目に見えないものに感謝する。 アロラ(マラガ)公演を終えて

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2014年10月11日 アロラ・セルバンテス劇場公演 

バイレ:市川幸子、太田マキ、萩原淳子

ギター:久保守、鈴木淳弘

カンテ:フアニジョロ

ゲスト・アーティスト:ドローレス・コルテス・カンポス

舞台写真:アントニオ・ペレス

プログラム

1部

  • オープニングの全員ブレリア(黒い衣装)
  • カンテソロ(フアニジョロのマラゲーニャ)
  • タラント(太田さんソロ、赤地に水玉の衣装)
  • カンテソロ(ドローレスさんのアレグリアスとブレリア)

〈休憩〉

2部

  • ソレア(市川さんソロ、黒地に水玉の衣装)
  • アレグリアス(萩原ソロ、オレンジのバタ・デ・コーラ)
  • ギタードゥオ(久保さんと鈴木さんのファンダンゴとブレリア)
  • フィナーレのグアヒーラ(全員、バイレ白衣装)
  • フィン・デ・フィエスタ

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みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。こちらセビージャはやっと秋らしくなってきました。

アントニオ・ペレス撮影のアロラ(マラガ)公演の写真をアップ致します。アロラ市役所側で撮影して下さったのもよいですが、やはりアントニオの撮影は最高!共演のみなさんからもお喜びの声を頂いています。ありがとうございます!!!

さてさて、アロラ公演は準備の段階からとても楽しかったです。まずはオープニングのモロンのブレリア。(黒い衣装の写真)ギターがメインで始まり、ファニジョロの歌に引き続き、バイレ3名(市川幸子さん、太田マキさん、萩原淳子)の踊りに続きます。そして皆で盛り上げてさっと終わる。この引き際がよいね。

踊りの部分はバイレ3人で、東京のスタジオで考えました。前回私が日本にいた時、スペインに戻る直前だったから9月上旬。マルカールやフォーメーションの部分はみんなで意見を出し合って、パソの部分は私が考えて。いつも振付や群舞のフォーメーションは私一人で考えることが多いので、今回のように意見を出し合うというのは、とても新鮮な経験でした。同じ音楽を聞いても感じ方も表現の仕方も人によって違う。何を見せたいか、オープニングとして踊るという概念なども全然違う。自分の意見をごり押しするのではなく、お互いの意見を聞く。でもただ聞くのではなく、相手がその踊りや音楽に対してどのようなイメージを持っているかを共有しないと、ただ意見を聞いてもピンとこない。その良さと改善点が分からない。自分だけでなく様々な角度から音楽と踊りを聞いてみることによって、総合的によくなってゆく。ギターの久保守さん、鈴木淳弘さんの意見ももちろん重要。総合的に考えて、何が一番よいのか、流れがどうなるのか、それをまとめながら、自分の意見を伝える。ただこうしたい、と主張するだけではなく、なぜその方がよいのか、なぜそうでないものがイマイチなのか、それをきちんと説明する。もちろん同様に相手の意見も尊重する。東京のスタジオで2〜3時間かかったでしょうか。オープニングの振付はそれで完成。ビデオに撮って忘れないように、セビージャに持ってゆきました。

あとは、フィナーレのグアヒーラ。私がスペインに戻ってしまったので、日本で市川さんと太田さんが大まかな流れと振付を作って下さいました。その動画をyoutubeで送ってもらい、私は、振付とパソを部分的にとってセビージャで自主練習。9月末に市川さんと久保さんがセビージャ入り。そこでフィナーレの細かい部分を市川さんに教えてもらう。ただ、実際全体を通して踊ってみるとフィナーレにしてはちょっと長いような気が。それとイマイチ盛り上がりに欠けるかなあ・・・と気になる。新しく作り直すのではなく、すでに振付てあるものの順番をちょっぴり変えることを提案。ここでも市川さんと久保さんと3人で話し合い、試行錯誤。構成って不思議なもので、何か少し変えるだけで印象がガラリと変わる。重要なのは流れ。この動きを取り入れたい、とかこのパソを入れたいとか部分的に考えずに、まずは全体の流れを俯瞰する必要がある。そして何を言いたいのか、これが分かっていないとただの振付とパソの連続になってしまう。・・・という感じでこれはセビージャのスタジオで1〜2時間くらいで終わったかな。そこで変わった部分などを、その時はまだ日本にいらっしゃった太田さんに市川さんが連絡して下さった。

その間、衣装や小物(頭につける花、ペイネタと呼ばれるくし)、靴などの確認をやはりFacebookで。いやー便利な世の中だ。スペインと日本と離れていても普通にやりとりができる。そうこうするうちに太田さんセビージャ入り。バイレ3人とギターの久保さんと合わせ。その数日後にもう一人のギタリスト鈴木さんがセビージャ入り。鈴木さんはなんと到着その日に私達と合わせ。それが本番3日前。その次の日、つまり本番2日前にヘレスから歌い手のファニジョロがやってきて、セビージャで最初で最後の全員揃った合わせ。(この時の写真はすでにブログにアップしています。)そしてあっという間に本番当日を迎えました。

列記してみると盛りだくさんだけど、始まってしまえばあっと言う間。みんなすごくよかった!太田さんのタラント、最後のタンゴでは盛り上がり過ぎ、萩原は後ろでパルマをたたいていましたが、途中諸手を挙げてオレーと叫んでいました。は!と気付いてすぐ両手をおろしパルマに戻ったけど、そんなパルメーラ(手拍子でリズムをとる人)見たことない。スミマセン・・・大反省。パルマはパルマに徹しないと。市川さんのソレアの時にはパルマをたたかず、舞台袖で次の踊りのために待機していましたが、聞こえてくる音楽とサパテアードに大興奮でした!

私の踊りもお陰様で無事終了!みなさん盛り上げて下さいました。ありがとう!!!踊り終わって早着替えでグアヒーラの準備。グアヒーラも無事に終わったかな?そのままフィン・デ・フィエスタに突入。一緒に来ていたフアニジョロの息子といとこの踊り手さんがブレリア参加。ファニジョロの息子さんはいつもはよくペーニャなどでブレリアを披露することが多いそうですが、劇場では初デビューだったそう。会場も沸きに沸き、本当に素晴らしい時間を過ごすことができました。皆様、ありがとうございました!!!!

あー終わったー。とほっとして楽屋に帰って、愕然とする萩原・・・1部のオープニングで履いた黒い靴から、休憩の時にベージュの靴に履き替えなくてはならなかったのが、なんと黒い靴のまま2部も踊っていたーーーーがーーん。最後の群舞のグアヒーラ、衣装が全身白なので、足下はベージュがいいよね、と話してちゃんとベージュの靴を持ってきていたのに、なぜか履き替え忘れていた・・・がーーーん。なんでいつも私は必ずどこか抜けているのか・・・

そんな個人的な反省もしつつ、でも公演は大成功のうちに終わってよかった!大歓声と盛大な拍手に包まれた夜でした。

そして、重要なこと。私は踊りの準備をして踊っただけだけど、本当に大変だったのはこの公演をオーガナイズして下さった方々。アロラに30年以上在住されている日本人画家の長縄しんじさん、そのお友達で出演者でもあった久保守さん、このお二方が奔走に奔走、苦労に苦労され、忍耐に忍耐を重ね裏方として支えて下さいました。これは人から見えない。お客様からも、当の出演者からも。だからその写真も動画もアップできない。本当の裏方というのは、自分で、こんなにがんばりましたーということを公表しない。(ちなみに、私は自分が日本で写真展&ライブをオーガナイズする時はどれだけ苦労したか、公表します。人間ができていないので 笑)

それと、個人的には、いつも写真を撮ってくれる夫、アントニオ・ペレスにも特別の感謝を。写真って、ただ撮るのではない。携帯でもなんでも簡単に写真がとれてネットにさっとアップできてしまう時代だけど、プロフェッショナルなカメラマンが撮る写真というのはそうはいかない。このブログにアップしている私のバタ・デ・コーラの写真をご覧頂きたい。よくある正面からだけの写真ではない。横(舞台袖)から、そしてギタリストと歌い手の後ろから撮っている写真があるでしょう。ということは、私が踊っている間にアントニオは劇場内を走り回っている。(のろのろ歩いて移動していたら踊りが終わってしまう。)客席から、舞台袖、そして舞台後ろ、また客席と。客席も舞台近くから客席最後列まで走り回る。舞台が終わって、アントニオのシャツが汗だらけになっていて、「お前、踊ったみたいだな」と笑われていたけど、そういうこと。そしてそれだけではない。撮った写真を、何千枚というデータの中から加工する写真を選ぶ。これが結構骨が折れる。写真としていいもの、映っている人間のよさを最大限引き出しているもの、をまずアントニオが選ぶ。それでも膨大な数の写真データの中から、今度は私がフラメンコ的にどうか、というのをチェックしさらに選ぶ。選別に選別をかけたデータを、アントニオが色の補正、トリミングなどをパソコンでおこなう。公演が終わってからアントニオは数日かけてこの作業に没頭していました。はたから見て可愛そうになるくらい。・・・そう、これも世の中多くの人が知らない。写真というのはぱっと撮ってもらって、はいどうぞ、と渡されるものだと思っている。かくいう私も、そうじゃないんだ、ということをアントニオと一緒に住むようになってから初めて知った。

踊りだって結局同じなんだけどね。たかだか10分ちょっとの踊りを人前で踊るためには、何時間も、何日も、何ヶ月も何年も準備が必要だ。だから目に見えないものが本当は大切。誰も気付かないことにその本質が隠されている。

な〜んてことをいつも思います。

目に見えないものに注意と敬意と感謝を。

2014年10月17日 セビージャにて。

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