ヘレスのブレリア祭に行きました。

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

お陰様で私は元気です。しっかし、相変わらずですが、忙しい日々でした。日本と違いこちらは9月が新学期。セビージャのフラメンコのお教室も9月から再スタート!ということでどこも気合いが入っているようです。先生も生徒も。スペイン経済危機は当然フラメンコ界にも襲っているわけで、普段舞台で活躍している有名な踊り手達も教授活動に邁進しています。習う方からすると、今まで習えなかったアーティストにも習えるわけでラッキーですが、こちらで踊っている私はその痛手も受けています。決まりかけていた仕事は2つもキャンセルされました。6月に踊った仕事の出演料もまだ振り込まれていません。数ヶ月で振り込まれるなんて話はほとんどないと思った方がいいのですが。

3週間毎日個人レッスンを受講して下さった大阪の生徒さんは目まぐるしい上達をされて、昨日帰国されました。すごいなー。人はあんなに短期間で上達するものなのだろうか、本当に感心しました。毎日個人レッスンということは毎日振付も進んでいくわけですから、ご本人の努力なしに上達はあり得ません。それもただの努力ではダメです。そう考えた時に、私は本当に努力しているのかな?と思ってしまいました。努力しているようで、実は努力が足りないのかも。そう反省した日々でした。

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_DSC4532 _DSC6447昨日はヘレスのフィエスタ・デ・ラ・ブレリア(ブレリア祭)に行ってきました。毎年9月の第1週に開催される、このフラメンコの、ヘレスが誇るブレリアのお祭り。2〜3月にかけて毎年開催されるヘレス・フェスティバルが外国人舞踊練習生向けだとすれば、こちらのブレリア祭は、カンテを、ブレリアを愛する地元へレスの人達のお祭りです。もちろんヘレス近郊からもフラメンコ愛好家がヘレスに集結します。同じ日にセビージャ郊外の村でやはり大きなフェスティバルがありましたが、私と夫はヘレスを選びました。

夜10:00過ぎに始まり、次から次へとアーティスト出演。休憩をはさんで2部構成。いやー楽しかった。ヘレスのコンパスの渦。お客さんもみんなそのコンパスを共有している。これだ、日本で欲していたものは、と身体の細胞が正直に反応していました。2ヶ月の日本滞在の中できっと飢えていたのでしょう、フラメンコに。ヘレスのアーティストだけでなく、セビージャやウエルバのアーティストも参加。みんなそれぞれの土地が誇るフラメンコを持っている。ヘレスにはヘレスの、セビージャにはセビージャの、ウエルバにはウエルバの。同じアンダルシア地方でも全然違うその味。だからフラメンコは素晴らしいんでしょう。「○○じゃなければフラメンコじゃない」という人もよくいるけれど、好みでフラメンコははかれないと私は思います。

いろいろな人のカンテ(歌)を聴いて思いました。訓練をして大きな声・高い声で息継ぎをしないで歌える人、難しい音程をきちんととって正しく歌う人、観客の心を掴む術を持った経験豊かな人、人生を絞り出して歌う人。人生そのものがカンテの人。

何時に終わったのか分からないけど、興奮状態のまま、お腹もすいていたので近くのバルに直行。腹ごしらえして(夜中だけど)、そこにいるお客さんも当然ブレリア祭からなだれ込んでいるわけで、すんなりとブレリアのパルマが始まる。誰かが歌い出す。なんでもない普通の男の子が歌い出したブレリア。ものすごく上手くて、悪いけれど、世間一般で歌い手として仕事をしている一部の歌い手よりもずっと上手いしフラメンコでした。その男の子の止まらないブレリアを聴きたくて、ずっとパルマの輪の中にいました。

明け方、帰り道で夫が言いました。

「これから先この国では苦労することになるけど、自分たちは自分たちの選んだ道を歩いているし、これからも歩いていこう。もし扉が閉められたとしても、続けるんだ。」

この人と結婚してよかったと本当に思いました。そしてこの土地にいることも。フラメンコ舞踊家という道を選んだことも。

(写真:アントニオ・ペレス)

2013年9月8日 帰って来たセビージャにて。

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