セビージャのセマナ・サンタ2019

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みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

今日はセマナ・サンタ、聖週間の金曜です。セマナ・サンタとは、キリストが処刑され復活するまでの1週間。特にセビージャのセマナ・サンタはその規模と豪華さ(?)でも有名でスペインだけでなく世界中から観光客が集まります。「Domingo de Ramos」(ドミンゴ・デ・ラモス)と呼ばれる復活1週間前の日曜から始まり、月曜・火曜・水曜、キリストが弟子たちと最後の晩餐をした木曜(Jueves Santo フエベス・サント。聖木曜)、処刑された金曜(Viernes Santo ビエルネス・サント。聖金曜)、土曜、そして復活の日曜。
私はキリスト教徒ではないので、ピンとこない部分もあるのですが、セビージャがこのセマナ・サンタに向かっていく日々とその期間中の熱気を感じるとこりゃーすごいものだなと思わずにはいられません。

セビージャのセマナ・サンタに参加する信心会は60以上。各信心会が奉るキリスト像とマリア像、それぞれが豪華絢爛に飾り立てられた山車に乗せられ、街中を歩きます。でも山車と言っても車輪があるわけではない。その山車の下には「Costalero」(コスタレーロ)と呼ばれる山車を担いで練り歩く屈強な男たちがいます。豪華絢爛に飾り立てられた山車は1トン以上になるんだとか。セマナ・サンタの前にはそのコスタレーロ達がコンクリートブロックなどを載せて実際と同じくらいの重さにした練習用の山車で街中リハーサルする姿も。でも本番は山車の下は布で被せられていてコスタレーロ達の顔も身体も見えない。見えるのはすり足で少しずつ歩く足元だけ。

57387345_10157218032876228_8570558151986774016_n57131092_10157218030256228_4450146040657477632_nそれからその山車に伴うのは、「Nazareno」(ナサレノ)と呼ばれる受難者の服装をした人達。とんがり帽で目しか見えない姿はかなりキョーレツ。初めて見た時は本当に怖かった。ちなみに悪名高い「KKK」(クー・クラックス・クラン)と見た目に大差はない気がするのだけど・・・。そのナサレノ達の行列は一種異様だけど、見慣れれば厳かな感じ?ちなみに子供のナサレノというのもいて(小さくて可愛い)、彼らはアメやキリストや聖母像の小さな写真を持っているので、ナサレノではない一般の子ども達は子どもナサレノからそれをもらったりします。あまり大人にはあげないそうだけど、今年あるパソ(山車やナサレノ達の行列のこと)で床にかがんでいたら、子ども達がくれました(笑)

それから音楽隊。年に1回の演奏のために1年間ずっと練習しているんですね。パソによって音楽が異なり面白いです。厳かな雰囲気のものから、タランティーノの映画で使えるんじゃないの?(笑)って思えちゃうぐらいの音楽まで色々。音楽を聴いているだけでも素晴らしいですよ。感動します。

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その延々と続く行列に、一緒に歩いてキリストの受難を感じる信者たち。道端でそれを見る信者、観光客、道沿いのバルコニーから見る人。ものすごい熱気です。

そしてサエタ!セマナ・サンタの時に歌われる、無伴奏のフラメンコの歌。セビージャの場合は、バルコニーから歌い手が山車の上のキリスト像や聖母像に歌いかけることが多いです。このサエタに遭遇できたらラッキーですね。歌い手がいるバルコニーの前で山車もナサレロも音楽隊もピタリと止まり、何万という群衆もそのサエタを聴くためにシーンとなります。そしてサエタが終わると拍手、また行進が始まりキリスト像や聖母像が少しずつ去って行く。

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今年は留学中のお友達Nちゃんから「サエタを生で聴きたい!聴けるところがあったら教えて!」と言われていて、ちょうどアントニオの職場関係の人がサエタを歌う人を雇ったという情報を得たので、その人のサエタをバルコニーの真下から聴くことができました。よかった!

そう、セビージャではこのサエタに遭遇するのが結構難しかったりします。(だから遭遇できればラッキー!)勝手にバルコニーから誰かが歌っているわけではなく、多くの場合はバルコニーを所有する人がサエタの歌い手を雇って、自分のバルコニーでサエタを歌ってもらう。そして多くの場合はそのサエタの時にパソが止まるように事前に信心会に知らせておくようです。

そんな感じで事前にその情報をキャッチしていればその場に張っていられますが(笑)今年、知り合いの歌い手がサエタを歌うはずだったのですが、行進中に雨が降り出したのでパソは彼が歌うはずだったバルコニーで止まらず、早足で通り過ぎてしまったとのこと。その歌い手さんはサエタが歌えず泣いていたそうです・・・・。かわいそうに・・・。

え?って思われるかもしれませんが、雨が降るとパソは中止になるんです。この日のために1年間準備してきた山車も音楽隊もナサレノも行進できない。それは信者にとっては胸が張り裂けるくらいの悲しみなんでしょう、本当に泣いている人達もこれまでに何度も見かけました。

キリスト教徒でないとちょっとそういう感情は分からないかな・・・。でも例えば想像してみましょう。1年に1回の発表会でしかフラメンコを人前で踊れないとして、その日のために1年間一生懸命たくさん練習を重ねて、人前で踊ることへの緊張にも耐え、恐怖も乗り越え、その日のために衣装も花も靴も全部用意して・・・それなのに雨のために発表会が中止になって踊れないとしたら?それまでの努力と苦労を考えたら?・・・・そりゃ泣く。もちろん宗教とフラメンコとは比べられないのですが(比べちゃってすみません)フラメンコ大好きな人だったらなんとなく分かるかなー。私もそんな範囲でしか想像できませんが、そんなこんなで雨が降らないことだけを毎年祈っています。

セマナ・サンタは奥が深い。もし機会があるのなら一生に一度、見てもいいものだと私は思います。

とりあえず今日のブログはここまでにして、次回はマルチェーナという街のセマナ・サンタについてブログにしますね。(このマルチェーナのセマナ・サンタも別の意味ですごいんですね・・・。)

では!

写真:アントニオ・ペレス

2019年4月19日 セビージャにて

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