Nov 26
映画「LA CHANA」を観ました。
La Yunko | ブログ, 新着情報 | 11 26th, 2017| Comments Off

foto_2552_cartelみなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

先週の木曜、フラメンコ舞踊家「La Chana(ラ・チャナ)」のドキュメンタリー映画、「LA CHANA」をセビージャの映画館で観ました。涙がつーっと落ちました。

チャナの踊りを初めて見たのは、20年くらい前、イベリアさんで販売していたビデオででした。まだフラメンコ初心者だった頃で、なんだ!この足は!!!!!ってそのサパテアードの技術にびっくり仰天したのを覚えています。(あのビデオはまだ日本の家にあるのかなあ、もうカビが生えちゃってるかも・・・)それから時を経て、数年前、セビージャの劇場でチャナの踊りを観ました。ビエナルでのロシオ・モリーナの公演にゲスト出演したチャナ。舞台上の椅子に座ったチャナ。「私踊れるかしら・・・」って言葉を発していたチャナが、椅子に座ったまま、ギターなしでソレア・ポル・ブレリアを踊りました。凄まじかった。恐ろしい程にフラメンコだった。鳥肌が立ち、涙が出てきました。それはただサパテアードがすごいなんてレベルではなかった。音が、動きが、存在自体そのものがフラメンコでした。

そのチャナのドキュメンタリー映画。セビージャでは先々週の金曜と先週の木曜の2回だけの上映。先々週はチャナがセビージャの映画館にいらしたそうです。その日は私はヘレスにいたのでチャナに会えなかった・・・。

彼女のアーティストとしての活躍はさることながら、一人の人間としての側面も映されていました。ドキュメンタリー映画といっても、チャナの全てを表しているわけでもないでしょうし、映画にできない部分こそ彼女の真実なのかもしれない、とも想像します。それでも映画の中で捉えられているチャナの人間性というのかな、一人の人間としてのあり方、考え方、一言一言に感動しました。

だから、あの踊りになるんだ。

映画をご覧になっていない方のために内容の詳細はブログにしませんが、チャナの素晴らしさを通して、フラメンコの素晴らしさ、人が生きていくことの素晴らしさを改めて実感することができた。フラメンコが好きな人は絶対この映画好きになると思う。そしてフラメンコを知らない人にも是非観てほしい。

・・・・って、ここまでブログにしたけど、うーん、、、、全然伝わらないなあ。

もう、これは日本で公開されるしかないですね。百「文」は一見に如かず。(笑)

Youtubeに公開されている映画のあらすじはこちら

https://www.youtube.com/watch?v=MPgocPh3we0

2017年11月25日 セビージャにて。

Nov 15

スクリーンショット 2017-11-13 10.52.23みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

先週水曜〜金曜まで行っていたバダホスの写真をアップします。バダホスはアンダルシア地方の北西、エクストレマドゥーラ(Extremadura)地方にある町です。地図で見るとポルトガルの国境近く。フラメンコはアンダルシア地方が発祥だと言われ、フラメンコ=(イコール)アンダルシアのイメージが強いですが、エクストレマドゥーラ地方のフラメンコも実は素晴らしい。しかしセビージャに住む私でもエクストレマドゥーラ地方のアーティストによる彼らの土地の歌を生で聴く機会はあまりなく、CDやYoutubeで音源を探しています。

昔のエクストレマドゥーラ地方の歌や歴史を知るにはこちら→Rito y Geografía Extremadura y Portual 「フラメンコの儀礼と地理 カンテ編 エクストレマドゥーラとポルトガル」

バダホスはポルトガルの国境に接しているため、歴史的にポルトガルのヒターノ(ジプシー)達がよく出入りしていたそうです。市場の行商人、特に家畜の売買を手がけるヒターノ達が持っていた歌というのが、このエクストレマドゥーラ地方のフラメンコの歌に多大な影響を及ぼしました。中でも有名なのがタンゴ、そしてハレオと呼ばれるこの地方独特のブレリア。それぞれ、タンゴ・エクストレメーニョ、ハレオ・エクストレメーニョと呼ばれることもあります。(エクストレメーニョとは、エクストレマドゥーラ地方のという意味)上記の動画の中では1973年当時、エクストレマドゥーラ地方のヒターノ達の多くがくじ売り、靴磨き、トラックの運転手、春になれば海岸地方のホテルなどに出稼ぎに行っていたそうです。アンダルシア地方同様に経済的に弱いエクストレマドゥーラ地方。そのような厳しい生活の中で、彼らの持つハレオやタンゴのカンテが労働の苦しみを和らげてくれていたのでした。

スクリーンショット 2017-11-13 13.39.33ヒターノの名字もアンダルシアではあまり聞かない、Saavedra, Salazar, Suarezなど。逆にアンダルシアのヒターノに多い名字、例えばCarrasco,Montoya,Vargasなどはエクストレマドゥーラ地方ではほとんど聞かれないとのことです。フラメンコのアーティストで有名なのは、上記の動画には録画されていませんが、まず歌い手のPorrina de Badajoz(ポリーナ・デ・バダホス。1924−1977)。彼の銅像(写真)が現在、バダホスの街の中心にあります。
ポリーナ・デ・バダホス ファンダンゴ
ポリーナ・デ・バダホス タンゴ

他の歌い手では、ポリーナの甥にラモン・エル・ポルトゲス(Ramón el Portuguez)とグアディアーナ(Guadiana)。そしてフアン・カンテーロ(Juan Cantero)、インディオ・ヒータノ(Indio Gitano)、ラ・マレル(La Marelu)など。
かなり昔のものになりますが、彼らが集結している動画はこちら。ちなみにこの動画で弾いている髪の毛もじゃもじゃのギタリストはフアン・サラサール(Juan Salazar)はポリーナの息子。

Jovenes Flamencos de Extremadura

トニ・ガトリフの映画「Vengo」にも出演したラ・カイータ(La Kaita)も有名な現代のエクストレマドゥーラ地方の歌い手。
映画「Vengo(ベンゴ)」で歌う ラ・カイータ
同じ監督の別の映画「Latcho Dorm」でも歌っているようです。
映画「Latcho Dorm」で歌う ラ・カイータ

そしてカイータと共に有名な現代の歌い手、アレハンドロ・ベガ(Alejandro Vega)。さらには踊り手のエル・ペレグリーノ(El Peregrino)。

彼らをはじめとするエクストレマドゥーラ地方のアーティストがこぞって出演した公演の映像はこちら。全公演1時間、通して観られます!→「DE TANGOS Y JALEOS, RAZA FLAMENCA, Extremadura」公演

23467490_10155836687591228_2313375977371027202_o23551273_10155836686381228_5186480512016230997_oアンダルシアのフラメンコアーティストに比べるとあまり有名ではないかもしれないけれど、素晴らしいアーティスト達を生み出した街、バダホス。今まで一度も行ったことがなくて、私の中のイメージは前述の「Rito y Geografia」の映像で止まっていた・・・セビージャの人達に聞いても「バダホス?そんな所に行ってどうすんの?」みたいな反応だったので・・・(すみません、バダホスの皆さん・・・)。でも実際バダホスに行ってみたら、アンダルシアの街とそんなに変わりない。セビージャよりは小さく落ち着いている。数年ぶりに訪れた夫も「ずいぶん変わって綺麗になったなー」と驚いていました。

23456301_10155836688066228_3681692503545959984_o23551257_10155836670476228_5946751101936012093_o興味深かったのは、街の中心のすぐ近くにヒターノの居住区がある。そしてその居住区の中でも歴史的に有名なのが「Plaza Alta(プラサ・アルタ、アルタ広場)」という中心地から坂を上りきった所にある広場。バダホスのフラメンコの歴史の中で、このアルタ広場にてフラメンコが生まれ、育まれた彼らの揺りかご。昔はこの地区一帯では麻薬、売春などが頻繁にあり一般スペイン人は怖くて近づけなかったとのこと。それを「一掃」するためバダホス市役所は街の中心から離れた場所に土地を買い取り、ヒターノ達を強制退去させようとしました。時は1980年代。ところがバダホスのヒターノ達は「一般スペイン人が自分の好きな所に住む権利を持っているのに、なぜ我々ヒターノはその権利を持てないのか!」と大規模なデモをおこしたそうです。この抗議に行政側が敗北し、彼らはアルタ広場に住む権利を勝ち取ったとか。現在ではこのアルタ広場はかなり開発され、とても素敵な広場になっています。(写真)夏には屋外のフラメンコ公演やコンサートなども行われるそう。観光客ももちろんいます。

以上の話は、実際にアルタ広場に住むスペイン人女性から伺いいました。現在ではヒターノだけでなく、スペイン人も住んでいるとのことですが、当初はほとんどヒターノばかりで、街の下の方(中心地)からお友達が遊びに来る時は、ヒターノ居住区を怖がるお友達のために、彼女が街の下までお迎え、お見送りしていたとか。住み始めた当初はヒターノ達にスパイか警察かと勘違いされたらしく、車の窓ガラスを壊されたりしたそう。彼女は直接ヒターノ達の所に行って、自分はただのハモン(生ハム)売りだ!って証言して、それ以来普通に接してもらえるようになったとのことです。
23456487_10155836669951228_5943507509684607251_o23467150_10155836670161228_14758012915285800_o23415643_10155836669836228_4211533951807502363_o確かに近づいてはいけないと言われる場所もあるそうですが(セビージャにもあります)、私もこのアルタ広場に行くのにあたり、ヒターノの居住区を通過してきました。そこで知り合ったのが清掃員のベレンさん。彼女は昔セビージャでマティルデ・コラルに習っていたそう。道端で急に踊り出してくれました。

行政での職を失ったベレンさんは午前中は清掃員、午後は年配の方々にフラメンコを教えているそうです。そしてバダホスのヒターノ状況にとても詳しいとのこと。いろいろなお話をして下さいました。残念ながら私たちが滞在していた日にはヒターノ達のフラメンコの集いがないらしく、現地のフラメンコを聴くことができなかった・・・

ちなみに、もう少し気軽にバダホスでフラメンコを楽しみたい場合は、「Meson Monsara」というバルに行ってみるといいよ、とのこと。毎週土曜のお昼にタブラオライブが開催されるそうです。現地の若手アーティストのライブや、先述の有名なアーティストも出演、またフィエスタが開催されることもあるそう。

Meson Mansara でのライブの様子はこちら→https://www.youtube.com/watch?v=slmJkHFohYY
Meson Monsara のライブ情報はFBにアップされているとのこと→https://www.facebook.com/mesonmonsara/

23511439_10155836670666228_4075816729475892634_o私たちが滞在していたのは水・木・金だったので、Meson Monsaraでのライブにも行けなくて残念。セビージャからバダホスまでは行きにくいのですが(電車で5時間、バスで3時間、しかも乗り換えあり!)、いいフラメンコが聴けるならまた行ってみたいなあ。本当は現地のヒターノ達のフィエスタとかで彼らの歌を聴けるといいんだけど。。。

いつか聴けるかなあ。聴きたいなあ。。。

2017年11月14日 セビージャにて。

Nov 11

23509368_10155830810576228_115343401291040621_o23334405_10155830810886228_8480114969132292114_oみなさんこんにちは。いかがおすごしでしょうか?

お陰様で、夫のアントニオ・ペレスが2017年「シウダー・デ・バダホス」コンクール写真の部にて準優勝致しました。
アントニオファンの皆様、いつも応援ありがとうございます!
昨日はバダホス市役所にて表彰式、そして夜には受賞作品展の開会パーティーがあり、招待して頂きました。

「賞とりました!」っていういかにもな写真は本人の意向によりボツ。HPも日本語だけだったらアップしても良いのこと。授賞式でも後ろの方に隠れているし。「アントニオー」と呼んでやっと撮れた写真がこれ。受賞者と言うより『珍』入者なんですが・・・(笑)皆様、これからも宜しくお願い致します!

いろいろ楽しかったバダホスでの写真諸々はまた次回のブログにて・・・

ではまたお会いしましょう!

2017年11月10日 セビージャにて。

Nov 10

23270216_10155824158151228_4104896197745526989_o23334154_10155824158161228_3237048133261017823_o23406089_10155824158156228_6861864933573617540_o23334034_10155824158401228_2063549092484833776_o23331269_10155824158411228_8463540492396154613_o23275293_10155824158416228_8612414442758421021_o23331491_10155824158656228_3927667171575168293_o23270348_10155824158661228_3790184158282269140_o23270233_10155824158666228_5415495115263375393_o23415541_10155824159046228_381986659137964678_o23270478_10155824159051228_7776700123675664569_o23406013_10155824159056228_753300753313108892_o23333935_10155824159306228_3487021808329953071_o23331374_10155824159316228_3817829407967330121_oみなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

火曜日にセビージャ郊外にあるパブロ・デ・オラビデ大学のエンリケ先生にご招待され、フラメンコの文化のクラスにてお話しさせて頂きました。生徒さん達からの興味深い質問のおかげで、とても有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました!

生徒さんは名古屋の中京大学のみなさんで、ほとんどが日本人学生でしたが、韓国人、アメリカ人の学生さんもいらっしゃいました。

12月19日までの約4ヶ月間の留学とのことです。きっと私の年齢の半分くらいなんだろうなあと思いつつ、私のフラメンコ歴も実はみなさんの年齢と同じくらいの年数?!ちょっとびっくりですね。

質疑応答はスペイン語。いろいろなご質問を頂きましたけど、興味深かったのは「フラメンコを辞めたいと思ったことはありますか?」という質問。

「Nunca!」(一度もないです!)と即答したのですが、その回答に皆さん驚かれていました。え!でもそのみなさんの反応に私の方が驚いちゃったりして。

えー?どうして?辞めたいなんて思ったこと一度もない・・・こんなに好きで、学べば学ぶ程好きで、奥が深くて、フラメンコのない人生なんて考えられない・・・

もちろん、フラメンコを続けて行くのは楽しいことばかりではないです。辛くて苦しくて、誰にも言えなくて家で泣いていたこともあります。これからもあると思います。でも辞めようって思ったことはないなあ。一度も。

どうしてだろう。フラメンコが好きだから?フラメンコを続けると自分で決めたから?よく分からないけど・・・それは私の人生の一部になっているからかなあ。

みなさんの中には、9月のペーニャ公演を観にきて下さった方々もたくさんいました。それが初めてご覧になったフラメンコだったという人も多かったと思います。(ほとんどの学生さんが、セビージャに来るまでフラメンコを見たことがなかったそう。)フラメンコを好きなって欲しいとは強制しないけど(笑)みなさんの中に何か好きなものや好きなことがあるのであれば、それを忘れずにいて欲しいなと思いました。

これからの人生どうなるんだろう。皆さんも、私も。

楽しみです。

写真:アントニオ・ペレス

2017年11月10日 セビージャにて。

Nov 1

22893994_542150776138532_5259809154767052965_n22894320_542150809471862_5330374713928463775_n22894301_542150859471857_992624234190070193_n22815337_542150892805187_7781912924582611972_n22851837_542150932805183_3393837665950666755_n22853271_542150959471847_7858864774028929634_n22852042_542150979471845_4813571822316142315_n22885951_542151022805174_8530386638174908734_n22815445_542151052805171_2295735035110806838_n22852910_542151069471836_1943877103650555907_n22815511_542151099471833_2476000258630472564_n23130648_542151129471830_2250407252043728184_n22851846_542151166138493_8920366995021642466_n22886057_542151209471822_7453699004635790391_n22852970_542151239471819_1773133022024435156_n22815608_542151286138481_3822915878853325853_n22886235_542151306138479_8780524534230922411_n23032446_542151332805143_1010903745698770328_nみなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

ブログアップが遅れましたが、日曜に「Pura Vida Terraza」(プーラ・ビーダ・テラサ)に行ってきました。ここ、セビージャ観光一押しスポットです!カテドラルの近く「Hotel Los Seises」(Hotel Los Seises HPはこちら)の屋上にあるテラスなのですが、セビージャのシンボル、ヒラルダの塔がドーンと間近に見えるんです。ヒラルダの塔って、普通遠くから見たり、真下から見上げるもの・・・それが本当に近くに、手が届きそうな位置で見られるなんて!!!ホテル宿泊客でなくても普通に入れますから、セビージャにいらっしゃる方は是非!是非!

週末にはコンサートも無料で開催されています。どちらかというとポップス系の感じが多いようなのですが、時々フラメンコアーティストも出演するとのこと。日曜に、ダニ・ボニージャの弾き語りコンサートにエスペランサ・フェルナンデスが友情出演されるとのことで、行ってきました!

素晴らしい!!!

目の前にヒラルダの塔。そして夜空に広がるエスペランサの歌声。塔の鐘の音も響きわたり、ああああああ、これぞセビージャ!!!

本当におすすめの場所です。セビージャにお友達が来た時は大抵ここで一緒にお茶したり、ちょっと飲んだり。ちなみにカマレーロ(ウエイター)は皆イケメン。顔で採用しているのか?ってくらい(笑)

夕方くらいに来て太陽が沈んでゆくのを見るのも素敵。夜に光るヒラルダの塔を見るのも素敵。もちろん素晴らしいフラメンコがあれば最高ですね。

というわけで、萩原のオススメでございました。

写真:アントニオ・ペレス

2017年11月1日

Oct 31

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こちらセビージャは一昨日冬時間になりました。スペインにはサマータイム制度が導入されているので、毎年10月の最後の日曜に夏時間(サマータイム)から冬時間に変わるわけです。よく昔やっていたのは、その前日の土曜に寝る前に時計の針を1時間ずらしておくと、朝起きた時には夏時間、もしくは冬時間になっているという方式。でもよくあるパターンが、1時間ずらすのは分かるんだけど、1時間後なのか前なのか???というのでもめる。(笑)毎年繰り返しているのだから分かりそうなものなのですがね(笑)。でも最近では勝手に携帯やパソコンが時間を変えてくれるのでその心配もなくなりました。機械の方が私より賢いわけです(笑)

さて、先週金曜のペーニャ・エル・チョッサ公演はお陰様で無事に、そして大盛況のうちに終了しました。本当にたくさんのお客様で・・・会場に入りきれないため、ドアを開放し、舞台外のバルや表通りからご覧になっていたお客様もいらっしゃいました。それ程大きくはないペーニャですが、セビージャの外れにあるあのペーニャにあれ程お客様が入ったのも珍しいとのことでした。本当にありがとうございました!

第24回フラメンコ文化週間
ペーニャ「エル・チョッサ」
2017年10月27日
ギター:ミゲル・イグレシアス
カンテ:エル・ガジ、モイ・デ・モロン
バイレ:萩原淳子

写真:アントニオ・ペレス

当日はマントンのアレグリアスと、ソレアの2曲を踊りました。(小さな舞台だったので小さめのマントンを使用。)今回はエンサージョなし、本番前に楽屋で構成を口頭で伝えだけで舞台に立ちました。自分が即興にどう対応できるか試してみたかったからです。もちろんついてきてくれると安心できるアーティスト達との共演だったからこそですが。

ミゲル・イグレシアスとは初共演でした。舞台の上での彼との掛け合いというか、駆け引きみたいのがスリル満点。でも即興がうまく行かない所もあり、反省。ガジとモイとは共演したことが何度かあったけど、この二人のセットは初めて。ガジとモイって、1+1=2ではなく、1+1=5くらいになる。凄いな。

1部はミゲル・イグレシアスのギターソロからガジのカンテ・ソロに続き、私のアレグリアス・コン・マントン。先述の通り小さな舞台だったので小さめのマントンを使用しました。歌い手のマイクに引っかからないようにと気をつけていたら、自分のペイネタ(飾り櫛)に引っ掛けてしまったという・・・(笑)エイっと取ったので特には影響なかったので良かったです。アレグリアスに関しては特筆することなしかなあ・・・1部終わった後にガジが「すごい良かったね!」とニコニコしてたけど、私としては「そうかなー?」という感じ。悪くはないけど、花火を上げる程でもない。1曲目ということもあったのかな?一般的に後半になるにつれて盛り上がるものですからね。

そして2部。モイのカンテ・ソロから始まりました。マラゲーニャ。うわー、これがすごかったわ。声に、歌い方にこもるモイの感情。カンテはそれが溢れ出るもの。歌うってそういうことなんじゃないか、と。前日に同じペーニャで聴いたアルフレッド・テハダのカンテも圧巻だったけど、あの日のモイにはかなわないでしょう。素晴らしかった。モイが素晴らしい歌い手なのはみなさん知っているのでしょうけど、素晴らしい中でも、その時によって度合いが違う。あのマラゲーニャはその度合いの違うマラゲーニャだったわけです。楽屋で一緒に聴いていたガジの目も涙目になってた・・・

そしてその後が私のソロのソレア。久しぶりに来ました。あの感覚。あの独特の感覚。あれがある時に私はソレアを踊れる。ソレアの振付ではなくて、ソレア。どうしてそれが来るのかはよく分からないし、来ない時はなぜ来ないのかは分からない。でも来た時、いや、来る時にははっきり分かる。モイのマラゲーニャはそれに至るまでの一つの流れだったのかもしれないし、それにガジのソレアのサリーダ、歌と引き継いだのかもしれない。いずれにせよ、モイのソレアで私の中の何かがぶっ飛んだ。ぶっ飛んだけど、地に根を張っていた。相反するようで実はつながっているのかもしれない、私のソレア。評論家が見ればいろいろ批評すべき部分があるのでしょうが、いいんです。私は私のソレアを踊れたことに、というかここ最近ソレアを踊ってもソレアを踊った感がピンと来なかった自分に、ドカンとソレアが落ちてきたこと、ソレアに戻れたことに感謝したい。そしてそのためには彼らの歌とギターが必要だったということ。だから彼らにももちろん感謝しています。ありがとう。

やっぱりソレアだ、私の踊りは。

細かいことを言えば、即興がしっくり来なかった部分もあり、やっぱり反省。やっぱり初めて仕事したギタリストだったから、少なくとも本番前に楽屋でさらっと見てもらえばよかったかなあ、そういうのもなしにしてぶっつけ本番にしちゃった自分に責任があったかな・・・色々考えてあの日はまた眠れなかったし・・・。でもまあ、終わったものは仕方ない。次回の検討課題にしよう。いずれにせよ、いい面悪い面全部ひっくるめても、あのソレアを踊れて本当によかった。それが私の中で最大。

それと、これは舞台上でお話させて頂いたけど、東洋人がこの土地で踊り続けるというのは難しい・・・。たとえフラメンコを愛していて学び続けていても、その壁を取り払うのは簡単ではない。でもこのペーニャの皆さんのように、「心の眼」で私の踊りを見てくださる方々がいらっしゃるからこそ、私はこれからも道を歩み続けることができるのだと思う。本当にありがとうございました!!!

最後に・・・たくさんお喜びのお言葉を頂けて本当に感謝しているけれど、あるのペーニャ会員の方から頂いたお言葉が一番嬉しかった。

「もっと遠くに行きなさい、君なら行けるはずだから。」

・・・うん、そうだ。行けると信じて歩き続けよう。

2017年10月30日 セビージャにて。

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