萩原淳子 ウブリケ・コンクール準優勝

みなさんこんにちは。お待たせしました。

第21回ウブリケ市主催フラメンコ芸術全国コンクール2009の結果です。(月刊パセオフラメンコ2009年9月号掲載記事→ 200909p067  )

【バイレ(踊り)の部】

優勝:モイセス・ナバーロ ”エル・チャーロ”(マラガ)

準優勝:萩原淳子 ”ラ・ジュンコ” (日本)

3位:マカレナ・ラミレス(チクラナ)

※以下、第21回ウブリケ市主催全国フラメンコ芸術コンクール決勝結果(萩原淳子準優勝)ペーニャ・フラメンカ・デ・ウブリケ公式HPConcurso.htmより抜粋。

というわけで私は準優勝でした。長かった闘いがやっと終わりました。闘いとは、他の決勝進出者との闘いではなく「自分」との闘い。毎日45度にもなるセビージャの暑さとプレッシャーの中で、精神的にも肉体的にも困憊し、でも必死で練習し、セビージャの生徒さんのレッスンも絶対に手を抜かず、自分でもよくがんばったと思います。「限界がある」と人は言うけれど、私にとっての「限界」は元々決まっているものではなく、自分で決めるもの。自分が「ああもう限界」と思ったらそこがその人の限界。そして限界を超えるのも自分です。だれかが超えさせてくれるものではありません。その意味で今回のコンクールに向けての過程において私は自分の今まで思っていた「限界」を自分で超えました。

コンクール決勝の1曲目のシギリージャが終わった後、優勝した踊り手の歌い手達が楽屋に駆け込んで来て、「ジュンコすごいすごい、フラメンコだった」と興奮していました。私のギタリスタや歌い手達もすごく興奮していたのであの踊りはすごかったのかもしれません。

でもここでの「すごい」とは技術的なすごさでも、誰かさんそっくりに踊ることでもありません。私が私として生きているその生き方と、その瞬間に感じていること、痛みが自分の踊りを通してどこまで純粋に人の心を貫くか、です。踊りたいから踊っているわけではありません。私は私の人生において踊る必要がある。私の内にある、踊らざるを得ない何か、必要性が私を踊らせている。そしてなぜだか分からないけど、多くの場合フラメンコを聞いている時にその必要性が爆発する。決壊して私の身体の外に出る。それが私にとってフラメンコであり、私の踊りだと思っています。

準優勝という「結果」は私にとって単なる「結果」に過ぎません。外国人がスペインのコンクールで準優勝というのはすばらしいことだと冷静に思います。外国人がスペイン人より劣るという意味ではなく、スペイン人の踊り手のようにこの土地に家族や支援してくれる人達、もっと言うと「コネ」がないという点で不利だからです。(審査員が自分の先生なら話は別ですが)でもそれは今に始まったことではないし、日本でも同じこと。私はいつも「萩原淳子」という存在のみで闘ってきました。世の中不公平だと思うこともしょっちゅうですが、そうやって闘っているからこそ、私の踊りは私の踊りであると思います。そしてその踊りを見ていつも私を励まして下さる方々がいらっしゃいます。「コネ」ではない純粋な応援者のみなさま。純粋にフラメンコを愛し、私の人間性を愛し、私の踊りを愛して下さる方々。その方々がこの準優勝という結果を喜んで下さるなら私も本当に嬉しい。ちょっとは恩返しできたかな、という気がします。

長くなりましたが、応援して下さったみなさまどうもありがとうございました。これからもっと精進しますのでよろしくお願い致します!

今週金曜、26日にペーニャ・ソロ公演を控え、その後日曜、28日にはセビージャを経ちます。7、8月は日本でクルシージョを行いますので、またがんばらなくっちゃ。日本も暑いんだろうな〜。

ではまたお会いしましょう。今度は日本で、かな???

萩原淳子

2009年6月22日(月) セビージャ自宅、扇風機の真ん前にて。

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