セビージャ・ペーニャ“ニーニョ・デ・ラ・アルファルファ”公演無事終了!

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

土曜日のペーニャ・“ニーニョ・デ・ラ・アルファルファ”公演(セビージャ)はお陰様で無事終了しました。ありがとうございました!

2013.6.8(土))// 萩原淳子ペーニャソロ公演

  • ペーニャ・ニーニョ・デ・ラ・アルファルファ(セビージャ)
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  •  モイ・デ・モロン
  • ミゲル・ペレス 

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当日はセビージャやセビージャの郊外でたくさんのフラメンコ公演があり、お客様いらっしゃるのかな・・・と不安もありましたが、会場に着くと、年配の外国人ご夫婦と観られるお客様がすでにお待ちになっていらっしゃいました。ペーニャ公演は21:30開演となっていますが、実際始まるのは22:00過ぎ。だからよく見ると、21:30開演ではなく、「21:30から」 と表記されてあります。セビージャの人達はそれをご存知ですから、みなさんいらっしゃるのはやはり22:00頃。私が着いたのは21:00だから相当早くにお着きなっていることになる。あれ、本当にペーニャ公演にいらっしゃったのかな?こんなに早く?と思い声をかけようとすると、「あなたがジュンコですね?」と片言のスペイン語で奥様から声をかけられました。今度は旦那様の方が「アナタの踊りはスバラシイ」とやはり片言のスペイン語でおっしゃっていました。「え?私の踊りをご覧になったことがあるのですか?」と私が片言の英語で聞くと、「観たことはありません」とおっしゃいます。「?ではどうしてスバラシイって分かるのですか?」と笑って聞くと、「何人もの人に、『セビージャにいるジュンコの踊りを観なさい』と薦められたからです」「!!!!!!」うっそーん。すごいー。萩原、びっくり仰天でした。「ありがとうございます!!!!!!」

というわけで前日までの緊張はどこへやら。やる気満々、勇気凛々となったフラメンコ公演。そのうちにギタリストのミゲルや歌い手のモイも到着。最終的にはたくさんの方にお越し頂き立ち見の方もいらっしゃるほど。ペーニャ自体は割と広い空間なのですが、舞台の板は小さく、お客様は板すぐ近く、コの字型に囲んで座っていらっしゃいます。濃密な空間の中で、濃密なフラメンコ公演となりました。

1曲目のソレアが終わった後。楽屋で休んでいると、ミゲルが言いました。「ジュンコ!オレはもうお前と合わせをしないぞ!!!」はあああああ?何言ってんのこの人?とぽかんとしていると隣にいるモイはニタニタ笑っています。なんなんでしょう、この二人。するとミゲルが「お前は合わせをしない方がいい踊りになる!だったら合わせない方がいい!」はああああああ?


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合わせとは、まあ、事前にどんな流れの踊りかというのを本番前に合わせるリハーサルみたいなものです。人によっては何十時間もする人もいれば、私の様に本番数日前に1回さっと合わせる人もいる。状況によっては事前の合わせなしでそのまま本番を迎えることもなきにしもあらず。

どうもミゲルの話によると、私はその事前の合わせとは全然違うことばかりやってしまったらしい。そしたらその踊りの方が前もって準備していた踊りよりもよかったらしいのだ。というより、私からすると、ミゲルやモイが合わせの時と全然違う歌やファルセータ(ギターのメロディがメインになる部分)を歌ったり弾いたりしたので、結局即興になってしまったのだ、と思う。

というのはあまり自覚がないのだ。その瞬間瞬間で身体が勝手に動くというか、動いているのも頭では分かっているのだけれど、もう一人の自分が頭の自分を動かしているというか、踊っている間に萩原淳子が3人いる感じなのです。①頭でコントロールしている萩原淳子と、②身体を動かしている萩原淳子、③それらを俯瞰し統率している萩原淳子。よく、「踊っている時に何を考えているのですか?」と聞かれるのですが、この3人の萩原淳子が入れ替わり立ち替わりしている感じなので、何かを考えているわけでもなく、でも頭がすっとんでいるわけでもない。でも気付いたら踊りが終わっている。不思議です。

でも悔しいのは、そういう状態の時の踊りはとてもいいらしいのだけど、でも自分では実感が湧かない。ピンと来ない。練習通りに完璧に踊れて10点満点!というスポーツの世界だったらやったー!と思うのかもしれないけど、フラメンコは新体操やシンクロナイズドスイミングではないからねぇ。。。。なんか悔しいな。みんなが私の踊りを楽しんでいるのに当の本人がピンと来ないってのは。

公演後、昔、習っていたトロンボが話してくれた同じ話をミゲルがしてくれました。

若き日のラファエル・リケーニ(素晴らしい、本当に素晴らしいギタリストです。)がファルーコ(ファルキートのおじいさん)の踊り伴奏をすることになりました。本番前にまだ一度も合わせていません。リケーニは偉大な踊り手ファルーコの踊り伴奏を初めてすることになり、緊張で震えています。本番前、楽屋でリケーニはファルーコに聞きました。「マエストロ(偉大な先生)・・・、合わせはいつするのでしょうか・・・・」するとファルーコはタバコの煙をくゆらせながら言いました。「まだだ」。リケーニの緊張が高まります。またしばらく時間が経ちました。本番まであと数分しかありません。耐えられなくなったリケーニはもう一度ファルーコに質問します。「マエストロ・・・合わせは・・・」するとファルーコは吸っていたタバコをもみ消し、リケーニをじっと見つめました。「お前はソレアを弾けるのか?」リケーニは震える声で言いました。「はい、マエストロ・・・」するとファルーコは歌い手のチョコラーテに向かって聞きました。「おい、お前はソレアを歌えるのか?」「もちろんだ」。ファルーコはリケーニに向き合っていいました。「お前がソレアを弾き、あいつがソレアを歌う。そしてオレはソレアを踊る。」

そして踊ったファルーコのソレアは、本当に素晴らしいソレアだったという話。

なんて素晴らしい話なんだーーーーなんてフラメンコなんだーーーー。いつ聞いても素晴らしい。これぞアルテ!!!!!これぞフラメンコ!!!!

で、でもね・・・・ミゲルは「だからお前とはもう合わせをしない」と言う。ええええええええーーーーそんなーーーー。それとこれとは違うでしょうが。私はファルーコじゃないーーーー。絶句する私を尻目にモイがやはりニタニタしながらちょっと踊って楽屋を出て行きました。!!!!!またその踊りがすごい!!!!そんじょそこらの踊り手よりもずっとフラメンコなのだ、そのちょっとした仕草や動きが。

なんだか笑ってしまいました。それにしても今週の金曜のフェスティバルの公演はどうなるんでしょう。今度はバタとマントンでも踊るのに?カブレーロやアルカンヘルと同じ舞台に立つのに?もうーーーー。

2013.6.14(金))// フェスティバル・フアン・タレガ(ドス・エルマーナス、セビージャ)

  • ドスエルマーナス オーディトリアム
  • 22:30開演
  • 要招待券
  • カンテソロ出演:カブレーロ、アルカンヘル、ヘスス・メンデス他
  • バイレソロ出演:萩原淳子
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子(バイレソロ)
  • モイ・デ・モロン 
  • ミゲル・ピクオ
  • ミゲル・ペレス 

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2013年6月10日 セビージャにて。  (写真:アントニオ・ペレス)

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