2014年ビエナルに関してもやもやしていること。①

10714885_722888211137561_1630729053_nみなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

3日(金)のセビージャ、「サラ・ガルーファ」ソロライブまであと数日です。今更じたばたしても仕方がないということでブログを更新するか。

ただ今セビージャは「ビエナル・デ・フラメンコ」中。2年に一度セビージャで開かれる、世界最大のフラメンコの祭典、通称「ビエナル」。約1ヶ月の間、セビージャ中の劇場等で毎日フラメンコ公演が繰り広げられます。1日に2〜3公演開催されるのもざら。世界中からフラメンコファンが集結します。今年は9月中旬から開催され、今週末で終わり。長かったようであっと言う間でもあります。

それにしてもチケットの値段が上がったな・・・私がセビージャに初めて来た2002年は、「HOTEL TRIANA」(オテル・トゥリアーナ)での公演チケットは確か6ユーロだったのに、今は20ユーロだよ。この10年間で一般セビージャ人の生活水準もお給料も全く上がっていないのに、むしろ「Crisis」(クリシス)と呼ばれる経済危機で皆、職を失ったり、少なくとも水準が下がっている現状で、一体誰がチケットを買えるのか。6ユーロだったら一般セビージャ人が家族でフラメンコ鑑賞ができる。今晩フラメンコ観に行こうか〜、なんてふらっと立ち寄れる。20ユーロだったら家族の中で1人しか観に行けない。もしくは、どんなにたくさんの素晴らしい公演が毎日開催されていようと、その中で厳選に厳選をして1〜2公演のチケットしか買えない。どんなにフラメンコを愛していようが、その土地の人間だろうが、チケットが買えなければビエナルを楽しめない。

HOTEL TRIANAは野外で自由席だからまだ “安い” 方かもしれない。これが劇場公演になったら平気で30ユーロを越える。20ユーロとか30ユーロは日本円にすれば4000円前後。日本人からすると、な〜んだそんなもんなんだ、という感じだけれど、一般セビージャ人の金銭感覚からするとうーんと唸ってしまう。日本で1万円の公演チケットを買うような感覚かな。チケット1万円と言われるとそう簡単にはひょいっと買えないでしょ。例えば家族4人分のチケット買ったら4万円だよ。1万円のチケットを、あなたは1ヶ月に一体何枚買えるのか???

だからここ数年ビエナルは、外国人のものになりつつある。チケットをばばばば〜っと一度にたくさん買える外国人。外国人が悪いと言っているのではない。その外国人だってフラメンコを愛していて、そのビエナルに来るために毎日一生懸命働いて、お金を貯めて、休みをとってやって来るのだ。自分達の国では一流アーティストがこぞって出演するフラメンコ公演をそんなに一度には観られない。しかも自分達の国の水準からすると廉価で。だからばばばば〜っチケットを買うのだ。

・・・・そして、地元の人のチケットがなくなるという現状。買おうと思った時にはすでに外国人に買い占められている。売り切れ。だったら発売後すぐに買えばいいじゃないか、と思うかもしれないあなた、それはあなたがここに住んでいないから。正確に言うと「買おうと思った時」というのは、「買うためのお金の工面がついた時」。そう、それが地元愛好家の現状なのです。

私の立場は半々。フラメンコにおいて外国人であるし、でもここに住んでいる。だから外国人が悪いとも思わないし、そもそもどちらがいい悪いという観点で述べることではないだろう。でも半々であるが故に、どちらの立場も気持ちもよく分かる。だからどうした、と言われればそうなのだけど、ビエナルの度に、そしてここに住めば住む程複雑な気持ちになる。数ヶ月前に、とある雑誌から「ビエナルの特集記事を作りたいので、セビージャ在住の萩原さんにビエナルの魅力を語ってほしい」と依頼があったのですが、しばらく考えこんでしまったのにはそういう訳があります。フラメンコファンには確かに魅力的ですよね。でも・・・

今年も「ビエナル鑑賞記」をブログにしようと思ったのですが、その前にずっともやもやしていたことをブログにしたかったので、ひとまずこれをアップしようと思いました。

2014年9月30日 セビージャにて。

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