今私はセビージャで語学を勉強していて、せっかくだからフラメンコも学ぼうと思って、私の国では私は中級クラスにいるんだけど、靴を買ったばかりで新しいので足があまり動かないし・・・・・etcetcetc」延々とその人の身の上話が続く。完全にクラスの時間を中断している。ソラジャがそれを遮って言う。「つまりあんたのレベルは初級ってことね。このクラスは中上級クラスだから、初級ならあっちのクラスに入りなさい。」

私はole! と思ったけど。こういう先生は恐い先生になってしまうのか?

そして昨日はソラジャ大興奮で、怒鳴りっぱなし。怒っているのではなく、とにかくなんでも大声で叫ぶ。「パソをとれーーーーー!!!」「バモーーーー!!!!」「▲○*+>?■ーーーーー!!!!」(意味不明の雄叫び)あんまりにもうるさいので、なんでそんなに怒鳴るの?と笑って聞いたら

「明日は給料日なんだよーーーーーーー!!!!」

と大声で叫ばれた。

ソラジャ、おもしろすぎる。

2013年5月29日 セビージャにて。 (写真:アントニオ・ペレス)

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