7月写真展&ライブフライヤー・「The Dance Times」月間ダンサーベストテン選出!

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

セビージャに戻って2週間、相変わらず忙しい日々ですが私は元気です!

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  • 「第1回アントニオ・ペレス来日写真展」、「写真展開催記念フラメンコライブ」のフライヤーができました!現在日本とセビージャの印刷屋さんで印刷中です。6月以降に都内のフラメンコ関係施設に置きチラシして頂くことになっています。ご覧になりましたら是非お持ち下さいね。ちなみに

※本写真展とフラメンコライブは「日本スペイン交流400周年記念」事業としてスペイン大使館から認定されました!

※入場料:一般4500円/高校・大学生3500円(要学生証提示)/小中学生1500円(1ドリンク付・整理番号順自由席)となりました!

詳細はこちら。フラメンコライブチケットお申し込みは ticket.layunko@gmail.com まで。同会場同時開催の写真展は入場無料です!

  • 「第3回大阪クルシージョ」(2013年8/3・4)お申し込み開始しました。第2回の受講生、お問い合わせ下さった方の先行お申し込みになりますが、新規の方でこれからお問い合わせ下さってももちろんokです。osakacursillo@gmail.com(ハギワラ)までご連絡下さい。詳細PDFファイル1点をメール送信させて頂きます。第2回の受講生、島根や岡山など遠方からのお申し込みも頂いています。みなさん意欲満々です!

※東京(6/28〜8/18)、福岡(7/27・28)クルシージョ詳細はこちらにアップしています。

  • 4月6日(土)萩原淳子在西10年記念公演「ハモンは皿にのせるだけでよい」の踊りが評価され、「The Dance Times」ダンサー月間ベストテン(2013年4月)に選出されました!

 「The Dance Times」月間ダンサーベストテン(2013年4月)記事はこちら

数あまたある舞踊公演の中で、クラシックバレエ、日本舞踊、コンテンポラリーなど様々な舞踊界の素晴らしい踊り手さん達の中に入れて頂き、大変光栄   に思うと同時に身の引き締まる思いもします。これからも精進しますのでどうぞ宜しくお願い致します!

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実はやっと昨晩、「ハモンは皿にのせるだけでよい」公演の録画DVDを観たのです。DVD完成前に録画会社から映像が送られきて、それは一応チェックはしていたのですが、なんせセビージャに戻る数日前、それどころではない状況で送られてきたので、ちゃんとは観られませんでした。セビージャでミゲルとモイにDVDを渡したところ、その晩夜中2時頃にモイからの携帯メッセージが。

「ジュンコ!なんて素晴らしい公演なんだ!構成は最高、音響もとてもいい。オレは大満足。」

信じられない〜。このメッセージの内容よりもまず、モイからメッセージが届いたことが!!!!!人からの電話もとらないモイが。仕事の話も支払いの話をしても電話もメッセージも送ってこないモイが。そのモイからメッセージが届いた〜!!!

時間がなかったのもそう、でも、本当のところは自分の公演のDVDを自分で観るのは勇気がいりました。なんとなくそれに直面するのを避けていたようにも思えます。でもモイからのメッセージをもらって、ちょっと背中を押してもらえました。そして昨晩、公演を観ていない夫から「いつ公演のDVD観せてくれるの?」と言われ、えええええええい、観てしまえ!!!と決意したのでした。

・・・・・・・・自分の踊りは技術的にはいろいろ問題はある。自分の目と耳からすると。照明も自分が構想した通りには、100%は照明の人には伝わらなかった。私の伝え方が不十分だったのかもしれない。それは次回の課題。でも、この公演、いいのではないか。これ、フラメンコの公演だよね。フラメンコの公演、といいつつフラメンコか?それは?と首をかしげざるを得ない公演が多い昨今、これはフラメンコの公演だ。あのモイがなんでわざわざ夜中の2時にメッセージを送ってきたのか分かるような気がしました。

スペインで踊る私をいつも観ている夫は言いました。「この照明の人はフラメンコの舞台を経験したことがないね。日本で公演しているというのがはっきり分かる。観客の反応がスペインと全然違うから。日本の観客は感じていることがそのまま外に出ないんだよね。それから、たった3人で舞台を創って本当に勇敢だったね。君のことを誇りに思う。」

なるほど。照明の方はフラメンコの舞台を経験されていたはず。だけれども、やはりフラメンコの文化のある土地で、その文化を持った人が、フラメンコを知って照明を担当するのと、そうでないのでは全然違う。それは日本でフラメンコ公演をするにあたって大きなネックになる。お客様の大半は、踊りそのものをご覧になるけれど、実は照明というのは舞台構成において本当に本当に重要なのだ。その照明がちょっと違うだけで、色なりタイミングなり、場所なり・・・etcまるで印象が変わってしまう。極端な話、照明一つで生かしも殺しもする・・・と言っても過言ではない。特にフラメンコの本場、アンダルシアでフラメンコ舞台公演を見慣れている夫からすれば、その差は明らかなのだろう。写真家としてジャンルは違うといえども、芸術的な感性はずば抜けているしね。

そして観客の反応。決して反応しない訳ではない。でもこれも感情がそのまま素通りして表に出てしまう(出すのではなく、出てしまう)アンダルシア人と、感情を隠すことが美徳とされ、ワンクッション置いてから表に出す日本人とでは、根本的に文化的に大きく異なる。正反対といってもいいくらい。拍手しようと思って手をたたこうと思ったら周りがたたいていないから途中でやめてしまう。ここでハレオ(かけ声)をかけたら目立ってしまうかな、とか間違っているかな、とか躊躇してしまう。そんな経験が日本人なら誰でもあるのでは?でもだからといって、アンダルシア人より感動していない訳ではないのだ。むしろ感動しているかもしれない。日本人の方が感受性が豊かかもしれない。現に、何十人というお客様が公演後、たくさんの感動のメールやお手紙を下さった。どちらがいい悪いという問題ではない。私は日本人でセビージャに住んでいるから、どちらも理解できる。よく分かる。でも舞台の上に立つ人間として、どちらが踊りやすいかといえば、観客の反応がその瞬間その瞬間、その場その場で返ってくる方だ。フラメンコは循環するもの。ただ舞台の上の人間が踊って、弾いて、歌って、それを客席の人間が受動的にもらうものではない。なぜならフラメンコとはそういう文化だから。人と人とが共有し合って育ってきたもの。代々受け継がれてきたもの。そして海を超えて大陸を超えて別の国にも伝わってきたもの。

DVDを観ていたら、赤ちゃんの「アーアー」とか「ウーウー」とかいう声が入っていた。当日、お子様抱っこ席に親御さんの膝に座っていた赤ちゃんだろう。私はとっても嬉しかった。DVDを観ながら、夫と目を合わせて微笑んだ。赤ちゃんは何も分からないかもしれない。でも何かに反応しているのだ。もしかすると私達よりも分かっているのかもしれない。その赤ちゃんとは別に私の姪っ子(9ヶ月)も妹に抱っこされて客席にいた。舞台が始まり、ミゲルのギターの時は静かだったらしいが、モイが歌い始めたら「ウギャー」と泣き出しそうになったので、妹は慌ててガラス張りの防音室に駆け込んだそうだ。公演中はずっと防音室の中から舞台を観ていたらしい。(舞台上の音は聞こえる画期的な防音室!)公演最後フィン・デ・フィエスタのタンゴになってやっとノリノリになったそうである。私が妹に「ごめんね」と言うと、妹は言った。「赤ちゃんは泣く事で感動を表現するんだよ。」

少しずつ、フラメンコの文化が日本に伝わるといい。本物のフラメンコが。フラメンコでなくてもいい。芸術に触れることがもっと身近に、当たり前になって、感性の豊かな子供がたくさん増えて、そういう社会になっていってほしい。

ベストダンサーテンに選んで頂いたのは嬉しいけれど、それと同時に私は自分の使命のようなものも感じる。本物のフラメンコを伝えること。心に伝わるものを伝えること。それはスペインでも日本でも一緒。舞台が大きくても小さくても一緒。別に誰から頼まれたわけではないし、逆に「誰もあなたに頼んでいませんよ」と言われるのかもしれないけど、いいのだ。私は私のやり方で踊り、誰かの役に立てればいいのだ。それが今まで私がフラメンコという偉大な芸術からたくさんのものをプレゼントされてきた恩返し。セビージャに住んで10年たって、やっと自分にその土台ができたのだと思う。

これから年をとって、いろいろな状況も変わって、今のようには踊れなくなるかもしれない。でも踊り続けようと思う。

2013年5月26日  セビージャにて。

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