Feb 28

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

先日行われたマルワ財団主催CAFフラメンコ舞踊コンクールのエキシビション出演、無事に終了することができました。観に来て下さった皆様、応援して下さった皆様、ご感想のメールを下さった皆様、どうもありがとうございました。

コンクール本選の舞台を生では拝見できなかったのですが、何人かの踊り手さんの舞台合わせや、本番のモニターなどでちょっと拝見させて頂きました。みなさんのコンクールに対する意気込みもひしひし伝わってきました。満足のいく踊りができた方、おめでとうございます。それは受賞か否かという結果にかかわらず素晴らしいことだと思います。満足のいく踊りができなかった方、その悔しい思いがきっとあなたを成長させることでしょう。客席で、もしくはネット上で批評するのは簡単。誰にでもできること。そうではない立場で自分自身と闘ったみなさん全員に私は拍手を送りたいと思います。

そして、コンクールに出たくても出られなった人・・・・とても残念に思います。でもコンクール出場・受賞だけがフラメンコ人生ではありません。皆ひとそれぞれ自分なりの道を探して邁進してゆけばよいのではないのでしょうか?「出られなかったけど、私もがんばる!」と思ったみなさんにも私は拍手を送りたいと思います。そうだそうだ!お互いがんばろう~!

さて、私が出演したエキシビション。バタ・デ・コーラでアレグリアスを踊りました。終了後、客席にいらっしゃった岡田昌己先生に私の踊りについてご意見を伺うことにしました。私が前々回コンクールに出場した時の審査員でいらっしゃった岡田先生。その4年前にもご意見を伺ったのですが、うならされました。「あなたの踊りにはペジスコ(直訳するとつねり、ひねり。でもこれはフラメンコ用語でもあるので上手く訳せません。)があってよかった。でも、これはあなただけではなく出場者全員に言えることだけど、最近の若い人達は当たり前のマルカールがちゃんとできていないのよ。クルシージョでたくさんカッコいい振り付けをとれるのはいいけど、一番肝心なことができていない。これはクルシージョの弊害ね。」・・・・・・・・・・・全くその通り。核心をついていらっしゃる。その時、私は3位で正直その結果に満足していませんでしたが(今だったら言えますよね!うひひ)、でもこのお言葉を伺いマルカールもできない私が優勝しなくてよかった、と思ったのです。あの時優勝して有頂天になっていたら、あの重要なお言葉をすっと聞き流していたかもしれない。そしてもしそうだったとしたら今の自分はありえない。

前置きが長くなりましたが、そんな岡田先生のお言葉をまた伺えたら!と思い、ずっと岡田先生がお一人になるのを狙っていたのです!ふふふ。そしてエキシビションの私の踊りをご覧になった岡田先生のお言葉は・・・・

「私は自分で踊る時に一度も満足したことがないのよ。そんな私が他人の踊りに意見なんて言えないわよ。」

・・・・・私ははっと胸を突かれました。ちょっとフラメンコに詳しくなってくる(なったつもりになる)とすぐに他人の踊りを批評したくなってしまう私。そんな自分を恥ずかしく思いました。・・・・・無言・・・・で、でもそれだけでは自分は成長しない。「先生、どんなことでも構いません。な、な、な、何かお言葉を・・・い、い、い頂けないでしょうか・・・」

「コーラが短いわよ。もう少し長くしなさい。あの長さではバタの動きのよさがいきてないから。」

・・・・・あ!と言葉を失いました。実は、あのコーラ、元の長さよりも1段短くしたものだったのです。バタを習い始めて一番最初に作ったバタ・デ・コーラがあの赤いバタでした。しかし自分ではコーラの先までエネルギーが伝わらない、これは長すぎるからだ・・・とコーラのせいにしていたのです。そして身長が低い人(私、153cm)が長いコーラを履くと相対的に身長がさらに低く見える、という話を聞き(それは本当だと思います)、「やっぱりね~」なんて軽い気持ちで1段とってしまったのでした。見破られた、さすが岡田先生!!!そしてさらにお言葉は続きます。

「腕と脇の空間を空けなさい。」

・・・・・またもや、言葉を失いました。そうなのです。クラスではさんざん生徒さんに教えているくせに、そして自分で練習する時にはいつも気をつけているのに、舞台の上で感情が高まるとそれを忘れてしまうのです。ありがとうございました。岡田先生。そして先生は「でもね、今のまま踊り続けないさい。」とにっこりと微笑み去ってゆかれました。あ~、本当になんて素晴らしい先生なのでしょう。きちんと踊りを見て下さり、私の成長のためにお言葉を下さって。私は岡田先生に師事したことはありません。でもやはり先生なのだと感じました。ありがとうございました。

すると今度は歌い手のマロコ・ソルデーラがひょろひょろ~と近づいてきました。マロコは先日の恵比寿でのライブでの歌い手です。そしてこんな興味深いことを言いました。「この間のライブの時『ビエン』(よかった、上手だったの意味)と言ったけど、あれはただ言っただけ。本当はそんなに思ってなかったよ。」爆笑。そんなの知ってるよ、自分が踊れなかったことくらい。そしてマロコは続けます。「でも今日は本当によかったんだ。これは本当だ。あれは何て言うんだっけ???えっと・・・・そう、『trasmitir』(直訳すると『伝達する』という意味)していたんだよ、君の踊りは。スペインから来た僕でさえ、皆が上手に踊ることに驚いている。本当に。でもそういうことではないんだ。立ち上がった瞬間にアルテ(フラメンコの芸術性、とでも訳しましょうか・・・)があることが分かる、それをアルティスタというんだ。」

この、ロード・オブ・ザ・リングに出てきそうなヘレスのヒターノ。ありがとう。そう、「バイラ ビエン」という言葉。直訳すると「上手に踊る」という意味。これは、ほめ言葉でもあり、ほめ言葉でもない。前者の場合はその直訳どおり。しかし、後者の本当の意味は「イミタ ビエン」。つまり、スペイン人やヒターノ(ヒターナ)のものまねは上手だよね、でもキミ自身が見えてこないよね、という意味。もしくは「踊りは上手だよね。でもそれ以外何もないね。フラメンコってそういうものじゃないんだよね」。

これは私がスペインでの経験から学んだこと。その意味で本当。彼らが本当によい思った踊りに対して「バイラ ビエン」という言葉で片付けることはほとんどありません。もちろん状況や言葉のトーンにもよりますが。その踊り手に対して嫉妬などのネガティブな感情がなく、純粋にその踊りがよいと思ったのなら、それがどのようによかったのか、その踊りがどのように『trasmitir』してきたのか、どのように自分の心に伝わってきたのか、を言葉にします。言葉にならない人は涙を流し、抱きしめ・・・彼らはそういう人たちなのだと思います。

そんなことを思い出させてくれたマロコ。そして隣でにこにこ笑っているギタリストのイスマエル・エレディア。彼は「Me ha gustado tu baile.」と何度も言ってくれました。いつも私を幸せにしてくれるこの言葉。直訳すると「キミの踊りが気に入った。好きだ。」かな。ありがとう。上手に踊る人は世の中にたくさんいても、自分が、この人の踊りいいわ~、好きだわ~、という人はなかなかいない。誰かとの比較や競争で順位をつけるのではない。ただただ単純に自分が好きと思えること。思われること。こんな素敵なことが世の中にあるってなんて素晴らしいことなのでしょう。

私の踊りは、ある時にはただの「バイラ ビエン」かもしれない。ある時には大失敗をして「バイラ ビエン」にすらならないかもしれない。(人間ですから。)でも、私の踊りを好きだと言ってくれる人がいる限り、私は踊り続けようと思う。そして誰からもそんなこと言われなくなったとしても、自分が自分の踊りを好きな限り、私は踊る。今も昔も私は欠点だらけだし、持っていないものがたくさんある。それを持っている人を羨んだりしてしまう自分も時々いる。でもそれも全部ひっくるめて、私は今の私の踊りが好きだ。そしてその「今」はどんどん変わっていく。その度ごとに好きでいる自分でいたいと思う。

たくさんの事を思い出し、確認させてくれた今回のマルワ・コンクール・エキシビション。ありがとうございました。マルワ財団。私は私の道を進んでゆきます。

2011年2月28日 明後日、日本を発ちます。 今のところは、湘南台ネットカフェにて。

Feb 23

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

先日2/18(金)に行われた恵比寿「サラ・アンダルーサ」でのライブ、東京・中野で行われた「第6回少人数制クルシージョ」、つくば国際美学院でのクルシージョ、おかげさまで全て無事に終了することができました。ありがとうございました。

2/18(金)のアンダルーサライブでは、もう10年来の友人(あねご)の純さん(浅見純子さん)、いつもなんだか慌てているさっちゃんこと市川幸子さん、ほんわか優しいマキさん(太田マキさん)との共演で楽しいひと時を過ごすことができました。お越し頂いた皆様、どうもありがとうございました!ギターのイスマエル・エレディア、カンテのマロコとの共演も楽しく、そして当日は客席にたくさんのスペイン人アーティスト達の姿も。ちょうどその週末に行われたマリア・パヘス舞踊団公演出演のアーティスト達だったみたい。最後にはみんな舞台にのってしまい、なんだかすごいフィン・デ・フィエスタに突入。お客さんからは「ここは日本ではないみたい~」との声が。確かに。そしてどうも私が一番楽しんでいたようです。え~、だって楽しいでしょ~。

帰りの電車の中でもニタニタ笑ってしまいました。しかしここは日本だ。山の手線だ。一人で笑っていると不審者だと思われるので、急いでマスクをつけました。セビージャでは道でニタニタしていると、「guapaaaaaaa!」(美人だね!)と声をかけられるのにね。そうすると余計に嬉しくなってもっとニタニタして、それにより街全体が明るくなるような気がするのですが。まあ、「郷に入れば郷に従え」といったところでしょうか。

東京・中野での少人数制クルシージョも、ハードな日程でしたが、よく体調を崩さずに無事終了することができました。よかった!いつもお世話になっているスタジオ・アル・ソルさん、受講生の皆様、大変お世話になりどうもありがとうございました。回を重ねるにつれ、受講生の実力が伸びているのが分かります。私が教えているのはほんの少しで、それ以外の部分でみなさん地道な努力をされているのでしょう。えらい。えらい。その調子でがんばってほしいです。今回初めて受講された方もみなさん一生懸命でした。真摯な眼差し、キラキラ光っていた表情が印象的でした。今回残念ながら受講できなかった方、次回のクルシージョ(2011年4月16日~30日開講。詳細はこのHP「クルシージョ」にて。)でお会いできることを楽しみにしております。

つくば・国際美学院でのクルシージョでも大変お世話になりありがとうございました。セビージャでたった1度お会いしただけなのにクルシージョのお話を下さったのが国際美学院の松岡範子先生でした。そしてそのクルシージョが記念すべき、日本での初の教授活動でした。1時間半のクルシージョがいつの間にか2時間を越えていたことも気づかず・・・そんな不慣れな私を温かい目で見守って下さった学院長先生。範子先生。真澄先生。先生方の芸と向き合う姿勢、教える姿勢、生きる姿勢に私の方こそ学ばせて頂き、人としてどうあるべきか、ということを毎回考えさせられます。生徒の皆さんもみな熱心。とにかく熱心。まじめで明るく、素晴らしい生徒さんたちです。これからもどうぞよろしくお願い致します。

ほっと一安心するのもつかの間。今週土曜日にはマルワ財団主催フラメンコ・コンクール本選後のエキシビションにて踊ります。審査員が協議する間に、前々回コンクール優勝者の後藤なほこさん、前回優勝者の高木亮太くん、そして前回準優勝の私の3人でソロを1曲ずつ、そして最後に3人でブレリアを踊るというもの。私はバタ・デ・コーラのアレグリアスを踊ります。なんだか教授活動をがんばると、自分の練習が後回しになってしまい・・・本番大丈夫かな・・・・という不安もありますが・・・明日はギター(フアン・カルロス・ベルランガ)、カンテ(ナタリア・マリン)との合わせです。二人は昨年セビージャ・ビエナルでの小松原庸子スペイン舞踊団公演にも出演していました。あの時のナタリアのアレグリアスの出だしの歌が素晴らしかったな~。あの歌が聞こえてきた途端に、舞台の、会場全体の空気が変わったのを覚えているよ。あの時私は2階席で観ていたけど、そこからマエストランサの舞台に飛び降りようかと思ってしまったほどでした。あの歌、私にも歌ってもらおうかな~。・・・・なんて考えるとまたニタニタしてしまう~。あ~、マスク、マスク。

というわけで、みなさんまたお会いしましょう。

2011年2月23日 でも、本当に花粉症でマスクしている場合もありますからね。誤解のないよう、念のため!

PS。 あ、最後に!!!2月20日発売の月刊パセオ・フラメンコ3月号に、私の記事と写真がでかでかと載っています。パセオの編集長小山さんに「ロンダ・コンクール優勝に関する手記を書いてほしい」と依頼されましたので、私事で大変恐縮ですが執筆させて頂きました。小山さんからは「3度読み返しました。リアル、とにかく面白い。感動。読者にとって記念的な記事になるでしょう」とのお言葉を頂きましたよ。あれま~。すでにお読みなった皆様、どうもありがとうございます。まだの方、お暇な時にでもお読みになって下さいね。

パセオHPはこちら→20113.php

では今日はこれにて!ごめんあそばせ。

Feb 13

みなさんこんにちは。寒さと乾燥の毎日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか?

昨日歯医者に行って口を開けたら唇が切れました・・・乾燥のしすぎです。それにしても歯医者はなぜ「お口を開いて(あいて)下さい。」と言うのでしょう?どの歯医者も歯科助手も・・・。正しくは「お口を開けて(あけて)下さい。」だと思うのですが・・・「開ける(あける)」は目的語を伴う他動詞。「開く(あく)」は目的語を伴わない自動詞。そのどちらでもない「開いて(あいて)下さい。」これはつまり、「お口を開いて(いる状態にして)下さい。」の略なのかな?分からん。しかし気になってしょうがない。来週が歯医者最終回なので先生に聞いてみようかな。

そんなことよりも、昨日、その歯医者に行く前に恵比寿のタブラオ「サラ・アンダルーサ」でのライブがあり、無事終了致しました。連休中ということもあってかお客様はいつもより少なめでしたが、お客様の中にはクルシージョの生徒さん、数年ぶりに会うことができた友人、家族の姿も見え、とてもうれしいライブとなりました。寒い中お越し頂き、皆様どうもありがとうございました。

共演のイスマエル・エレディア、マロコ・ソルデーラ、小川愛ちゃん、奥野裕貴子ちゃん、田倉京ちゃんとも暖かい雰囲気の中でライブを行うことができました。みなさん、どうもありがとう!

しかし・・・それにしても寒かった・・・足がかじかんで、最初から最後まで指先じんじん・・・踊りにくかった・・・聞いた話によると「塗るホッカイロ」というものがあるらしい。次回ライブ(↓)はそれを試してみようかな。

2011.2.18 //  サラ・アンダルーサ-(恵比寿)1部19:00/2部21:00開演

入場料:1部 もしくは2部のみ:2500円、通し:4000円

Baile Cante Guitarra
  • 浅見純子
  • 市川幸子
  • 太田マキ
  • 萩原淳子(通し出演。アレグリアスとソレアを踊ります。)
  • マロコ・ソルデーラ
  • イスマエル・エレディア

そういえば、前々回のブログの衣装はどうなったの?という質問攻めにあいました。ハイ、一応袖はついているのでなんとか踊れるかなと思って今回のライブで使うようにと持ってきました。(お直しは間に合わなかった・・・)しかし先日その衣装で試しに練習してみたら・・・・袖がビリリリリリ!!!音をたてて裂けました・・・・やっぱりね。想像はしていたので、思い切って袖をとってしまい、袖なしの衣装にしちゃったよ。2/18のライブでそれを着ますが、寒いので上からマントンか何かをかけようかなと思っています。

Siempre hay solucion.」 (このパソコンではスペイン語表記ができないから「solucion」の「o」の上にアクセント表示できない・・・)

「シエンプレ・アイ・ソルシオン」。日本語に訳すと「必ず解決方法はある。」といった感じかな。どうしよう!どうしよう!とあせってしまう時に呪文のように唱える言葉。この言葉で絶対絶命のピンチですら乗り越えることができる(かな?)魔法の言葉です。ま、今回の「袖事件」は全然たいしたことではありませんけど!

というわけで、みなさんライブ会場でお会いできることを楽しみにしています。

クルシージョもあと数日!がんばります!空きのあるクラスが少なくなってきましたが、ご興味のある方はこのHP「クルシージョ」にて詳細をご確認下さい。よろしくお願い致します!

2011年2月13日 小さな「マルイ」がオープンした中野南口にて。