ヘレスOFFフェスティバル「グアリダ」ライブ終了しました!

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お陰様で先週日曜のヘレスOFFフェスティバル「ラ・グアリダ・デル・アンヘル」でのライブが無事終了しました!お越し下さいました皆様、ありがとうございました!

毎年2月下旬から2週間、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラという街で、フラメンコのフェスティバルが開かれます。その間毎日、劇場での公演、短期講習会などが開催され、世界中からフラメンコファンが集まる特別な2週間。その中でフェスティバル公式プログラム以外にも、ヘレスのタブラオ「ラ・グアリダ・デル・アンヘル」が主催するプログラムは年々人気を増しています。地元のフラメンコ教室の発表会からヘレスのトップアーティスト達まで幅広いラインナップ。

その中で「日本人の公演を企画したい」とグアリダの方からお声をかけて頂き、日本人3公演をオーガナイズさせて頂いたのが2年前。大沼由紀さん、中田佳世子さんにお声をかけさせて頂き、私も含めソロ3ライブとなりました。昨年はフェスティバルでの劇場公演出演が決まっていたためグアリダでのライブの方の出演はお断りし、そのかわり瀧本正信さん、秦晴美さん、小里彩ちゃんの公演をオーガナイズ。グアリダ側にもお喜び頂き、いい流れで今年の出演につながっていけたことを大変嬉しく思っています。

今年またお声をかけて頂いた時に、ちょっと考えました。ソロで出演してもいいけれど、それでは2年前と同じだなあ、踊る曲や共演アーティストが変わることがあっても・・・・。悪くはないけれど、それでは自分があまり成長しない。何か違うことを・・・と思って、今回はもう一人の踊り手さんとライブをしようと決めたのでした。誰がいいかなあ・・・。ここが難しい所で、二人でライブをする時のその相手との相性というのは重要になってきます。どんなに踊りが素晴らしくても、人間的にこの人とはちょっと・・・という時はいいライブにならない。

そこで考えたのが、「あーしゃ」こと、松彩果(まつ・あやか)さんとの共演でした。あーしゃとは日本で何度かタブラオでのライブで共演させて頂いていました。それというのも、私の帰国の度にあーしゃが一緒にライブやろうよ、といつもお声をかけてくれたから。そのあーしゃが今セビージャに留学中ということもあり、じゃあ、今度は私がスペインでのライブにお声かけしようと。

それともう一つの決定打は、あーしゃと私の性格が全く正反対ということ。(笑)本当に違うんですね、私が「石橋をたたいて渡る」としたら、あーしゃは「石橋をたたいて割る」(笑)。でもあーしゃのすごい所はそれでも渡っちゃうところ。そんな、私が持っていない素晴らしいものを持っているあーしゃとだったら、きっと面白いライブができる!あーしゃからたくさんのことを学ばせてもらいたい!

あーしゃからは二つ返事でOK!今回のヘレスのフェステイバルに合わせて開催されたトリノのコンクールに出場を決めていたあーしゃ。日程は重なってはいなかったものの、かなりのハードスケジュールだったと思います。そして4月から小学校に入るとーまくんとの子連れ留学。自分の踊りのことだけじゃないよね・・・。本当にすごいなあと思います。

想像はしてたけど、本番に至るまでいろいろなことがあったなあ。共演アーティスト決めから、二人で踊るオープニングの合わせものの振付、そのオープニングの衣装決めも含めて。なんせ性格も物事に対するアプローチの仕方も全く異なるので、あーしゃといるとハラハラ。でもそれも含めて共演をお願いしたから、私はその違いを楽しむように、そこから、ああ、あーしゃだったらそうするんだ、とかこう思うんだって、自分にないものを学ぶようにした。繰り返しになるけど、あーしゃには私がないものがある。それって素晴らしい。だってみんな同じだったらつまらないでしょ?夫アントニオからも「あーしゃと君の踊りは全然違う」と言われていて、だから私はいいんだと思ってました。二人でライブして似たような踊りだったら一人でいいじゃないかという話になるわけだし。だから、全部ひっくるめて興味深く、楽しく、勉強になった日々だった。ありがとう、あーしゃ。

53313389_10157101810321228_4696491582205984768_o53080017_10157101810636228_8004090096364027904_o52948731_10157101810616228_5988854774945021952_o52923119_10157101810931228_4595575514495713280_o本番、オープニングのシギリージャ。振付や構成は二人で考えたのですが、本番当日のミュージシャン達との合わせで、「劇場公演みたいに照明効果があればいいけど、ここはタブラオだから」と彼らに却下された部分がありました。なるほどなー、それもそうだな、と。二人で色々考えたんですけどね、でもそれは彼らの言うことに納得。その部分はさっさと削除。ところが本番は、あーしゃと私の即興になってしまい(笑)というのはお互い足を間違えたりすっ飛ばしたり、入り損ねたり、いろいろあって合わせたはずの振付が・・・!!!という結果に。でも逆にそれが私としては踊っていてい面白かったなあ。踊っている最中に頭につけていたあーしゃの花が床に落ち、それを私がマチョ(最後の盛り上がりの部分)で即興で拾い、あーしゃに渡し(結構ドラマティックに。笑)、そしたら最後の最後であーしゃがその花を客席に投げて、勝手に一人で去っていった。(笑)なんなんだこの展開、と今思っても笑える。実際観に来て下さったお客様が、最後ミュージシャン達が笑っていたと。そりゃそうだよね。いやー面白かった。

52901646_10157101811126228_1932870080748584960_o53065798_10157101811801228_289707819131731968_o52901598_10157101811876228_63045580124848128_o52911776_10157101811916228_8673813336195858432_o53121356_10157101813151228_9089800950540926976_oその後はあーしゃのソロのソレア。私はパルマ参加。あーしゃがやりたい事とギターのドミンゴ・ルビッチの弾き方やテンポが異なっていて、そうすると歌い手アナ・デ・ロス・レジェスのパルマやカホンのホセ・ペーニャもドミンゴについて行ってしまう。そこを私一人のパルマで矯正するというのは難しく、でもそういうことって、実際自分が踊っていてもよくあることだから、あーしゃの気持ちや立場がすごくよく分かって、なんとか頑張ってくれ、あーしゃ!と祈るような気持ちだった。よく共演するミュージシャンだったり、それから舞踊伴奏に慣れているミュージシャンだったりするとその辺の齟齬というのは少なくなるのだけど、こればっかりは仕方がない。合わせも本番当日にちょっと話したくらいだったから。それでもその後、ソレア・ポル・ブレリアやブレリアに入るとあーしゃ節が出てきたので、私たちもハレオやパルマでガンガン盛り上げた。最初にうまくいかないことがあると、その流れを引きずってそのまま負のスパイラルに巻かれて終わってしまう人も多いけど、あーしゃ、よく巻き返した。やっぱりそこがあーしゃの底力だと思う。

53468094_10157101811066228_5823004252032729088_oその後はアナのカンテ・ソロ。このタンゴがまた凄まじく、裏で私はアレグリアスの衣装に着替えながら、こりゃ着替えているのがもったいないわ、と思っていました。客席で聴いていたお客さん、ラッキーでしたね!

53577780_10157101813586228_4632539897125666816_o52932090_10157101813301228_2365815072086818816_o53510654_10157101813931228_3256538813366796288_o53150261_10157101813946228_6652931988208484352_o53203743_10157101814646228_2645814946574630912_oその後は私のソロのアレグリアス。このライブの締めになるので、絶対コケられない、でも気負いすぎない・・・。

本番のあの日は午前中の合わせの時から、こりゃ手強くなるなと思っていました。合わせと言っても、こちらの構成を覚えてもらうというよりは、私にとって重要なのは、彼らがどんな人間でどんな弾き方をするのか、という情報を少しでも多くキャッチしておくことなんです。彼らと共演するのは初めて。もちろん彼らの舞台というのは観たり聴いたり、それはYoutubeでもチェックできるけど、やはり自分が舞台に立つ時、自分と共演する時というのはまた感覚が異なることなんです。実際会った時の挨拶の仕方、会場への入り方、交わす会話、仕草、目線など、踊りの合わせ以外の部分でもこの人がどんな人なのか感じられる部分というのはたくさんあります。本人は何気なく言ったちょっとした一言にその人の人間性が現れている場合もあります。そして、セビージャのアーティストとヘレスのアーティストという括りでも大きく違う。

そんな中で、我を通して彼らを踏みつぶすわけでもなく、また逆に彼らに巻かれるわけでもなく、どうやって彼らの良さを尊重しながら、自分の踊りを踊れば良いのか、それは本当に微妙で絶妙な「駆け引き」でもあります。もちろん彼らはそんなこと考えていないわけで、考えているのは私なのですが・・・。ただ考え過ぎてもそれはダメ。彼らのギターや歌に委ねる自由さも必要なわけで。でも全部委ねればいいかという問題でもなく。手綱はやはり踊り手が引いているわけです。うーん難しい。ブログに書くのは簡単ですけど。

そんなこんなで本番中は、どちらかというと、彼らの、ヘレスの音をキャッチするための自分のアンテナが張りっぱなしだったかなあ。その部分で終わった後、どっと疲れが出た。(笑)でも今思い出してみると随所で歌やギターから即興で出てきた自分の踊りもあったかなあ、その部分は楽しめたのかなあ、なんて思い出しています。

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52920514_10157101815061228_6189951654914162688_o私のブレリアの師匠、アナ・マリア・ロペスにもお越し頂きました。2年前くらいの、やはりグアリダでヘマ・モネオのライブをアナ・マリアと観たことがあります。今をときめくヘマ・モネオ。そのヘマの一番最初の先生がアナ・マリア・ロペス。目をキラキラさせなが53580531_10157101814981228_3675357992275935232_oら我が愛弟子を誇らし気に見守り、ハレオをガンガンかけているアナ・マリア・ロペスを見て、いつか私も踊りを観てもらいたいって思っていました。これまでに何度かヘレスで踊る機会はありましたが、舞台での踊りを観て頂けたのは今回が初めて。アナ・マリアにはたくさんのことを教えてもらい、私がセビージャに住んでいても、いっぱい愛情を注いで頂いてます。私は本当に幸せな生徒。アナ・マリアから教えて頂いたことは忘れない。どこに住んでも誰と共演しても。

そして会場となったグアリダのスタッフ。彼らのプロフェッショナルな働きぶり、こんな私でも一人のアーティストとして迎えてくれました。彼らのフェスティバルで2度目の出演となったこと、本当に感謝しています。私の踊りを信じてくれてありがとうございました。

それから、いつも忘れられない瞬間を切り取ってくれるアントニオ。その瞬間があるから写真がある。でもその写真があるからこそ、その瞬間を忘れられなくなる。ありがとう。

というわけで、いつもながら(笑)長いブログになってしまいましたが、応援して下さる皆様、ブログをお読み下さる皆様、ありがとうございます。

また精進しよう。

舞台写真:アントニオ・ペレス

以下はおまけの写真。あーしゃと、とーまくんとアントニオと私のリラックスタイム。(笑)

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2019年3月2日 セビージャにて。

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