Sep 13

soto01soto02みなさんこんにちは。先程の続きのブログです。

キッド・アイラック・アート・ホール(東京/明大前)にて「第3回アントニオ・ペレス来日写真展」と「第3回萩原淳子フラメンコソロ公演」を今年の夏に開催することを決めたのが昨年末。とはいってもアントニオと私で決めただけで(笑)そこから具体的な開催に向けての段取りと調整が始まりました。日程、経費。この部分をまず固めるためにホール側と連絡を取り合う。日程はそれ程でもありませんでしたが、経費に関しては苦心しました。恐らく世の中のフラメンコ舞踊家がフラメンコ公演をするにあたり、公演で大儲けすることはほぼないと思います。収支トントン、もしくは赤字。その赤字をどこまで少なくするかに懸けている舞踊家も多いでしょう。いかに経費を削るか、でも公演の質を落とす事なく。秘書や経理スタッフがいる舞踊団や舞踊家だったらそういう計算は全部おまかせでいい。でも私にはいない。自分でやらなければ。アントニオに話してもお金に関しては全然分からないみたい(笑)だから経費の計算は私がやっています。相当頭脳を使います。そう、踊るだけじゃないんです。

なんとか経費面でクリアーし、開催可能と判断して日程も決定。それが今年の1月中旬くらいだったかな。ちょうど、日本に一時帰国していた時でした。2月上旬に会場下見。1階ホールを実際に自分で見て、客席数、舞台設置方法、公演の演出がどのようにできるのかを確認。可能性を探る。ただ何曲か踊るだけならタブラオでいい。でもこのホールを使うからには、このホールでしかできないことを最大限行う。最大限引き出す。客席40の小空間ですから、大きな劇場ではできないことがたくさんある。でもでもだからこそできることもある。それは何か?

そして会場貸出料の内金をドンっと払う。払ってしまう。払ってしまった。

その後2月中旬、またセビージャに戻る。そこからが本当に忙しかった。戻ってすぐに1週間へレスのフェスティバルに参加。3月はセビージャでライブ出演続き。そして4月中旬から5月中旬の1ヶ月間また一時帰国することになっていたので(イベリアさん主催フラメンコフェスティバル福岡&大阪公演出演のため)、その間の東京・大阪・福岡で開催のクルシージョ準備。日本への帰路で4月上旬、イタリアのトリノコンクールに出場。

そしてその目まぐるしい日々の中、公演タイトル「人はなぜ絵はがきの風景を探すのか?」の決定。そして公演フライヤーの写真撮影。

毎回の公演の度にたくさんの人から言われます。「すごいタイトルですね」確かに一般的なフラメンコ公演のタイトルにしてはちょっと変わっているかも。でも元には、公演を通して何を伝えたいか?それがあります。今回の公演はポストカードをモチーフにしたアントニオの写真展「Nuevas postales, nuevos postales」と同時開催のため、私の公演でも絵はがき(ポストカード)を軸に考えてみようと思っていました。タイトルは疑問形になっていますが、私の中では疑問ではありません。疑問形をとることにより、この公演タイトルを読んだ人に考えてほしかった。ただ “フラメンコの公演を観に行きました、とっても楽しかったです。” という小学生の夏休み日記にならないために。

ちなみに、公演タイトルを考えるのに、ドラマの小説家のように書斎にこもったり、原稿用紙をくしゃくしゃに丸めて捨てたりしません。(笑)ネットサーフィンするここともありません。そのアイディアは突然やってくる。とにかく歩くのです。セビージャの町中を歩く。歩いている時にやってくる。でもアイディアを練るために歩くのではない。ただ歩いている時。スタジオに行く時、スーパーに行く時、飲みに行く時、フラメンコを観に行く時・・・etc。なんでもいいのです、ただ歩いている時に、なぜかハッとそれが浮かんでくる。思いついたらすぐアントニオに報告する。誰かに言わないと忘れちゃいそうだから。そんな時アントニオにいつも言われることは「紙に書け」。頭の中に浮かんだ事を言葉にするだけでなく、実際書くことによってさらに具体的になるし、問題点も見えてくるのだそうです。

本当のこと言うと、紙には書かずにワードに打ち込み、パソコンの中に保存しています。書いても書いた紙を失くしてしまうので(笑)。一発でこのタイトルだ!と決まる場合もあれば、多少字句を変えてよし!と決める場合もある。でも自分の中でこれでいく、と納得できないものは採用しません。

Postal57-1973「人はなぜ、絵はがきの風景を探すのか?」フライヤー写真そして公演フライヤー写真。タイトルから絵はがきを使うことを決めていたので、自分の中で強烈な印象のあるセビージャの絵はがきを選びました。フラメンコを始めたばかりの頃、かれこれもう20年も前になりますか・・・、フラメンコのことなんて何も知らずに初めてスペイン旅行した時に町中で見つけた1枚のポストカード。なんだか分からないけど、これがフラメンコなのかな?!とビックリした1枚。

このポストカードを公演フライヤーに使おう。そうアントニオに伝え、OK! と言ったアントニオがとった行動は、ポストカードを真っ二つにビリっと破ったことでした。(笑)そして本人の写真展作品のように、破ったポストカードの女性の顔の半分と私の顔の半分をで一つの顔にする。そうして公演フライヤー用の驚くべき写真が出来上がったのでした。

(・・・続く)

2015年9月13日 セビージャにて。

Sep 13

soto01soto02みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

やっとゆったりした週末がやってきました。久しぶりです。日本にいた約3ヶ月間は平日も週末も関係なく、毎日クラスや個人レッスン、公演や写真展の準備、事務作業に負われていました。寝るのもいつも夜中3時くらいになってたな〜

ここでやっと、第3回萩原淳子フラメンコ公演「人はなぜ、絵はがきの風景を探すのか?」を振り返る事ができそうです。まずは、公演にお越し下さった皆様ありがとうございました!そして共演のエミリオ・マジャ、エル・プラテアオ。会場となったキッド・アイラック・アート・ホールの早川さん、工藤さん、公演お手伝いをして下さった生徒の皆さん、そしてアントニオ・ペレス!皆様本当にありがとうございました。お陰様で無事に、そして大盛況のうちに幕を閉じることができました。

第3回目のソロ公演を開催することは、昨年同会場キッド・アイラック・アート・ホールにて「第2回アントニオ・ペレス来日写真展」と「第2回アントニオ・ペレスの仲間たち」フラメンコライブを開催した後になんとなく決めていました。昨年は第1回目に引き続き、写真展×フラメンコライブの同時開催。たくさんの素晴らしい共演者の皆様に支えられて素晴らしいライブ(ギター1、カンテ1、踊り4名によるタブラオ形式ライブ)を開催することができました。ただ・・・その中で第3回目も同じ写真展×フラメンコライブにするのかな?という疑問も湧いてきたからです。同じことを繰り返す事によってプラスになることもある。でもあえて3回目は形式を変えてみようかな、と。

ただ単に写真展とフラメンコを同じ会場で同時開催するのではなく、写真展のテーマとフラメンコのテーマを共有させたい。写真展とフラメンコで2つで1つ。ただし、どちらかが欠けたらどちらかが存在できないのではなく、写真展もフラメンコもそれぞれ個別でもきちんと成立する内容にする。お互い自立しているからこそ、2つが合わさった時にさらに強力な新たなエネルギーを生み出す。写真とフラメンコと芸術の分野は異なってもお互いそれぞれのアーティストの視点から同じテーマを掘り下げる。お客様に訴える。そんな「写真展×フラメンコ」にしたい、そう強く思うようになりました。

第3回目のソロ公演の案は元々ありました。写真展との同時開催ではなく、将来的にいずれ劇場公演にしようと思っていた案です。アントニオにその元案の公演について説明し、その元案のテーマと近いアントニオの写真展内容を選びました。その写真展の内容が今回発表した「Nuevas postales, nuevos viajes」。直訳すると、「新しいポストカード、新しい旅」。観光用に販売されているポストカードを破り、それを実際の風景と照らし合わせて写真を撮る、アントニオ・ペレスのプロジェクトです。その意義を以下のように語っています。

 本展〝Nuevas postales, nuevos viajes〟では様々な国の観光用ポストカードを使い、私達の持つ固定観念や既成概念に一石を投じたいと思っています。各都市の観光イメージの代表であるポストカードはどこでも誰でも簡単に購入できます。そのポストカードを破り、実際の風景と照らし合わせてみる。一致することも、一致しないこともあるでしょう。しかし私達はその新しい写真を通して、普段見ているもの、もしくは見ていると思っていたものに関して改めて考えざるを得ない。私達が持つものの見方、考え方はもしかすると制約された中でのものに過ぎないのかもしれない。そしてそれは時として偏見とも呼べるかもしれません。この写真展は私達を様々な都市、国、大陸へと誘い、私達の視野と価値観を旅立たせてくれることでしょう。

〈アントニオ・ペレス〉

セビージャに住み始めて13年。ずっと私が抱いている感情があります。「なぜ人は既成概念を持つのだろう」「なぜ、固定観念から自由にならないのだろう」セビージャに東洋人がいるということ。その東洋人がフラメンコを踊るということ。その東洋人がスペインのコンクールに出場するということ。賞がとれること。賞をとらせてもらえないこと。踊ること。踊らせてもらえないこと。特にここ数年、この状況の中で闘って生きています。そしてそれはスペインだけではない。日本に帰っても同じこと。同じ日本人なのに、色眼鏡で見る人。自分だって日本人なのに同じ日本人を差別する人。それに気付いていない人。なんなんだろう、この状況は。

写真展と同じく、この公演のテーマは「固定観念」「既成概念」を打ち破る。

それはフラメンコにもあてはまること。いや、フラメンコにというよりフラメンコに携わる人に、と言った方が正しい。自分も含めて。フラメンコは無限の芸術だと思う。でも「フラメンコは○○でなくてはならない」「□□ではフラメンコではない」とフラメンコに携わる人が考えることによって、フラメンコは限定されてしまっている。そしてそれを盲目的に鵜呑みにする人によっても。

時にはネガティブに考えてしまうこともあります。もちろんその感情を元にして公演を作ることもできた。自分の怒りや悲しみ、苦しみを公演を通して爆発させる方法。でもそうではなく、同じテーマであっても、それを笑い飛ばしたい。だから何なんだ、それがどうしたって。それでも私は生きている。それがあるこそ私はたくましく生き抜く。マイナスのものをプラスに変えられるからこそ私の人生。プラスだけの人生なんてありえない。あったとしてもつまらない。そのエネルギーがこの公演を開催する意義、原動力。ハビエル・ラトーレも言っていた。「自分の人生を生きていなければ公演は作れない。生きているからこそ公演ができる。」そうなんだよ。だからこそそのエネルギーは観客に伝わる。伝えるべきものがあるから。

じゃあ、どういう形で伝えるのか。それが次の問題。

フラメンコで新しいことをしようと、何か別のジャンルの音楽や舞踊と混ぜてみたりする傾向も現代ではある。・・・間違いではない。人それぞれ表現方法というのがあるから、それがフラメンコの本質に根付いて本質と対峙した結果であるならいいと思う。フラメンコの音楽や舞踊の表面的ないいとこ取りでなければ。でもそうすることで、自分でフラメンコに限界を作っておきながら、フラメンコの可能性を新しく開拓している、つもり(?)の公演も実は多いのではないか・・・

そんなことをいろいろ考えながら、決意を新たにしました。私の公演はフラメンコで行く。フラメンコそのもので勝負する。なぜなら私はフラメンコ舞踊家だから。

そこは譲らない。でもどうやって?さらに、アントニオの写真展と同時開催するにあたって、どうその写真展と絡めてゆくのか?どうシンクロさせてゆくのか?

そして会場。昨年と同じキッド・アイラック・アートホール。とても素敵な会場。5階建ての建物で3〜5階がギャラリー、1階がホールになっています。一昨年、写真展とフラメンコライブが同時に出来る会場を、と血マナコになってネットで探し当てた会場。昨年は5階ギャラリーのフラメンコライブ開催だったけど、今度は同会場1階ホールでフラメンコソロ公演の開催。“ホール”と言えど、客席40の小さな小さな濃密空間。大きな劇場ではない。でもタブラオでもない。その空間をどう活かすのか?箱が変われば公演内容も演出も変わるから・・・。

それを徹底的に模索する日々が始まりました。昨年末のことでした。

(・・・続く)

2015年9月13日 セビージャにて。

Sep 12

11059887_10153612477566228_1331998198554053674_n12003420_10153612478281228_2463252826054617201_nみなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

またまた怒濤の日々が過ぎています。

お陰様で「第8回大阪クルシージョ」そして「第2回アントニオ・ペレスの仲間たちen OSAKA」フラメンコライブが終了し、バタバタと一昨日セビージャに着きました・クルシージョ受講生の皆様、ライブにお越し下さった皆様、共演者の皆様、誠にありがとうございました!

大阪でのライブは昨年の熱いライブに引き続き2回目。お客様や共演の皆様からの熱い熱いご要望にお答えしての第2弾でした。日曜の夜のライブでしたがチケットも早々に1部は100席完売、2部も8割型お席が埋まりました。たくさんのお客様にお越し頂き大変感謝しております。今年も昨年に引き続き充実したライブとなったように思えます。個人的にはその前の週の東京での写真展&ソロ公演のすぐ後だったので調整がイマイチではありましたが、お客様、共演者の皆様のお陰で楽しく過ごすことができました。終演後もたくさんの方々から「是非また来年も!!!」とたくさんのお喜びのお声を頂き嬉しく、また主催側としてほっとしました。本当にありがとうございました。

また、「関西方面でのアントニオ・ペレス写真展を開催してほしい」というアンケート結果もたくさん頂きまして、将来的に東京同様、写真展&フラメンコ企画を関西方面でもできればいいなと思っています。会場探しがなかなか難しい部分もあるのですが・・・(こんな会場があります!とご存知の方いらっしゃいましましたら是非ご連絡下さいませ!!!→こちら「連絡先」

アントニオ・ペレス撮影のライブ写真は現在準備中ですので、出来上がり次第またこちらのブログにアップさせて頂きます。お楽しみに!!!

そんなこんなで大阪ライブの後、バタバタとセビージャに戻りました。

セビージャに無事に着いたのはよいのですが・・・着いた途端・・・

①洗濯機が壊れ、台所水浸し

②モップで床を拭いている時に、バケツをばきっと割ってしまう。(マントンでの練習で腕っぷしがさらに強くなった萩原)

③アントニオがベランダで水やりをしていた際に、下の広場で食事をしている人達の頭上にまで水やりしてしまう。

④湯沸かし器が壊れ、お湯が出ず。

⑤なぜかお風呂の表面がハゲて鉄むき出し。

ってな感じで、これでもかこれでもかと災難(?)が襲ってきました。アントニオは「なんでこんなことが起こるんだ!!!」と怒っていましたが、私は別に。「だからセビージャに着いたんだって」(笑)

そうなんです、これがセビージャの生活。日本みたいになんでも便利でスムーズにはいかないんです。これは何年経っても一緒。留学当初はの頃はすごくストレスだったけれど、慣れました(笑)。慣れなければここでは生活してゆけない。セビージャは変わらないんです。だから変わらなければならないのは私。変わるといううか、その生活を受け入れる引き出しを用意する、と言った方が的確かもしれません。もしセビージャ留学を考えている方がいらっしゃいましたら、ちょっと知っておくといいかもしれませんね。(笑)特に長期の方、留学というのは学ぶだけでなく、生活がセットになってますから・・・

今となっては、そうですね、全くストレスがないと言ったら大袈裟ですが、この不便さが好きです。この不便さがないとセビージャではない。便利過ぎる日本の生活がちょっと恐く思うこともあります。便利なことはいいことだけれど、それと共に失ってしまっていることってあると思うから。そして便利に慣れるとそれに気付かなくなってしまう・・・。

とはいえ、着いて早々新しい洗濯機を買うはめになり、449ユーロの出費。・・・とほほでもあります。(涙笑)

まあ、こんな感じでまたまたセビージャ生活が始まりました。これからもブログを更新しますので皆様、またお会いしましょう!季節の変わり目、どうぞご自愛下さいませ。

2015年9月12日 セビージャにて。

Sep 6

CARTEL.inddCARTEL.inddみなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

日々が怒濤の如く過ぎてゆきます・・・

ブログ更新が遅れていますが、その間、先週「第3回萩原淳子フラメンコソロ公演“人はなぜ、絵はがきの風景を探すのか”」、「第3回アントニオ・ペレス来日写真展“Nuevas postales, nuevos viajes”」が終了。一昨日と昨日の「第8回大阪クルシージョ」も終了。公演、写真展、クルシージョにお越し下さいました皆様、誠にありがとうございました。改めてアントニオ撮影の写真等もアップしブログにしたいと思います。

そして、本日は「第2回アントニオ・ペレスの仲間たち en OSAKA」ライブ

1部はお陰様で完売御礼となっております。

本日、19:30より会場受付にて2部20:00開演のライブ当日券(4500円)を販売致します。ご希望の方は直接会場までお越し下さい。

会場スタジオ・ラ・クーナさん(大阪/堺筋本町)→地図はこちら

実は大阪の前にも京都に行ったり、昨日の大阪クルシージョの後もまた京都へ、森田志保さんの公演に伺ったり。あっちこっち動き回っていますが(だから日々が怒濤・・・)でもなぜか元気。きっといいパワーをたくさんの方々から頂いているからかな????

そんなわけで、今日のライブも楽しまさせて頂きます!うふふ。

2015年9月6日 堺筋本町のホテルにて。

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