Dec 31

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みなさんこんにちは。

大晦日ですね。いかがお過ごしでしょうか?こちらはまだ12/30、とにかくバタバタしていて年末という感じがしません。(笑)遅くなりましたが、レブリーハのヒターノ「エル・ビア」一族と過ごしたクリスマス・イブの写真をアップします。

「エル・ビア」はレブリーハの有名なヒターノ一族の長老。現在は片足を失って車椅子の生活を送っていますが、元バイラオールでもあります。子供がなんと15人。そして孫達も含めてこれ程の大家族が揃いに揃うというのは、現代のスペインでも珍しいのではないでしょうか。(それでも今年は例年よりも少なかったとのこと。)

なんなのだろう、この世界。ヒターノの家族のクリスマス・イブってのは頭でわかっているけれど、自分がその中にいるのがまるで信じられない。いつも見ている「Rito y Geografia」の映像の中に紛れ込んでいるような・・・でもカラーだよ、2017年だよって頭の中でもう一人の自分が教えてくれている。

昔、フラメンコってなんだろうって答えが知りたくてスペインに旅立った。たくさんの人に出会い、たくさんの先生に習い、たくさんの劇場公演もタブラオもペーニャにも行った。数え切れないほど。「本場」のフラメンコだって、自分はそれを学んでいるんだって思ってた。もちろんそれは今の自分にとっても欠かせない「学び」だ。

でも。

「本場」のフラメンコの中にも、さらなる根っこがある。その根っこを垣間見るというのは本当に難しい。今年のクリスマス・イブはその根っこを肌で感じ、それを吸い込むという本当に貴重な機会を頂いた。人生最高のクリスマス・プレゼント。「エル・ビア」一族の皆さん、本当にありがとうございました。

小さな子供がフィエスタでブレリアを踊る。それはSNSが発達した現代、その動画は一瞬にして世界各国で見ることができる。かわいいし、やっぱりすごいなあと思うけど、その多くはその子達の先生が透けて見える。

アカデミアの踊り。

もちろん私の踊りだってそうだろう。留学生のすべて、そしてスペイン人の大半だってそうだ。もちろんそれは悪い事ではない。アカデミアからたくさんの素晴らしい踊り手が輩出されてきたし、輩出されているし、これからも輩出されるだろう。プロにならなくともいい踊りをする人だってたくさんいる。

でも。

彼らは違う。家族なのだ。小さな子供が踊り始める前にお父さんがいる。お母さんがいる。おじさん、おばさん、いとこ、はとこ、おじいさん、おばあさん。そしてこの世にはもういない、ひいおじいさん、ひいおばあさん、ひいひいおじいさん、ひいひいおばあさん・・・・。その家族がずっとずっと受け継いできたフラメンコ。受け継いでゆくフラメンコ。

ものすごいアルテで踊る5歳の男の子もいれば、ペジスコのある10歳の女の子もいる。家族の誰かが全力で歌って、皆がパルマして、ハレオをかける。恥ずかしがって踊らない子もいる。そんな子が輪の中に入ると必ず誰かが一緒に踊ってくれる。その人はお父さんかもしれないし、お母さんかもしれないし、二人ともかもしれないし、いとこかもしれない。皆が子供を守る。そして年長者が踊り歌う時は年少者は敬意を払う。

そんな中で私はただの外国人だ。スペイン人でもヒターナでもなく、ただの外国人。人によっては外国人だからヒターノの輪に入ってはいけない、と思う人もいるかもしれない。もちろん状況によってはそういう場合もあるだろう。でもそれは勝手にズカズカとフィエスタに入っていく場合のこと。今回の場合は招待して頂いたので、それなのに輪の中に入らないというのは逆に失礼にあたる。輪の中に入らないというのは例えば、そのフィエスタを遠巻きに眺めている、踊れと言われて「いえいえ、私は日本人です」とか「踊れません」とか言うこととか・・・。じゃあだからと言って自分の好き勝手に歌って踊ればいいってものでもない。やはりそこにはフラメンコへの愛情、他人への敬意が必要になってくると思う。それは色々なフィエスタを経験してきて私が思うこと。

この日夫のアントニオと私は別の場所で夜ご飯を食べ、夜中12時過ぎにエル・ビアのお家に行った。そんなの日本では考えられないけど(笑)、イブのあの日はレブリーハではあちこちの家から笑い声や歌い声が響いていた。エル・ビアの家でのフィエスタは朝5時過ぎまで続いていたかなあ、眠くなっている子供もいたし(当たり前か)、元気な子供もたくさんいた。主に女性達がビジャンシーコ(クリスマスの歌)を歌い、男達がブレリアを歌っていた。私は2回ほど引っ張りだされた。私に歌ってくれた人は2回とも同じ男性で、申し訳ないけど正直言って彼の歌は決して上手くはなかった。音程がかなりずれていて、その元の歌がなんなのか知らなければ多分何を歌っているか分からない。だから私は聞きながら、多分あの歌を歌ってるんだろうなあ・・・と想像しながら踊った。プロの歌い手だったらそういうことは有り得ないので、ある意味難しかったのだけど、だからといってそれが嫌だとは思わなかった。その時は深く考えなかったのだけど、フィエスタの後、彼が話しかけてきて納得した。

「俺は歌い手ではないよ、家族の中でしか歌わないんだ。家族の外では歌えないんだ。家族の中だから歌えるんだ。」

家族のフラメンコ。

そういうことなんだ。

私はその家族の一員ではないけど、そこに一緒にいさせてもらえたことでその感覚を共有できたのかもしれない。もちろんそれは私の錯覚にすぎないかもしれないけど、でもあの日感じたことは痛い程私の中に残っている。

そういうことが今年は多かった気がするなあ・・・自分がそれを求めているからなのかなあ・・・。

求めても手に入れることはできないだろう。

というか、手に入れたいと思っていた気持ちが年々薄くなってきているような気がする。

来年はどんな年になるのだろう。

写真:アントニオ・ペレス
http://www.lebrijaflamenca.com/2017/12/una-zambomba-muy-particular-en-casa-de-el-via/ に掲載されました。

2017年12月30日 セビージャにて。

Dec 28

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みなさんこんにちは。お元気でお過ごしでしょうか?

今年もあと僅かですね。私は毎日バタバタ・・・多分ギリギリまでレッスンしていることになりそう。レブリーハで過ごしたクリスマス・イブのこともブログにしたいのですが、ゆっくり文章にする時間がない・・・今日は取り急ぎ、セビージャ自閉症協会の来年のカレンダーのご紹介です。

自閉症の子供たちとフラメンコアーティストがコラボレーションした来年のカレンダーの3月と4月に、夫アントニオ・ペレスの写真が掲載されています。3月にホセ・バレンシアとカルメンちゃん、4月がパトリシア・ゲレーロとマルコくん。子供たちとアーティストの笑顔、視線がとっても印象的です。その他に掲載されているアーティストは、ドランテス、ミゲル・ポベダ、アルカンヘル、エスペランサ・フェルナンデス、レオノール・レアル・・・・etc。たくさんのアーティストの協力があったとのことです。

こちらのカレンダーを先日フェイスブックでご紹介した所、数名の方からご購入希望を頂きまして、アントニオの方で協会から取り寄せました。もうあまり残っていないとのことで、1部のみでしたら私の手元にあります。ご購入ご希望の方がいらっしゃいましたら こちら「連絡先」 フォームを通してお申し込み下さい。価格は7ユーロ、このカレンダーの収益金はセビージャ自閉症協会に寄付されるとのことです。クルシージョ受講生にはクラスで直接お渡し、その他の方には帰国後、こちらから郵送させて頂きます。

では本日はこれにて!

2017年12月28日 セビージャにて。

Dec 24
Feliz Navidad! メリークリスマス!
La Yunko | 新着情報 | 12 24th, 2017| Comments Off

a1257.JPGa1259.JPG1513928835_973988_1513954482_album_normal_recorte1みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

今日はクリスマス・イブ。ちょうど今頃は日本ではイブの夕食の時間帯でしょうかね?こちらは只今朝11:00。まだのんびりしています。

先日、スペインでのクリスマス宝くじで、レブリーハのヒターノ信心会(Hermandad de los gitanos de Lebrija)に5等が大当たり!!!大変な騒ぎとなりました。なんと一人当り6000ユーロ!!!日本円にすると約80万!!!もちろんそこから税金が引かれたりなんだりで実際にはちょっと金額が減るらしいのですが、それにしてもすごい!!!その喜びの映像がツイッターで流れました。

あのコンチャ・バルガスも歓喜のブレリアをご披露!→https://twitter.com/pacopuentesfoto/status/944180551329763328

いやー、すごいことです。おめでとうございます!!!

毎年クリスマス前にレブリーハではヒターノ信心会が主催するクリスマスの劇場公演が2つあります。そのうちの一つは入場料収入をレブリーハの子供達へのプレゼント代に寄付する公演でこれまでに毎年開催されていたのですが、その公演が今年は開催されませんでした・・・。信心会自体が経済的に苦しく、劇場公演開催に至らなかったそうです・・・。ああ残念だなあ・・・と思っていたので、この大当たりは本当に嬉しい。神様は見ていて下さっていたのかなあ。よかった。よかった。

ちなみに、ちなみにですが・・・先週夫のアントニオと私がレブリーハのサンボンバに行った時、なんとアントニオはその信心会が持っている宝くじを買おうかな、って思ったらしいのです。・・・で、結局買わなかった・・・・。あのサンボンバの時に、私がコンチャと踊らせて頂いたり、感動のセニョーラのを目の当たりにしていた時、(詳細は先日のブログにて。)夫はレブリーハの人達にアニス(クリスマスの時に飲む結構強いお酒)をたくさん振舞われてベロンベロンに酔っ払っていたらしい・・・。お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、だからあのサンボンバでのアントニオの写真が1枚もないのです。(笑)そんなんで、酔っ払った頭で「宝くじ・・・」と思ったらしいのですが、結局買わなかった・・・。

歴史に「もし」は存在しない・・・

しかし、「もし」あの時夫が宝くじを買っていれば、私たちにも6000ユーロが当たっていたのに!!!

・・・しかし、歴史に「もし」は存在しないのです。

それが人生。

嗚呼、人生。

そうなのです、いいのです。そう思うようにしよう。私は心に残るサンボンバにいることができたし、夫はアニスでベロンベロンになるまで楽しんだ。それは6000ユーロ以上の価値がある!!!いや、お金に換算出来ない価値だ!!!

あらっっっっ、クリスマス・イブだというのにお金の話になってしまいました・・・。

というわけで(?)これからワインやアニスを買って、今晩はレブリーハに行ってきます。

では皆様も素敵なクリスマスをお過ごし下さいね。

写真:ABC新聞HP、ELPAIS新聞HPより。

2017年12月24日 セビージャにて。

Dec 17

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

先週末はレブリーハに行っていました。金曜日にレブリーハの劇場でのサンボンバ公演、そして翌日は同じレブリーハのバル「カサ・ボッチョ」でのサンボンバ。先程セビージャに着きましたが、濃すぎる2日間でただいまちょっとぼーっとしています。普段は日曜の夕方に自主練習をしているのですが、あまりに放心して練習をサボってしまった・・・。仕方ない。明日からまた頑張ろう。

24131468_1385553458240537_2954387486420273293_nまずは金曜の劇場でのサンボンバ公演。このチラシの出演者を見て、これは絶対行く!と決めていました。主な歌い手に(チラシ記載順)ホセ・バレンシア、アナベル・バレンシア、アントニオ・レジェス、ヘスス・メンデス、サムエル・セラーノ。ホセ・バレンシアはご当地レブリーハの若手実力派の歌い手。同じくアナベル・バレンシアも。(これからもっと有名になるはず。)アントニオ・レジェスは日本ではあまり馴染みがない歌い手かもしれませんが、チクラナ(カディス)出身のやはり若手実力派。そして日本でも有名なヘスス・メンデス。サムエル・セラーノはまだ聞いたことがなかったのですが、噂の歌い手でどうしても聞きたかった!そして踊りにコンチャ・バルガス。レブリーハといえば、コンチャ。コンチャといえばレブリーハです。

12月はクリスマスシーズンということで、フラメンコ公演もサンボンバ一色に染まります。ここで言うサンボンバというのは、クリスマスの歌をフラメンコ風にして歌ったり踊ったりする公演。スペインはカトリックの国ですから、イエス・キリストの誕生や聖母マリアのことを歌うクリスマスの歌があります。それをフラメンコアーティスト達が主にブレリアのリズムに乗せて歌ったり踊ったりするわけです。金曜の公演は夜10時くらいに始まり、終わったのは夜中の2時くらいだったかな?休憩を挟んで1部と2部に分かれていましたが、まず1部に歌ったサムエル・セラーノ。この歌い手が良かった。とにかく若い。まだ20代前半かな?・・・・にもかかわらず、古い。古いってのは彼の歌から香ってくるものが、です。若いだけに荒削りの部分も感じられたけど、それがこれから年齢を経て渋みを増してくるのかなあ。いやあ、いいなあ、こういう超若手がいるっていうのは素晴らしいし嬉しい。

2部で特に良かったのはアントニオ・レジェス。あの情感がこもった歌い方にoleだったなあ。好みもあるかもしれないけど、大きな声で思い切り伸ばして歌ってoleを引き出す歌い手も多い中、それとは真逆のアルテ。なんというか、踊りでもとにかく大きく誇張して踊ったり、異常な程サパテアードしたり、マントンやバタ・デ・コーラをとにかく動かすだけ動かす踊りというのがある。要するに誰が見ても聞いても分りやすい訳で、それによって簡単に拍手を引き出すこともできなくはないわけです。aplauso fácil(アプラウソ・ファシル)っていう言い方をしますね。中にはそれを狙うあざとい踊り手というのもいるわけで・・・。でもそうじゃないんだよなー、フラメンコの本当の素晴らしさはそこにはないんだよなー、と思いつつ・・・・アントニオ・レジェスの歌を聴きながらふっとそんなことを思いました。

25445372_889920337832487_2104545961_oそしてトリはやっぱりコンチャ・バルガス。普段黒の衣装で踊ることが多いコンチャだけど、この日は白とピンクの素敵なブラウス見たいのを着ていた。とっても素敵。コンチャの存在感で劇場が埋め尽くされてゆく。私は劇場の最後列に座っていたけど、コンチャのオーラがビンビン伝わってきました。コンチャの娘さんカルメン・バルガスがコンチャの踊りの時にずっと歌っていたけど、同じレブリーハ出身のホセ・バレンシアにも歌ってほしかったなあ。昔、アンドレス・マリンの公演でホセ・バレンシアの歌で踊るコンチャ・バルガスを見たことがあったけど、あれは歴史に残る瞬間だったなあ。ああいうのはもう観られないんだろうか・・・。

あと、チラシに名前は載ってないけど、レブリーハの若者達のパルマがすごかった。彼らはアーティストではない。普通の男の子達なんだけど、パルマのレベルがすごい。どれだけ彼らの中にフラメンコが根付いているか、そういうのが垣間見えてうーんと唸ってしまった。すごいな、レブリーハ。

写真は終演後劇場の外で、コンチャとルイス・ペーニャのクラスで一緒のAさん。Aさんお写真ありがとう!
25075212_556494028021416_2022864188333103950_o25520657_1509415862440207_1470043030_o25520749_1509415859106874_1620716612_o25520889_1509415839106876_220758019_o25508974_1509415849106875_513909889_o25510727_1509415845773542_1204286990_oそして翌日土曜の「カサ・ボッチョ(Casa Bocho)」でのサンボンバ。この間レブリーハでのサンボンバTV番組の収録に行ってきた時に、このボッチョでのサンボンバの話を聞き、「あー行きたいです!」と話してたら、ボッチョのチラシ、バイレ出演者の所にになぜか私の名前が・・・「Yunko(de Japón)」え、なんで、私、踊ることになっているわけ????勝手に出演者にされていたのですが(笑)、まあいいか。というわけで翌日はのこのバルへ。すごい人でした。人・人・人。お昼ご飯をボッチョで食べた後、お店の人たちがテーブルをガガガーと片付けてサンボンバ会場に変身。私は輪の2列目にいたけど、その後ろにも4〜5列くらい人が座ってたかなあ?その後ろに立っている人たちもたくさん。100人以上はいたのだろうか・・・。みんなでパルマ叩いたり、一緒に歌ったりサンボンバは楽しいですね。でもとにかくすごい人だらけだったから、しかもみんなシーンとして聞いているわけでもなくガヤガヤ・・・肝心のカンテとギターが聴きにくかったなあ。それがちょっと残念だった。

みんな自主的に踊り出したり。コンチャもすごく嬉しそうに踊っていました。レブリーハで教えている生徒さんと一緒に踊ったり。そして私まで呼んで下さいました。「一人で踊る?私と踊る?」とコンチャに聞かれて、そりゃコンチャと、でしょう!!!というわけでちょっと緊張しつつコンチャと向かい合って踊り始め。もちろん即興で。コンチャに習ったのは数年前。ああ、あの時そうだ、こういう感じだった、なんて懐かしく思いながら、でもコンチャの踊りの「intención」(インテンシオン)にはやはり全然かなわない・・・と。動きは分かる。習ったことがあるし、何度も見たことのあるコンチャの動き。でも実際に向かいあって踊ってみると、コンチャのそれと私のは全然違う。外から第3者として見ているわけではない、でも向き合ってコンチャから出てくるもの、感じられる「それ」は私には全然足りないってそう思った。だってコンチャ・バルガスだよ。相手は。もちろん競争しているわけではない。コンチャから出てくる「それ」をいっぱい吸収して、自分の中から何かを引き出したくて・・・。あっという間に終わってしまった・・・。でもキラキラした至福の時間だった。コンチャ、本当にありがとう。

54bocho57bochoそしてその後が感動だった。一人の女性が、帽子をかぶってとてもエレガントな年配の女性が、男の子(息子さんか?)にかかえられながら輪の中から立ち上がった。彼女は一人では立てないようだった。足が悪いのかな・・・と思っていたら、近くに座っていた人が教えてくれた。

「彼女はもうすぐ死ぬんだよ」

「癌なんだよ」

・・・心臓が凍りそうになった。

でも私の眼は彼女の手の動きに吸い寄せられていた。なんて美しい動きなんだろう。この世のものとは思えない・・・。

その彼女にコンチャが近づいて、コンチャは彼女を抱きかかえながら踊った。コンチャの顔も泣きそうになっていた(泣いていたのかもしれない)。あんなコンチャを私は今まで見たことがなかった。あの女性の手の動きも、きっと忘れることはないと思う。

人が言うように、お亡くなりになってしまうのかもしれない。でも最後の力を振り絞って、最高にエレガントにしてあのサンボンバにいらしたのかもしれない。あの手の動きが人生最後の踊りだったのかもしれない。

でも、手の動きには命が宿ってた。

それを私は見た。

写真:アラセリ・パルダル
その他の写真はこちらでご覧頂けます。→http://www.lebrijaflamenca.com/2017/12/14-momentos-que-lo-cuentan-todo-zambomba-del-bocho-con-sabor-gitano-2017/

2017年12月17日 セビージャにて。

Dec 13

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

過日ご案内しました、1/18(木)カサ・デ・エスペランサ新春ライブですが、昨日満席となったとのことです。早々にご予約下さいました皆様、誠にありがとうございました。エスペランサからのお知らせによりますと、今後はお立ち見での受付となるそうですが、キャンセルがあり次第通常のお席の方へご案内できるとのことです。平日のライブですし、直前のキャンセルもあるかと思いますので、ご希望の方はエスペランサさんの方へ直接ご連絡下さい。

ご予約先:メール:selva@tablaoesperanza.com
TEL:昼(セルバ)03-3383-0246/夜(エスペランサ)03-3316-9493

  • 2018.1.18 // カサ・デ・エスペランサ新春ライブ, (東京/高円寺),20:00開演
    5500円(要割引券→割引券はこちら/1ドリンク・タパス付)
    新春ライブ2018表新春ライブ2018裏
  • Baile Cante Guitarra
    • 高橋英子
    • 森田志保
    • 瀬戸口琴葉
    • 萩原淳子
    • ディエゴ・ゴメス
    • 川島桂子
    • 尾藤大介
    • 小林亮

なお、2/14(水)恵比寿サラ・アンダルーサさんでのライブは萩原の方で受付しております。チケットご希望の方は こちら「連絡先」 までご連絡下さい。クルシージョ受講生以外の方にはチケットをご郵送いたしますので、郵便番号とご住所もお知らせ下さい。

  • 2018. 2.14  サラ・アンダルーサ(東京/恵比寿)19:30開演 /4000円(1・2部通し)

    Baile Cante Guitarra
    • 市川幸子
    • 谷朝子
    • 堀江朋子
    • 萩原淳子
    • ラウル・レヴィア・アマドール
    • マヌエル・カサス 

    では本日はお知らせまで。またお会いしましょう!

    2017年12月13日 セビージャにて。

Dec 11

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

イランへ撮影旅行へ行っていた夫が無事帰ってきました。数日前どこぞの大統領がとんでもない発言をしてからイスラム諸国大丈夫なんだろうか、デモが暴動になったりして巻き込まれたりしないだろうか・・・とか実は心配していましたが、お陰様で元気です。しかもちょっと痩せて少しカッコよくなってきた。(ただし、いつまでもつか。笑)今は疲れて眠っちゃったので昨日のブログの続きを更新してしまおうっと。

  • 10月15日(日)ホセ・ガランと障害者のフラメンコ公演リハーサル/TNT劇場(セビージャ)

木曜日にセビージャの蚤の市で、この公演に出演するという車椅子の女性に出会いました。車椅子のままフラメンコを踊るのだそうです。ホセ・ガランは以前にも視覚障害者、聴覚障害者とのフラメンコ公演をしている若手の踊り手。その踊り手の講習会を受講した彼女は住んでいたバルセロナを引き払ってセビージャに移り住み始めたそう。なんて勇気のある女性なんだろう。その彼女から公演のリハーサルの話を聞き、同じく興味を持った写真家の夫と一緒に行ってきました。

劇場にいたのはホセ・ガラン(健常者の踊り手)、手話で踊る女性(健常者で、多分踊り手ではないけど、公演では手話で踊る)、車椅子の彼女と視覚障害の女の子でした。視覚障害の女の子(年齢は20歳くらいか?)はご両親が付き添われていました。手話で踊る女性に連れられて、サリーダを歌いながら舞台中央に立つ。そしてその場所でサエタを歌うという設定のようでした。でも女の子はそれがどうしてもできないようでした。上半身を前後に何度も大きく揺り動かし、歩き出さない、歌わない。手話の女性は根気よく何度も何度も舞台袖から舞台中央に歩いて行く。ホセ・ガランも根気強く何度も励まし、途中で休ませたり。ご両親も叱咤激励したり。でも彼女はどんどん身体を大きく揺り動かすだけで全く歌わない。・・・もしかして夫と私がその場にいることで彼女は緊張しているのだろうか・・・目が見えなくてもきっと普段とは異なる雰囲気を敏感に察知しているのかもしれない・・・。それでしばらく夫と私は外に出、彼らも休憩に入る。外で私はご両親に謝りました。「ごめんなさい、私たちがいることでお嬢様緊張されてしまったのかもしれませんね・・・」するとお母様はこうおっしゃいました。「違うのよ、あの子は本当に自分で歌うという気持ちにならないと歌わないのよ。でもこういう状況は克服しないといけない。だって本番では歌わなくてはならないのだから。」

本当に自分で歌うという気持ちにならないと歌わない。

その言葉がグサッと私の胸に突き刺さりました。

私は自分が踊ろうという気持ちにならなくても踊る時もある。仕事だから。それに踊ろうって気持ちでなくても、リハーサルはいくらでもできる。だいたいこんな感じ、という風に手を抜いて踊ることもできるわけだから。もちろんそれは私だけではない。歌い手だってそうだろう。リハーサルで全力で歌う人なんていない。

でもあの子はそうじゃないんだ。あの子にとって歌うっていうのはそういうことじゃないんだ。あの子にとって歌うってことは全部本当なんだ・・・。

しばらくしてから、また同じ部分のリハーサルが始まりました。手話の女性が彼女を連れて舞台中央まで歩いて行く。彼女のサリーダが聞こえてきた。

歌った!

その瞬間を固唾を飲んで見守っていたホセ・ガランは微笑む。彼女のご両親は天を仰ぐ。私の夫と私は無言でガッツポーズをする。そんな私たちの気配を察しているのだろうか・・・いや、彼女はきっと完全に自分自身の世界に没入している。目が見える見えないの話ではなく、誰がいようといまいと、きっとあの時の彼女には歌しかなかったのだろう・・・。

そしてそのサリーダが終わった後、静かにサエタを歌い出しました。

あのサエタ。

今思い出しただけでも涙が出そうになる。

何がすごいのだろう。特別な声量でも上手な節回しでもない。ただ彼女が歌うサエタがリハーサルスタジオにこだまして、私は涙を止めることができなかった。どんどん溢れてくる涙。カンテを聴いてこんなにも泣いたのはいつが最後だったのか。oleの声すら涙声で、そんなになっている私は自分が信じられなかった。

そして彼女から少し離れた所で、彼女が歌うサエタの歌詞を手話を使って踊る女性。・・・うん、確かにそれは必要だよ、聴覚障害のお客さんだってきっといらっしゃるのだろうから。・・・・でも次から次へと手話の動きを繰り出すその女性(彼女は健常者)のその動きの羅列を目にして、だんだん薄ら寒くなってきた。手話が悪いんじゃない、手話をする彼女自身からは何の感情もこれっぽっちも感じられなかったのだ。彼女は彼女自身は、あの子のサエタを聴いて何も感じないのだろうか????

聴覚があってもあのカンテを聴いても感動しない・・・それって「フラメンコ文化」の中での障害とも言えるのではないだろうか。そして彼女の手話を見ながらこうも思った。もしカンテを聴いてもその意味がわからないというのも、やはり「フラメンコ文化」の中での障害とも言えるのではないだろうか・・・。

健常者(私自身も含めて)は自分を健常者だとして、知らず知らずのうちに彼らとの間に線を引いている。でも一体どこからが障害でどこからが健常と言えるのだろう・・・。

ちなみにこのホセ・ガランは来年のヘレスのフェスティバルにて障害者へのフラメンコ教授法というクラスを開講する。実は私はそれに申し込んでいる。障害者対象のクラスだけれど、健常者でも受講OKとのこと。障害者にフラメンコを教えるということ。自分にそのような能力があるのかは分からない。でもやってみよう。

最後に、「障害者」の表記方法に関して。
それが正しいのか、それとも「障がい者」が正しいのか、もしくは別の呼び方が正しいのか・・・実のところ自分でも結論付けるのが難しかったのですが、障害者とは社会やその他の人々に差し「障」りがあったり、「害」を及ぼす「者」ではないという見解で、私の中ではっきりしています。ただしだからと言って、「がい」もしくは「しょうがい」とひらがな表記にすることには、少し違和感を覚えます。ただ慣れていないだけなのか、それともひらがなにすることで何かがうやむやになってしまうような気がするからなのか・・・。ただの言葉の問題ということも言えなくはないですが、重要なのは表記方法の議論にとどまるのではなく、その奥に潜んでいる問題の本質に目を向けることなのではないか、と思っています。

2017年12月11日 セビージャにて。

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