明日12/31、キッド・アイラック・アート・ホール閉業・・・想い出と感謝と感謝、そしてまた感謝。

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みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか?

半世紀以上にわたり、美術・音楽・演劇・舞踏・朗読・映像等各領域をこえた表現活動の場となっていた、東京・明大前の「キッド・アイラック・アート・ホール」が明日、2016年12月31日をもって閉業されることになりました。

キッド・アイラック・アート・ホールのブログ→http://blog.livedoor.jp/kidailack/archives/1905603.html

la-foto-300x2232014年、2015年、2016年と3年連続「アントニオ・ペレス来日写真展」と同時開催フラメンコライブの開催会場として大変お世話になった会場でもあります。そのお別れを告げに、そしてホールで働いていらっしゃる早川誠司さん、工藤大輔さんに改めてこれまでのお礼とご挨拶をするために、昨日同ホールに伺いました。昨日開催されていたダンス公演は奇しくも私が同ホールで初めて拝見した公演と同じ、橋本拓也さんの公演でした。

2013年に第1回目のアントニオ・ペレス来日写真展と同時開催フラメンコライブをスペイン舞踊振興MARUWA財団さん2階にて開催した後、探しに探してやっと見つけた会場が「キッド・アイラック・アート・ホール」さんでした。都内で写真展とフラメンコライブが同時に開催できる場所。あるようでないのです、これが。写真展はできるけどフラメンコはダメ(室内楽や演劇はOKでも)というギャラリーがほとんどで、今度はフラメンコ中心に考えると写真展スペースがなかったり・・・インターネットで必死に探しまくり、やっと見つけたこの「キッド・アイラック・アート・ホール」さん。帰国時に実際に見学させて頂き、入った瞬間にここだ!と確信しました。ここならアントニオの写真を展示するのに十分な格式がある。そして客席数は少ないけれど、密なフラメンコ空間を作れるにちがいない。あの時の胸の高揚を今でも覚えています。

第2回写真展ライブフライヤー表
第2回写真展ライブフライヤー裏

2014年は3〜4階のギャラリーで写真展「写真が語るとき・・・記憶とフラメンコ」、5階にて「アントニオ・ペレスの仲間たちフラメンコライブ」の開催。2015年は同じく3〜4階のギャラリーで写真展「Nuevas postales, nuevos viajes」、1階ホールにてソロ公演「人はなぜ、絵はがきの風景を探すのか?」の開催。今年は同ギャラリーで「Zoo 動物園」、1階ホールにてたくさんの踊り手さん、ギタリスト、歌い手さん達によるご協力のもと、フラメンコライブを開催しました。本当はもっともっと続けたかったのに・・・・、キッド・アイラックさんでのこの「写真展&フラメンコライブ」シリーズ・・・・。

「キッド・アイラック・アート・ホール」さんには「何か」がありました。いつもアントニオと私の「何か」を惹きつけてやまない「何か」・・・・たくさんのジャンルを超えるアーティスト達が歴史を重ねてきた、その長い年月と芸術への愛情の深さがきっとその「何か」を醸造させていたのでしょう。そんな素晴らしい場所で、たった3回ではありますが、写真展とフラメンコライブ(そして自身のソロ公演)を開催させて頂けたことを心から光栄に思います。本当にありがとうございました。

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特に昨年のフラメンコ・ソロ公演「人はなぜ、絵はがきの風景を探すのか?」は「キッド・アイラック・アート・ホール」でだからこそ湧いてきたインスピレーションを元に創り上げたものです。逆に言えば、「キッド・アイラック・アートホール」でなかったらあの公演は生まれなかった。それは間違いありません。

「ZOO 動物園」フライヤー表2016年写真展ライブフライヤー表
そして、その際にスタッフの早川さんから言われた「鏡があるんですけど」の一言で、翌年の(つまり今年の)公演イメージを頭の中で構築することができました。鏡といえば・・・・アントニオの写真プロジェクト「ZOO 動物園」。それを次回の写真展にしよう。その中での鏡の意味、役割をフラメンコでも同じように使おう。ソロ公演ではなくたくさんの共演の皆様にご協力頂くライブとなりましたが、それでも毎年少しずつ色々な「実験」を試みていました。そして次は何をやろう?来年は?再来年は?・・・ってワクワクしていたのに・・・

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早川さん(写真左)と工藤さん(写真右)。このお二人に大変感謝しています。感謝しても感謝しきれないくらい。「キッド・アイラック・アート・ホール」ってただの素晴らしい「箱」じゃないんです。このお二人がいて下さったからこその「キッド・アイラック・アート・ホール」なんだと思うのです。「箱」としてただ素晴らしい場所は他にもあるかもしれない。でも「キッド・アイラック・アートホール」には生命が吹き込まれていました。血が通っていました。このお二人の鼓動がそのまま「キッド・アイラック・アートホール」に息づいているように私には思えました。「箱」だけじゃない、それを支える「人」、その「人」に支えられたアーティストと呼ばれる「人」、その「人」達から今度はお客様という別の「人」に生命が吹き込まれ、その「箱」はただの「箱」でなくなる。そんな場所でした。

いろいろなことをを考えながら、昨日のダンス公演を拝見してしまったので、公演自体には集中できなかったかもしれない・・・でもあの場所にまたお伺いすることができて本当に良かった。終演後、上のギャラリーに上がったら早川さんがいらっしゃいました。早川さんのお顔を拝見したら泣きそうになったので、簡単にご挨拶を済ませサササーと姿をくらます。もうここには戻ってこれないんだなあと思いながら、アントニオの写真展を思い出しつつ名残惜しくも階下へ。エレベーターを降りたら工藤さんがいらっしゃって、本当に涙が出てしまった。いろいろお話したかったのですが、涙声で何を言っているか自分でも分からなくなってしまったので、お礼だけお伝えして帰ろうと思ったら、そしたら上にいらっしゃったはずの早川さんが下に。「萩原さん」と不意に声をかけられ号泣寸前。ダメだこりゃ、と同じくこれまでのお礼だけお伝えしてお別れしました。(握手して下さった早川さんの手はとても温かかった。)

なんでこう泣いちゃうのかなー、もうジャスフォー(ジャスト・フォーティー40歳)なのに。いや、40だから涙もろくなるのか。今も泣きそう。泣いても仕方がないんだが・・・・別れ際に早川さんが笑顔でおっしゃった言葉。

「また来年」。

そうかもしれない、「また来年」どこかでお会いできるのかもしれない・・・・そう思って昨日は寝ました。

「キッド・アイラック・アートホール」さん、早川さん、工藤さん、本当にどうもありがとうございました。

またどこかでお会いできることを楽しみに、前を向いて精進して行きたいと思います。

2016年12月30日

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