堀越千秋さんがお亡くなりになった。

Panorámica de Ronda

フラメンコ関係者の方はご存知かと思いますが、堀越千秋さんがお亡くなりになったそうです。マドリード在住の画家で、陶芸家、大のフラメンコ愛好家でもあり、カンテ(フラメンコの歌)も歌われていた方。

完成させた技術を壊せ、みたいな内容だったと思います。一字一句は覚えていませんが、それが、もう20年近く前、日本フラメンコ協会が主催する新人公演に初めて出演した時の私の踊りに対する堀越さんの講評でした。あの時はよくわからなかった・・・。壊しちゃったら私の踊りはどうなっちゃうんだろう、とうろたえた記憶があります。

しばらくして、ロンダから絵はがきが届きました。覚えているのは、「ロンダには最古の闘牛場があります」という内容と、なんで私の所に絵はがきを送ってくれたのだろうという疑問でした。

さらに10年くらい経って、ロンダのコンクールでソレアを踊った時に感じた、あの独特の「ぶわっ」とした感覚。自分の中で何かが壊れ、何かを壊した。でも壊れるということは、新たに何かが生まれることだった。それは壊さないと、壊れないと手にすることができない。私はそれをロンダで知った。

・・・それらが自分の中で繋がったのは今日。堀越さんの訃報を知ってさらに1日経った翌日だった。

何かを超越している人だったのだと思う。

人生はつながっている。「死」という形で途切れてしまうのかもしれないけど、でも実はつながっているのかもしれない。

今度日本に帰ったら、あの絵はがきを探してみようと思う。

2016年11月2日 セビージャにて。

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