“カハ・ネグラ” ライブ裏話(笑)

1654167_10152847367476228_5493949779126546674_n10357533_10152847367406228_6258675405806892541_n10649525_10152847368166228_3308869386117049336_n1381289_10152847369056228_5857901391703476476_n10636239_10152847369671228_2999364307019651140_nみなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

こちらセビージャはここ数日で急に寒くなりました。数日前までは結構暑くて、サンダルでぺたぺた町を歩いていたのですが。考えてみたらもう11月ですものね・・・

さて、火曜の“カハ・ネグラ”でのライブはお陰様で無事終了しました。お越し下さった皆様ありがとうございました!今回のライブではヘレスのアーティストとの共演でした。いつも大体セビージャのアーティストと共演しているので、ちょっと変えてみようかと。ヘレス(ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ)はセビージャから電車で1時間ちょっとの所にある町です。セビージャ同様フラメンコにおいて重要な町。セビージャよりも小さく、素晴らしいアーティストが密集しています。特に歌い手。もちろんヘレスには素晴らしい踊り手もギタリスタもいるし、セビージャにも素晴らしい歌い手はいっぱいいます。でも比率で言うと歴史的にヘレスは歌の町。少し前からヘレスのブレリアのクラスを受講したりしていた関係で、先生のアナ・マリア・ロペスから今回のライブ共演アーティストを紹介してもらいました。

1部はヘススのギターソロ(ロンデーニャ)、パコのカンテソロ(タンゴ)、私のアレグリアス。アレグリアスは途中まで順調に行っていてお客さんも大盛り上がりでした。さて!これからエスコビージャを始めるよ〜という時になぜかブレリアの歌が始まってしまった・・・へ?っと思ったけど歌い手は興奮して歌っている・・・ギタリストを何気なく見たら(もちろん振付の中でね)歌い手に「Cállate!!!(カジャテ!!!だまれ!!!の意味。) 」と言っている・・・・。そうそう、ここエスコビージャの部分なんですが・・・でも歌は続いているので仕方なく(?)ブレリアを踊る。歌1つ分くらい踊って、ここからエスコビージャに戻ろうかなとちらっと思ったけど、また歌が続いてしまったのでまた踊る。これから仕切り直しをしてエスコビージャをしたら流れが悪くなるので、そのまま盛り上げて終わりました。・・・かなり短いアレグリアスだったのでは・・・1部終了して楽屋に戻り、歌い手のパコに「エスコビージャできなかったよ〜」と言うと、ぽかーん。ギタリストのヘススは「そうだよ!お前が歌うからオレは『Cállate!!!』って隣で言ってたのにお前全然気付かなかっただろう!!!あそこでオレはとっておきのファルセータを弾きたかったんだ!!!」・・・・そこで初めて「しまった!!!」という顔をしたパコ・・・・あの怒られた子供のような顔を思い出すといまだにおかしくなってしまいます。(笑)本人曰く、なんだか盛り上がってきて歌いたくなってしまったから歌っちゃったとのこと。まあ、それはそれでよいか。かなり短いアレグリアスになってしまいましたが。

休憩&着替え

10384014_10152847367596228_6141316065026594776_n10530879_10152847367161228_3557252743884561749_n1234038_10152847369761228_9020966218891599280_nライブ主催者から、「時間制限があるのであまり延長しないように」と言われていたのでそれを休憩の間にアーティスト達に伝える。「おう、じゃオレがブレリアを弾くからその後お前が踊れ。」とギターのヘスス。了解。

2部開演。さすがヘレスのブレリアです。あのヘレスのコンパス。楽屋で聞いている私もoleの連続でした。そして先程のアレグリアスで弾けなかったファルセータの分の挽回なのか、次から次へとどんどん弾き出す。パコとソーリのパルマのコンパスも盛り上げ、客席からもoleeeeeと盛大な拍手。さて、私の出番、ソレア。・・・と思いきや、舞台上の歌い手パコが話し出した。「今日はいい夜だなー!ファンダンゴいくつかと、その後ブレリアを歌う!!!」・・・・え、時間制限あるって言ったのに・・・しかしお客さんは大盛り上がり。確かにあのブレリアを聴いたらもっと聴きたくなっちゃうよね・・・と思った瞬間、ライブ主催者が血相を変えて楽屋に飛び込んできました。「ジュンコ!!!!時間制限あるって言ったじゃない!!!どうすんのよ!!!ファンダンゴにブレリア歌うって言っているし!!!」いや、私も時間制限のことは伝えてあるんだけど・・・・盛り上がっちゃってるからねえ・・・・主催者はものすごい剣幕で「ここのタブラオのオーナーはすっごく時間に厳しいのよ!!!毎晩ライブをビデオに撮って自宅で監視しているのよ!!!時間過ぎたらもうここでフラメンコできなくなっちゃう!!!申し訳ないけど時間になったら中断するしかないわ。ジュンコには悪いけど。」えーーーーーじゃ、私、2部踊れないんですか???そりゃ困る、というわけで、楽屋から舞台に向かって「早く終われー終われー終われー」のジェスチャーを繰り出す私。恐らくこれ以上の種類のジェスチャーはないというくらいのありとあらゆるSTOPのジェスチャーを繰り返しました。・・・しかし全然気付かない。とにかく彼らもお客様も盛り上がってますから。はあーと頭をかかえる主催者。その横でジェスチャーを諦めた私はふと、中断ってどういうふうにするんだろうと思っていました。劇場じゃないから幕がおりるわけにもいかないし、“CAJA NEGRA”(カハ・ネグラ、黒い箱の意味)っていう場所だけに暗いタブラオだから、照明を全部落としてもあまり中断感が出ないだろうし。「のど自慢」みたいに、終了の鐘でも鳴るんだろうか・・・

10252135_10152847367186228_2395424252550614791_n10378197_10152847367601228_1633705194098249064_n10519504_10152847368001228_6840017122340669011_n10801676_10152847367151228_392862819560120231_n10686868_10152847368561228_3654009976579632662_n1904014_10152847368136228_8901673409488293447_n10406767_10152847367676228_4036364056971451874_n10599491_10152847369626228_7862694411778975107_nなんて思っているうちに、件のファンダンゴとブレリアが大盛り上がりで終了。その時点で23時半。主催者は言う。「ジュンコ、あなたの振付何分なの?」うーん、多分12〜13分くらいかなあ。「24時15分前までにライブが終了しなくてはならないの。ちょっとでも過ぎたらアウトよ」・・・・スペインでは24時15分前って言い方をするけれど、日本式に分かりやすく表現すれば、23時45分まで、ということ。23時35分から踊り始めるとすると+12〜13分=12時47〜48分・・・。そう話しているうちにも時は刻一刻と過ぎる。「大丈夫、絶対23時45分までに終わらせるから。中断なしで。大丈夫。」不安気な顔の主催者を楽屋に残し、舞台へ。振付通りに踊ったらアウト。超特急でどの部分をカットするか頭の中で構成し直す。問題は現段階で盛り上がっているアーティスト達が興奮し過ぎて次から次へと歌ったり弾いたりしないように、コントロールすること。(過去に別のアーティストと共演した時にソレアの歌を5〜6つ歌われた時があった・・・)踊り伴奏、伴唱にあまり慣れていない彼らにちゃんと伝わるか・・・これは伝えるしかない。サリーダ(出だしの歌)が終わりすぐに立つ。ギターがファルセータを弾き出したのでそれにエスコビージャをかけて時間短縮。本当は身体の動きでファルセータを踊りたかったけど仕方ない。1歌。これは絶対必要。ソレアを踊るんだから。次ファルセータ。ここでは踊る。あんまり長くならないようにメロディの切れ目ですぐに合図を出しジャマーダ。2歌。歌一つじゃ物足りない。もう一つ聴く必要がある。ソレアのエスコビージャ。ここでいきなりブレリアに入ることもできるけど、それはやめた。ソレアを踊るからにはソレアのエスコビージャで始めるべき、というのが私の考え。どんなに時間制限があってもそれは曲げられない。ソレアのエスコビージャからブレリアのエスコビージャに早めに転換。ここで一瞬迷った。すぐに歌を呼べば早く終わる。かなりの時間短縮になる。でもそれではバランスが悪い。サリーダ、1歌、ファルセータ、2歌と続いて短めのエスコビージャから急にブレリアの歌に入って終わったら全体的に見て頭でっかちだ。バランスが悪い。それをエスコビージャ1固まり終わった後の1〜2コンパスの間でコンパスを刻みながら超特急で考える。どうするか・・・その間歌は入らない。ギターもファルセータを始めない。よし、もうエスコビージャもう1固まりやっちゃえ!短めではあるけれど、ここでもう1つエスコビージャを入れてブレリアの歌を呼べば大丈夫!そしてその後はブレリアの歌2つだったかな?あまり記憶にないというか、ここまで来ればどうにでもなれーという感じでソレア終了。

10395843_10152847368291228_3697662750481174488_n10394022_10152847367861228_9021805240082758207_n10360443_10152847369456228_1982089891568829425_n1654167_10152847368831228_3023736780118435759_n挨拶をして、ここでアーティスト達に舞台上で言う「時間制限あるみたいだから、フィン・デ・フィエスタは短めにね」。お客様に聞こえないようにそっとささやいたけど、でも全身の力を目にこめて伝える。本当は時間制限なんか気にしていたらフィン・デ・フィエスタにはならないのですが・・・お客様の中にもフィン・デ・フィエスタのブレリアに参加するのを楽しみにしている方もいらっしゃる。日本ではあまり見られない光景かもしれないけど、さすがフラメンコの文化がある土地です。アーティストよりも飛び入りのお客様の方が味のあるブレリアを踊れたりすることもあったり・・・。でも今回はやむなく出演者だけのフィン・デ・フィエスタ。といっても特別出演して下さった“エル・ソーリ”のブレリアはみんな楽しみにしています。バスケットボールをつくような仕草をしたかと思ったら、そのボール(実際にはない)を蹴るマネしたり。それをブレリアのコンパスの中で、ブレリアの歌の中でやってのけてしまう。誰のブレリアでもない、ソーリのブレリア。それが出て来ると、みんなオーーーーレーーーーとなるわけです。今回のライブの中で何も考えずにただ楽しめたのは、ソーリのブレリアのパルマをたたいていた時だったかな(笑)そんなソーリのブレリアの後私が踊るのもなんですが、踊れ踊れという中で固辞するのも無粋なので(ここでは謙虚は時として場を白けさせる)ほんとうにちょっぴり踊り、最後はソーリと二人で踊り、みんなで去っておしまい。

あー終わったーと楽屋に着いて一安心。はっと思い出し携帯を探して時計を見る。なんと、23時46分ではないか!!!!ライブが終了して舞台から楽屋につき、携帯を探して確認するまでの時間を1分とすれば、ライブは23時45分ぴったりカンカンに終わったことになる!!!なんという素晴らしさ!!!!ここで初めて自分にオレーと思いました。(笑)

そんなこんなでいろいろありましたが、お陰様で“カハ・ネグラ”でのライブは無事終了。

スペインで(アンダルシアで)踊るということは・・・・ブログのネタに事欠かないということです(笑)

写真:アントニオ・ペレス

2014年11月6日 セビージャにて。

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