Jun 11

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

2011.6.29 //  “ミエルコレス・ア・コンパス” カルトゥッハ修道院(セビージャ)21:00開演

入場料:3ユーロ

Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • ヘロモ・セグーラ
  • ハビエル・リベーラ
    • ミゲル・ペレス

今週は大変、くたくたの毎日でした。今は金曜の夜。お友達の家の屋上でのフィエスタ(パーティー)に誘われましたがお断り。最近は土日もクラスを行っているので休む暇がありません。そして今月24日にはカディスのアレグリアス・コンクール出場、29日はセビージャのソロ公演 “ミエルコレス・ア・コンパス” があります。コンクールの話しはまた別の日にブログにしますので、今日は “ミエルコレス・ア・コンパス” について。

毎週水曜日にセビージャのカルトゥッハ修道院で行われるフラメンコ公演「ミエルコレス・ア・コンパス」。主に若手の踊り手が中心に出演し、時にはあっと驚くベテラン舞踊家が出演することも。これまでは入場無料でしたが、経済危機のあおりで無料での公演継続が難しくなり、今年から入場料3ユーロとなりました。といってもすごく安いと思うのですが、昨年に比べてお客さんはぐっと減ってしまいました・・・先週、先々週と公演を観に行きましたが、いい踊り手達のいい公演だったのにお客さんはまばら。すごく残念。私が踊る時にもお客さん少ないのかな・・・と心配です。

せっかくのいい公演だったのでせめてブログにしますね。

  • 6月1日 踊り:アナ・カリ

アナ・カリはグラナダの踊り手。この公演出演のためにわざわざグラナダからやって来たそうです。結論から先に言うと、来てくれて本当にありがとう。あなたの踊りはとても素晴らしかった。大好きだ!!!

アナ・カリの芸歴は恐らく長い。数年前にはベレン・マジャともよく一緒に仕事をしていた実力派。この日はタラントとアレグリアスを踊りました。まず、アナ・カリは身体的に恵まれていません。恐らく私より身長が低い。(私は154センチ)小さい踊り手が舞台に乗っている時に大きく見えることはよくあるけど、前から2列目で見ていたにもかかわらず、アナ・カリは本当に小さかった。踊りが小さいのでなく本当に身長が低い。そして手足も長くない。俗にいう日本人体型・・・でも、多分、多くの日本人の踊り手の方がよっぽどスタイルがよい。本当に申し訳ないし、私は自分の体型を棚に上げているのだけど、それが事実で、それは本人が一番よく知っていると思う。

そんなわけでタラントで踊り出した時は「ああ、残念だな・・・いい踊り手のはずなのに・・・」と思ってしまいました・・・・。でも!!!!タンゴになったら大逆転!!!彼女の土地、グラナダのタンゴ。本当に素晴らしい。これがグラナダのタンゴなのだ。アナ・カリのタンゴなのだ、と。今まで私がタンゴだと思っていたのは何だったのか。脱帽。圧巻。この踊り手はすごい。

2曲目はアレグリアス。なんと、その体型でズボン姿。女性がフラメンコを踊る時にはくるぶしまでの長いスカートをはくのが伝統的であり一般的。ズボンをはく場合もあるし、あえてスカートをはかない場合もあるけど、ズボンをはくからにはそれなりのスタイルと脚力、男性並みのサパテアードの力がないとあまり意味がない。スタイルのいい人は何を着てもサマになるけど、そうでない人は欠点をいかにカモフラージュするか、長所をどう見せるかがポイント。(私も衣装を選ぶ時にはものすごく悩みます。)スカートはその意味でデザインによっては自分の味方になってくれるけど、アナ・カリのズボンは・・・確かにグラナダの踊り手だけあってサパテアードはすごい。でも・・・まさに彼女のそのスタイルの欠点を誇張してしまっている・・・うわ〜と絶句してしまったのだけど・・・

この人のアレグリアスは・・・・OLE OLE OLE OLE OLE OLE OLE OLE OLE OLE OLE OLEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!

本当に素晴らしかった。踊りの上手な人は世の中にいっぱいいる。容姿に恵まれた人も。でも本当に心の底から「ole」が出る踊り手は一体世の中に何人いるのか?!

アナ・カリはそのうちの一人だ。実力のある踊り手というのは知っていたが、彼女のソロの踊りを生で観たのは初めてだった。世の中にこんな踊り手が存在していることが嬉しい。ペソと呼ばれる、重み、存在感。それがある。確実に彼女から地軸に向かってまっすぐにエネルギーが伸びている。そしてそこから時としてマグマが噴出する。彼女の身体を通して。カルメン・アマジャの影響を強く持っている踊り手。でもそれがただの物マネではなく、アナ・カリ自身の何かと直結している。アナ・カリの踊り。

「personalidad」という言葉がある。その人がその人であること。その人でしかないこと。日本語に訳すと「個性」になるのだろうが、「個性」という言葉とはニュアンスがちょっと違う。うまく説明できないが、それを「個性」と訳してしまうと何か違和感がある・・・。が、それ以外のぴったりくる言葉も見つからない。出る杭が打たれる文化にはその言葉は真の意味では存在しないのかもしれない・・・。が、とにかくその確固たる「personalidad」を持つ踊り手。それを持つ踊り手は一体世の中に何人いるのか?!特に若手舞踊家の中で。誰もが上手に踊る、でもそれが時としてみんな同じように見えたり、誰かのモノマネに見えたりする中で。

それにしても観客が少ない。こんないい踊りを3ユーロで観られたのに。

  • 6月8日 踊り:イレーネ¨ラ・センティーオ¨

イレーネはイタリア人。昨年のセビージャ・ビエナルのファルキートの公演の中で出演した4人の女性舞踊家のうちの一人。ファルキートに習っているだけあってとにかく脚力が強い。速くて正確なサパテアード。そんじょそこらの男性舞踊家よりもよっぽどすごい。彼女のソロ公演を観た事がなかったのでこの日もカルトゥッハ修道院へ足を運ぶ。

これまでは修道院の礼拝堂が公演会場だったが、この日から後の公演は修道院中庭の屋外舞台。セビージャでは6月はもう夏の暑さが押し寄せている。野外公演が始まるのがこの月。でもこの日は意外に涼しくて、公演中ちょっと寒かった。そしてやはりお客さんがまばら。野外だけに人数の少なさが余計に強調されてしまう・・・

イレーネは上手だった。でも残念なことにサパテアードの音を拾うフット・マイクがなかった。屋外なのに。ギターとカンテにマイクがあっても足音が聞こえないから、イレーネの良さが伝わらない・・・。すごいことしているんだろうな〜と足音を想像しながら観るしかなかった。とても残念だ。

よかったのは若手のギタリストのブレリア。モロン出身に違いない。かの、ディエゴ・デル・ガストールを輩出したスーパー・フラメンコの土地、モロン・デ・ラ・フロンテーラ。モロンのギタリストというのはすぐに分かる。あのモロンのギター。会場から「¡Viva Moroooooooon!(モロン万歳!)」という雄叫びが。やっぱりね。観客が少なくても、ここにはフラメンコを愛する人が必ず紛れているものなのだ。舞踊伴奏は残念ながら今ひとつで、それもイレーネが可哀想だった要因だけれど、彼のソロの部分はすごくよかった。その意味ではなんだかちょっと得した気分。

ところで「ディエゴ・デル・ガストール」って誰?という人、このYouTube の映像をどうぞ。必見。必聴。

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しかし・・・のんきに他人の公演を批評している場合じゃない。どうしよう!!!29日の私の公演!!!と焦りまくる私。どうしよう!!!時間が足りない!!!準備が足りない!!!ブログ更新している場合じゃないよ〜!!!

29日、私はソレアと、アレグリアスを踊ります。アレグリアスはマントンとバタ・デ・コーラの新しい振付。これが恐ろしい・・・一体どうなるのか?初出しというのはとにかく緊張する・・・しかも野外公演だ。マントンとバタには強敵の風が強い可能性が高い・・・

とにかく練習するしかない。克服できるかできないかは分からないけど練習あるのみ。「だったら無難に、今までの踊りをすればいいじゃないか」という、頭の中の“ジュンコ”が囁く。すると“もう一人のジュンコ”が、「何を言うか、失敗を恐れるな。やりたいことを貫け」と言う。さらに“別のジュンコ”が「そうだそうだ。恥かくだけで死にゃーしないよ。」と加勢する。どうなってんの。まったく。

そして練習すればいいってもんじゃない、ということも知っている。オリンピックに魔物が住んでいるように、舞台にも魔物が住んでいる。と私は思う。

不安だ・・・私の公演・・・・

そう思いつつ、明日の朝はスーパーに買い出しに行かないといけない、なんてふと思いついてしまう。。。平日は忙しくてスーパーに行けない。日曜はどこも閉まっている。土曜が1週間分の食料まとめ買いの勝負だ。しかも砂糖が切れている。いつもの買い物より1kgプラス。でもメロンも買いたい・・・あ〜〜〜。そしてさらに、今週は階段掃除当番だ。

がんばる、じゅんこ。でも今日はもう寝る。

2011年6月11日 ・・・もう土曜になってしまった・・・

Jun 1

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

先々週より「アレグリアス研究(講義)」をセビージャにて開講しています。この講義は私が東京のクルシージョでこれまでに行った①「アレグリアス研究カンテ編」②「カンティーニャス研究カンテ編」③「アレグリアス研究バイレ編」を元にした講座で、振付やテクニカだけで踊りを踊るのではなく、カンテとギターにどう呼応して踊るのか、ということをテーマにしたものです。

セビージャの日本人留学生の方々から依頼を受け、クラスを始めました。「日本語で講義してほしい」とのことでしたので、日本人限定の講座。これまでに4名の方が参加され、今後も人数が増えそうです。場所はセビージャの私の自宅。開講曜日は現在のところ、土日のいずれかです。受講料は人数によって変わりますので、ご興味のある方はこのホームページ「連絡先」を通してお問い合わせ下さい。

東京のクルシージョの①ではカディスの歌い手を中心にアレグリアスを聴き(CD)ギターとカンテの関連性、ジャマーダ、レマーテなどのご説明をしました。その中で、「カンティーニャスって何ですか?」という質問を多く頂きましたので②ではカンティーニャス・グループのカンテについての講義をしました。そしてさらに、①②で学んだことを踊りのDVDを観ることにより確認、実際にその踊り手がどのようにカンテやギターを聴いているのか、引き出しているのか、その3者の関連性を解説しました。セビージャのクラス内容は東京のそれと若干違いがありますが、趣旨は同じです。東京で評判の良かったこの講座、セビージャでも開講できることを嬉しく思います。

そして私の自宅でクラスを行っているためか、クラスの後は生徒さんとお茶したり、ワインを飲んだり。そのまま「女子会」に突入しています。前回のクラスの後はみなさん炸裂。笑いあり、涙ありの「女子会」となりましたよ。

セビージャにフラメンコ留学していると「いいな〜楽しそう」と思われる事が多いのですが、ただ単純に楽しいのは最初の1〜2ヶ月くらいかな?そのくらいの短期でおいしいとろこだけパッとつまみ食いして日本に帰れば「あ〜楽しかった〜」で終わるのですが、留学が長ければ長い程、いろいろなイヤ〜な面も見えてきちゃいます。それを言い出したらそれだけでブログ1年分くらいになってしまうので・・・ここでは割愛しますが(笑)、好きで学んでいるフラメンコを続けて行くこと自体に疑問を持ったり、ただここで生きていることさえつらい時もあったり。実は心の中でいろいろ抱えてたりするものなのです。私もそんなことあったなぁ、と思いながらみなさんのお話を伺っていました。

先々週、先週とセビージャでは2回(計4時間)クラスを行いましたが、生徒さんからのご質問にお応えしたり、その流れでクラス内容や教材を臨機応変に変えたりしています。次のクラスはどうなるのでしょうか。クラスの内容は毎回準備しているのですが、即興で変わってしまうのはやはりセビージャで開講しているからなのでしょうか?いずれにせよ、お互いに学び合っていければいいなと思います。どうぞよろしくお願い致します。

ではまたお会いしましょう。

2011年6月1日 セビージャにて。

May 13

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

先日のブログでお伝えした機内での“珍事件”です。↓

2011年5月10日のことだった。場所は成田発チューリッヒ行き“スイス・インターナショナル・エアラインズ” LX161便、機内。乗客全員が搭乗し、あとは離陸を待つのみ。私はエコノミークラスの前から2列目、窓側の席に座っている。機内中央、真ん中の列の一番前に座っていると思われる日本人男性がブツブツとつぶやいている。

【登場人物】

  • 男の隣に座る男性
  • 日本人女性若手客室乗務員 以下「若ス」(チュワーデス)
  • 日本人女性先輩客室乗務員 以下「先輩ス」(チュワーデス)
  • 若手警官
  • ベテラン警官
  • 刑事
  • 私の隣の乗客
  • 他の乗客
  • 萩原(私)

男:「死ね、ハゲ、ハゲ、死んでしまえ。」(ブツブツつぶやいている)

若ス:「お客様、お静かにお願い致します。」(直立不動、完璧な笑顔)

男:「死んでしまえ。だって、話しているんですよ。私は注意しただけです。この人達しゃべってるんです。このハゲ、死ね!」(声がどんどん大きくなる)

萩原、伸び上がり斜め前方で何が起きているか観察。窓側の席からのためよく見えないが、確かに男の隣に座る男性の頭部はつるりとしている。その“つるりさん”に男はののしっている。

若ス:「お客様、機長に相談させて頂きます。」(同じく直立不動、完璧な笑顔)

若ス、機内の連絡用電話で話し始める。その間、男は隣のつるりさんに「死んでしまえ」と罵倒し続ける。つるりさんの顔面につばを3度吐く。つるりさん無言。微動だにしない。しばらくして先輩女性客室乗務員(以下、「先輩ス」)登場。

男:「隣、トーキングしてたの。私が注意したのに、このハゲ、逆ギレしたの。イフ・アイ・・・アイ・アム・ミート(自分を肉と仮定してどうする?すかさず心の中でツッこむ萩原)●△×★÷*%・・・・(その後意味不明の英語)

先輩ス:「お客様、英語の方がよろしいですか?」

男:「イエス・アイ・キャーン!」

先輩ス:「Aaodifu fdji aeruio afdiouoi popoivcx・・・ペラペーラ、ペラペーラ。」(流暢な英語でまくしたてる。早すぎて萩原には理解不可能)

若ス:「お客様ー、他の方は皆様お静かにされていますからねー。大声出されているのはお客様だけですよー。」(やたらと語尾を伸ばす。そして相変わらずの完璧な笑顔)

男:「だから、日本語わかる人呼んでよ!!!」

先輩ス:「他200名のお客様にご迷惑がかかりますので、降りて頂けますでしょうか。さ、参りましょう。」

若ス:「飛行機遅れていますからねー。」(語尾を伸ばすのは作戦か?)

男:「警察呼べ!!!」

若ス:「呼んでますからねー。」(やはり作戦らしい)

先輩ス:「参りましょう。お名前は・・・ハセガワ様ですね。さ、ハセガワ様、参りましょう。」

男:「警察呼べ!!!」

先輩ス:「呼んでますから。他のお客様を定刻通り出発させる義務が私にはあります。そのためにはハセガワ様を降ろさなくてはなりません。行きましょう。行きましょう!!」

男:「暴力ふるう気か!」

先輩ス:(冷静に)「さわっていません。」

若ス、完璧な笑顔に冷たさが加わり、直立不動のまま男を見下ろしている。というより、見下している。先輩スとともにその場を離れる。代わりに外国人男性客室乗務員が見張りに来る。顔はいいが、非常時にはあまり役に立たなそう。萩原、時々腰を浮かして男の様子を伺うが、あーよく見えない。男の独り言だけ聞こえる。

男:「オレが降りたらこの飛行機は墜落、ツ・イ・ラ・ク〜♪チューリッヒでどかーん!!!降りててヨカッタ〜♪」(それも困るな、といらぬ心配をする萩原)

しばらくして警官登場。若手警官2人と年配の警官1人の計3人。制服には「千葉県警 POLICE」とある。

萩原:「うわっ、ほんとに来た!」

思わず声が出てしまった私に、私の隣の男性乗客が笑いかける。年の頃は50か。左薬指に指輪。ワイドショーに出て来る“所なんとか(ジョージじゃなくて、太郎?確か芸能リポーター)”さんに似ている。

先輩ス:「話しをする余地がないので降ろして下さい。」

男:「私一人だからしゃべれないでしょー。隣の人がしゃべってたらおかしいでしょー。私がしゃべれないでしょー、15時間も。おかしいでしょー。」(最後は泣き声になっている。そして急に普通の声になって)「私悪くないんです。暴力ふるってないし。」

若手警官:「申し訳ございません。移動して下さい。」

いつの間にかその場にいた別の外国人客室乗務員が、先輩スに男の氏名を英語で質問する。質問に答える先輩ス。アキ◯◯・ハセガワ(◯◯の部分はよく聞こえなかった)そして「うちの旦那を同じ名前だわ」つぶやき、ハハっと笑う。若ス、やはり笑顔で男の手荷物をまとめる。

今度は刑事(デカ)登場。って、本当にデカかどうかは分からないのだけど、一目でこの人、絶対にデカ、と思わせる「何か」がある。あの、テレビドラマに出て来る取調室にいる刑事だ。「殺ったのはお前だな!」とバンと机をたたくあの人。本当にこんな人が実在するんだ。しかもその人が私のすぐそばにいる!萩原、感動。(ちなみに服装はジャケットにノーネクタイ。クールビズである。)

刑事:「あなたの一方的な言い分を聞いてあげますから。」

男:「あなたの部下が訳の分かんないこと話してたら、あなた、叱るでしょ?」

刑事:「お話しを注意するだけならいいの。でもそれ以上やっちゃだめ。つば吐いたでしょ。」

男:「つばに見せかけた水。」

他の乗客:「飛行機遅れてるんだよ!そいつに弁償させろ!」

「いい加減にして下さい!」

「降りろ、降りろ、降りろ」(シュプレヒコール)

私の隣の“所”さんが突然、「ところで先程から何を書いているんですか?」と私の手元を覗き込む。え、この会話です。こんなこと、人生でそうそう起こることではないので。」手短に答え、速記メモに専念する萩原。

他の乗客:「逮捕してその男を引きずり降ろして!!!」(女性の金切り声)

ベテラン警官:(落ち着き払って)「被害届がないと降ろせないんです」

・・・・・・・シーンと静まりかえる機内・・・・・・・

隣の“所”さんが小声で私に話しかける。「『民事不介入』ってやつですな。」「ミンジフカイニュウ・・・」おうむ返しする私は、萩原“官房長官”。

男:(勝ち誇ったように)「警察はダメだねー。マニュアル通りにしか動けないからな。マニュアルー。バカだねー。」

刑事:「バカとはなんだ!あなたが降りればいいんだ!」

ベテラン警官:「話しをしっかり聞きますから」

刑事:「常識ないんじゃないの?大人なんだからさ、分かるでしょ!」

他のの乗客:「誰も、警察が不法逮捕したなんて思わないから。大丈夫!」

「連れてけよー」「公務執行妨害ー」

そして事態は急変する。突如、デカが男の身体をがっとつかむ。

刑事:「あんまり警察をバカにすんじゃねーよ!!!このやろう!!!」(やはりドラマと同じ口調。)

本当に一瞬のことだった。男が連行されていく。すごい早業。ドラマで見た、あの、現行犯逮捕の瞬間。やはりデカだ。正真正銘の。機内から拍手が起こる。

そして全てが終わったと思った瞬間、最後に残ったベテラン警官が私たち乗客に向かってこう言った。

ベテラン警官:「どうもお騒がせ致しました!」(敬礼!)

ここにも正真正銘の警官が一人。真っ白になっているその頭が、深々と下げらる。拍手さらに大きくなる。ベテラン警官の姿が小さくなり消えて行く。

ー完ー

Apr 1

みなさんこんにちは。

昨日行われた、東日本大震災チャリティー公演 en セビージャ 第2弾である「FLAMENCOS DE SEVILLA POR JAPON」(左チラシ)はお陰様で無事終了しました。スペイン人アーティスト、日本人アーティスト、スタッフ、お客様、全ての人が日本のために一丸となって感動の渦につつまれた公演でした。

「詳細をブログにして下さい。」と多くの方からお願いされましたが、今回の公演では企画協力・出演をし、今は疲れ果てて、何もできません。明後日にもチャリティー公演第3弾があり、それにも出演しますので準備をしなくてはなりません。大変申し訳ございませんが、結果ご報告のブログは後日落ち着いてからアップさせて頂きたいと思います。

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今日のところは3月30日付セビージャの新聞「Diario de Sevilla」(写真左。萩原淳子“ラ・ジュンコ”プロフィール、写真、公演趣旨について)

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3月31日付同紙(写真中は1面に載った舞台写真、写真右は日本人クアドログループの谷口香織さん、福原恵理さん、荒巻奈々子さん写真と公演批評)。

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また、3月31日付の全国紙「EL PAIS」には1面に天皇・皇后両陛下のお写真が、国際面にはその記事が

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また、日本への応援メッセージも掲載されました。

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明後日のチャリティー公演第3弾は、セビージャに長く在住されている衣装デザイナーのタカハシ・ジュンコさんと彼女が所属するトゥリアーナのペーニャ・フラメンカ(フラメンコ愛好会)のみなさんが企画されたチャリティー公演です。ペーニャの会長さんから出演依頼があり、土曜日に踊ることになりました。たくさんのアーティスト達が出演協力して下さいます。ペーニャの方々もセビージャ大学の協力を得て会場の準備をして下さっているようです。私の踊り伴奏で出演協力して下さるアーティストはギタリストのミゲル・ペレス。歌い手のエバ・ルイスです。出演依頼があったその日の午後にはもうポスターが出来上がっていたので、彼らの名前を入れて頂くことはできませんでしたので、こちらでご案内させて頂きたいと思います。

アーティストへのインタビューも数本まだアップしていないものもありますし、この公演準備のかたわらインタビューも続けています。萩原淳子がもう一人いてくれたらいいのに・・・と思います。時間と体力が足りなくて・・・・。できる限りのことをがんばりたいと思います。

2011年 3月31日 セビージャにて。

Mar 16

みなさんこんにちは。

この度の東日本大震災により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。被災地の皆様、そのご家族の皆様、心よりお見舞い申し上げます。

大変な時にメールを下さった生徒のみなさん、ブログ愛読者のみなさん、本当にどうもありがとうございました。毎日毎日テレビとネットにかじりつき、情報を得るのに必死です。私の家族は無事だったとはいえ、自分の国で起こっていることと考えると涙が出てきます。

自分ができることは何かを考え、4月16日〜30日に東京・中野で行われる「第7回少人数制クルシージョ」で生徒の皆様から頂く受講料を義援金として日本赤十字社に送ることに致しました。もともと少人数制のクルシージョなので大きな金額にはならないのですが、少しでも自分ができることがあれば、と思っております。

またこちらセビージャでも、義援金を送れるような企画を検討中です。この企画は私の一存では決められない部分が大きいのですが、セビージャの多くのフラメンコ・アーティスト達の熱い気持ちを届けられればと思います。詳細が決まりましたらこちらのブログで発表してゆきたいと思います。

私ができることは本当に小さなことですが、一人一人が力を合わせれば大きなエネルギーになると信じています。

2011年3月16日 セビージャにて。

Mar 14

みなさんこんにちは。

地震のことをスペイン時間の朝、クラスに着いた時に同じ日本人の受講生から知らされました。その瞬間、何も言わずにドアをバン、と閉め、外に飛び出していました。家族は・・・私の家族は・・・。こんな時に限って、充電していた携帯を宿泊先の友人宅に忘れてしまった・・・・。公衆電話はどこ?・・・見つかったけど、電話がつながらない。近くのネットカフェはまだ開いていない。宿泊先の友人宅までは歩いて40分。タクシーを拾おうにもタクシーはどこ?セビージャだったらすぐにタクシーがつかまえられるのに。走って走って・・・・やっと友人宅に着いて。置き忘れた携帯にセビージャの友達からのいくつもの留守電が。私の家族からの連絡はない。急いでパソコンを立ち上げ、妹に安否確認のメールを送る。テレビをつける。信じられない光景。しばらく呆然とテレビを見、セビージャの友達に電話をし、妹からの返信を待ち、もう一度両親に電話してみる。そんな私を、友人夫婦の子供、ゴンサロが見ている。いつもだったら私にちょっかいを出してくるけど、今日は何も言わない。無断で、彼が見ていたお気に入りのディズニーチャンネルから、ニュースに切り替えてしまった。でも何も言わない。2才の子供に地震は理解できないだろう。でも私がいつもの状態でないことは理解しているみたいだ。ゴンサロ、ごめんね。

クラスには1時間半遅刻した。先生のハビエル・ラトーレが心配して私の家族の安否を尋ねてくれた。でも連絡がとれていない。ラトーレはそうか、と言って私を抱きしめた後、「舞台は明日だから、集中して」と言った。そうだ、舞台は明日なのだ。私がいない間にブレリアの最後の部分の振付けがほとんど終わっていた。一生懸命遅れを取り戻そうとしても集中できない。何も頭に入ってこない。こんなのではだめだ、そう自分に言い聞かせているうちに、残りの1時間があっと言う間に経ってしまった。

クラスの後いつも何人かのお友達とご飯を食べていたが、その日はやめる。それぞれ家に帰る。その時、同じクラスの日本人受講生のご実家が倒壊してしまった、という話しを聞いてしまった・・・

本番当日。午前中のクラスは舞台上で行われた。クラス兼、通し稽古。前日振付けられたばかりのブレリアがぐちゃぐちゃだ。みんな「覚えられない」と焦っている。私はもっとだ。今まで大丈夫だった部分まであやふやになってきてしまった。集中しなくてはならない。そんな中、ギターがコンパスを外す。これまでの練習中から微妙にずれていたギター。今日はソレアの歌振りで完全に外す。3度も。舞台上で立ち尽くしてしまう私たち。「ちゃんと歌っているわよ!」歌い手が怒鳴る。「何やっているんだ!」ラトーレもまでも。「いい加減にして!こんなギターでどう踊ったらいいの?!」一人の受講生が私に訴える。その通りだ。でもみんなの前で「ギターがおかしい」なんて言えない。なぜ皆、気づかないのだろう・・・。そんな調子で自分も周りもおかしなまま、通し稽古は終わってしまった。本番まであと6時間。大丈夫なのだろうか・・・?

そしてその本番はあっという間に終わってしまった。ラトーレの弟子のスペイン人の踊り手3人とハビエルがそれぞれソロを踊った後が私たちの出番。暗転し幕が降りる。その間、自分の立ち位置につく。その時思った。私は踊る。間違えてもいい。転んでもいい。(超スピードの2回転があった)とにかく踊るのだ。日本にいる人達のことを想って。

舞台終了後、ラトーレが観客に挨拶する。「この1週間、合計たった15時間のクラスで学んだことを今日発表しました。皆よくがんばり、素晴らしい作品に仕上がったと思います。そして今回特にがんばったのは8人の日本人受講生。昨日のクラスは彼女達にとっては本当につらいものでした。クラス中、携帯で家族の安否を確認したり。そんなつらい中、よくがんばってくれました。」私は涙が出そうになった。そんな私の肩を隣にいたジョランダが抱きしめてくれる。彼女は昨年のラトーレのクラスにも参加しており、一緒にアレグリアスを踊った。楽屋でもフランス人のマリアが「日本に帰れない人、私の家に泊まって。」と私たちに声をかけてくれる。そしてラトーレ。厳しい状況の中でも群舞作品を仕上げなければならない。集中できない何人かの日本人に叱咤するのはつらかっただろう。

通し稽古が終わった後、実はラトーレは舞台上で観客に言ったことと同じ事を受講生全員にも言っていた。でもその時は8人の日本人受講生の名前を一人一人言ったのだ。「キョウコ、カナコ、サチコ、ノリコ、コトエ、フユカ、サトミ、ジュンコ」。私たち日本人だけではない。ラトーレは20数名いた受講生全員の名前を覚えていた。たった1週間のクラスなのに。もう会うことはないかもしれないのに。そんなところに、私はラトーレの人間性がにじみ出ているように思う。

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この1週間、私は自分の身体の小ささを気にしていた。大柄な欧米の受講生の中で、私は明らかに小さい。そして華奢だ。線が細い。彼らの中で私は埋もれている。そんな自分を鏡の中で発見する度に、落ち込み、それをまず精神的に乗り越えることに労力を要した。ラトーレの弟子のスペイン人達は身長が高く、手足が長い。そしてその恵まれた身体を存分に使うことに長けている。舞踊団に所属する人、独特の踊り方。舞台で大きく美しく見せることを第一目標として教育されている人達。それをもって、フラメンコとするか否かは別として、私が持っていないものを彼らは持っている。もちろん、彼らが持っていないものを私は持っている、と思う。でも重要なのは、どちらが優れているか、という問題ではなく、学ぶことだ。どうしたら私は大きくなるのか。身体のポジション、筋肉の使い方、動かし方、そういった技術的なものをラトーレの弟子達から学び取った。そう、そんなことは誰も教えてくれない。自分でつかまなくてはならないのだ。

でももっと重要なことは、その踊り手が内包するエネルギーだ。どんなにスタイルがよく、身体能力に長けていても、そのエネルギーがなければ、もしくは足りなければ、その踊りは観客の心には伝わらない。感心はしてもらえるかもしれないが、感動はない。そのエネルギーがほしい。そのエネルギーが自分の身体から押し出されなくてはならない。観客だけではない。そのエネルギーが日本にまで伝わってほしい。

私の家族は無事だった。東京に住んでいるお友達も、つくばの国際美学院の先生方も、仙台に住む踊り手の藤井かおるちゃんも。でも無事ならそれでいいのか、周りのスペイン人達がそれで安心するように。毎日一刻一刻とニュースを見て、胸が痛くなる。私の国で起こっていることなのだ。

私が踊る意味って、何なのだろう。私ができることは・・・。

2011年3月14日 帰って来た、セビージャにて。 (写真:アントニオ・ペレス)

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