8/14(金)恵比寿サラ・アンダルーサライブを終えて。&モイ・デ・モロン讃頌&フィエスタ

11902419_10153561984991228_5997896341130957907_nみなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか?

ご報告が遅くなりましたが8/14(金)恵比寿サラ・アンダルーサライブはお陰様で大盛況の内に幕を閉じました!お盆中にかかわらずたくさんのお客様にお越し頂き大変感謝しております。誠にありがとうございました!

今回のライブでもソレア・ポル・ブレリアを踊りました。なんだか最近、ソレア・ポル・ブレリアづいています。(笑)他の共演の、蜂須夕子さん(シギリージャ)、市川幸子さん(アレグリアス)、鍛地陽子さん(ソレア)の踊らないもの、というわけでソレア・ポル・ブレリアにしました。もう1曲迷った曲もあったのですが、当日のエンサージョの後、歌い手のモイとギターのパコからソレア・ポル・ブレリアでいいよ!と言われて、じゃ、いいか。(笑)となりました。

当日はとっても盛り上がったようです。お客様も皆様大興奮されていました。「カンテもギターもパルマもすごかった〜」「踊りもみんな個性があってよかった〜」とご感想を頂きました。ありがとうございました!

個人的には、日本でモイと共演できたことを嬉しく思います。2年前の私の日本でのソロ公演「ハモンは皿にのせるだけでよい」に招聘して以来です。セビージャでは何度も共演している歌い手で、モイからはいつも暖かく励ましてもらい、たくさん学ばせて頂き、エネルギーをもらい、楽屋で笑ったり、真面目な話をしたり、私にとってはとても大切な歌い手。そんな歌い手が日本でも活躍の場を広げていることを大変嬉しく思います。

そういえば、5月にイベリア主催フラメンコ・フェスティバルに招聘されたモイ。その時にイベリアさんからモイの紹介文を書いてほしいと頼まれましたので、喜んで執筆させて頂きました。

歌い手は大きく2種類に分けられると思う。カンタオールとアルティスタ。前者が器用に上手に歌う歌い手だとすれば、後者は上手い下手の観点ではなく、有無を言わさずその歌の持つ磁力に引きずり込む歌い手。モイ・デ・モロンはその両方を兼ね備えた稀有な歌い手である。そして媚びやへつらい、欺瞞に満ちた世界で、まっさらな子どものような心根を持ち続ける稀有な人間でもある。フラメンコは生で聴かなくてはならない。特にモイの歌は。

そう、その通り、自分で書いて自分で納得しています。(笑)

モイのお陰で先日のライブは本当に充実したものになりました。もちろんギタリストのパコ・イグレシアス、共演の踊り手さん達も素晴らしい。でも核となって光っていたのはモイ。でもその光を「オレってすごいだろ」って見せつけない。ひけらからさない。それがモイの素晴らしいところ。

そして手も抜かない。スペインで観たり聴いたりして、いいなと思うアーティスとでも日本で明らかに手を抜いている人もいる。(手を抜いていても、そのアーティストの名前だけでちやほやする観客がいるから、なめて手を抜くんだと思う。)そういう人はスペインでどんなに素晴らしくても、もうその時点でその人間性を疑ってしまう。もちろん人間だからその時にものすごく乗ってたり、また逆の場合もある。日本はフラメンコファンが多いとはいえ、でもアンダルシアのカンテを愛する層には全然かなわない。観客の反応が違えはそれはアーティストにも影響する。そういう差はあるにしても、そうではなくて、明らかに手を抜く人。それはすぐに分かる。でもモイは手を抜かない。それも素晴らしい所。

それから、個人的にOLE!だと思うのは、合わせの時に踊り手の構成の順番を紙に書かない。そう、これ、すごいびっくりした。紙に書かないモイにびっくりしたのではなく、紙に書くアーティストに驚いたのです、最初の頃。セビージャで合わせをする時に構成をメモするギタリストや歌い手なんていない。少なくとも私は出会ったことがない。でも日本のタブラオで踊るようになった時に、紙にメモする人がいて驚いた!でも今ほとんどのアーティストがメモしているのでしょうか?最初は、メモを見ながら弾いたり歌ったりする人がいて、それも大変驚いたのだけど。(笑)

もちろん紙に書くことが悪いわけではない。たくさん踊りがあって、構成が凝っていたり複雑だったりする踊り手もいるかもしれないから、間違えないようにメモをするんですよね。それはそれで伴奏者、伴唱者として責任感があって正しい仕事の仕方だと思います。でも私個人的には、タブラオで踊るのに順番の間違いなんてあるんだろうか?と思う。自分でこういう流れにしようと思っても、その場の成り行きというか雰囲気というか勢いというかいろいろな状況で構成が変わってしまうこともある。だからそういう流れに任せた方が自然だし、お互いの即興部分もあってお互いがお互いを活かすことになると思うのですが。

で、サラ・アンダルーサで仕事をする時には全員と言っていい程スペイン人アーティストがメモするので、合わせの時に椅子の前に小さな台を置いておくのですが(メモしやすいように)、その台をモイはパーカッション代わりというか、ヌディージョといってこぶしでリズムを刻んでいました。「メモ?なんでするの?」と言って。モイらしいです。(笑)

まあ、そんなモイの歌とパコの素晴らしいギター、共演の皆さんの熱いパルマとハレオで盛り上がらないわけがない。でも自分がどう踊ったのかな?それは覚えていません。すみません。(笑)

11905794_10153561978216228_8447388994409962234_n11138109_10153561987566228_8802105278008430250_n11221959_10153561978141228_6207396676013268986_n11051820_10153561984396228_6679601410637755911_n11898618_10153561977966228_4968873199476614360_n11903942_10153561984031228_5956235697337382652_n11870638_10153561984156228_6443786260435132903_n11885264_10153561980106228_3649781237401899037_n11880563_10153561984116228_8340424087499458891_n覚えているのはその後のフィエスタ。ちょうどあの日は新大久保にあるタブラオ「カサ・アルティスタ」閉店の最後の日だということで、歌い手の瀧本正信さんがライブ後、モイを連れ出しにいらっしゃいました。私達踊り手達も同行したのですが、このフィエスタがとても楽しかった。数日経った今でも時々思い出してニヤニヤしています(笑)私達が到着した頃は、カサ・アルティスタでのライブはほとんど終わっていたので、腹ごなしにそばを食べにゆき、また戻ってフィエスタ開始。件の瀧本さん、モイ、それから歌い手のディエゴ・ゴメス、ギタリストのエミリオ・マジャも加わり、とても楽しかった。私達もちょっと踊ったり。カサ・アルティスタのお客様も弾いたり歌ったり。同行していた私の夫、アントニオも大満足でした。ほんと、楽しかった。

モイはギターを弾いていました。これが、またいい。モイ・デ・モロン。つまりモロンのモイ。モロンというのはセビージャ郊外にある小さな町ですが、フラメンコにおいて重要な町で、ディエゴ・デル・ガストールというフラメンコ史上名を轟かすギタリストを輩出した町。セビージャが踊り、ヘレスがカンテ(歌)の町だとすれば、モロンはギターの町。そのモロンでは「パン屋でもギターが弾ける」と言われる程。

モイが弾くギターにも当然モロンの味がします。(あ、ちなみにモイは歌い手になる前はギター少年だったそうですよ。)モロンのギター、私は大好きです。あの音、あの弾き方、あのコンパス。モロンにしかないモロンのギター。いい!そのモロンの音を、モイが弾くギターをフィエスタで、モイの真横で耳にすることができてとても幸せでした。モイがそのモロンの弾き方を、これでどうだ!という顔でエミリオ・マジャ(本職ギタリスト)にこれでもか、これでもかと畳み掛けていて笑えました。エミリオがどんなに素晴らしいギタリストでも、モロンの音はモロンの人間にしか出せないですからね。もちろん、グラナダ出身のエミリオにしか出せない音というのもある。フラメンコはだから素晴らしい。

そのうち、モイを連れてきた瀧本さんが先に帰られてしまって、(「なんでオレを連れてきた人間がオレより先に帰るんだ〜」とモイが言っていた笑)そこからまた改めてフィエスタの盛り上がり。エミリオも弾いて歌って、(盛り上がっている時のエミリオの歌もいい!)ディエゴも歌って踊って。最初は「朝から歌ってるから歌わないよ」と言っていたモイも興に乗って歌い出し。やはりそういう時の歌というのは、舞台で聴くのとは全然違うんですね。たとえ手を抜かないモイでもね。仕事のためでなく、お金のためでなく、自分が本当に歌いたいと思った時に出て来る歌。もちろんギターも踊りもそう。そこがフィエスタの素晴らしいところです。舞台で出し惜しみしているわけではないんです。でも全然違う部分が出てしまうんですね、それでこそフィエスタ。

写真は差しつかえないものだけアップします。フィエスタだけにはめを外し過ぎた人もいらっしゃいました(笑)これアップして名誉毀損で訴えられても困るので(笑)

フィエスタといってもいろいろで、なんだか仕事の延長みたいなものや、強制的に踊らされる雰囲気だったり、全然盛り上がらないで、ただだらだらしてる時とかもありませす。でもあの日は楽しかったな。

皆様、本当にありがとうございました!

11822834_1263565437059398_3524584532564977063_nあ、最後に、モイのソロ・コンサートが8/23(日)にサラ・アンダルーサで開催されます。私は2部に行けるか行けないか・・・と言ったところ。駆けつけられるとよいですが。是非皆様もモイのカンテを味わって下さいね!

ライブ詳細はイベリアさんHPでご確認下さい。→ こちら

ではまたお会いしましょう!

ライブ集合写真&フィエスタ写真:アントニオ・ペレス

2015年8月19日

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