昨日はアンヘリータ・バルガスと姪のマヌエラ・バルガスのクラスを受講しました。フラメンコ史上にその名を残すであろう、偉大な舞踊家、アンヘリータ・バルガス。特に彼女のソレアを見ずにフラメンコを語ることはできません。(素晴らしい動画はこちら→https://www.youtube.com/watch?v=cNaUcq4tLzs)数年前に脳梗塞になってしまい、右半身不随となってしまったアンヘリータ・・・。以前のような踊りを踊ることは叶いませんが、彼女がその空間にいるだけで満たされていくようなフラメンコ。そこにいられることに感謝し、一瞬一瞬を脳裏に心に焼き付けました。
そして2年前にウトレーラで開催された、アンヘリータ・バルガスへのオメナへ公演。舞台上に座るアンヘリータに踊りかける、マヌエラ・カラスコ。そのレマーテの瞬間、動く左半身で踊ったアンヘリータ。あの瞬間は忘れることはできません。そしてその瞬間をとらえたアントニオ・ペレスの写真がパセオフラメンコに掲載されました。そのパセオフラメンコをアンヘリータにお渡しすると、本当に本当に美しい笑顔でお喜びになっていらっしゃいました。
今の時代、誰でも写真は撮れてしまう。素人でも携帯でも。でも、あれだけフラメンコの写真が溢れているのに、本当にoleが出る写真って少ないですね。形はきれいでかっこよくても、何かが足りない。真実のフラメンコの瞬間がそのアーティストから発せられた時、その瞬間をとらえられる写真家のみが撮ることのできる写真。アントニオの写真はいつも見ていますが、あのアンヘリータの写真が掲載されたパセオフラメンコを、そのページを開いた時に、私は震えて涙が出ました。そう、アンヘリータの踊りを見た時と同じ感覚。体温。
そういうことを忘れてはいけないと思う。それがフラメンコなのだから。
写真:アントニオ・ペレス
2017年5月28日 セビージャにて