「プリメラの仲間たち2016」公演を終えて。

_DSC0242みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

「プリメラの仲間たち」公演関係者の皆様、ご来場下さいました皆様、共演のエミリオ&パコ、どうもありがとうございました!お陰様で日曜日出演させて頂きました「少人数制クルシージョ」受講生有志も踊りきることができました。

そして最大の感謝はプリメラギター社の吉田さんへ。毎年毎年このような素晴らしい機会を作って下さり本当にありがとうございます。世の中にはたくさんのお教室の発表会が大きな劇場で開催されていますが、私のクルシージョ(短期講習会)は元々「少人数制」ということもあり、発表会に参加される方はそれ程多くありません。少ない人数で大きな劇場を借りたり、音響照明のスタッフさんに頼んだり・・・というのは莫大な費用がかかり、生徒さんの負担も大きくなります。そのような経済的負担をできるだけ少なくして、でも劇場で発表会をさせて頂けるなんて、本当に夢のようです。ありがとうございます!

「少人数制クルシージョ」有志受講生の出演は今年で3度目。毎年この「プリメラの仲間たち」公演の出演を楽しみに1年を頑張っている生徒さんもいらっしゃいます。地方から新幹線で通われる方、初めてのソロ、初めてのバタ・デ・コーラ、昨年踊った曲を再挑戦された方、皆さんそれぞれの目標を持ち、これまでによく頑張りました!通常のお教室と異なり、毎週レッスンができるわけではありません。その分出演受講生の努力がものを言います。どのように、どれだけ努力をしてきたのか、それは見えないけど、見える。日曜の舞台で手応えを感じた人、感じられなかった人、これから先感じるかもしれない人、いろいろだと思いますが、やっぱり大きな舞台で踊るという経験は特別です。

最近ではお友達同士でタブラオなどを借りて自主企画ライブをされる方も多いですね。それはそれで楽しいと思いますが、クルシージョの生徒さんが私の名前の元で人前で踊るからには、ただ「あー楽しかったー」だけでは終わらない「何か」をつかんでほしいと思っています。

昨年に引き続きギターはエミリオ・マジャ、カンテはエル・プラテアオに頼みました。生徒の伴奏だからギタリストと歌い手はアマチュアでいいよね、という発想は、少なくとも私にはあり得ません。それは私自身がAMIさんのクルシージョ生徒時代からずっと、素晴らしいアーティスト達と共演させて頂くという機会に恵まれていたからではないか、と思います。アントニオ・デ・ラ・マレーナ、ホセ・アニージョ、ダビ・ラゴス、ヘロモ・セグーラ、ラファエル・ロドリゲス・・・etc。スペイン語もフラメンコもなーんにも知らない初心者の時から、AMIさんはご自身の公演に私を呼んで下さり、そうそうたるアーティスト達の素晴らしい歌やギターを聴く機会を与えて下さいました。あの時代はYouTubeもなかったし、スペイン人アーティストが頻繁に来日することなんてなかった。だから本当に本当に貴重だった。そんな時代にほんとに何も知らなくて、今考えるともったいなかったとも思いますが、でも分からないなりにも私の「耳」は何かを吸収し、当時の脳みそに、心にそれを深く刻み付けてていたのだと思います。知らず知らずのうちに。だってあの時代のことは昨日のことのように覚えているもん。

「いい先生になるためには、自分がされてよかったと思うことを自分の生徒にすること」。これは私の群舞の恩師ハビエル・ラトーレのお言葉です。あの当時のAMIさんが私にして下さったことは今の私ではできないけど、それでも自分のできる限りのことはしたいと思っています。

発表会で上手く踊れたとか、失敗したとかしなかったとかよりも、そんなことよりも重要なことがフラメンコにはある。極端な話、カンテもギターも全然聴かなくて、でも振付通りにつつがなく踊って「今日は“間違えずに”踊れました。よかったです!」という人と、カンテをしっかり聴いていたために「あれっ、習った振付と合わなくなっちゃった!どうしよう!」って焦って“間違って”しまった人。何にも知らないお客さんからすれば前者の方が上手に見えるのでしょう。でも私は自分の生徒さんが後者であってほしい。後者であれば、バンバンザイ!だって、それは“間違い”ではないから。そうやってみんな失敗して、人前で恥かいて、悔しくて、学んで、それを乗り越えてゆくのだから。私だってそうです。いまだにそうだし、これからもきっとそうでしょう。

舞踊技術や舞台経験がある人の方が「耳」がいいという比例法則は必ずしも成り立たつとは限らないと思います。むしろ身体ぐらぐらで手足てんでバラバラの生徒さんの方がいい「耳」を持っていることもあります。もちろんそのような生徒さんはそのいい「耳」でキャッチしたことを自分の身体で表すことが難しい場合が多いのですが、テクニカは練習すれば時間と共に必ず身に付く。そうして「フラメンコ」に近づいてゆく。フラメンコ風の振付ダンスでなくって、「フラメンコ」に。
でもそのためにはまず聴かなくてはならない。聴くという事が重要であるということを知っていて、聴くべきものを聴ける環境になくてはならない。それを教えること、その環境を整えることが私の役割だと思っています。

とはいえ、指導者としてまだまだ未熟だなと毎年思います。でも昨年より今年、今年より来年、と少しずつ進歩しているつもり。自分の中では毎回新しいチャレンジがあって、それを自分に課することで以前の自分を乗り越えてゆけるんだと思っています。

2016年7月19日

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