Dec 24
この一年大変お世話になりました。
Hagiwara Junko | ブログ | 12 24th, 2009| Comments Off

みなさんこんにちは!クリスマスですね。ただ今スペインでは12月24日、18:30です。

今日は知り合いのご家族と一緒にクリスマス・イブの夕食とともにすることになっていますが、それ以外は実はあんまりクリスマスっていう感じがしないのです。むしろ今の気分は「ゆく年くる年」。私はやっぱり日本人だわ〜と愛国心で満ち足りています。うふふ。

前回のブログに関して、メールをたくさん頂きました。「私も何年も悩んでます」「私の会社にも同じ事があります」「共感しました」などなど。。。やっぱりそうなんですね・・・・残念ながら。でもみなさん、「それでも強く生きていきます!」「いい人もたくさんいるのが支えです!」との締めくくり。本当にそうですね!私よりも人生経験の豊富な方々から熱いメールを頂き、重みのあるお言葉に感動しました。本当にどうもありがとうございました。

思えば2009年は私にとっては激動の年でもありました。

  • 2月      日本にてマルワ・コンクール準優勝
            (月刊パセオフラメンコ2009年5月号掲載 200905p042-043-concurso-maruwa
  • 2、3月    初の東京クルシージョ開講
  • 6月      スペインにてウブリケ・コンクール準優勝
    (月刊パセオフラメンコ2009年9月号掲載200909p067  )
  • 7、8月    第2回東京クルシージョ開講
    月刊パセオフラメンコ2009年5月号掲載200905p051-cursillo  ) 
  • 9月      エバ・ジェルバブエナのセミナーを受け激震
  • 11月     小松原庸子スペイン舞踊団公演に出演、また激震
  • 11、12月  ペーニャ公演ソロ出演
  • 12月     アデラ・カンパージョのクラス受講。何かに開眼

日本とセビージャを往復し、コンクール、公演、教授活動に奔走した年でもありました。あっという間に1年が終わろうとしていますが、思い返せば日本でもセビージャでも本当にたくさんの方々に支えられていたんだな、という実感。どうもありがとうございました。

先日11月に出演したペーニャ「カンテス・アル・アイレ」に行きました。あるペーニャ会員にいきなりがしっと腕をつかまれたかと思うと、「あなたジュンコでしょ!あなたが踊った次の日もその次の日もそのまた次の日も、みんなで『すばらしい公演だった!』って話していたのよ。なんてsabor(日本語に直訳すると「味」)を私たちのペーニャに残してくれたのかしら!」と抱きしめられたのです。ああ、感動。。。。すると別の会員が「今度別の場所で踊る日があったら必ず教えて。全ペーニャ会員で駆けつけるよ!」と。全ペーニャ会員ってのは大げさだと思うけど、嬉しい。。。。

人生はただでさえ大変なのに、セビージャでの生活は日本では考えられないようなことも起こります。(ブログには絶対載せられないことも!)それでも私がここにいるのは、フラメンコを愛してやまない人達がいるのと、その人達がいつも私を励ましてくれるから。そして私の活動を応援して下さる友達、生徒のみなさん。そしてフラメンコを始める前からずっと私を支えてくれている私の家族!

みなさん本当にどうもありがとうございました。今年もあとわずか、大掃除をしっかりして2010年を迎えたいと思います。来年もどうぞよろしくお願い致します!

(・・・・と、その前にクリスマスの食事が待っているんだった〜)

2009年12月24日 「いつも食べてばかりいますね!」と言われる今日この頃。セビージャにて。

Dec 15

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

一昨日レブリーハでのペーニャ公演が無事終了しました。日曜日のお昼の公演と いうことで、普段夜に踊る事に慣れている私にとってちょっと不思議な気分でし たが。でも日曜の午後を有意義に過ごせるのでそれもいいかもしれませんね!共 演アーティストはカンテがダビ・エル・ガジ。セビージャでのペーニャ公演でも 共演した、モロンの素晴らしい歌い手です。そしてギタリストはそのガジが紹介 してくれたパコ・イグレシアス。パコとは初共演でしたが、彼のお兄さんエウヘ ニオ・イグレシアスとは何度か共演したことがあります。兄弟ということで顔が 似ています。特に笑顔が。とてもリラックスした気分で踊ることができました。

ガジとの仕事は本当に楽しい。まず彼はよく食べる。アーティストのほとんどは 本番前には食べません。でもガジは逆。「おれは食べないと歌えない。」といつ も言っています。というわけでガジとの仕事ではちょっと早めに待ち合わせをし ますが、それは合わせるためではなく食べるため。「ジュンコは何歌っても踊れ るから大丈夫だ!」と言われ、そんなこともないんだけど・・・・でもやはり食 べる方を優先したくなってしまう。セビージャから離れてレブリーハに来ているんだから、その土地でおいしいと言われるものを食べたいではないですか!

というわけで、またもぐもぐ・・・・。ガジ、パコ、私の3人で日曜の昼下がりレブリーハの広場で食べたタパはおいしかった!そしてもちろん本番も。私たちもペーニャのお客さんもとてもおいしいフラメンコを共有したと思います。満腹で幸せになった日曜日。日本から応援して下さったみなさんどうもありがとうございました!

・・・と同時に実は今、複雑な心境にあります。というのは、今日、とある私のお友達が自分の友達の悪意や嫉妬で苦しんでいるという話を聞いたからです。彼女はフラメンコ舞踊をセビージャで学んでいる外国人ですが、フラメンコとは別のジャンルの音楽家でもあり、スペインで自分のコンサートをしたり、その中で踊ったりすることがよくあるそうなのです。それに対して彼女の仲のいい”お友達”(同じくフラメンコ留学生)が嫉妬をし二人の仲がぎくしゃくしているとのこと。詳しくはこちらから聞きませんでしたが、彼女は本当に傷つき、涙を流しているそうです。

その彼女が「ジュンコはお友達と問題ないの?」と聞いてきたのです。つまり、私がスペインで舞踊家として活動していることに対して悪意を持ったり嫉妬をする”お友達”はいないのか、ということ。正直言葉に詰まりました。ここ数年スペインで踊るようになって、実際私が感じていたことが実はそれだったからです。(もちろんそれは日本で昔から感じていたことでもありますが・・・。)その人達は表面的には感じがよく、誰とでも仲良し。いつも笑顔です。でも残念ながら私はその人達の心の内をある時知ってしまう。もしくは感じてしまう。それは本当に悲しくつらいことです。

人間にはこんな闇の部分があったのか、でもそれが全く見えないといっていい程、なぜ人は表面を飾るのだろう・・。何度も何度もそういう経験を経て気づいたことがあります。嫉妬をする人間は本当に努力をしているのだろうか?なぜなら本当にその人が努力をしていれば、相手がどれだけ努力しているか想像できるから、嫉妬するはずがないと思うのです。(私だったら、逆にその人の努力や実績に励まされて自分もがんばる。)そして、悪意を持って批判する人は自分に自信がないのではないか?なぜ自信がないのかは努力が足りないから、ということも言えなくはないけど、自分に自信がないから悪意を持って相手を批判をし、相手を落とすことによって自分を優位に立たせる。そうしなければ自分に自信が持てない。そして重要なことは、最終的にそういう人の踊りはそういう踊りにしかならない。たとえどんなに上手に踊れても、どんなに姿形が美しくても。

今までのいろいろな事が思い出されて、今傷ついている私のお友達をなんとか助けなければ、と必死に自分が思っていることを伝えました。必死な時ほど私のスペイン語はむちゃくちゃになります。でも彼女はうんうん、と頷き「私も乗り越える」と言っていました。

フラメンコは「血」だ、という意見があります。「プーロ(純粋な)・フラメンコ」であるためには、一般的にはフラメンコの「プーロ」な「血」を持っていることが必要とされているのです。それに関して異論はないし、その「血」によってフラメンコの文化とアルテが守り抜かれていることに対して私は敬意を払っています。でもその一方でその血を持たない人間に残されているのは、「プーロ・フラメンコ」の物マネをして「プーロ”系”」になることなのでしょうか?

もちろんそういうアプローチの仕方もあるし、本人がそれで満足しているなら私がどうこう言う問題ではありません。でも少なくとも私にとっての「プーロ・フラメンコ」とは私の内面がプーロであること。悪意や嫉妬やいろいろな呪縛で濁らないこと。自身の人間性がプーロであること。なぜなら最終的に残るのはその人の人間性だと思うからです。

もちろんたくさん学んで、練習して経験を積んで・・・・すべきこと、重要なことは山ほどあります。でもどんな時でも私は自分の心を「プーロ」にしていたい。それはきっとフラメンコを踊ることよりも難しいと思うけれど、私という人間の人生をかけて取り組んでいきたい。もうすぐ2009年が終わる時に、こんな重要なことを再認識することができて嬉しく思います。悲しかったこともつらかったことも、全てはここに辿り着くためにあったのかもしれません。

最後に、私のお友達が元気になってくれることを祈って今日はこのブログを終えようと思います。

随分長くなりました。ここまで読んで下さってありがとうございました。

2009年12月15日  師走と言えど、ゆっくり歩いていきたい今日この頃。。。。

(写真:アントニオ・ペレス、ペーニャ・ペペ・モンタラス公演)

Dec 3

2009.12.13 // ペーニャ・フラメンカ ペペ・モンタラス(レブリーハ) 13:30H  入場無料

Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • ダビ・エル・ガジ
  •  パコ・イグレシアス
みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?私は昨日セビージャでのペーニャ3公演を終えてちょっとまだ疲れています。先週からどどどっと急に公演の仕事が入り、ここ数日間の疲れがどっと出てきました。ずいぶん昼寝をしましたが、まだ眠れそう。今夜ゆっくり休めば明日は回復すると思います!
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 昨日のペーニャ・トーレス・マカレナの公演もよかったです。雨  が降っていたのとベティス(セビージャのサッカーチーム)の試  合があったのでお客さんが普段より少なめでしたが、ペーニャ会  員やお客さんの「愛」を感じましたよ。
 セビージャに住む日本人留学生の姿も見受けられました。みなさ  ん来て下さってどうもありがとう!そして月曜の「カンテス・ア  ル・アイレ」での公演に駆けつけてくれた踊り手の「ペロン」(なめているわけではありません。芸名です。)もまたもや来てく  れました。ペロンは日本ではあまり知られていないのかもしれま  せんが、すごい踊り手です。世の中にはたくさんの「踊り手」が  いますが、ペロンはただの踊り手ではない、「アルティスタ」。アルテを持っている数少ない踊り手なのです。そしてもう一人のアルティスタ、カルメン・レデスマ。私にとっては師であり友達でもあり母でもあり・・・心から尊敬するカルメンも観に来てくれました。感謝感激!!!
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1曲目のシギリージャについてのカルメンの言葉が心に残っています。「ジュンコ、とてもよかった。シギリージャは技術や振付で踊るものではない。カンテを理解して自分の内面が感じていることを外に出すもの。全ての踊り手がシギリージャを踊れるわけではない。でもジュンコは本当にシギリージャを踊った。」
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ああ、よかった。私のシギリージャがカルメンに伝わって。そうなのです、フラメンコの全ての踊りはカンテを感じて、それを伝達すること。でもその中でも特にシギリージャは別格。本当に本当にフラメンコでプーロでなければそれを踊れないと思うのです。今まで自分の中でシギリージャを踊らずにはいられない、という必然性があったのだけど、それがシギリージャだけに人前で踊るまでにものすごい覚悟と決意を必要としました。
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シギリージャは・・・カンテにしても同じ。上手にカンテを歌う人はたくさんいるけれど、シギリージャを本当にシギリージャとして歌う人は限られてきます。そして踊りも。私のシギリージャはまだまだまだまだ・・・・これからだけれど、カルメンの言葉を大切にもっともっとこの踊りを自分の踊りにしていきたいと思います。
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・・・・と、そこへ先程の「ペロン」登場。「ジュンコ〜また観に来ちゃったぁぁぁぁ。よかったわよ〜。私はアンタの踊りすごく好きなのぉぉぉぉぉ!」言い忘れていましたがペロンは男なのですが、半分女の子なので日本語に訳すとこういうしゃべり方になります。本当にペロンは面白い。人柄も踊りも。
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そして大皿料理を持って、ここのペーニャの料理人「ピリ」登場。本当に彼女はお料理上手。う〜むいいにおい!というわけでシギリージャのことなんかすっかり忘れて、楽屋でフィエスタ。カルメンが食べる食べる、ファビオラが歌う、ペロンはくねくね、ナタリアと私は大笑い。
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というわけで無事、萩原淳子セビージャ・ペーニャ3公演を無事終わらせることができました。励ましのメールを下さったみなさん、いつもブログを読んで下さるみなさん、本当にどうもありがとうございます。次回は来週レブリーハでのペーニャ公演です。お楽しみに!
2009年12月3日 もうすぐ4連休が始まるセビージャにて。
(写真:アントニオ・ペレス、左より萩原淳子、カルメン・レデスマ、ファビオラ、ペロン。ペーニャ・トーレス・マカレナ楽屋にて。)
Dec 2

2009.12.2 // 「ペーニャス・デ・グアルディア 2009」 

ペーニャ・フラメンカ・トーレス・マカレナ(セビージャ)21H

Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • ナタリア・マリン
  • ファビオラ
  • アントニオ・ガメス
 

みなさんこんにちは!いかがお過ごしでしょうか?私は元気です。お陰様で一昨日無事にセビージャ・ペーニャ公演2日目を終える事ができました。

一昨日のペーニャ会場はセビージャを代表するペーニャの一つ、「カンテス・アル・アイレ」でした。初日の会場とは違い、たくさんのペーニャ会員の熱気で包まれたそこは、まさにこれぞペーニャ!アーティスト達もがぜんやる気でした。お客さんが少ないからといって手を抜くわけではないけれど、やはりフラメンコ愛好家が集まった場所で弾く、歌う、踊るというのは特別なものです。なぜならその場所はフラメンコへの「愛」に満ちあふれているから。劇場でも素晴らしい舞台作品は観られますし、商業フラメンコを提供するタブラオでも時には素晴らしいフラメンコに出会えることもあります。でもペーニャは私にとっては特別な場所。愛好家や会員、アーティスト達から発せられた「愛」がそこにあり、循環し、歴史とともに見えないけれど積み重なっている、それが私にとってのペーニャなのです。

昨年も同じ場所で踊ったこともあり、会員の中には私のことを覚えて下さっている方々もいました。また歌い手ガジのご両親がモロンからわざわざ観に来て下さったり、モイ・デ・モロンやペロンなどアーティストの姿も見えました。フラメンコを愛する人達から発せられる強い愛、エネルギー。彼らとアーティスト(ギタリスト、歌い手)と私が一つの「愛」の循環の中にいるのを感じました。すばらしかった。私の踊りがではなく、その「愛」が、循環が、その中に自分がいるという事実が。最終的には、その中に自分がいれば、自分が日本人だとか、踊りが上手い、下手とか関係ないような気がするのです。フラメンコは偉大だから!

そして本日、セビージャ・ペーニャ公演最終日!「ペーニャ・トーレス・マカレナ」での公演です。一昨日の「カンテス・アル・アイレ」も素晴らしいペーニャですが、「トーレ・マカレナ」も素晴らしい。ギタリストのアンとニオ・ガメスがよく言っています。「トーレス・マカレナで弾くのはマエストランサ劇場(セビージャの最も大きい、格式のある劇場)で弾くのと同じだ。」そう、何かが特別なのです、あの場所は。セビージャに来たばかりの頃、「いつの日かこのペーニャで踊れるような踊り手になりたいなあ・・・」と漠然と思っていましたが、本当に踊る事になってしまいました。昨年1回、そして今日が2回目です。昨年踊って以来、トーレス・マカレナの人達はいつも私を温かく迎え、励まし、別の場所での私の公演にも駆けつけて下さいました。今日はこれまでの恩返しをします。私を、ここセビージャで育ててくれるのはやはり彼らの「愛」だから。

今まで歌ってくれていた素晴らしいカンタオール、ガジが今日は出演できません。かわりにナタリア・マリンが歌ってくれます。ナタリアとは、小松原庸子スペイン舞踊団公演で共演していますが、私個人の公演では初共演。いったいどんなフラメンコになるのか、これまたやってみないと分かりませんが、今日もいい日になるような気がします。

では、これから衣装にアイロンかけて、靴をぴかぴかに磨いて・・・準備します!みなさん、またお会いしましょう。

2009年12月2日 だんだんクリスマスに近づくセビージャにて。