ラファエル・カンパージョのクラス

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

あっという間に3月が終わってしまいそうです。今月はラファエル・カンパージョのタンゴ(初級)クラスとアレグリアス(中級)クラスを受講しています。最近タンゴがすごく好きで、タンゴに定評のあるカンパージョに習いたかったのです。あと1週間で終わってしまうので残念ですが、この3週間でも本当によく学べたなー。クラス中、カンパージョにはよく見て頂き、たくさん注意もして頂きました。本当にありがたいです。毎回注意を受ける度に、「本当にその通りだな、ほんとに」と唸ってしまうほど。毎日それをすこしずつ直してゆくのですが、それでも今度はこっちを注意され、それを直したと思ったらあっちを注意され・・・自分にあきれて笑ってしまいますが、納得できる注意を受けられるというのは、学ぶ側として本当にありがたいこと。

決して難しいことではない。「当たり前」のことで、同じことを私自身生徒さん達に教えているから自分では分かっているはずなのですが、カンパージョの求めるレベルというのがものすごく高い。「当たり前」のことをそこまで突き詰めるのか、そうでないのか、そこに差があるように思えます。スペイン人の一流舞踊家だから。そうでなければ一流にはなれない。

初級でも中級でもクラスの始めに、プランタやタコンの練習をします。初心者でも知っているサパテアード(靴音)の組み合わせ。でもそれをどこまで突き詰めてやるのか。音量は?音質は?足の打ち方は?高さは?角度は?リズムは?コンパス感は?そして誰でも知っているマルカール(フラメンコのリズムを身体で刻む動き)。誰も突き詰めていない、クラスの生徒は。ただなんとなくやっている。もしくは意味を分からず一生懸命やっている。そんな調子なので、振付が始まると皆、目の色が変わるのだけれど、カンパージョの動き・音の微妙なそして絶妙なタイミングをキャッチできない。表面的にその動きや音はとることはできても、その〝妙味〟からはほど遠い。全く別ものになってしまう。うーむ。カンパージョの耳と同じ耳を持つ必要がある。まずはそこから始まる。

カンパージョははっきり言った。フラメンコ舞踊を踊るのに50%以上の確率で重要なのは「耳」だ。

必要なのはイルカのように超音波が聞こえる聴力ではない。フラメンコに感応する耳。耳を〝フラメンコ化〟してゆかなくてはならない。そうすることで初めて聴こえてくる音がある。聴こえて来る「間」がある。「聞く」のではなく。それがなければフラメンコは踊れない。〝フラメンコ風〟の舞踊は踊れても。カンパージョがクラスを通して教えているのはそういうことなのではないかと、私は私なりに解釈している。

難しい。環境も大切だ。美味しいものを食べることで舌が肥えるように、いいフラメンコを聴かなくては耳は肥えない。その環境をできるだけ自分で作ること。待っていても誰も作ってはくれない。

カンパージョはクラス中でこんな話しもしていた。タンゴのクラスで、皆が歌に対応できなかった時のこと。つまり習った振付通りには踊れても、歌が即興で長くなったり短くなったりした時に、オタオタと急に踊れなくなった生徒が続出した時のこと。

「俺の家族はフラメンコアーティスト一家ではない。妹(注:アデラ・カンパージョ)は踊り手だし、弟(注:フアン・カンパージョ)はギタリストだけど、小さい頃から自分の祖父や祖母がフラメンコを歌ったり踊ったりという家系ではなかったし、そんな環境はなかった。父が俺にしたことは、サパテアードの練習の時に身体が動かないよう、頭に重しを乗せたくらいだ。俺はアカデミア(フラメンコ教室)でフラメンコを学んだ。今の君たちと同じように。カンテを学ぶために何度もCDを聴いた。CDを聴いてどうやって踊るのかというのを何度も試した。俺ができたのだから、君たちができないわけがない。

・・・・・さて、どうするか。

今日はここでブログおしまい。

2014年3月22日 セビージャにて

Comments are closed.