ペーニャ・セーロ・デル・アギラ公演を終えて。舞台から落ちちゃった、の巻。

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お陰様でペーニャ・セーロ・デル・アギラ公演は大盛況で終了しました!公演のオーガナイズをして下さった、ギタリストのトゥデーラ、歌い手のプラテアオ、そして陰でいろいろ調整してくれたプラテアオの奥様でもあり今回のバイレ出演者でもあった由香ちゃん、本当にありがとうございました!そして遠藤郷子さん、鍛地陽子さんとも共演できてとても嬉しかったです!ありがとうございました!そして当日はギョエーって思うくらいたくさんのお客様にお越し頂きました。皆様、本当にありがとうございました!

ペーニャ・セーロ・デル・アギラでは10年くらい前に一度踊ったことがあるのですが、別の会場で舞台もまあまあ広かったです。それでバタ・デ・コーラを持っていたのですが、昨晩の会場は私が以前踊った場所ではなく別の場所。屋外の素敵な空間でしたが、舞台はかなり狭く・・・しかもお席は満席、お立ち見のお客様もぎゅうぎゅう状態。舞台の横にもお客様ぎっしり。バタで踊るスペースはほとんどなかったです・・・これまで色々な場所でバタで踊ってきたけど、昨晩の会場が史上一番小さい舞台だったかなあ。最初はギターとカンテのみが舞台に立つという話だったので、まあなんとか踊れるかなと思ったのですが、当日急にパルマも入ることになり、踊れるスペースはさらに小さく・・・本当に申し訳ないのですが、パルマの皆さんには立って叩いて頂きました。スミマセン。。。

うわっ踊りにくい!と思いながら踊っていたので、自分の中ではイマイチ。不完全燃焼。それでもペーニャのお客様は暖かく、たくさんの拍手やハレオをかけて下さいました。

そして、今日のブログのテーマ、がやってきました・・・

ジャジャジャジャーン。

ブレリアに入る直前、竜巻のようにぐるぐる回って止まってブレリアを呼ぶ所。大きな見せ場でもあります。この「竜巻回り」はバタ・デ・コーラの女王、ミラグロス・メンヒバルが若かりし頃アレグリアスで使っていた大技で、ブラッソを上げ、上を見たまま回る特殊な回り方。つま21764260_10154588498256642_2096353396_o21684248_1600388776666756_898385122_o21706071_10154588498121642_530951483_o21766916_1600388660000101_1276683887_o21684619_10214448632670033_1047174927_o9/15(金)セーロ・デル・アギラ公演り、回転のポイントとなる視点が上にあるので、自分の目の高さを支点にするのよりずっと難しい。目も回るし軸もぶれやすい。そんな回転をミラグロス先生から頂き、私もアレグリアスの中で使わせて頂いているのですが、この竜巻回りでぐるぐる回っているうちに、回転しながら舞台から落ちてしまったのです。

状況を説明すれば落ちたのですが、自分の中では回転を止めたら、あれ?私、なんで舞台の下にいるわけ?って感じでした。一瞬空中に浮いている感じがあって、?っと思った瞬間に着地。多分回っている間に少しずつ前に出て、舞台から落ちてしまったのでしょう。(なんせ舞台の奥行きがほとんどなかったから。笑)

幸い怪我もなく、というより、その体操選手のような完璧な(?)着地ぶりに、後ろでパルマを叩いて下さっていた鍛地陽子さんは「10点!」と思われたそうです。(笑)

なんか、竜巻回りしている時にものすごいお客様や共演者からの歓声が聞こえてきたんですよね。わー、盛り上がっている!もっとぐるぐる回っちゃえ!と私は調子に乗って回っていたのですが、それは歓声ではなく、「うわー落ちるぞー」という声だったみたい。最前列のお客様はみんな、私を受け止めるため(もしくはご自身の身を守るため?)両手を伸ばしていたそうです。(笑)

普通、バタ・デ・コーラで回転していて舞台から落ちたら、(そういう想定はレアケースだと思うけど)バタを踏んづけて転んで前歯折ってもおかしくない。もしくはお客様の中に飛び込んじゃうか。でも、あまりにも普通にストンと着地したので、後でトゥデーラからは「さすがジュンコ、仕込んでいたな」とか言われて。いや、そんなの仕込めるか(笑)

とにかく無事に着地したことで、お客様は盛り上がりは最高潮に。私の方ではなんで舞台の下にいるのかよく分からないまま、でも舞台の下でそのまま適当に踊っていました。(笑)舞台上のパコが手を差し伸べてくれて舞台に上がるまで。

その時のパコは王子様に見えましたねー。(笑)と後から言ったら、手を差し伸ばせと指示したのはギターのトゥデーラだったそう。なーんだ、って思ったけど、パコ曰く、すぐに手を差しのばしたらつまらんないから、そのままほっておいて私が何するか見たかったのだそう。うわ、放置プレイ(笑!)でもパコはよく分かっているね。それもさすが。あの日の踊りの中で一番楽しく、私らしかったと自分で思ったのはその舞台の下での数秒間だったから。・・・まあ、そんなこんなで後は舞台上でブレリアを踊り、私の踊りと1部は終了!

でも私、そういえばこのペーニャで踊る前にあることを思っていたんです。
最近、アレグリアスを踊る時になんだか自分の中で馴れ合いみたいのが出てきているかも・・・って。アレグリアスはもう相当昔から踊っているし、バタでもマントンでもいつでもOk。それはある意味踊りこんでいて、自分の踊りになっていて安心の面もあるのだけど、それが裏目に出て馴れ合いになってしまうこともあると思うんです。そんな自分になりかけていたのをもう一人の自分が、そんなんじゃダメだ!「ariesgar」しないとお前は成長しないぞって警告を出していたのです。

「ariesgar(アリエスガール)」

つまり、危険を冒すこと。踊り慣れているものを繰り返すのは安心。でもその踊りの中に一箇所でも、一体どうなるんだろうって自分でも思うような即興の部分をあえて作る。そんな話をエバ・ジェルバブエナがしていました。

今回はほとんどエンサージョなしで、私はアレグリアスって歌い手のパコに伝えたけど、本番パコはカンティーニャスを歌ってきました。その意味では歌振りが即興になったけれども、本当の即興はその後、舞台から落ちたところだったんだなって、今気付きます。

師匠トロンボが昔、言っていた。転ぶことは悪いことではない。人間だから誰だって転ぶ。でも重要なのは転んだ後。その後どう起きるのか。つまり、アクシデントがあった時にどう対処するかがそのアーティストの実力なんだと。

もしバタ・デ・コーラではなく普通の衣装でアレグリアスを踊っていたら今回のようなことは起こらず、舞台も広々使えて気持ち良く踊って、100点に近い踊りだったかもしれない。それはそれでいい。

でも。

「フラメンコってのは100点満点じゃないんだよ、他が0点でも一箇所1万点があれば、それがフラメンコなんだよ」

そう教えて下さったのはギタリストの俵英三さんでした。

そうなんだよなー。

自分があの瞬間1万点だったとは思えないけど、そんなフラメンコの奥深さを垣間みたかな。そんなことも思いました。

だからフラメンコは面白い。

最後になりましたが、まだ落っこちる前の踊りの動画を見に来てくれた姑が撮ってくださっていました。

こちらご覧下さい!→VID-20170916-WA0009

舞台写真:Objetivo Flamenco ラモン・アマジャ

その他の写真は共演の皆様から頂きました。ありがとうございました!

2017年9月17日 セビージャにて。

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