みなさんこんばんは。お元気でお過ごしでしょうか?
お陰様で先週末の「第2回上海クルシージョ」は無事終了し、一昨日帰国しました。とても疲れたけど、とても楽しかった!!!自分でもものすごく勉強になりました。先週の木曜に上海入りし、翌日から個人レッスンと3日間のクルシージョ。3年前にクルシージョを企画して下さった上海の方がまたオーガナイズして下さいました。受講生のみなさん、本当にありがとうございました!!!
- コンパス&パルマ&ハレオのクラス(2日間、アレグリアスとブレリア)
このクラスの受講生は大半が初心者の生徒さん達で、アレグリアスやブレリアという言葉を初めて聞いたという人も。基本の12拍子のコンパスやアクセントの説明、パルマの叩き方、音質、ハレオのかけ方などを学びました。最初は初心者の生徒さんだから少し踊りがあった方がいいのかな?なんて思っていたのですが、皆さん真剣。きっちり基礎から教えることができました。質問なども頂き、また私の即興のブレリアの踊りに合わせてパルマやハレオの練習。「事前の合わせなしで、踊りに合わせたパルマなんて叩けるわけがない!」とおっしゃっていた生徒さんも最後には「即興でもできるんですね」とびっくりされていました。「こういうクラスを初心者のうちから学ぶのはいいことだ」とおっしゃっていた生徒さんも。確かにそうです。踊りが上手に踊れてもうまくパルマが叩けなかったり、ハレオがかけられないという人、多いですよね。確かにパルマを叩くのは実は踊るのよりも難しい。ハレオだってただかければいいってもんじゃない。でも楽しそうに真剣に学んでいる生徒さん達を見て、やはり最初が肝心なのではと思いました。本当にいいクラスでした。
- タンゴ振付クラス(3日間)
来月に発表会を控えているとのことで、そのフィナーレで踊るタンゴの振付を依頼されました。マリーナ・エレディアのCDに収録されているTangos de la Penca(タンゴ・デ・ラ・ペンカ)をこちらで選び、それに合わせて振付。上海では常駐のギタリストがいないそうで、クルシージョでCDに振付るのはよくあることだそうです。受講生は初心者や初級者が多いとのことで、なるべく振付はシンプルに、でも発表会で見栄えばするものを。そして使用曲であるグラナダらしい味のあるタンゴ。なかなかいい作品が出来たと思います。自分の振付を楽しそうに踊っている生徒さん達を見ていると本当に幸せな気分になります。振付は大好きなので創作過程でも十分楽しいのですが、やはり人に踊られて初めて創った甲斐があるというもの。発表会成功しますように!!!
ちなみに同じ振付を今回東京のクルシージョでも振付ています。東京でもCDを使っていますが、クラス最後2回はギタリストさんと歌い手さんに来て頂き、同じ振付で別のファルセータや歌になった時にどのように対応するのかを学ぶ予定。この振付以外の部分というのもとても重要ですね。その意味では東京は恵まれていると思う。ギターやカンテの生の伴奏で学ぶ機会が限られている土地や国というのはたくさんあるのだから。ただし、その恵まれた機会に慣れすぎてしまってその有り難みが分からなくなってしまっている部分もあるのでは?そうなると、機会に恵まれていないのとほぼ同じ。もしくはそれよりもまずいかもしれない・・・。限られた条件の中で学ぶ上海の生徒さんたちを見てそう思わずにはいられませんでした。
- マントンクラス(2日間)
このクラスは特に大人気で、申し込み開始早々に満席になってしまったとのことです。「マントンを習うなら淳子さんに習いたい」と言って来て下さった生徒さんもいらっしゃいました。本当にありがたいです。受講したくても受けられなかった方もいらっしゃるだろうから、追加クラスもできたかなあ・・・と思ったけど、限られた時間内だから仕方ない部分もある・・・。クルシージョによってはとにかく人数を詰め込むだけ詰め込む人もいるけど、(その方が先生も主催者も儲かる。)でもそれだと受講生がちゃんと学べないと思うんですよね。前回の上海クルシージョではその問題があって、マントンクラスは身動きできない状況にも時々なってしまったので、それはオーガナイズの方に事前にお伝えしていました。スタジオの広さとマントンをグループ分けせずに全員が一度に学べる状況で、ということで。そのような観点からのスタジオ探し、定員設定、受講料設定など私が知らない部分でしっかりサポートして下さったオーガナイズ側のみなさんには感謝です。お陰様でいいクラスになりました。初めてマントンを持ったという方もいらっしゃいましたが、ちゃんとついてきていたし、15名の受講生一人一人をちゃんと見ることができたと思う。満足です。
- バタ・デ・コーラのグアヒーラ振付(3日間)
このクラスの振付もなかなかいい作品になって満足!グアヒーラはあまり自分では踊らないし、ましてやバタのグアヒーラは踊ったことも習ったこともない。振付依頼を受けて、正直最初はどうかなーと思ったけど、始めたらどんどんアイディアが湧いてきて、最終的にはそれを削るのに苦労した(笑)やはり振付は楽しい。クリエイティブになれる。と、同時にそのカンテ(歌)を改めて根本から学ぶ機会にもなる。この振付をしたのは自分にとっても大きな収穫だった。
生徒さん達も本当に頑張ってよく習得してくれました。短期であれだけの振付を習得するのは大変だったろうに・・・。しかも3日間連続だし。でも毎回クラス内容をしっかり復習してくれていたのでクラスもうまく進めることができた。3年前に上海でバタの基礎テクニカクラスを開講した時に来て下さった生徒さんがまた受講して下さったのも嬉しかったなあ。3年前のクラスでバタが大好きになったそう。そんな種まきが出来たことも嬉しい。
そしてこのクラスでは、ギター、歌、踊りの関連性なども説明もちょっと加えた。先述の通り上海には常駐のギタリストがいない。このクラスも台湾のギタリストと歌い手にクラス伴奏用の音源を録音してもらい、それを元に私の方でも振付をした。もちろんそれでクラスは問題ないけど、別のギタリストや歌い手になったらどうするのか、ということも見据えて教えなければ録音でないと踊れない「カラオケ・フラメンコ」になってしまう。なぜこの音なのか、なぜこの動きなのか、こういう時にはどう対処するのか、そんな話は日本のクルシージョでも極力お伝えするようにしている。
ちなみにこのバタのグアヒーラは来年の発表会で踊られるそう。きっとすごく素敵だと思う。私の頭の中では構成や照明プランなども既にぐるぐる回っていたけど、クルシージョではそこまでお伝えできず。でも、頑張ってほしい。絶対素晴らしいグアヒーラになるはず。
- クルシージョで伸びるためには。
全体を通して本当にいいクルシージョで、本当にいい生徒さんたちに恵まれたと思う。私にとって「いい」生徒さんというのは、テクニカや振付をパパッととってすぐに上手にできる人のことではありません。それは「いい」生徒というより「器用」な生徒。もちろん器用であることは美点とも言えるかもしれないけど、私にとって重要なことは器用か不器用かではなく、
学ぶべきことが分かってクラスに来るのか。
学ぶべきことが何なのか自分で発見していくのか。
学ぶべきことを教えてもらって素直に受け止めるられるのか。
ということになります。それはフラメンコ歴や技術の有無とは関係ない。もちろん国籍も年齢も関係ない。この点をきちんと把握している生徒さんであれば必ず伸びる。逆に言うと、今どんなに上手に踊れてもこの点を持っていない人はもう伸びない。もしくは年月と共に落ちてゆく。これは当たり前のことなのだけど、経験者に限って、そこそこ上手に踊れる人に限って意外と分かっていない人が多いような気もする。厳しいかもしれないけど、色々な生徒さんを見てきて実感することでもあります。
それから「ミーハー受講」。有名なスペイン人の踊り手のクルシージョだから、という理由で受講する人。確かにそのアーティストならではのオーラやアイレ(雰囲気)というのはある。それを同じスタジオ内で感じられるというのは素晴らしい経験だと思う。でもそこにとどまっていては最終的には学べていないことになる。だって、オーラやアイレはその人がいるその瞬間だけのものだから。ましてや、「私、◯◯のクルシージョを受けました!」というだけの記念受講。SNSでその先生との写真をアップすることで満足してしまう人・・・。それも悪いことではないけど、そこから先がない人。その先はまた別の、今度は△△のクルシージョというように、受講記録だけ更新されてゆく人・・・。それでご本人が楽しいのだったらいい。でも、どうして私は伸びないんだろうって悩んでいる人なら、ちょっと考えた方がいいかもね。
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上海のたくさんの受講生から「次回はいつですか?」「また来て下さい!」「今度は長期で!」とお声をかけて頂きました。本当に嬉しいです。限られた環境の中でも諦めず、明るく学ばれる皆さんなら
このクルシージョ開催に向けて多大な尽力をして下さった
またいつかお会いできる日まで、私も頑張ります。
写真:KOJI TERADA
2017年1月17日 東京にて。