2/7恵比寿ライブを終えて。生徒ライブについて思う。

スクリーンショット 2015-02-04 14.22.411560437_10153077086806228_8158954099178513004_nみなさんこは。いかがお過ごしでしょうか。

お陰様で無事、2/7(土)恵比寿サラ・アンダルーサでの生徒さん達と出演のライブは終了しました。たくさんのお客様にお越し頂きとても嬉しかったです。誠にありがとうございました!

株式会社イベリアさん主催の、日本のお教室の先生と生徒達による企画ライブに東京・福岡クルシージョ有志受講生達と出演致しました。元々年に2回の一時帰国時にクルシージョ(短期講習会)という形で教授活動を行っているため、私はいわゆる「お教室」というものを持っていません。そのような形態の私達でも企画ライブに出演させて頂いたイベリアさんにまず感謝したいと思います。ありがとうございました。

お陰様でたくさんの受講生の熱意に支えられ、東京では第15回、福岡・大阪では第6回目の開講となっております。その中で継続して受講して下さっている生徒さん達の中で、ソロライブに出演する実力がある方(と私の方で判断させて頂いた方)、意欲のある方に出演して頂きました。(今回出演されなかった方が実力がない、意欲がないという訳ではありません。)

もちろん受講生の皆さんは私のクルシージョだけに通われているわけではなく、その他のクルシージョに通われたり、普段は別のお教室の生徒さんだったり、教授活動をされている方もいらっしゃいます。私が自分のクルシージョで教えていることは基礎。それを元にした少しの振付。カンテとギターを聴く重要性。そんな所でしょうか。様々なフラメンコ歴の人が出演する生徒発表会とは違い、タブラオ(フラメンコショーを見せるレストラン)での生徒ライブというのは、生徒といえど、ある程度のレベルが必要だと私は考えています。今回のライブの後共演の歌い手フアニジョロが「ジュンコ ノ セイト ジョウズ」とイベリアの方に言っていたそうですが、そのレベルをクリアする生徒さん達を私の方で選んでいます。お客様は生徒ライブと分っていても、大切なお時間とチケット代をお支払いして観に来て下さる。もちろん生徒ライブとは知らずにふらっと立ち寄る方もいらっしゃるかもしれません。そのような方にでもある一定のレベルのショーをお見せする、これは出演者側の礼儀だと思うのです。そしてフラメンコに対する敬意。もし初めてフラメンコをご覧になった方がとんでもないフラメンコをご覧になったらどう思われるでしょう?またフラメンコを観たいと思われるでしょうか?

そしてレベルだけではありません。私は自分のクルシージョを通してフラメンコを伝えようとしています。フラメンコとは何か?それは人それぞれ違うかもしれない。でも私が私の目と耳と心で感じてきたもの、それをクルシージョではお伝えしています。上手に踊ることとフラメンコを踊ることは違う。たとえ上手に踊れるようになっても、フラメンコの振付の通りに身体を動かし、ギターと歌をBGMにして踊るのではない。フラメンコを踊るということ。フラメンコショーとしてお客様をお呼びするのであれば、その観点・姿勢が絶対に必要だと私は思います。

今回のライブの練習では、その観点からたくさんのアドバイスをさせて頂きました。ギタリストのエミリオ・マジャ。そして今回は事前の合わせに歌い手のエル・プラテアオが参加してくれました。一人1回30分のレッスンの中で実際にライブ出演曲を踊って頂きます。その中でギターとカンテとのコミュニケーションが出来ていない部分を確認してゆきます。踊っている本人が振付の意味を分らず踊っている場合が多いです。振付や構成の流れの中でその踊りで合図を出しているにもかかわらず、本人がその意図を理解していなければその振付は全く意味を持ちません。歌の尺に合っている合っていないではない、その歌を本当に理解して歌に対して踊っているか、ギターに対して踊っているか。一体になっているのか。そういった部分をとことん詰めてゆきます。ギタリストや歌い手からの意見も大事にし、生徒さんの理解度を高めてゆきます。

他の生徒さん達はパルマ参加しながら、お互いの踊りを学び合います。自分が踊る時だけ勉強するのではない。他人からも学ぶのです。そしてパルマの重要性。パルマをたたけなければ、踊れない。そのパルマで踊りを生かしも殺しもする。自分さえよく踊れればいいのか、そんなことはありません。本当はパルマだけでも一つのクラスにしたいくらいです。これは今後の私のクルシージョの課題。

今回のエンサージョでは特に、歌い手プラテアオのアドバイスも大きかったかなあ。ただ歌って「ビエーンビエーン(良い良い。)」というのではない、おかしな所はおかしいときちんと指摘してくれ、そのスペイン語のアドバイスを私が日本語に訳して生徒さんに伝えるのですが、生徒さんによっては厳しいお言葉だった部分もあったかもしれません。でもそれは助けるため。生徒さん達がフラメンコに近づけるようにお手伝いしてくれているわけです。もちろん今回のライブ出演者にそれを曲解する人はいませんでした。みんなどうしたら自分の踊りをフラメンコにしてゆくのか、真剣に学んでいたようです。

残念ながら福岡クルシージョ受講生の出演者は事前の合わせには参加できませんでしたが、本番当日の合わせでしっかり他の受講生から学んでいました。地理的にたくさんのレッスンや合わせに参加することはできないかもしれない、でも限られた時間の中で学べることは全て学び尽くす、という姿勢は頻繁にクラスを受けられる東京の生徒さんが人によっては忘れがちな点であり、学ばなければならない部分でもあると思います。

プロセス。それが大切。もちろん自分でも練習する。それをプロセスとも呼べるけれど、でもどこに問題点があり、どのように直していったらよいのかそれが自分で分らなければ、先生やギタリストや歌い手のアドバイスが必要だと私は思います。なぜなら生徒だから。学んでいるのだから。そのプロセスを経るからこそ、お客様の前に立つ資格があるのだと私は思っています。

そして、本番当日では先のエミリオ・マジャ、そしてフアニジョロの強力なバックアップもあり、皆さん踊りきりました。一人一人今後の課題もあるでしょう。それは当然です。私達は学んでいるのですから。私だってそうです。毎回毎回学んでいます。そうして年月を重ねてきています。これからも重ねるでしょう。

今回のライブにお客様として観に来て下さった他の受講生もきっとたくさん学んだことでしょう。もしかするとカンテとギターを聴く耳、という観点で見た時、その生徒さんは舞台に立っている生徒さんよりも上級生かもしれません。舞踊技術が足りないだけで。

別の時にある生徒さんがこんな話をして下さいました。あるスペイン人のクルシージョを受けた時に、そのスペイン人の先生が歌をどうレマタールするのか説明して下さったそうです。その説明が私がクルシージョで口を酸っぱくして説明していることと全く同じだったので、細かいスペイン語は分らなかったけれど、重要な部分は分ったそうです。しかし、他の受講生は何の事か分らない、とぽかーんとしていたそう。

・・・そう、学ぶことは山ほどあるのです。

限られた期間の中で全部教えるのは難しいかもしれない。でも自分が学んできたこと、学んでいること、つまり誰かスペイン人の先生の受け売りではなく、私の身体と頭と心を通過してきたものはできるだけ伝えてゆきたいと思っています。

2015年2月9日 今回の東京クルシージョはあと2日・・・

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