Sep 27
エバ・ジェルバブエナのセミナー
Hagiwara Junko | ブログ | 09 27th, 2009| Comments Off

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

こちらセビージャはちょっと涼しくなったかな?と思ったらやっぱり暑い、そこがやっぱりセビージャだよね、と一人で納得しています。私は元気です。

セビージャに着いて早々エバ・ジェルバブエナのフラメンコ・セミナーを受けました。「感想教えて下さい!」とのメールがいくつか届いていますので、ブログにしてみすね。

まず今回のセミナーは、今までエバが行ったクルシージョとは全く性格の違うもの、つまり彼女が教えたいことを彼女なりの方法論で教えるというものでした。その趣旨のものとしては今回が初、今後は2年に1回行う予定だそうです。(興味のある方には、まずはスペイン語をしっかり勉強することをおすすめします。)

午前中10時〜14時までがエバのクラス(本当は12時までだっのですが、エバは毎日2時間延長してくれました。ありがとうございます!!!)午後17時〜21時までが舞台関係者とエバによる講義。生徒は25名程、約半数がスペイン人、約半数が外国人。日本人では屋良有子ちゃんと私が参加しました。スペイン人はほとんどが将来有望な若手の踊り手ばかり。実際にがんがん仕事をしている人、コンクール受賞者もたくさんいました。そんなこと言ったら私も今年のウブリケ・コンクールの準優勝者なのですが、彼らはとにかく若い!10代後半から20代前半ですよ。子供のころから踊りのレッスンしかしていない彼らに比べて、18歳でフラメンコを習い始めて、会社で必死に働き留学資金を作った私との大きな大きな差!!!でもそれが現実。がっくりしない。めげない。

エバのクラスは波乱続きでした。振付けやパソを教えるのではなく、あれはなんというのでしょう、フラメンコの深層を垣間みるにはどうしたらよいか、フラメンコをフラメンコだけでなく大きな芸術の中でとらえるには?という方法論からアプローチするクラスだったので、振付とパソがほしくて申し込んだ人はクラスから去って行きました。多分4人くらい。

確かにエバ自身もその方法論を毎日、瞬間瞬間で模索していた感じがあったし、そういう意味ではきちんと系統だったクラスではなかったかもしれません。でもエバが求めている方向性はフラメンコ界の方向性の一つとしてあっていいと思うし、私自身それを求めて7年前にセビージャに来たから、個人的にはすごく納得できました。ただその一方でクラスを去っていった人の気持ちも分からなくはありません。人それぞれその時点で求めるものも違うから、彼らのそれがエバのセミナーと合致しなかったのだと思います。でも内面的に成熟している人間ならば、どんな時にでもどんなことからも習えるのではないかなとも思います。残念です。

具体的にセミナーで何をやったのかということを言葉で説明すると、私が感じたものとはかけ離れてしまうからここでは説明しません。しかしエバが試した方法論は他の一般のフラメンコクラスでは行わないものなので、生徒さん達には斬新に思えたようです。でも実は私はそのほとんどをすでに習っていたのです。今までに師事した何人かの先生達から。思うに、7年前にセビージャに着いた時からその方向性で先生やクラスを探していたから、出会う確率が高かったのかもしれません。そして同じクラスでも受ける側の意識の違いで、学び取る内容は大きく変わってきます。振付をどんどんとって国に帰っていく留学生が多い中で、私の勉強の仕方は回り道が多かったかもしれません。自分の学び方はこれでいいのだろうかと疑問に思うことも多々ありましたが、今なら言える。それでよかったのだと。少なくとも私が目指すフラメンコにとっては。

そしてもっと重要なことを、私は両親から教わっていたということに気づいたのです。フラメンコを学ぶということはフラメンコの形式や内容、技術を学ぶだけではありません。重要なことを実は自分自身の中に持っていたこと、それに感謝したい気持ちでいっぱいになりました。と同時にそんなに大切なことになぜ今まで気づかなかったのか、ということ。エバのセミナーを通して学んだこと。それは「重要なことは一番自分に近い所にある。本当は自分の中にある。」

私はこれから変わっていくでしょう。自分がどんどん伸びていく確信があります。セビージャのヤシの木のように。

またお会いできる日を楽しみにしています。

2009年9月27日 もうすぐ大好きな日曜日が終わってしまう・・・まだまだ暑いセビージャにて。

Sep 6
セビージャに着きました。
Hagiwara Junko | ブログ, 新着情報 | 09 6th, 2009| Comments Off

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

私は元気です。おとといセビージャに着きました。こちらは相変わらず暑いです・・・.。あまりの暑さに脳みそが溶け出しそうですが、なんとかHPを更新しています・・・。

今回の一時帰国でも大変充実した2ヶ月を過ごすことができました。2回目となった「少人数制クルシージョ」も軌道に乗り、私自身も前回に比べると随分リラックスして教えることができたように思えます。前回受講されたみなさんに加え、今回新規で受講された方々の「フラメンコを学びたい!」という熱心さが、教える上での大きなエネルギーとなりました。どうもありがとうございました。8月に行われた恵比寿「サラ・アンダルーサ」でのライブも充実した瞬間をお客様と共有できたように思えます。どうもありがとうございました!クルシージョやライブにお越し頂いた方々、いつも陰で応援して下さる方々の顔を思い出す度に、またがんばろうという意欲につながります。これからもどうぞよろしくお願い致します!(次回一時帰国は来春を予定しています。)

さて明日からエバ・ジェルバブエナのクラスを受講します。

エバ・・・・!フラメンコを学んでいる人なら誰でも知っている、現代フラメンコ舞踊の最高峰に位置すると言っても過言ではないアルティスタ。(日本でも10月に公演しますね。)2002年のヘレスフェスティバルで観た彼女のソレア。ある瞬間に会場中の「oooooooooleeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!」という、いや、文字では表せない、あんな声を聞いた事のない、自分でもどこからそんな声が出ているのか分からない、内臓がえぐり取られた瞬間、今思い出しても身体が震えて来るあの瞬間を引き出したアルティスタ。それがエバでした。

フラメンコ舞踊界には「バイラオール/ラ(舞踊手)」と「アルティスタ(アーティスト)」がいると思います。2つの言葉は今現在どちらもごっちゃに使われていますが、私の中には厳然たる区別があります。前者はプロフェッショナルなレベルで上手に踊る人、後者は「アルテ」を持った踊り手。この世の中に何百万人のフラメンコ舞踊家が存在するのでしょうか?そしてその中の何人が「アルテ」を持っているのでしょうか?その「アルテ」に敬意を払い、「アルテ」を舞台の上で引き出すことのできる人が何人いるのでしょうか?

「アルテ」を持たずに技術レベルだけ傑出することは日本人でも可能です。フラメンコっぽく見せることはモノマネの上手な人なら誰でもできます。そしてそれがどんなに浅はかなことか気づかずにいる愚鈍さ。踊る方も観る方も。残念ながらその表層的な考え方、感じ方は、その人の人としてのあり方から来ています。

私は自分が「アルテ」を感じる心を持っていることに感謝したい。一体誰に(何に)感謝するのか?私を産んでくれた親、フラメンコそのもの、「アルテ」のあるこの土地に。私を取り巻く全てに。

そのことを忘れずに明日からのエバのクラスを受けようと思います。

ではみなさんまたお会いしましょう。

2009年9月6日 セビージャ、業務用巨大扇風機の真正面にて。

萩原淳子