ご報告が遅れましたが、8/2(日)に開催されました姫路でのフラメンコライブはお陰様で無事終了致しました。お越し下さいましたお客様、主催の丸祥電器(株)の今西社長、奥様、今回まとめ役になって下さった井上さん、共演の皆様、誠にありがとうございました。
ライブで踊る曲というのはいろいろな決め方があるかと思います。踊り手が何人かいる場合は、事前に自分が何を踊りたいか出し、その中で事前に調整することが多いでしょうか。新人の踊り手さんで○○しか踊れません!という場合もあるし、大御所の踊り手さんで、「私は△△を踊ります」と宣言される方もいらっしゃるかも。(笑)でも一般的には2〜3曲希望を出してその中で曲がかぶらないようにして事前に決めることが多いかなあ。今回は1曲ソロを準備してほしいとのことでしたので、他の共演者の皆さんのご希望曲を事前に伺い、ソレアを踊ることにしました。
・・・と思って、ソレアを準備していたのですが、会場に着いて急遽ソレア・ポル・ブレリアに変更。(笑)
というのは、共演の市山さん&市川さんのこんな会話を耳にしたから。歌い手のエンリケ・エレディアが楽屋でソレアを歌っていた時でした。
市川さん「エンリケのソレアってテンポが早いんですね」
市山さん「そうそう、昔の人だから、あのテンポのソレアなの」
今フラメンコの踊りでソレアというと、歌振りの部分はゆっくりになっていますが、それはそもそも踊り用にゆっくりしているもの。でも本来ソレアをカンテ・ソロで歌う時には踊りのテンポではなく、もっと早いテンポで歌うものなのです。ソロ公演「ハモンは皿にのせるだけでよい」で私はソレアを踊りましたが、その前にモイのソレアのカンテ・ソロを導入にしていました。あのテンポ。そのカンテソロの時のソレアのテンポと踊りのソレアのテンポの違いをあえて利用したわけ。
でも、あれ?と思った萩原、市山さんに質問。
「でも、踊りの時には踊りのテンポでエンリケは歌いますよね?」
エンリケと共演するのは初めての萩原に対し、市山さんはエンリケともう何十年も共演していらっしゃる大ベテラン。エンリケのことは市山さんに聞け、と言われるくらい(?)です。市山さんの答えはこうでした。踊りの時もカンテ・ソロと同じようなテンポで歌う。一般的なソレアの踊りのゆっくりのテンポでは歌わない。だからギタリストによっては上手く伴奏ができずに、いつもソレアは大変なことになると。
「え、じゃあ、市山さんがエンリケの歌でソレアを踊る時にはどうされるんですか?」
と質問すると、市山さん曰く、特定のギタリストで確実に問題がないと事前に分かる時にしかエンリケの歌ではソレアを踊らない、とのこと。
うあー、そうだったのですかー。萩原ビックリ。そんなことも何も知らずに曲をソレアに決めて準備してきてしまった・・・がーん。と思ったのですが、じゃあ、いっそのことそのエンリケのテンポでソレアを歌ってもらってソレア・ポル・ブレリアを踊ればいいか、と言うと、市山さんも「そっちの方がいいと思うよ」とおっしゃって下さったので、一件落着。そんなわけで急遽、ソレア・ポル・ブレリアに変更になったのでした。(ソレア・ポル・ブレリアを踊る人が他にいなくてよかった笑)
いろいろなことがありますね。先述のように踊り手さん達が事前に何を踊るか決める場合もあれば、ライブによっては当日に決める場合もあります。昔出演していた、セビージャのプライベート・フィエスタでは何を踊るかも全然分からないので(全て即興だったから)とりあえず、明るい曲とシリアスな曲を用意したり。そうすると、他の踊り手さんと曲がかぶらないように何曲か準備しておく必要があったり。でも今回のソレアの件に関しては初めての経験だったのでとても勉強になりました!
そしてエンリケ・エレディア。日本にいらしてからもう50年以上になるそうで、現在70歳を超えていらっしゃるとのこと。その年齢とは思えない声量とエネルギーで歌いきって下さいました。そしてフラメンコの時代の生き証人。フラメンコ史上、重要なたくさんのアーティスト達との思い出話を楽屋にてたくさんして下さいました。本でも出版されるといいのではないかなあ、なんて思ってしまったのですが。古きよき時代のフラメンコに生き、現代も生きるアーティスト。そのアーティストの生の声というのは本当に貴重だと思うのです。現代が悪いわけではない。でも過去から学べることはたくさんあり、それほど豊かなものはない。だからこそ今の私達がいて、これからの私達につながってゆく。そう思うのです。
いろいろなことを勉強させて頂いたライブでした。ありがとうございました。
舞台写真:アントニオ・ペレス
次回は8/14(金)恵比寿のタブラオ(フラメンコレストラン)“サラ・アンダルーサ”への出演になります。お盆中ですが、ご都合のよい方是非いらして下さい。チケットお申し込みは ticket.layunko@gmail.com (ハギワラ)までお願い致します。
日程:8月14日(金)19:30開演
会場:サラ・アンダルーサ(恵比寿)
踊り:市川幸子・鍛地陽子・蜂須夕子・萩原淳子
カンテ:モイ・デ・モロン
ギター:パコ・イグレシアス
皆様のご来場をお待ち申し上げます!
2015年8月6日