トリノ国際フラメンコ舞踊コンクール決勝進出&コンクール予選について思う。

11062732_863043880408728_4779113370663252908_nみなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

ただ今イタリアのトリノにいます。本日、トリノ国際フラメンコ舞踊コンクール〝プーロ・フラメンコ〟予選に出場、決勝進出者に選ばれました。

コンクールHPは→こちら

予選を終えて、このコンクールでよいなと思ったことがあります。予選は1曲6分のみというのは少ない気がしますが(本格的なスペインのコンクールであれば少なくとも10分以内の曲を2曲踊り、決勝では予選とは違う曲をまた踊ります。)、コンクール側がオフィシャルのギタリストと歌い手を用意していること。事前の合わせや練習は一切なし。各自の持ち時間は踊りの6分を含めて15分間。つまり単純計算すれば9分の間に初めて合うギタリスト、歌い手達と打ち合わせをしてそのままぶっつけ本番というわけです。その打ち合わせも審査員の前で行います。他の出演者がどのようにしたのかは分かりませんが、私がしたのは挨拶、曲の構成の流れを口頭で説明。それだけです。そしていきなり踊って予選終了。多分総計8分もかかっていないはず。

なぜこの方法がよいのか。

①伴奏者に払うお金がかからない。

一般的にオフィシャルのギタリストや歌い手がいないコンクールが多いので、踊り手がコンクールに出場するには、自分で彼らを雇わなくてはならない。スペインのコンクールでは本番の出演料に1回分の合わせ練習代が含まれている場合が多いけれど、日本の場合は本番と事前の合わせ練習代が別。いずれにしてもお金がかかり、〝コンクール貧乏〟なんて言葉も生まれるわけです。その分のお金がうくというのは踊り手にとっては有り難い話です。

②予選はフラメンコ学校のスタジオで、練習着で行われる

これもよいです。個人的な意見として、予選会場にお金をかける必要はないと思います。本人の踊りの実力が分かればよいのだから、コンクール主催者側が大きな劇場をわざわざ借りなくてもよいのでは?と思います。しかもその出費の穴埋めをコンクール出場者がしなくてはならないとしたら・・・なんだか話しが分からなくなってくる・・・。練習着にしてもそう。予選は練習着でいいんじゃないかなあ。ある意味衣装でごまかさずに実力がそのまま見られるのでよいのでは?決勝に関しては劇場で衣装着用、というのは理解できますが。

③予選では事前合わせがなくぶっつけ本番

先にも述べた通り、事前の合わせが一切ない。ここで何が計れるかというと、その踊り手がどのくらいギターとカンテを理解して踊っているか、というフラメンコ度。つまり何時間もギタリストや歌い手に合わせてもらって、踊りを覚えてもらって歌い弾いてもらうのではなく、その瞬間瞬間に聞こえる歌やギターに即興でどのくらい対応できるかということ。どんなに身体を上手に動かせる踊り手であってもギターとカンテを聴く耳を持っていない人もいます。もしくは自分が踊る曲なのに曲の構成が分からずギタリストや歌い手に構成を作ってもらう人。何十時間も一緒に合わせて覚えてもらえば完成度の高い踊りが出来上がるかもしれませんが、フラメンコ度が低い。恐らくそういう人はギターや歌が変わっただけで踊れなくなる。そういうフラメンコ度の低い人を予選の段階でふるい落とせるわけです。〝ダンス〟のコンクールではなくフラメンコのコンクールなんだから。

④審査員が現役の一流舞踊家、舞踊教師

今回のコンクールの審査員はマヌエル・ベタンソス、アデラ・カンパージョ、アリシア・マルケスの3人でした。この3人のアーティストの前で踊る、踊りを見て頂くだけでも光栄です。コンクールの中には、審査員のコンクールをした方がいいのでは・・・という場合もなきにしもあらず・・・。

以上、いいなと思ったところです。

ただ個人的に気になるのは決勝出場者が多過ぎるんじゃないかな・・・ということ。そんなに決勝進出に値する踊り手がいるんだろうか、本当に?とあまのじゃくの萩原は思ってしまったわけです・・・。あの人もこの人も同じような踊り。もしくはただバタバタ動いているというか動かしているというか・・・上手は上手だけどなんだかエアロビというか、フラメンコ体操というか、『いい加減それをフラメンコを呼ぶのはやめようよ』と声をかけたくなるという踊り、そしてその踊りを見て「はい、○○の振付をとったんですね」という感想しかわかない踊り・・・etc. たとえどんなに上手であっても、そんな踊りが、どうか評価されませんように。コンクールの名は〝フラメンコ・プーロ〟。つまり、純粋なフラメンコ。その名の通りのコンクール結果が出る事を願わずにはいられません。

決勝は明日日曜、トリノ市内の劇場で行われます。

2015年4月18日 トリノにて。

Comments are closed.