第33回 “フアン・タレガ” フェスティバル無事終了!

401791_601874273170337_1607498175_n みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

こちらセビージャは暑くなったり涼しくなったり。ガスパチョを作るか作らないか・・・迷うところです。ガスパチョはアンダルシア地方で夏に飲まれる野菜ジュースみたいなもの。トマト、ピーマン、きゅうり、ニンニク、オリーブオイル、酢、塩などをミキサーにがーっとかけ、こして滑らかにすれば出来上がり。暑い時にこそ飲みたくなるのがガスパチョ。でもあんまり暑くないとせっかく作っても美味しくないんだな。

2013.6.14(金))// フェスティバル・フアン・タレガ(ドス・エルマーナス、セビージャ)

  • バイレソロ出演:萩原淳子
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子(バイレソロ)
  • モイ・デ・モロン 
  • ミゲル・ピクオ
  • ミゲル・ペレス 

さて、ご報告が遅くなりましたが、先週金曜の第33回“フアン・タレガ” フラメンコ・フェスティバルは無事終了しました。あーよかったー。一山越えて一安心です。アンダルシア地方では各村で毎年夏にフラメンコ・フェスティバルが開催されます。夏のフラメンコ・フェスティバルといえば、フラメンコファンにはたまらない、一年間待ちに待ってやっと開催の一大イベント。その歴史も長く、昔は大物アーティスト達が続々と出演、その多くは歌い手で(アンダルシアでは、フラメンコと言えばはカンテ、つまり歌です。)皆それぞれ好きなだけ延々と歌う。踊りはたいてい一人だけ。でもその踊り手もやっぱり大物。暑いので会場は屋外。やっぱり暑いので夜23:00頃から始まり、明け方まで続きます。フラメンコファンだけでなく、一般の人も普段はフラメンコに興味なくてもフェスティバルにはやって来る人も多いです。とにかく時間が長いので、ボカディージョ(スペインのサンドイッチみたいの)や飲み物を持参の人も。劇場ではないので皆好き勝手に飲み食いし、飽きれば家に帰ったりおしゃべりしたり。お目当てのアーティストが出れば「Oooooooleeeeee オーーーーレーーーー!!!」と叫ぶ。これぞアンダルシアのフラメンコです。

これまでに私も何度も見に行きました。バスや車であちこちの村へ。7、8月になると毎週のようにアンダルシア各地の村で開催されるのです。劇場や商業施設のタブラオとも違う。狭い空間のペーニャ(フラメンコ愛好会が持つ小舞台)とも違う。アンダルシアの夏のフェスティバル。これは本当に特別なものなのです。その先陣を切るのが、この“フアン・タレガ”フラメンコ・フェスティバル。セビージャ郊外の町、ドス・エルマーナスで開催されるこのフェスティバルは、数ある夏のアンダルシアのフェスティバルの中でも格式の高いもの。フェスティバルに参加するだけで、アーティストとしては名誉なことなのに、“フアン・タレガ” のフェスティバルに呼ばれるなんて、これはなんと表現していいか。しかも日本人の私が。私がそのフェスティバルで踊った同じ日に、皇太子様がセビージャのタブラオでフラメンコを鑑賞されたそう。周りの人に、「ジュンコが皇太子様の前で踊ればよかったのにね」と言われたけど、いやいや、“フアン・タレガ”フェスティバル出演は、私にとっては皇太子様の前で踊るくらい名誉なことだったのです。

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それにしても、またもやあまり覚えていない・・・何をどう踊ったのか・・・。踊ったのはバタ・デ・コーラ(裾の長い衣装)のソレアとマントン(フリンジみたいのがついた大判の布みたいの)のアレグリアス。観に来てくれたお友達がマントンのアレグリアスを撮影してくれていて、その一部をYouTubeにアップしてしまいました・・・↓

第33回“フアン・タレガ” フラメンコ・フェスティバル「萩原淳子 アレグリアス・コン・マントン」

「アップしてしまった」というのは、このビデオを観て思い出しました。最後の最後でマントンが足にひっかかっちゃんたんだよー。がーん。それがまるまるアップされています。がーん。それまではよかったはずなのに(多分)。よりによって失敗した所がアップされているなんて。がーん。でもお友達は大興奮していたので、そりゃ、「みんなジュンコの踊りを観てよ〜!」というつもりでアップしてくれたのでしょう。だから削除して、なんて言えないしね。だからもう開き直ってみなさんにご紹介してしまいます。どうぞどうぞご覧下さいませ。

ちなみに、他の出演者の模様もアップしているみたいです。

第33回“フアン・タレガ” フラメンコ・フェスティバル 「エル・カブレーロ」

第33回“フアン・タレガ” フラメンコ・フェスティバル 「ヘスス・メンデス」

それと、バタ・デ・コーラのソレア。これは私の夫が録画してくれていたので、近日中に自分でYouTubeアップします。お楽しみに!

それにしても、自分の踊りは覚えていないけど、あの舞台で踊ったのは本当に筆舌尽くし難い経験でした。フアン・タレガのフェスティバルに出演すること、素晴らしいアーティスト達と同じ舞台に立てること。それだけで本当に名誉で、本番までは本当に緊張したけれど、舞台の上から5000人収容の客席を見渡した時、ほぼ満席で埋め尽くされている客席を見た時、うあーここで私踊るんだ!!!とものすごいエネルギーを感じました。あんなに大観衆のアンダルシア人達の前で、だからこそエネルギーがみなぎってくる。舞台の上では緊張していなかったのではないかな。屋外の劇場なので、敵は風。マントンやバタが風にあおられる時もあるので、室内の劇場で踊るのよりも難しい。それは分かっていたけど、私はどうしてもマントンとバタと一緒に舞台に立ちたかった。周りの人から「勇気あるね」と言われたけど、うーん、そうなのかな。勇気というよりも、そうしたいという自分の希望が強かっただけ。なぜならマントンもバタも私の身体の一部だから。それがなくても踊れるし、それも私の踊りだけど。

バタのソレアを最初に踊り、歌い手達がアレグリアスをいくつか歌っている間に早着替えして、すぐにマントンのアレグリアス。だからあっという間に終わってしまった。終わった後、ヘスス・メンデスや、カブレーロのギタリストであるラファエル・ロドリゲス(この人も素晴らしいギタリストです。)が「おめでとう!」と声をかけてくれて嬉しかったです。

ここに至るまでいろいろなことがあった。自分の心の中にしまってがまんして乗り越えなければいけないことばかりだった。そうやって年月が過ぎ、やっとつかんだ“フアン・タレガ” フェスティバルへの出演。コネやカネでひょいと舞台に立ててしまう踊り手には絶対に分からないだろう。努力をする前に他人をやっかむ踊り手にも絶対に分からないだろう。上手いとか下手ではない。スペイン人とか日本人とかいう問題でもない。私は私で、私には私の踊りがある。あとはカンテとギターを聴けばよい。共演のギタリストミゲル・ペレス、歌い手のモイ・デ・モロンとミゲル・ピクオに拍手を。そして私に多大なエネルギーを与えてくれた観客にも。いつも私を支えてくれる夫、アントニオ・ペレスにも。最後に特別な感謝の気持ちを、スペインで踊る私を一度も観た事のない私の両親に。

この舞台は私を何十倍も成長させるでしょう。ありがとう、ドス・エルマーナス。

次回はマルベージャのペーニャでソロ公演です。

2013.6.22(土))// 萩原淳子ペーニャソロ公演

  • 22:00
  • ペーニャ・サン・ペドロ(サン・ペドロ・デ・アルカンタラ、マラガ)
  • 入場無料
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • ラ・ディビ
  • ミゲル・ペレス 

2013年6月18日 セビージャにて

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