こちらセビージャはすっかり春です。くしゃみが止まりません(泣笑)何の花粉なのか、でも確実に何かが飛んでいます・・・
しばらくぶりのブログ更新です。随分前になりますが、前回のブログでお知らせしフェスティバル・デ・ヘレスでの公演はお陰様で無事終了しました。あまりに濃密だった6日間で、しばらくその後気が抜けてしまいました。(確か昨年もそうだったような・・・)とりあえず、というのもなんですが、公演の写真をアップさせて頂きます。それとFacebookにアップされている、フェスティバル側が撮った練習風景ビデオもあります。→こちら
今年は残念なことに全体的に生徒のレベルがあまり高くなかったように思えます。一応「プロフェッショナルクラス」ということになっているのですが。スペイン人の代教で3名の踊り手がいましたが、1名を除いてはうーん。パソをとるのは早いから生徒達に教えられるのかもしれないけど、その踊りを見て別段何も感じられず・・・。昨年も同じハビエル・ラトーレのクラスを受講しましたが、その時の代教の一人は素晴らしく上手でたくさん勉強させて頂いていたので、今年もそれを期待していたのがよくなかったか・・・
今年新たに学んだことがあります。20名弱の受講生が全員舞台に立つので、舞台のスペース上、全員が最初から最後まで舞台に乗っているわけではありません。タラントを踊りましたが、最初と最後は全員、その間の歌振りやファルセータはグループ分けして入れ替わり立ち替わり踊る形式でした。そして今年、全員で踊る部分以外の私の担当はファルセータとエスコビージャ。つまり歌振りなし。タラントを踊るというのにタラントの歌の部分を踊れないという・・・悲しい群舞の性(さが)・・・
しかも今年の歌い手はミゲル・ラビ。これまで一度も共演したことはないのですが、私の大好きな歌い手で、いつか共演できたらいいなあと思っていた歌い手でした。その歌を踊れないなんて・・・・それを知った日にはかなり落ち込みました。帰り道泣きそうになりながらとぼとぼ歩いて、にもかかわらず、ヘレスのおじさん達はニコニコ笑いかけて来る・・・さらに泣けて来る・・・
群舞だから仕方がない。自分一人で踊るわけではないのだから。全体の調整というものが必要になってくる。しかもこの群舞は6日間で振付やフォーメーションを仕上げ、最終日にはそれを舞台で踊るという、あり得ないスケジュール。振付・監督のハビエル・ラトーレも誰にできて誰にできないのか、一瞬で見分けて采配する責任があります。そう考えると自分のパートの責任を感じるようになりました。
そして、例えばサパテアードにしても、その部分だけ見るとサパテアードでしかないのですが、全体の構成から見れば、それは2つ目の歌を呼ぶために必要なパートだったりする。そこでコケれば、せっかくの流れや盛り上がりが台無しになってしまう。というか自分がどう踊るかによっては、台無しにしてしまう。もしくはその逆でものすごい勢いで歌を呼べるかもしれない。
サパテアードの部分は意外と難しかったです。パソはそれ程難しくはなかったように思えますが、ハビエルの出すセンティードを宿すのが難しかった。ハビエル・ラトーレの足の音は本当に音楽なのです。あの人の靴は靴ではなく楽器。音が鳴った瞬間にそれはギターやパルマの音と合奏になっている。素晴らしい。サパテアードの技術は高くてもそのように聞こえる踊り手というのは少ないように思えます。フラメンコの先生のレベルであっても、その音を聞いてああ、と一瞬世界が止まってしまう踊り手に出会ったのも数名でしょうか・・・ハビエル・ラトーレはそのうちの一人に入ります、私の中では。
さらにはそれに足のポジション、ブラッソもつく。ただ音が鳴っているだけではなく、それはやはり踊りなのです。さらに群舞のフォーメーション。隣の人との間隔、列なんてのも気にしながら踊るわけです。その意味で難しかった。あともう少し時間があれば・・・と思ったところで、舞台の日と練習日数は限られているわけです。だからその中で自分の最大を出さなくてはならない。その意味では非常に勉強になりました。
それから、いろいろハビエルから学んだこともあります。ブログに書きたい所なのですが、今度雑誌「パセオフラメンコ」さんの新連載「萩原淳子のマエストロ達に聴く」という企画の中で執筆させて頂きましたので、ブログでもFacebookでも内容は控えさせて頂きます。ハビエル・ラトーレのインタビューを元に、フェスティバル・デ・ヘレスでのこのクラス模様を書かせて頂きました。恐らく今年の9月号に掲載されるかと思います。詳細が決まりましたらまたこちらのブログでお知らせしますね。
本当に素晴らしい先生であり、振付家であり、素晴らしい人です。1年に1回だけですが彼に習うことができて、そして今回インタビューさせて頂き本当に感謝しています
これからも、学んだことを少しずつ消化してゆきたいと思います。
Foto: Antonio Pérez
2015年3月10日 セビージャにて。