Jun 28
コンチャ・バルガスのクラス
La Yunko | ブログ, 新着情報 | 06 28th, 2012| Comments Off

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

今月はコンチャ・バルガスのクラスを受講していました。まだあと数日あるけれど、今日午後から数日間セビージャを離れなくてはならないので、昨日が私にとっては今月最後のクラスでした。それにしても、この暑い時に、熱いコンチャ。実はコンチャに習うのは初めて。コンチャから「あんた私のクラスを受けたことあるでしょう!あんたの顔には見覚えがある」と言われたけど、本当に初めてなんです。シギリージャとブレリアのクラスを受講しました。

  • 6月12日(火)シギリージャクラス

どこかで見たことある人がクラス見学をしている、と思ったらマカニータだった。9月のセビージャのビエナルでコンチャとマカニータはアンドレス・マリンの公演で共演するらしい。シギリージャのクラス中、急にコンチャがマカニータに向かって叫ぶ。「ティア!(女友達を呼ぶ時に使う言葉)あんたのブエルタ、あれはどうやってんの?ブレリアを歌いながらパルマをたたいて回る、あのブエルタよ。本当にすばらしい。舞台の上でやった時ときたら・・・」するとマカニータが「え〜このブエルタのこと?」と言い、軽く歌いながらくるくる回り始めた。生徒一同大喜び。その後「コーヒー飲んでくるわ〜♪」と表に出て行ったマカニータを尻目に、コンチャはものすごい形相で「あのブエルタを私もやりたいんだけど、できないのよ。ホラホラ。」と言い、試しに回り始めたコンチャ。・・・たしかに回れていない・・・「あのブエルタやりたいんだけどな」とコンチャはものすごく悔しそうに何度もつぶやいていました。

  • 6月13日(水)ブレリアクラス

コンチャが大変興味深い話をする。

「私は小さい頃コンパスなんて知らなかった。生まれながらにしてコンパスを持っているなんて大間違い。今もはっきり覚えている。私の父はアントニオ・マイレーナやフアン・タレガを自宅に呼んでよくフィエスタを開いた。4〜5歳の頃。その時アントニオ・マイレーナが私に小銭を握らせて言ったの。『これで飴でも買っておいで』つまり、パルマをたたくなってことよ!戻ってくるなとは言わなかった。でもそういうこと。私がパルマをたたくことでフィエスタが台無しになるからね。だから、『コンチャは生まれながらにしてコンパスを持っている』なんて大ウソよ!!!私にコンパスを教えてくれたのはペペ・リオ。それから私はグィートやマリオ・マジャと組んで彼らから学んだ。もちろん私の踊りは彼らの踊りのようではないけど。私は私の踊りだから。」

さらに続くコンチャの話。

「そして私の夫はバルを経営していて、そこにアーティスト達がたくさん集まった。私は彼らがどう踊るか見て学んだのよ。フラメンコは学校では学べない。学べるけど学べない。フラメンコを知っている人達と一緒に飲み明かすのよ。フラメンコを〝本当に〟知っている人とね。」

  • 6月13日(水)シギリージャクラス

マチョの部分の振付。なんと、あのマカニータのブエルタがマチョの振付に取り入れられた!コンチャは言う。「マカナ(マカニータのこと)はブレリアで回ったけど、私達はシギリージャで回るからね。これはマカナのブエルタだからね」そして回るコンチャ。昨日より少し回れている。でも舞踊的には厳密には回れていない。軸もずれているし視点も定まっていない。でもなんであんなにフラメンコなの?!そして、技術的には余裕しゃくしゃくで回れる私の、でも薄っぺら〜いフラメンコ。この差。歴然とした差。。。。

  • 6月14日(木)クラス欠席しました。 ファルキートの公演のために。クラスを受けてから汗だくでリュック背負ってロペ・デ・ベガ劇場まで自転車すっ飛ばして行くなんて、できない。できるけど、私にはできない。この日はコンチャには申し訳ないけどクラスをお休みして、ちゃんと時間に余裕を持ってguapaにして劇場に向かう。

やっぱりファルキートという踊り手は唯一なのだ。ファルキートに憧れてファルキートのマネをしている踊り手は世界に何十万人といるだろう。でも誰もファルキートにはなれない。ファルキートを観た事のない人にはウケるかもしれないけど、観た事ある人にはちゃんちゃらおかしいか、みじめで可哀想か。いっそのこと、ものマネ芸人みたいに、ものマネという角度からそのアルテを磨くのはどうか。〝コロッケ〟のフラメンコ版みたいな、ものマネアーティストが出て来たら、それはそれですごいんじゃないの???ただのものマネがアルテに昇華するんだから。そういう人達が集まった「ものマネ・フラメンコ選手権」の方がコンクールなんかよりずっと面白い気がする。(話が飛躍しすぎました)

  • 6月15日(金)ブレリアクラス

コンチャがブレリアのコンパスで「さくら〜さくら〜」と歌い出す。それを聞きながらブレリアを踊っていたら、コンチャが私のことを「彼女は日本人だから日本の桜を思い出して踊った。それをsentir(感じる)という。彼女は彼女のやり方で踊っているけどね。でもそれは大切なこと。私は皆にアイデアを与えることはできる。でも感じるのはその本人。大切なのは皆それぞれが自分自身を持っていること。」

クラスの中では黙っていたけれど、本当は「さくら〜さくら〜」しか聴き取れませんでした。コンチャが歌うと日本の歌でもフラメンコに聞こえちゃうんだよね。そのコンチャのフラメンコを感じて踊っていたんだよね。やっぱりこの人はフラメンコのかたまりなんだな、と。そして私は自分のやり方でわざと踊っていたのではなく、クラスで習った振付をちゃんと覚えていなかったんだよね・・・でもせっかく褒められたから黙っておくことにしました。とはいえ、なんだか良心がとがめるのでブログにて告白させて頂きました。。。。

そしてコンチャは皆に円陣を組ませ、ブレリアのコンパスについて説明し始めました。「ブレリアの1コンパスは12拍ある!!!アクセントは5つ!!!アクセントの場所は数で言うと、3・6・8・10・12。ブレリアの1コンパスは二つに分けることができ、前半は長い部分(12・1・2 / 3・4・5)後半は短い部分(6・7/8・9/10・11)!!!!分かったか!!!!」フラメンコを数年習ったことのある人なら皆知っている当たり前のことだと思うのだけれど、コンチャはこれをものすごい形相で、大声で叫びながら教えてゆく。この世の終わりを民衆に告げる予言者ように。そしてさらなる雄叫び。「フラメンコを20年学んでいてこんなことも知らない人がたくさんいる!!!!」

・・・・私は思いました。私は知っていたんだろうか?本当に?自分が知っていると思っていただけで、フラメンコから見たら、無知限りないんじゃないかって。

  • 6月26日(火)クラスの後で

コンチャのクラスって、自分が踊るよりコンチャをただ観ている方がいい気がする。自分の踊りなんてばかばかしく思えてきてしまう。は〜っとため息をついていたら、コンチャがやってきて「クラスに満足しているか?」とにかっと笑いながら私に聞く。もちろん満足しています、と言ったけど、ため息ついた所を見られてしまったので、正直に思ったことを言ったら、コンチャは言いました。「踊るのは誰にでもできる。誰にでも教えられる。でもあんたのここ(私の胸を指差す)にあるものを目覚めさせなくてはならないのよ。誰かが。それを取り出さなくてはならないのよ。」

私はコンチャのクラスを受けてもコンチャに食べられない自信はある。「食べられる」というのは、つまり自分自身を失ってコンチャのコピーに陥ること。ここは非常に難しいところで、その先生のクラスでその先生を見て踊るわけだから、見た目、その先生のように踊ってしまう(もしくはそう努力する)のは普通だ。なおかつ、その先生が大好きならその先生とそっくりに踊りたくなる。確かに学ぶということは模倣から始まる、らしい。でも重要なことは、絶対に誰にもコンチャにはなれない、ということ。どんなに上手くコンチャのように踊ったとしても、それはコンチャの〝よう〟 であって、コンチャではない。そして何より、その人ではない。つまり、コンチャの〝よう〟というのは、はっきり言えば〝エセ・コンチャ〟、もう少し柔らかく言えば〝なんちゃってコンチャ〟なのである。

クラスで先生の言う事を聞いてきちんと踊れると先生に褒められる。それは一つの学びで褒められるに値する。先生だって生徒が自分の教えの通り学んで伸びてくれて嬉しい。が、しかし、それはクラスの中だから。もしその人がそのまま先生のように踊り続けて、クラスの外で踊れば、「◯◯先生の生徒だ」としか見られない。その人に〝personalidad(ペルソナリダー)〟がなければ。〝personalidad〟というのは、その人自身、その人がその人であるためには欠かせない何か。それがなければ「◯◯先生の振付だ」とか「◯◯先生の踊り」になってしまう。つまり、その人自身が語られるのではなく、◯◯先生が語られる。そうすると何が起こるか。まず、その人には、クラスでは褒められていたのと逆の現象が起きてしまう。そして先生の側からすると、これはコンチャのことではなく、一般的な先生の話だけれど、自分のコピーが世の中に広まるということは、自分の生徒が自分を宣伝してくれていることになる。たとえ生徒に〝personalidad〟を持ってほしいと思っていて教えても、自分の広告塔になってくれる生徒が世界中に増えれば、最終的にその先生の名と踊りはその広告塔を通して世界に広まる。これは矛盾しているけど、完全に先生のビジネス。

何をどう教えるか、それは教える側の倫理観、フラメンコ観に基づく。いろいろな先生がいる。先生だって食べていかなくてはならないというのも現実だし、いろいろな教え方がある。誰が正しい・間違っている、でもなく、誰の方がよい・悪いの問題でもない。皆それぞれにおいて正しい。だから習う側は、自分とは何なのか、自分が踊るということはどういうことなのか、そのために自分が何を学ぶのか、それを学ぶためには誰に師事したらよいのかを自分で見つけなくてはならない。それは習う側の責任。〝personalidad〟の確立はそこから始まるように思う。

  • 6月27日(水)ブレリアクラス、シギリージャクラスともに

「カンテを聴け、歌え。踊るからにはカンテを知る義務がある。」

「私の踊りはソレア。踊りを一つ持て。4つもいらない。」

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6月28日 出発する前に、考えを整理したかった・・・・けど、まだまだ考えそう。 セビージャにて。

Jun 23

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

先週末は「第1回萩原淳子フラメンコ公演 en Japón」(仮題)の先行お申し込みメールへのご返信でてんやわんやでした・・・一体何通のメールを送受信したのでしょうか・・・ご飯を作る暇も食べる暇もなく、パソコンの前から離れられず、右手首が腱鞘炎のようになってしまいました(踊りじゃなくてメールの打ち過ぎ・・・)お申し込み下さった皆様ありがとうございます。中にはお申し込み開始日時にアラームをセットされていた方も・・・大変恐縮です・・・

「少人数制クルシージョ」もそうですが、お申し込み開始日時を設定させて頂いております。と申しますのはパソコンのご使用状況や頻度が皆様異なるためで、「先行お申し込みのご案内メール」送信から1週間ほど空けて受付開始日にしております。また開始時間を設定しているのは、日程だけのご案内ですと「日本時間ですか?スペイン時間ですか?」というお問い合わせも頂いてしまうためです。

「先行お申し込みご案内」の対象となる、萩原淳子クルシージョ受講生・クルシージョや公演情報お問い合わせの方々にはなるべくご迷惑がかからないよう、公平になるよう取りはからっているつもりですが、今回の公演の先行お申し込みでは受付開始後1時間でS席が完売、次の日にはA席も含め全席完売となってしまいました。大変嬉しい反面、お申し込みに間に合わなかった皆様には大変申し訳なく思っております。HP上でも最新情報を随時アップしておりますが、今後改善すべき点があれば検討して参りますので、皆様のご意見やご理解を頂ければ幸いです。宜しくお願い申し上げます。

また、今回の「先行お申し込み」対象の方ではなくても、今後の公演やクルシージョ詳細ご希望の方にはこれまでの「先行お申し込み」対象の方と同様に個別メールにて「先行ご案内」させて頂きます。このHP「連絡先」のフォームを通して、もしくは layunko@gmail.com までご連絡下さい。

さて今日のお知らせですが、表題の通り雑誌「月刊パセオフラメンコ」さんに掲載されていた私の連載「『限りある無限』に向かって」が2012年6月号を持ちまして、お陰様で終了致しました。半年間のご愛読を頂き誠にありがとうございました。たくさんの方からご感想を頂き嬉しく思っております。お陰様で今年で在西10年を迎え、これまでの自分の人生を振り返り(それはそれで勇気がいりましたが)今の自分につながることを正直に執筆させて頂きました。たくさんの方々にお世話になり、また自分を育ててくれたエピソードもたくさんあるのですが、誌面の都合上大部分をカットしなくてはならなかったことを残念に思います。連載に登場された方々やエピソードはもちろんのこと、登場されなかった方々にも大変感謝しております。誠にありがとうございました。今後も精進して参りたいと思いますのでどうぞ宜しくお願い致します。

なお、「なんじゃそりゃ?!そんなの知らなかった!」という方、「読みたかったな〜」という方、月刊パセオフラメンコさんのHPにてバックナンバーをお求めになることもできます。(写真は2012年1月号〜6月号までの表紙です。月刊パセオフラメンコさんHPから借用しました)

  • 月刊パセオフラメンコHPバックナンバー案内backnumber.php

また、上記HPの「フラメンコ公演忘備録」では、4月5日に萩原が出演しました高円寺カサ・デ・エスペランサでのフラメンコライブ忘備録が井口由美子氏の執筆により掲載されています。

ちなみに同忘備録は現在発売中の月刊パセオフラメンコ7月号にも掲載されていますので、誌面にてお読みになりたい方はそちらもどうぞ。

  • 月刊パセオフラメンコ7月号紹介monthly

以上、お知らせさせて頂きました。

では皆様もお元気でお過ごし下さいませ。

2012年6月23日 今日はガスパチョを作って飲みました。 これからさらに暑くなるセビージャにて。

Jun 18

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

10/14(日)「第1回萩原淳子フラメンコ公演 en Japón」(仮題)のチケットはS、A席ともに完売致しました。誠にありがとうございました。「先行お申し込み」開始後2日間での完売で大変嬉しい反面、今後チケットをご希望される方にはキャンセル待ちという形でご了承して頂くことになり、大変心苦しく思っております。誠に申し訳ございません。

上記公演チケットのキャンセル待ちを希望される方は layunko@gmail.com(ハギワラ)までご連絡下さい。キャンセルがあり次第順番にご連絡させて頂きます。また、今後の公演やクルシージョの最新情報、「先行お申し込みのご案内」をHP上での一般案内に先駆け、個別にメールご連絡させて頂きます。

今後日本での公演は未定ですが、次回「第10回少人数制クルシージョ」は2012年10月〜11月、東京・中野にて開講予定です。

公演とクルシージョの準備に励みたいと思います。今後とも宜しくお願い申し上げます。

2012年6月18日 セビージャにて

Jun 16

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

前回のブログでご案内させて頂きました「第1回萩原淳子フラメンコ公演 en Japón」(仮題)の先行お申し込みが16日16:00より開始致しました。たくさんのお申し込みを頂き、お申し込み開始後1時間ほどでS席完売となりました。誠にありがとうございます。今後のお申し込みはA席にて承ります。よろしくお願い致します。

一般の方対象(一般フラメンコ関係HPを通して)のお申し込みは7月1日以降となります。よいお席をご希望の方は先行お申し込み期間中のご連絡が確実です。なお、先行期間中でも満席になり次第キャンセル待ちをお願いする場合もございます。お席の数に限りがありますのでご了承下さい。

公演詳細、先行お申し込み方法は以下をクリックして下さい。(お開きになれない場合は layunko@gmail.comまでご連絡下さい。)

10/14チケット先行お申し込み方法

皆様からの応援メッセージ、とても嬉しく思っております。ありがとうございます!!!!!!!

2012年6月16日 暑くてひからびそう・・・なセビージャにて。

Jun 15

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

10月14日(日)に新宿エル・フラメンコにて「第1回萩原淳子フラメンコ公演 en Japón 」(仮題)を開催します。実は、そうなんです。初めてなんです、日本でソロ公演を開催するのは・・・

数年前からソロ公演の計画は何度も立てていたのですが、スペインと日本の行き来の中でスケジュール調整や会場確保が難しく、断念し続けていました。実は今回も一度は無理かな・・・と。でもぎりぎりの調整でなんとか初のソロ公演を開催する運びとなりました。いつも応援して下さる皆様、ありがとうございます!!!

共演アーティストは現在エル・フラメンコに出演しているスペイン人アーティストの4人。実際にスペインで共演したことのあるアーティストはアンドレス・マルティネスのみ(写真はコニルのペーニャ公演で共演したアンドレスと私)で他のアーティスト達とは初共演ですが、彼らのフラメンコと私の踊りがどう炸裂し合うのかが楽しみです。

2012.10.14(日)// 第1回 萩原淳子フラメンコ公演 en Japón(仮題)

場所:新宿エル・フラメンコ(場所詳細はこちらをクリック→access.html
開演:13:30(開場は30分前)
入場料:S席5500円、A席5000円(税込、全席指定、ワンドリンク付)

 

Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • インマ・リベーロ
  • フアン・カンタローテ
  • アンドレス・マルティネス
  • ラモン・アマドール

 

 

※チラシは後日アップ致します。

 

※このブログ愛読者の皆様、萩原淳子クルシージョ受講生、お問い合わせの皆様対象のチケット先行お申し込み開始日時は2012年6月16日(土)日本時間16:00になります。一般の方対象のお申し込み(フラメンコ関係一般HP等を通して)は7月1日以降とさせて頂きますので、よいお席をご希望の方は先行お申し込み期間中のご連絡が確実です。なお、先行お申し込み期間中でも満席になり次第キャンセル待ちをお願いする場合もございます。お席の数に限りがありますのでご了承下さい。

先行お申し込み方法、その他詳細は以下をクリックして下さい。(万が一ファイルが開けない場合はlayunko@gmail.comまでご連絡下さい。)

チケット先行お申し込み方法

 

皆様のご来場をお待ちしております!

2012年6月15日 セビージャはすでに暑いですが、私も燃えています。めらめら。

Jun 5

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

2012.6.1// ペーニャ・ピエス・プロモ公演(セビージャ)

Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • エル・トゥリニ
  • マヌエル・エル・パティ

お陰様で先日のペーニャ・ピエス・プロモ公演は無事終了致しました。ありがとうございました。当日は他のペーニャなどでも公演があったようで、お客様はちょっと少なめでした。出演が決まったのが直前だったこともありあまり宣伝もできなかったからかもしれません。でも、当日一番のりでお越し頂いたお客様はなんと・・・ベレン・マジャでした!!!

前回のブログでも紹介しましたが、5月の1ヶ月間私はベレンのクラスを受講していました。公演準備のためにクラスを欠席するとベレンに伝えると、「え!ペーニャで踊るの?観に行きたい!」とおっしゃったのです。そばにいたベレンの旦那様のダビも「行こう行こう!!」とすごい乗り気。ダビは俳優・舞台監督らしく、またカンテにも精通しているので ベレンの踊りのクラスの後にカンテの講義クラスで教えて下さっていました。お二人ともペーニャが大好きだそうです。でもベレンはこんなことをおっしゃっていました。「私はペーニャで踊ったことがあまりないの。何度かはあるけれど、とても緊張したわ。舞台とは全然違う。あなたは勇気があるわね!」え〜、私は逆。舞台よりもペーニャで踊っている。といっても、ベレンのような超一流の踊り手と私では月とスッポン。比べようにも比べようがないのだけど・・・。なんだか全ての会話が信じられなくて、でも頭の片隅で、そうはおっしゃって下さっても当日来られなくなることもあるかもしれないから・・・なんて思い、「そうおっしゃって下さるだけで本当に光栄です」とお伝えしました。

でも、お二人とも本当に観に来て下さいました!しかも一番のりで!びっくり、感激、感動、光栄!!!!(ちなみにその日のベレンは、スパンコールがたくさんついたキラキラ黒いノースリーブのワンピース姿でした)そして、日本人留学生や、ベレンのクラスで一緒だったクラスメート、その他お友達、やフラメンコ愛好家らしき人々、歌い手etc、皆様お越し頂きありがとうございました。

1部で踊ったタラントは技術的にはいまいちだったと思うのですが・・・これは自分のこれまでの練習の仕方に問題がありました。5/30の公演が中止になり、その他諸々災難がふりかかり精神的に落ち込んでいた先月はモチベーションがものすごく下がってしまっていました。もちろんそれでもスタジオに通い練習を続けていましたが、そのような状態での練習の質はとても悪かったと思います。なんとかしなくては、ともがいている最中に突然この公演出演の話が舞い込んで来たので、嬉しかった反面、きちんとした準備がちゃんとできない状態で踊ってしまいました。いつでもどんな時でもプロフェッショナルなレベルを保たなければ。そのためには日々の努力が絶対に必要。そう肝に命じました。

2部で踊ったアレグリアスはもう少しリラックスして踊れたかもしれません。踊っている最中にお客様からのハレオが聞こえてきて、特にベレンの声のハレオはとても嬉しかったです。

ギターのマヌエル・エル・パティとは初共演でしたが、とてもいい人。普段はセビージャのタブラオ、パラシオ・アンダルースで弾いているそうです。カンテのトゥリニも素晴らしい歌い手。ソロで歌っていた時にはお客さんからのうなるようなハレオがかかっていました。1部と2部でソレアとティエントを歌いましたが、私は楽屋で聴いていて感動。お二人とも私と共演してくれてありがとう!!!

公演後、何人かのお客様から「あなたのことを知らないで観に来たのだけど、とても素晴らしかった。ありがとう」と声をかけられました。有名人でもない私にわざわざ感想をおっしゃって下さる方というのは、きっと心がきれいにまっさらな方なのだと思います。故に、フラメンコもまっさらな感情で受け取ることができる。そういう方の輝くようなお顔を拝見するのは何よりも嬉しい。本当に踊っていてよかったなと思います。

ベレンと旦那様のダビもとても喜んで下さいました。「あなたの踊りが大好きだ」と。この言葉も本当に嬉しい。そしてベレンはすぐさま私に質問しました。「あなたは即興で踊っているでしょう?」そうです、私の踊りの大半は即興です。どうして分かったのですか?と質問したら、「カンテを聴いて踊っているから」と今度はダビが答えてくれました。そしてこうも続けました。「踊りの構成が伝統的だから、次に何が来るか大体は分かる。でも観ていて何が起こるんだろうってわくわくするんだ。」すると今度はベレンが「歌い手もギタリストもあなたのことをしっかりみていて、あなたも歌もギターにも反応していて、ものすごいつながりがあった。」と。そしてダビが言いました。「今のフラメンコは観ていてつまらないんだよ。何もかも全部お膳立てされていて。きっと踊り手は違う歌が歌われたりすると対応できないのが怖くて、なんでも事前に決めてしまうんだろうね。だからフラメンコがプログラム化されてしまっているんだろうね。」

う〜む。同意見。私のようなレベルの踊り手はお二人に意見を言えるような立場にはないのだけど。でもこう伝えました。「私には固定の歌い手やギタリストというのがいません。今日共演してくれたギタリストとは昨日初めて会いました。劇場公演と違ってペーニャ公演では事前の合わせというのはほとんどありません。歌い手が練習と違う歌を歌ったり、ギタリストが即興で全然違うことを弾き始めることもしょっちゅうだから、確かに緊張します。でもそれで私は学べるから、事前に細々決めたりはしません。即興がうまくいく時もそうでない時もあるけれど、全部自分の勉強になります。」

その後ベレンは「一つだけアドバイスしてもいい?」とおっしゃり、私のアレグリアスについて直した方がいい部分を1点教えて下さいました。ありがたや〜ありがたや〜。大変大変貴重なアドバイスでした。ベレンのような素晴らしい踊り手に公演を観に来て頂いて、喜んで頂いて、アドバイスまで頂いて、これ以上に望むことはあるのかな。

ようやくトンネルから抜け出す時が来たようです。 (写真:アントニオ・ペレス)

2012年6月3日 今日はIKEAに行ってバタ・デ・コーラがすっぽり下に入る大量収納付きベッドを買ってしまいました。明日から倹約します。。。