〝テ・デ・トゥリアーナ〟ライブ&今週の個人レッスン無事終了!

2013.11.7// T DE TRIANA (Calle Betis, Sevilla)

Baile Cante Guitarra
  • JUNKO HAGIWARA ¨LA YUNKO¨
  • LA BOTERITA 
  •  PACO FERNANDEZ

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

木曜日に出演した〝テ・デ・トゥリーアナ〟のライブはお陰様で無事終了しました。当日はサッカーの試合と重なりお客様はいつもより少なめのような気もしましたが、みなさん喜んで下さって嬉しかったです。自分としてはうーん、イマイチ。という感じの踊りになってしまったと思っているのですが。ギタリストは初共演のパコ・フェルナンデス、歌い手は昨年あたりにも1度共演したことのあるロシオ・ラ・ボテリータ。1曲目にアレグリアス、2曲目にソレアを踊りました。どちらもぶっつけ本番で、事前の合わせ全くなしの即興踊り。アレグリアスはちょっと固かったかな。お客さんの雰囲気もまだ固くて踊りにくいのは1曲目の特徴です。ソレアはもう少し自分の踊りに近かったように思います。特に歌振りの所は、これは私のソレアである、と実感しながらカンテを聴いていました。一番最後のフィン・デ・フィエスタも楽しかったかな。そこからまた3部が始まって踊れば萩原、本領発揮!という気もしましたがライブはそこでおしまい。ちょっと心残りでしたが、バルのオーナーが「いい踊りだった」と唸っていたので、あれはあれでよかったのかも。

次の日は、月曜から個人レッスンを受講して下さった生徒さんの最終日。日本で受講されたスペイン人のクルシージョのソレアの振付に、この5日間で私が後半部分のブレリアを振付て1曲完成しました。なかなかいいぞ。そのクルシージョのソレアの振付はエスコビージャにちと問題が。日本でギタリストさんと歌い手さんと合わせをされた時に、「そんなんじゃ分からない」と言われてしまったそう。確かにちょっと分かりにくいが、分からないこともない。でもそれは私が踊り手だからパソを見れば大体何をしたいのか察知してしまうからかも。というわけでもっとはっきり分かるように少し修正。木曜日(上記ライブの前)に私が絶対の信頼を置くギタリスト、ミゲル・ペレスに来てもらい、ファルセータの部分や先程の問題の修正したエスコビージャの部分の確認。ミゲル曰く、「修正バージョンの方がよい」とのことでやっぱりねと、萩原にんまり。

スペイン人だとか、日本人だとかそういう区別ではなく、ギター伴奏があって振付する時となくて振付する時では随分変わることもある。もちろん間違えてしまうことも。ギターがなくて振付してこれでよし!と思っても、実際ギター伴奏を入れると、あれ?なんてことも結構あります。だから「○○先生の振付だから」とか「スペイン人に習ったから」絶対正しいと思い込まない方がいいですよ。問題は振付を習った生徒さん自身が、どこに問題があって、なぜ問題なのか、どう直したらいいかが分からない時。そうすると、ただ振付だけ習っても実際には踊れないわけです。フラメンコは振付ではないですから。カンテとギターと踊り、これらのコミュニケーション方法が分からなければフラメンコの踊りにはならないわけです。そこの部分が不勉強でとにかく次から次へとクルシージョを受けまくっている人が世の中すごく多いような気がします。そういう部分をきちんと教えられる時間を私は持ちたいなと個人的には思っています。

もう一つの生徒さんからの課題は「ブレリアをどう踊っていいか分からない」。これもよく聞きます。ブレリアは難しいです。ブレリアといっても、いろいろなスタイルがあります。歌い手によって呼吸の仕方、声の伸ばし方、その日の気分や調子によっても違います。その豊かさ、自由さがあるからこそブレリアって素晴らしいのだと思うのですが、でも「12、1、2、3、4、5・・・」と数を数えて踊っていたらそりゃ踊れないです。これを説明するには、もう聴くしかない。というわけで、クラス最終日は先のミゲルだけでなく、歌い手のモイ・デ・モロンも伴奏に参加!なんと贅沢な個人レッスン!モイにいろいろなスタイルのブレリアを歌ってもらい、その歌に私が振付したブレリアでどう踊るか、何度も何度も挑戦してもらいました。その歌がどのようなうねりになっているか、どこでモイが盛り上げているか、どこで声を伸ばしているか、どこでうねりが落ちてくるか、それが耳と心で感じられないとブレリアは踊れません。(ブレリア風の振付は踊れてもね。)それを何度も何度もくり返し、毎回私の方で説明を加え、いろいろなパターンで歌い踊ってもらい、やはりなかなか難しかったようですが、1時間の個人レッスンの最後の方にはなんとか踊れるようになってきました。最後はソレアの最初から最後まで1曲通して個人レッスン終了。ミゲルとモイのお陰で本当によいクラスになりました。ありがとう。そして生徒さんも大満足・大感激で日本に帰国されました。わざわざセビージャまで個人レッスンを受講しに来て下さり本当にありがとうございました。私もいいクラスができて本当に充実した1週間でした。

話しは戻って、〝テ・デ・トゥリアーナ〟での踊りは、それの実践版。歌い手もギタリストも私の踊りは知らないわけで、私も何が歌われるのか、何が弾かれるのかが分からない。舞台の上で初めてお互い聴いて観るわけだから、お互いがお互いとのコミュニケーションの方法を知っていないと共演できないわけです。事前の合わせで言葉で説明するのももちろん、コミュニケーション。でも舞台の上では打ち合わせができない。自分の踊りでそれを伝えなくてはならいない。ギターの音で自分に何のメッセージを送っているか瞬時に察知しなくてはならない。カンテをよく聴くといっても、普段振付の練習しかしていなくて、舞台の上で初めて耳をダンボにしてカンテを聴いても分かるわけがない。たくさんクラスをとって、スタジオで鏡の前で必死に練習するのも大切だけど、それだけじゃ踊れないのがフラメンコ。

じゃあ、どうしたらいいんだ!と思う人もいらっしゃるかもしれません。そういうことを学びたければ、そういうことを大切にして踊っていらっしゃる先生に習う。そのためにはライブでも舞台でもクラスでも足を運んで自分の目で見る。自分の耳で聴く。自分の心で感じる。動画サイトもいいけれど、生にはかなわない。自分の五感をフル活用して〝フラメンコ度〟を高めること。深めること。受け身のままクラスに通っているだけでは、何も変わらないから。

・・・というわけで、今日のブログはそっくりそのまま自分に言い聞かせて、来週もがんばろう!

2013年11月9日 セビージャにて。

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