Youtube 動画アップしました!是非ご覧ください!

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

本当に久しぶりですが、Youtubeに動画をアップしました。年代順に以下3本です。


最近は簡単な動画であればこちらのHPやフェイスブックにさっとアップしたりしていましたが、やはり自分の中で記念になるものはYoutubeにちゃんとアップしようと思いまして。

今回の3本はどれも本当に思い出深すぎるものばかりです。

  • 2011年カディス「アレグリアス舞踊コンクール」決勝(アレグリアスcon バタ&マントン)

317775_10150347014881228_2656126_n4位という結果に長い間自分の中でずっとわだかまりがありました。正しく言えば結果そのものよりも、その結果に至るにあたり、コンクール側ではないとある団体からの圧力がかかっていた、ということ。長い間セビージャでずっと感じていた人種の差、フラメンコの踊り手として生きて行きたいのに、いつも立ちはだかるその壁。だから、このコンクールの決勝と表彰式の動画をすでにカディスのテレビ局がノーカットでYoutubeにアップしていましたが、それを受け止めるのに時間がかかりました。

もちろん、その内部事情を知って私の心を支えてくれた人たちもいました。共演アーティスト達、客席にいた何人かのスペイン人の踊り手達、私の夫。コンクール側だってその圧力に屈するしかなかった事情があったのでしょう。仕方がないとはいえ、ずっと苦い思いが残っていました。忘れようにも忘れられない・・・。

でも不思議なことに、ある時、そのわだかまりから自分が解放されているのに気づいたんです。というか、ああ、そういえばそんなこともあったなあ、と思い出したというか。つまりある時期からあの時の苦しみをどこかにしまっていた自分に気づいたというか。もちろん今思い出せば、あの時の感覚は蘇ってくるから涙も出てきます。でも改めて動画を見ると、あの当時がむしゃらで必死だった自分が懐かしく、そしてあれから年月が経って今の自分の踊りがあることに気付く。踊りの巧い・下手ではなく、周りがどうあろうと自分は自分であるという「核」が育ちつつあること・・・。

ちなみにこのコンクールの後、スペインは激動しました。ここ数年まだ続いている経済危機です。それによりフラメンコ界の状況も変わってきました。人種の差というのはありつつも、でも東洋人は「顧客」でもあるということに多くのスペイン人が気付き始めています。ここ数年、日本でどっとスペイン人のクルシージョ(短期講習会)が増えたことでもそれは理解できるでしょう。

だから「核」が必要なんです。お金を落としてもらうために「顧客」をちやほやするのはどこの世界でも共通しています。それはある意味、生きて行くためには必要な手段なのかもしれない・・・。でも自分に必要なものは何なのか、何を学ばなくてはならないのかを忘れないようにしないと・・・。そしてそれはコンクールの結果や、周りのスペイン人のおべっか中から探すことではない。当たり前のことだけど、見失いがちだから・・・。

全てのことをひっくるめて、2時間半以上もあるコンクール決勝と表彰式を全編Youtubeにアップして下さったカディスのテレビ局に感謝します。そしてその動画の一部を私の名前で再びアップさせて頂きました。

  • 2017年セビージャのフェリア、アナ・マリア・ロペスとのブレリア

18156246_10155218246856228_3506415013524280975_oアナ・マリア・ロペス。ヘレスでブレリアを40年以上にも渡り教えていらっしゃる偉大なマエストラ(大先生)。そのアナ・マリア・ロペスが週に一回セビージャでも教えて下さっているということを知り、習い始めたのが数年前。生徒は平均年齢恐らく60〜70代くらいのセニョーラ達。彼女達のアルテを目の当たりにしながら、毎週アナ・マリア・ロペスの教えを乞いました。なんと輝かしい時期だったことでしょう。今はもうセビージャでは教えられていないのが本当に残念ですが、あの日々、あの感覚はいつまでも私の中に残っています。

そのアナ・マリア・ロペスと踊ったブレリア。あの踊りの前に、周りの人たちから「ジュンコ、踊れ、今踊れ」って散々せっつかれて踊りました。ボタンを押せば踊るとでも思っているのかな?私はロボットじゃないよ・・・と心の中でつぶやきつつ、でも状況的に踊らずにはいられず・・・。本来ブレリアは自分の気持ちのままに、心のままに踊るもの・・・仕事だったら仕方ないけど、フィエスタでそれではあんまりだよ・・・って、表面的には笑顔でも内心はそう思っていたんです。

そしてそれをアナ・マリア・ロペスはちゃんと感じてくれていた、私の心の中を。

「ジュンコ、あなたが本当に踊りたいと感じた時に踊りなさい」

そうおっしゃって下さったんです。だからあの時、モモ・モネオが歌い出した時にさっと飛び出た。そうしたら、なんと同じタイミングでアナ・マリア・ロペスも踊り始めていた!彼女は別の方向を見ていたから飛び出した私に気付かなかったけど、私は歌い手の方を見ていたから彼の隣にいたアナ・マリア・ロペスに気づいたのです。普通、ブレリアは一人で踊る。フィエスタでは即興で踊るから偶然同じタイミングで誰かと被ってしまうこともある。でもそういう時は普通、どちらかが踊るのをやめるもの・・・。ましてや自分の先生が踊り出したのだから私が引っ込むのは当たり前・・・。でもあのアナ・マリア・ロペスの言葉を思い出したんです。

「ジュンコ、あなたが本当に踊りたいと感じた時に踊りなさい」

踊ろう。きっとアナ・マリア・ロペスなら分かって下さる。引っ込もうかなと一瞬躊躇して、そしてやっぱり踊ろうって思ったのは多分時間にしたら1〜2秒?でもその1〜2秒の決心で何かを変えることもある。

誰かと即興でブレリアを踊ったことは多分なかったように思う。タブラオで最後みんなで即興で合わせたり、前の出番の人と入れ替える時にちょっと即興になったりすることはあるけど。本当にそんなこと自分ができるのか、そんなことしていいのか考える前に身体がアナ・マリア・ロペスの前に向かっていた・・・・。

時間にしたら1分58秒。2分にも満たない。でもその踊りが何かを変えることもある。

アナ・マリア・ロペスに最大の感謝を。

  • 2018年フェスティバル・デ・ヘレス(ソレアconバタ・デ・コーラ)

28616670_10156168552836228_1826314114609084585_oこれが一番最近の動画。「5分でソレアを踊れ」って言われた時は、「そりゃー無理でしょう」って思いました。周りの踊り手さん達に話しても「はあ?じゃ、出てきてそのまま去るってこと?ははははー」って笑われて、そうだよねーなんて私も笑っていたのですが。まあ結局、「ソレアだから6分でもいいよ」という話になりましたが。

何と、出だしの部分、誰かがビデオカメラの前に立ちはだかっていたようで、その人の頭で画面が覆い尽くされているという・・・(笑)なので、その部分はカットしてその後を Youtubeにアップしてあります。

動画というのは怖いですね。自分の短所がもろに目に飛び込んできます。それは先天的なもので私のコンプレックスでもあり、また、後天的なものでどんなに克服しようと努力してもなかなか克服できないもの・・・。だから動画は見たくないというのも気持ちももちろんあるのですが、でもその欠点も含めて、これでもいいじゃないかって思えるようになったのは最近でしょうか。年月を経て自分に甘くなったからか、開き直るようになったからか(笑)

でも、人間なんだもの欠点があってあたり前。ましてやフラメンコに完璧は存在しない。完璧だったらフラメンコじゃないよ。

「100点満点を目指すんじゃなくて、フラメンコは1箇所1万点があればいい。」

昔、そう教えて下さったのはギタリストの俵英三さんでした。

うん、あの時の踊りには「1万点」があった。それは私の細胞が覚えている。そして興味深いことに、それは即興で出てきたんだ。何度も反復練習を積み重ねた結果の100点満点じゃないところ、それがいい。今までのいろ〜んないろ〜んないろ〜んなことがその1箇所に向かって集結してくれたんだ。フラメンコの神様が「よし、今、君にあげよう」って下さった1万点。

だからフラメンコに感謝。

・・・そして、改めてふと思い出す。最初に画面の前に立ちふさがっていた誰かさん、途中からどいてくれてありがとう。(笑)

写真:アントニオ・ペレス

2018年5月16日 セビージャにて。

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