Mar 15

DSC_2037DSC_2069DSC_2073DSC_2030DSC_2184DSC_2213DSC_2219DSC_2225DSC_2232DSC_2253DSC_2276みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

先日の「フラメンケリア」ライブでの写真(アントニオ・ペレス撮影)をアップします。ライブではバタ・デ・コーラ(裾の長い衣装)でグアヒーラを踊りました。バタでのグアヒーラをライブで踊ったのは初めて!当日は時間がなくて事前の合わせがほとんどできなかったので、即興の部分が結構多かったかなあ。特に歌の部分はグアヒーラの場合は長さが変わるので、バタで即興というのはやはり難しかったです。アレグリアスやソレアはバタで何回も踊っているので即興でも慣れてきましたが、グアヒーラはそれ程人前では踊っていないので・・・。コンパスを外したりとかそういう問題ではないのですが、歌との絡みがあともう一息だったかな。それは今後の課題。がんばろ。

お客様からはたくさんのお喜びのお声を頂き嬉しかったです。本当にどうもありがとうございました!!!

バタのグアヒーラを今回踊ってみてよかったです。共演の平山奈穂ちゃんがソレア、大井昌子ちゃんがタラントを踊るのは決まっていたので、じゃあ私は明るい曲がいいかなと思って、アレグリアスにするかグアヒーラにするかちょっと迷いました。アレグリアスは鉄板。バタでもマントンでもOK!でも毎回観に来て下さるお客様もいらっしゃるから、今回はよく踊るアレグリアスではなく、グアヒーラにしてみようと。

最初はバタではなく、普通の衣装のグアヒーラを踊るつもりで練習していたのですが、本番数日前から「バタで踊ってみようかな」とふと思ったんです。というのは、前回のヘレスでのライブをご覧になったフラメンコジャーナリストの志風恭子さんのお言葉がずっと頭のどこかに残っていたから。

「萩原はアレグリアス。バタやマントンではなく、普通のワンピース。 抜群の安定感。表情もよく、いうことはない。現時点でできることは全部やってる、という感じ。長年スペインで舞台に立ってきたという自信が、実力。その先に行くのはもっと難しいんだよね。がんばれ!」
(志風恭子のフラメンコ最前線「ヘレスのフェスティバル三日目 オフ・フェスティバル/松彩果と萩原淳子」→http://noticiaflamenca.blogspot.com/2019/02/blog-post_25.html より抜粋)

「その先に行くのはもっと難しいんだよね。がんばれ!」

このお言葉がずっと残っていて・・・。

「その先」というのが自分にとってどこなのか、そしてこれからの残された人生の中で「その先」にどう向き合うのか、どう向き合えるのか、ということを考えていました。今まだ、自分にとっての「その先」というのがうまく見えていないし、分かっていないというのが正直な所。でも今の自分がやるべきことは、今の状況に安住しないこと。なんでもいい、とにかく挑戦すること。それは他人から見たら大したことではないのかもしれないけれど、自分の中で毎回小さな目標を作ってそれに向かっていこうと思ったんです。

もちろんいつも踊っている曲を毎回踊って、それを深めていくということも重要です。でも最近の自分は、いつも踊っている曲なら安心ってどこかで逃げている部分もあったような気がする。だからそれを思い切ってバッサリ断ちたいと思った!

それが今回のライブでは、ではグアヒーラをバタで踊ってみよう、初めての踊りに挑戦してみようということでした。本当に大したことではないですけど(笑)

でもいいんです。

まずは

「隗より始めよ」です。

先述の通り反省点はあるけれど、新しい曲に挑戦するというのは単にレパートリーが増えるということではなく、違うカンテ(歌)を聴くことで、新たな自分を発見すること。その歌、その歌を感じる自分の引き出しが増えてゆくこと。それって素晴らしいことではないかなと私は思う。フラメンコにはたくさんの歌がある。その歌独自の特色がそれぞれある。なぜならその歌によって由来、歴史、土地、コンパス、歌詞などが異なるし、さらには歌い手によっても歌い方が全然変わってくる。だからそこから生まれる踊りというのも当然変わってくる。このフラメンコの豊かさというのが、フラメンコの素晴らしい魅力の一つだと思う。そしてその豊かさを享受できる耳と心を持っていることも幸せなことだと思う。自分が踊る踊らないは別にしても。

そんなことも思いながら、夫が撮ってくれた写真を眺めていました。ご覧頂けるとお分かりになるかと思いますが、一般的な写真とブレているような写真があります。このブレの方はなんなのだろう?と思われた方もいらっしゃるかな?実は、このブレはガラス窓を撮影しているからなんだそうです。フラメンケリアのタブラオは、グアダルキビル川のほとりにあり、タブラオの側面がガラス張りになっていてタブラオの向こうに川が見えるようになっているんですが、そのガラス窓に映った像を撮影している。おそらく防音のためかガラス窓は分厚いはずなので、それによって像がブレて見えるというわけ。だから写真はガラス窓に映っている私(タブラオ内)とガラス窓の向こうのグアダルキビル川の像(タブラオ外)がミックスされて一つの像になっている。ちょっとややこしいですが、窓ガラス越しに、窓ガラスに映った自分と窓の外の風景を同時に見ている感じ。鏡だったら鏡の向こう側の像は見えないけど、窓ガラスだったらそれが可能なわけですね。

夫は言っていました。踊り手のかっこいいポーズの写真だけを撮るのはつまらないと。それはある程度の技術があれば誰にでも撮れる、確かにそれは分りやすいので一般ウケするし、需要があるからプロとしてそういう写真は撮る。でもそこには写真家としての創造性がないのだと。自分が写真を撮るときには、いつもその創造性を発揮させるようにしているのだと。そうでなければ、いつも同じような写真の繰り返しにしか過ぎないのだと。

夫はアーティストだ。

私も見習わなくてはならない。

2019年3月15日 セビージャにて。

Mar 13

スクリーンショット 2019-03-13 9.56.3454435433_2016363388470072_3635159963128561664_nみなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

お陰様で昨日の「フラメンケリア」でのライブは無事終了しました。ご来場下さいましたお客様、ギターのミゲル・ペレス、カンテのクリスティーナ・トバル、そして今回のライブ主催の福岡の踊り手さん、平山奈穂ちゃん、共演の大井昌子ちゃん、ありがとうございました!!!

今回のライブはいろいろと考えることがありました。福岡在住の平山奈穂ちゃんは私より10歳年下。そんなこともあって、自分がその年の頃のことを思い出したり・・・。あの頃はセビージャで外国人が踊るということはほとんどなかったから、実力をつけてここで踊り手としてやっていくために、スペインのコンクールに出場したり、賞を頂いたり、それでもなかなか外国人、特に東洋人ということもあって本当に大変な思いをしていたような気がする。

踊る場所もそうだけど、共演者探しも大変だったり・・・。今じゃスペインは不況だから、何人(ナニジン)だろうと仕事になれば引き受けてくれる場合がほとんどだ。もっと言えば、泡よくば日本に連れて行ってもらえるかも?なんて思って、おべっかを使ってまでも日本人と仕事をしたがるアーティストだっているくらいだから。でも10年前は「誰?日本人?なんで俺が日本人なんかに歌わなくちゃなんないわけ?」とか平気で人前で言っている人もざらにいたし。

それからギャラ(出演料)の交渉。「日本人なんだからカネ持ってんだろ」みたいのがミエミエで高いギャラをふっかけてくる人もざらにいた。もちろんそういう人にはその時点で断っていただけど、状況によって共演アーティストを自分で選べずに、主催者側がセッティングする場合もあって、今でも信じられないけど、ギャラを横取りされたこともあった。悔しかったという言葉では済まされない。あれはなんと表現すれば良いのか。

共演者はギターとカンテだけではない。意地悪な踊り手もいた。意地悪されても、結局そういう踊り手は実力がないからそういうことするんでしょ、って思うようにしていた。そんなの屁のカッパって思わなければやっていけない。さすがに靴の中に画びょうを入れられたことはなかったから(マンガの読みすぎ?笑)身体に危害を加えられたことはなかったし、その意味では問題なかったけど、意地悪されたことって忘れないよね。もちろん根に持ったり逆恨みしたりする訳ではなく、自分がされて嫌なことは他人にはしないという話。とは言え、やっぱりプロのスペイン人の踊り手達だったから、ありがたく学ばせて頂いた。実力がないって言ったって、私の方がもっと実力がなかったし実践にも欠けていた訳だし。

いろんなことがあって、いろんな人がいて、いろんなケースがあった。私はそういうのをうまく流して世渡りすることが苦手だから、その度にいつも自分の部屋で泣いてた。でも泣いているだけでは踊り手になれないから、そこから何かしらつかむように、学ぶようにした。それがなかなかうまくできなくて、でもやるしかなくて。やらなくてはならないと分かっていても、やり方が分からなくて、周りに相談したくても「じゃあ日本に帰れば」とか「結局日本人には無理なんだよ」と言われるのが怖かった。今思うと、もっと人に頼ればよかったのかもしれない。全部自分で背負わないで。でもあの時の自分はそれができなかったんだな。

でもそれでも自分がつぶれずに今に至っているのは、素晴らしい人達にも恵まれたからだと思う。比率で言えばそういう人達の方が少ないような気がしないでもないけど(私の経験上。笑)本当に素晴らしいアーティストというのは、人としても素晴らしい。人として公平だし、他人を助けてくれる。実際に本当に助けてくれるかどうかは別としても、助けるための心は開かれている。

どんなに歌やギターや踊りがうまくても、どんなに世の中でもてはやされていても、そこに人間性が伴っていない場合、金メッキは剥がれるよ。その時はいいかもしれないけれど。そんな人達を何人も見てきた、この10年間。

そういうのが見えるようになったのも、一つの成長といえるのかな。

だからこの10年間自分で学び取ってきたことは自分の財産。それが今の私と今の踊りに繋がっているんだって、長い年月を経てやっと自分で納得できるようになってきた。

でもそこで止まってはいけない。過去を振り返るのは今の自分を知るため。そしてその今はもうすでに過去になり、未来が始まっている。

今回のライブで踊ったのは、バタ・デ・コーラのグアヒーラ。バタで即興でグアヒーラを踊るのはまだ難しかったけど、挑戦してよかった。

挑戦しなければ未来はない。私にとっての未来とはそういうもの。

踊る曲だけじゃなくて。

2019年3月13日 セビージャにて。
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お客様から頂いたお写真を以下アップします。ありがとうございました!
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Mar 11

_DSC6334_DSC6345_DSC6435_DSC6446_DSC6387_DSC6569_DSC6623_DSC6692_DSC6946_DSC6987_DSC7000みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

先週は、セビージャにあるアメリカ人学校の生徒さん達に「初めてのフラメンコ講座」を開講させて頂きました。今回で3度目、毎回お声かけ頂きありがとうございます!

クラスでは、まずはパルマでタンゴのコンパス、リズムの締め方を学び、その後は女の命、手の動きを学びました。いくつかのマルカへ、ファルダ(スカート)の使い方を学んだ後、実際にタンゴを踊ってみる!みんな生き生きしてました。その後試しにアバニコを渡してみるとテンションが更にアップ!あっという間の1時間でした。

写真:アントニオ・ペレス

2019年3月11日 セビージャにて。

Mar 4

スクリーンショット 2019-03-04 11.22.02みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

タイトル通り、ただいま私は花粉症です・・・。「スペインに花粉症はあるのですか?」とよく聞かれますが、あります。有名なのはオリーブの花粉。周りのスペイン人で花粉症の人、結構多いです。夫アントニオも花粉症なのですが、なぜか今年は私の方がひどい。おっかしいなーと思ってネットで調べてみました。

なんと、現段階ではまだオリーブの花粉は飛んでいない。飛んでいるのは「Ciprés」イトスギの花粉とのこと。スギ花粉????いや、調べてみたらイトスギはヒノキ科らしい。ということはヒノキ花粉???(左スペイン地図、赤い部分がイトスギ花粉が飛んでいる地域・・・)

600px-Van_Gogh_-_Country_road_in_Provence_by_nightそれにしてもイトスギって・・・あー、あの、ゴッホも描いたイトスギか。(左:「糸杉と星の見える道」)にしても、イトスギなんてどこにあるんじゃ???と思ったのですが、ありますあります。墓地です。ヨーロッパではイトスギは死や喪の象徴らしく、また天高くまっすぐ伸びてゆくことから、墓の木とされているそうです。うわー墓場からきた花粉にやられているわけか、私。

ネット情報によると、2/27〜3/6までで飛んでいる花粉は上記のCiprés(イトスギ)、それからOrtigas(イラクサ)、Alisos(ハンノキ)、Olmos(ニレ)だそう。そしてこの花粉時期が過ぎると、スペインの本格的な花粉、オリーブの開花が始まり周りが花粉症になってゆく。(その時期になると私は全然平気!笑)こちらではマスクをつける習慣がないので、みんな大変よ。花粉症用の薬を飲んだりはするみたいですが。

そんなこんなでくしゃみが止まらず、喉がガラガラ、声がおっさんみたいになっている私ですが、来週火曜のライブに向けて練習中です!福岡の踊り手さん、平山奈緒ちゃん企画のセビージャライブにお声かけ頂きました。セビージャ留学中の大井昌子ちゃんと私も含め、日本人バイラオーラ3名+ギター:ミゲル・ペレス、カンテ:クリスティーナ・トバルでお送り致します。奈緒ちゃんはソレア、昌子ちゃんはタラントを踊るとのことで、私は明るい曲かな、そうですね、グアヒーラでも。と思っています。セビージャにいらっしゃる皆さん、是非お越し下さい!

2019.3.12(火)//  フラメンケリア(Calle Castilla 94, Sevilla). 21:30horas . 10ユーロ

12 03

Baile Cante Guitarra
  • 平山奈緒
  • 大井昌子
  • 萩原淳子
  • クリスティーナ・トバル
  •  ミゲル・ペレス

グアヒーラを練習していると、アバニコで花粉とスタジオの埃がさらに舞う気がするのは気のせいか・・・(笑)

では日本の花粉症の皆様もお大事に・・・・

2019年3月4日 セビージャにて。

Mar 2

IMG-20190224-WA003451879016_2638092819564461_723855156499709952_n53179327_10157101816151228_8261710347971330048_o52920391_10157101816271228_1773578269250027520_oみなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

お陰様で先週日曜のヘレスOFFフェスティバル「ラ・グアリダ・デル・アンヘル」でのライブが無事終了しました!お越し下さいました皆様、ありがとうございました!

毎年2月下旬から2週間、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラという街で、フラメンコのフェスティバルが開かれます。その間毎日、劇場での公演、短期講習会などが開催され、世界中からフラメンコファンが集まる特別な2週間。その中でフェスティバル公式プログラム以外にも、ヘレスのタブラオ「ラ・グアリダ・デル・アンヘル」が主催するプログラムは年々人気を増しています。地元のフラメンコ教室の発表会からヘレスのトップアーティスト達まで幅広いラインナップ。

その中で「日本人の公演を企画したい」とグアリダの方からお声をかけて頂き、日本人3公演をオーガナイズさせて頂いたのが2年前。大沼由紀さん、中田佳世子さんにお声をかけさせて頂き、私も含めソロ3ライブとなりました。昨年はフェスティバルでの劇場公演出演が決まっていたためグアリダでのライブの方の出演はお断りし、そのかわり瀧本正信さん、秦晴美さん、小里彩ちゃんの公演をオーガナイズ。グアリダ側にもお喜び頂き、いい流れで今年の出演につながっていけたことを大変嬉しく思っています。

今年またお声をかけて頂いた時に、ちょっと考えました。ソロで出演してもいいけれど、それでは2年前と同じだなあ、踊る曲や共演アーティストが変わることがあっても・・・・。悪くはないけれど、それでは自分があまり成長しない。何か違うことを・・・と思って、今回はもう一人の踊り手さんとライブをしようと決めたのでした。誰がいいかなあ・・・。ここが難しい所で、二人でライブをする時のその相手との相性というのは重要になってきます。どんなに踊りが素晴らしくても、人間的にこの人とはちょっと・・・という時はいいライブにならない。

そこで考えたのが、「あーしゃ」こと、松彩果(まつ・あやか)さんとの共演でした。あーしゃとは日本で何度かタブラオでのライブで共演させて頂いていました。それというのも、私の帰国の度にあーしゃが一緒にライブやろうよ、といつもお声をかけてくれたから。そのあーしゃが今セビージャに留学中ということもあり、じゃあ、今度は私がスペインでのライブにお声かけしようと。

それともう一つの決定打は、あーしゃと私の性格が全く正反対ということ。(笑)本当に違うんですね、私が「石橋をたたいて渡る」としたら、あーしゃは「石橋をたたいて割る」(笑)。でもあーしゃのすごい所はそれでも渡っちゃうところ。そんな、私が持っていない素晴らしいものを持っているあーしゃとだったら、きっと面白いライブができる!あーしゃからたくさんのことを学ばせてもらいたい!

あーしゃからは二つ返事でOK!今回のヘレスのフェステイバルに合わせて開催されたトリノのコンクールに出場を決めていたあーしゃ。日程は重なってはいなかったものの、かなりのハードスケジュールだったと思います。そして4月から小学校に入るとーまくんとの子連れ留学。自分の踊りのことだけじゃないよね・・・。本当にすごいなあと思います。

想像はしてたけど、本番に至るまでいろいろなことがあったなあ。共演アーティスト決めから、二人で踊るオープニングの合わせものの振付、そのオープニングの衣装決めも含めて。なんせ性格も物事に対するアプローチの仕方も全く異なるので、あーしゃといるとハラハラ。でもそれも含めて共演をお願いしたから、私はその違いを楽しむように、そこから、ああ、あーしゃだったらそうするんだ、とかこう思うんだって、自分にないものを学ぶようにした。繰り返しになるけど、あーしゃには私がないものがある。それって素晴らしい。だってみんな同じだったらつまらないでしょ?夫アントニオからも「あーしゃと君の踊りは全然違う」と言われていて、だから私はいいんだと思ってました。二人でライブして似たような踊りだったら一人でいいじゃないかという話になるわけだし。だから、全部ひっくるめて興味深く、楽しく、勉強になった日々だった。ありがとう、あーしゃ。

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53468094_10157101811066228_5823004252032729088_oその後はアナのカンテ・ソロ。このタンゴがまた凄まじく、裏で私はアレグリアスの衣装に着替えながら、こりゃ着替えているのがもったいないわ、と思っていました。客席で聴いていたお客さん、ラッキーでしたね!

53577780_10157101813586228_4632539897125666816_o52932090_10157101813301228_2365815072086818816_o53510654_10157101813931228_3256538813366796288_o53150261_10157101813946228_6652931988208484352_o53203743_10157101814646228_2645814946574630912_oその後は私のソロのアレグリアス。このライブの締めになるので、絶対コケられない、でも気負いすぎない・・・。

本番のあの日は午前中の合わせの時から、こりゃ手強くなるなと思っていました。合わせと言っても、こちらの構成を覚えてもらうというよりは、私にとって重要なのは、彼らがどんな人間でどんな弾き方をするのか、という情報を少しでも多くキャッチしておくことなんです。彼らと共演するのは初めて。もちろん彼らの舞台というのは観たり聴いたり、それはYoutubeでもチェックできるけど、やはり自分が舞台に立つ時、自分と共演する時というのはまた感覚が異なることなんです。実際会った時の挨拶の仕方、会場への入り方、交わす会話、仕草、目線など、踊りの合わせ以外の部分でもこの人がどんな人なのか感じられる部分というのはたくさんあります。本人は何気なく言ったちょっとした一言にその人の人間性が現れている場合もあります。そして、セビージャのアーティストとヘレスのアーティストという括りでも大きく違う。

そんな中で、我を通して彼らを踏みつぶすわけでもなく、また逆に彼らに巻かれるわけでもなく、どうやって彼らの良さを尊重しながら、自分の踊りを踊れば良いのか、それは本当に微妙で絶妙な「駆け引き」でもあります。もちろん彼らはそんなこと考えていないわけで、考えているのは私なのですが・・・。ただ考え過ぎてもそれはダメ。彼らのギターや歌に委ねる自由さも必要なわけで。でも全部委ねればいいかという問題でもなく。手綱はやはり踊り手が引いているわけです。うーん難しい。ブログに書くのは簡単ですけど。

そんなこんなで本番中は、どちらかというと、彼らの、ヘレスの音をキャッチするための自分のアンテナが張りっぱなしだったかなあ。その部分で終わった後、どっと疲れが出た。(笑)でも今思い出してみると随所で歌やギターから即興で出てきた自分の踊りもあったかなあ、その部分は楽しめたのかなあ、なんて思い出しています。

52901555_10157101815381228_137765937922179072_o53259885_10157101815451228_6881859779514335232_o

52920514_10157101815061228_6189951654914162688_o私のブレリアの師匠、アナ・マリア・ロペスにもお越し頂きました。2年前くらいの、やはりグアリダでヘマ・モネオのライブをアナ・マリアと観たことがあります。今をときめくヘマ・モネオ。そのヘマの一番最初の先生がアナ・マリア・ロペス。目をキラキラさせなが53580531_10157101814981228_3675357992275935232_oら我が愛弟子を誇らし気に見守り、ハレオをガンガンかけているアナ・マリア・ロペスを見て、いつか私も踊りを観てもらいたいって思っていました。これまでに何度かヘレスで踊る機会はありましたが、舞台での踊りを観て頂けたのは今回が初めて。アナ・マリアにはたくさんのことを教えてもらい、私がセビージャに住んでいても、いっぱい愛情を注いで頂いてます。私は本当に幸せな生徒。アナ・マリアから教えて頂いたことは忘れない。どこに住んでも誰と共演しても。

そして会場となったグアリダのスタッフ。彼らのプロフェッショナルな働きぶり、こんな私でも一人のアーティストとして迎えてくれました。彼らのフェスティバルで2度目の出演となったこと、本当に感謝しています。私の踊りを信じてくれてありがとうございました。

それから、いつも忘れられない瞬間を切り取ってくれるアントニオ。その瞬間があるから写真がある。でもその写真があるからこそ、その瞬間を忘れられなくなる。ありがとう。

というわけで、いつもながら(笑)長いブログになってしまいましたが、応援して下さる皆様、ブログをお読み下さる皆様、ありがとうございます。

また精進しよう。

舞台写真:アントニオ・ペレス

以下はおまけの写真。あーしゃと、とーまくんとアントニオと私のリラックスタイム。(笑)

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52874808_10157094602656228_4018188745768435712_o

2019年3月2日 セビージャにて。