腰痛退治 en Sevilla・・・

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか?

随分とブログから遠のいていたようです。ほぼ1ヶ月、腰痛退治に励んでいました。ここ数日、正確には4日間連続で、朝起きて「あ、今日は痛くないかも?」という実感があります。だいぶ良くなってきたかな?と思ったら明日、セビージャのペーニャ・トーレス・マカレナ公演、そして明後日はヘレスでのグアリダ・デル・アンヘル公演です。なんという運命でしょう・・・

あれは忘れもしない、1/12。アルハムブラでのタブラオライブの当日の朝にプチぎっくり腰をやってしまい、それからですね。1月末にセビージャに戻るまでに日本で整体に4回ほど通い、酸素カプセルにも入っていましたが、一向に良くならず・・・まあ確かに整体にいけば少しは良くなるのですが、日本にいる間は全く仕事を休めなかったので、仕方がありません。セビージャに戻って数日休んだたら随分良くなったので、練習を開始したところ、あの独特のいやーなおもーい感じと痛みが・・・・。こりゃいかん、というわけでこちらの整形外科に行き、マッサージの紹介状を書いてもらって通ったのですが、全然良くならない。その病院では最初に電気を流すような治療10分、温めるランプみたいのを当てられるのが10分、そして最後にたった5分くらいのマッサージ。しかもマッサージしてくれる人は日によって違うし、人によってすっごい適当の人もいるし(なでてるのか?!ってな感じの人も)、そんなこんなで5回の施術。良くならないどころか、かえって悪くなっていきました。毎朝痛みで目が覚める。ずっと座ってられないので、食事も立って食べる。もちろんフラメンコの練習なんてできないですし、座ってられないのでブログも書けない。整形外科では10回の施術ということで紹介状を書いてもらったけど、その半分の5回がそんな調子で、あと残りの5回をこのまま続けても意味がない、時間の無駄!ということで、マッサージ医院の医院長に直談判。医院長が言うには、その病院ではマッサージはやっても10分なんだとか。病院のやり方は正しい。治るまでに時間が必要だ、と。しかも、「あなたは良くなってますよ」だって。「なんで良くなっているって分かるんですか?あなた見もしないのに?」と聞くと、施術している職員は皆あなたのことを知っているし報告を受けている、と言う。「はあ?毎日担当が違うのに、どうして私が良くなっているという経過が分かるんでしょうね?」そう言ったら、医院長はウッとした顔になったので、「ある日の人のマッサージなんて、指が私の身体の上でスケートしているみたいでしたよ、スイスイーって。また別の人は、他の職員とおしゃべりしながら私のマッサージしてて、なんでもグアッポ(イケメン)の患者から指名が来たからって言って、私のマッサージは2分くらいで終わらせていましたけど、そういう報告も受けていらっしゃるんですか?」と、ドヒャーっとしかし冷静に言ったら「残りの5回は私の息子に全部施術させる!磁気治療も追加する!」とのこと。

そうなんです、ここでは言ったもん勝ちなんです。スペインのことわざにこんなものがあります。

「El que no llora no mama.」

赤ちゃんは泣かなければおっぱいをもらえない。つまり、泣くからこそミルクが飲める。黙っていては要求は通じないことのたとえ。角が立つなとか、こんなこと思っているのは私だけかな、悪いのは私の方かもしれない・・・と日本的に思って黙っていたら誰も気づいてくれない。気付かれないどころか、逆にこの人は何も言わないのだから満足しているのだと当然思われる。言って、言って、これでもかってしつこく言って、やっとこちらの主張が通るのです。しかもここでは私は外国人だから。ちょっとでも引いたり、スペイン語がつっかかったりして弱腰になると、相手はもうそこでこちらの言うことを聞いてくれない。セビージャの生活というのはそんなもんです。でも喧嘩したり怒鳴ったりするのではなく、自分の主張をきちんと論理的に冷静に伝えるのが大切。もちろんネイティブじゃないですから、スペイン語が間違っていることもあると思うけれど、そんなことは気にしないで、伝える意志を強く持つこと。文化が違いますから。言葉を使わずに相手の気持ちを察することを美徳とする文化、お客様は神様で、何事にも悪くなくてもすぐに自分が謝る文化ではないのですね、ここは。どちらがいい悪いではなく、優劣の問題でもなく、文化が違うということです。あ、腰痛から文化論に話題が発展してしまいましたが(笑)、そんなこんなでその医院で一番(と思われる)院長の息子さんとやらに残りの5回を施術してもらうことになりました。

が、ここでまだ安心できないぞ!という予感があったので、残りの5回をその息子さんに施術してもらう側、別の病院の先生の施術も申し込みました。その別の病院の先生というのは、セビージャのたくさんのフラメンコ舞踊家に施術しているので有名な先生だそうです。結果的には、最初からその先生にお願いすればよかった!!!!その先生の施術から劇的に私の腰痛は良くなったのです。

ゴットハンド。神の手。manos de Dios.まさにそれです。痛みの元になっているしこりのような部分をすぐに当て、その部分を重点的にマッサージされます。痛いです。本当に痛いです。あの痛みは近年稀なくらい、記録的な痛みなのです。あまりに痛くて声も出ません。そのくらい痛いです。施術されている最中に、もうお願いだからやめてくれ〜〜〜〜〜と叫び出しそうになります。でもそれも痛すぎて声になりません。そんな施術を休憩を挟みながら約1時間。最後に「よく我慢したね、他の踊り手さんで我慢できない人たくさんいるんだよ」と言われました。(いや、痛すぎて声が出なかっただけなんですが・・・)

その日の夜は、先生のおっしゃった通り、揉み返ししっていうんですかね、筋肉痛みたいな痛みに悩まされました。でも、それまでのあの独特の腰痛の重い痛みとは種類が違ったのです。そしてその翌日の2回目の施術で変化がわかりました。すごい、身体が軽くなっている!!!!やっと虹が見えました!!!

そんなこんなで今日に至っています。今1時間くらい座っていますが痛くない。もちろん教えて頂いたストレッチも相当やっています。フラメンコの練習もその先生の施術からやっと再開できました。痛くないということがこんなに幸せなこととは・・・。そして痛みというのは身体の痛みだけではありません。もしこれからずっと痛みが続いたらどうしよう、踊れなくなったらどうしよう、そういう心の痛みでもあります。・・・それから・・・ゴッドハンドの先生にも治せない、心の奥にしまうしかない「痛み」というのもあります。このブログをお読みになる方にもきっとあるかもしれない・・・人それぞれその人の人生の中で負ってしまう、負ってしまった「痛み」。もしかしたらその「痛み」から解放されることはないのかもしれない、だからその「痛み」と共存することを学ぶ必要があるのかもしれない。・・・そんなことを考えた1か月でもありました。

003 CON DIRECCIÓNJUNKO HAGIWARAそして明日はペーニャ・トーレス・マカレナでの公演、明々後日はヘレスのグアリダ・デル・アンヘルでの公演です。こんなに素晴らしい機会を頂けたのに、ほとんど練習できない状況で踊らなくてはならないという状況が辛いと言えば辛いですが、私らしいといえば私らしいとも言えます。思えばいつも、ここ一番!という時に限って何かが起きていました。だから、またか、という思いと、今度はそう来たか!という思いがあります。

何とかします。何とかするしかありません。いつもそうやって乗り越えて来たから・・・

2017年2月21日

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