Jun 27

みなさんこんばんは。

ご連絡が遅くなりましたが、お陰様で無事、一昨日日本に着きました。

明日より「第12回少人数制クルシージョ」(東京2013年6月28日〜8月18日)の開講です!今回もたくさんの受講生にお申し込み頂き、すでに満席のクラスもいつかありますので、受講ご希望の方はこちら    をご確認の上  layunko@gmail.com(ハギワラ)までご連絡下さい。宜しくお願い致します!

「第3回福岡クルシージョ」(2013年7月27日・28日)、「第3回大阪クルシージョ」(2013年8月3日・4日)の詳細も上記にてご確認頂けます。どうぞご覧下さいませ。

いろいろお知らせが他にもあるのですが、明日のクラスに備えて早めに就寝します〜。では!!!

2013年6月27日 お布団の上にて。

Jun 23

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

お陰様で昨日の“サン・ペドロ・デ・アルカンタラ” ペーニャ公演は大成功のうちに幕を閉じました。共演のミゲル・ペレス、“ラ・ディビ”。どうもありがとう!応援して下さった皆様誠にありがとうございました。

2013.6.22(土))// 萩原淳子ペーニャソロ公演

  • 22:00
  • ペーニャ・サン・ペドロ(サン・ペドロ・デ・アルカンタラ、マラガ)
  • 入場無料
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • ラ・ディビ
  • ミゲル・ペレス 

サン・ペドロ・デ・アルカンタラはセビージャから車で2時間半ほど。ディビはペーニャ公演の後、地元のマラガに泊まるということで、ミゲルと私が一緒に車に乗って行きました。ウトレーラを通り越して、ロンダを通り越して、そこからがくねくね道で結構大変。運転免許ももちろん車も持っていない私はいつも共演アーティストの車に乗せていってもらいます。今回は運転役はミゲル。最近ミゲルは引っ張りだこで本当に忙しそう。そんな中、往復5時間も運転をお願いしていしまって本当に申し訳なかった・・・ミゲルも最初はかなり嫌がってたけど、他に方法がないので・・・でもその割にはドライブは楽しかったです。

先日のブログでは“química” の話をしたけれど、ミゲルとは“química” があるというより、もちろんあるにはあるのですが、私達同じ?と思ってしまう瞬間が多いのです。なんと言うか、物事に対する考え方や捉え方、対処の仕方が同じ。もちろん考え方の違う部分もあるのだけど、なんか同じなんだよね。ミゲルもそんなことを言っていて、その上でいろいろ私にアドバイスをくれました。私を見ていると、ミゲルは自分を見ているようだ、と。自分が今、53歳になってやっと気付いた “過ち” を私が犯さないように、“友達”としてアドバイスをくれたのです。でも、それは “過ち” じゃないと私は思う。ミゲルはミゲルらしく生きてきて、その正直さや人間らしさをバカだと思う人が世の中に多いと、それは “過ち” と思われてしまうのかもしれないけど。こんな人ってそうそう人生の中で出会えない。夫くらい。夫以外の人間で、しかも自分の踊りを伴奏してくれるギタリストがそういう存在だというのは、本当に幸運なことだと思います。

帰り道もいろいろな話をしました。いつでもどこでも数秒で眠ってしまう私は、助手席で今日は絶対眠らないぞ、と決意していたのですが、そんな決意なんていらない程、話が盛り上がりあっという間にセビージャに着いてしまいましたよ。着いたのは朝4時だから疲れていたのは疲れていたけれど、そのまま少し眠り、朝起き、明日日本に発つ荷造りが大方終わった所です。

ペーニャ公演はよかったです。久しぶりにタラントを踊りました。先週のフェスティバルの準備のため、ずっとアレグリアスとソレアばかり練習していて、タラントはかなり久しぶり。昨年10月の「魚の選び方を知った時」公演以来かな?フェスティバルの後、なぜか急にタラントが踊りたくなってしまい、数日しか準備できないのは分かっていたのですが、強引に踊ってしまいました。タラントの後のタンゴ、3つ目の歌の所でぶわーっと内部爆発が起こりました。その瞬間ペーニャ会場も「OOOOOOOLEEEEEEEE!!!!!!」の爆発があったらしい。私には「なんか聞こえた」くらいにしか思えなかったけど、車の中でミゲルが「あれはすごい瞬間だった。来るな、とは思ってたけど。」と言っていました。やはり自分の爆発がみんなの爆発を引っ張り出すものなんだよね、フラメンコは。それが身近に感じられるアンダルシアのペーニャ公演は私のフラメンコの原点です。

ディビの歌もとてもよかった。アレグリアスのサリーダ(出だし)の所で、私が踊る前にいろいろな歌を歌っていて、その後に私は舞台に出るはずだったのですが、あまりにも歌がよくて思わず飛び出ちゃいました。そしてそのまま最後まで。モイよりもディビの方が歌のキーが高いので、いつも弾いているミゲルのファルセータ(ギターのメロディ部分)が弾けなくなり即興でいろいろなファルセータを弾いてくれたのもの面白かったなあ。

みんな大満足のいい公演でした。いつも写真を撮ってくれている夫(アントニオ・ペレス)も明日私と一緒に日本に発つため、セビージャで大忙し。そのため今回のペーニャ公演には同行せず、写真はありませんが、素晴らしい瞬間のいくつかが、私の心に刻み付けられました。

そしてもう一つおまけで嬉しかったこと。家に着いたら携帯にモイ(・デ・モロン)からメッセージが。「ジュンコ、今日の公演がよかったことを願っているよ。」そう、本当はこの公演はモイが歌うはずだった。でも前日ロンドンにいたモイは飛行機の便の問題があり出られなくなってしまった。それで急遽“ラ・ディビ”に歌ってもらうことになったのだけど。まさかモイがそこまで気にしてくれていたとは。しかも電話をしてもなかなか出ないし、かけ直してもくれないし、メッセージにも返信しないモイが、わざわざ自分からメッセージを送ってくれたのだ。感動。やっぱりモイはいい人だ。そんな人が周りにいる私は、やはり幸せだ。

そして朝4時まで寝ないで待ってくれていた夫。寝ていてもらってよかったのだけど・・・。でも私が逆の立場だったらやっぱり眠れないかな・・・

いつもありがとう。ペーニャ公演ももちろんよかったのだけど、なんだか昨日は人の大切さが身にしみました。ありがとう。

2013年6月23日  とうとう明日日本へ!!!

Jun 21

images images-3 playas-de-san-pedro-de-alcantara-en-malaga22013.6.22(土))// 萩原淳子ペーニャソロ公演

  • 22:00
  • ペーニャ・サン・ペドロ(サン・ペドロ・デ・アルカンタラ、マラガ)
  • 入場無料
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • ラ・ディビ
  • ミゲル・ペレス 

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

先週の“フアン・タレガ”フェスティバルが終わったと思いきや、明日はサン・ペドロ・デ・アルカンタラというマルベージャのペーニャで踊ります。マルベージャは、マラガの近くの高級リゾート地。公演の後ゆっくり海でバカンス・・・と行きたいところですが、月曜に日本に発つのであー残念。気持ちだけでもバカンスということで、「San Pedro de Alcántara(サン・ペドロ・デ・アルカンタラ)」でググってみました。(写真)あー海に行きたい。

今回の歌い手はいつものモイ・デ・モロンではありません。モイは今日ロンドンで仕事なのですが、明日の飛行機の便の問題で私のペーニャ公演に間に合わなくなったそう。急遽別の歌い手を探して、「ラ・ディビ」に歌ってもらうことになりました。

かなり前のものになりますがディビの動画がYou Tube にアップされています。

踊り手のオルーコに歌う“ラ・ディビ”(サリーダと2つ目の歌)

「鉱山の歌コンクール」準決勝で歌う“ラ・ディビ”

今日、ミゲルとディビと合わせをしてみましたが、個人的にはYouTube の動画より、今日の合わせの時の方がよかったなと思います。今日の合わせというよりも、動画の時よりも年月が経ってさらによくなっているのでしょう。

「química」(キミカ)というスペイン語があります。直訳すると「化学」という意味なのですが、その“química”があるとか、ないとか、そういう使い方をします。「química」があることで人と人はなぜか触発し合ってうまくいく。化学反応みたいな意味かな。逆に“química” がないと何も起こらない。つまらない。その表現は男と女の間でも使えるし、一般的な人間関係でも使えます。ディビの歌と私の踊りには“química” がある。モイの歌と私の踊りにも“química”がある。“química” の種類は違うけど、何かがある。それはお互いに何かしら感じるものなのです。ただ歌がうまければいいとか、いい人とか、そういうことではない。もちろんディビもモイも歌がうまく、いい人だけど、そうだから“química” があるんじゃなくて、それは何か別のもの。なんでしょうね。日本語にすれば相性みたいなものかもしれないけど、もっと動物的な感じがする。その瞬間にビビビビーと感じるもの。説明もなく理由もなくそう感じるものです。

それがあるとフラメンコは面白いんです。それがないとつまらないのです。歌が上手く、ギターが上手く、踊りが上手、そんなフラメンコはそれでも素敵だけど、残念ながらそれだけ、という見方もあります。感心はするけど感動はしない。興奮はしない。だからその“química” のある歌い手と共演できるというのはものすごく楽しみ。

明日のペーニャ公演はどんな化学反応がおこるのでしょうか????

2013年6月21日 月曜に日本に発つのにまだ何も準備できない・・・

Jun 19

401791_601874273170337_1607498175_n みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

こちらセビージャは暑くなったり涼しくなったり。ガスパチョを作るか作らないか・・・迷うところです。ガスパチョはアンダルシア地方で夏に飲まれる野菜ジュースみたいなもの。トマト、ピーマン、きゅうり、ニンニク、オリーブオイル、酢、塩などをミキサーにがーっとかけ、こして滑らかにすれば出来上がり。暑い時にこそ飲みたくなるのがガスパチョ。でもあんまり暑くないとせっかく作っても美味しくないんだな。

2013.6.14(金))// フェスティバル・フアン・タレガ(ドス・エルマーナス、セビージャ)

  • バイレソロ出演:萩原淳子
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子(バイレソロ)
  • モイ・デ・モロン 
  • ミゲル・ピクオ
  • ミゲル・ペレス 

さて、ご報告が遅くなりましたが、先週金曜の第33回“フアン・タレガ” フラメンコ・フェスティバルは無事終了しました。あーよかったー。一山越えて一安心です。アンダルシア地方では各村で毎年夏にフラメンコ・フェスティバルが開催されます。夏のフラメンコ・フェスティバルといえば、フラメンコファンにはたまらない、一年間待ちに待ってやっと開催の一大イベント。その歴史も長く、昔は大物アーティスト達が続々と出演、その多くは歌い手で(アンダルシアでは、フラメンコと言えばはカンテ、つまり歌です。)皆それぞれ好きなだけ延々と歌う。踊りはたいてい一人だけ。でもその踊り手もやっぱり大物。暑いので会場は屋外。やっぱり暑いので夜23:00頃から始まり、明け方まで続きます。フラメンコファンだけでなく、一般の人も普段はフラメンコに興味なくてもフェスティバルにはやって来る人も多いです。とにかく時間が長いので、ボカディージョ(スペインのサンドイッチみたいの)や飲み物を持参の人も。劇場ではないので皆好き勝手に飲み食いし、飽きれば家に帰ったりおしゃべりしたり。お目当てのアーティストが出れば「Oooooooleeeeee オーーーーレーーーー!!!」と叫ぶ。これぞアンダルシアのフラメンコです。

これまでに私も何度も見に行きました。バスや車であちこちの村へ。7、8月になると毎週のようにアンダルシア各地の村で開催されるのです。劇場や商業施設のタブラオとも違う。狭い空間のペーニャ(フラメンコ愛好会が持つ小舞台)とも違う。アンダルシアの夏のフェスティバル。これは本当に特別なものなのです。その先陣を切るのが、この“フアン・タレガ”フラメンコ・フェスティバル。セビージャ郊外の町、ドス・エルマーナスで開催されるこのフェスティバルは、数ある夏のアンダルシアのフェスティバルの中でも格式の高いもの。フェスティバルに参加するだけで、アーティストとしては名誉なことなのに、“フアン・タレガ” のフェスティバルに呼ばれるなんて、これはなんと表現していいか。しかも日本人の私が。私がそのフェスティバルで踊った同じ日に、皇太子様がセビージャのタブラオでフラメンコを鑑賞されたそう。周りの人に、「ジュンコが皇太子様の前で踊ればよかったのにね」と言われたけど、いやいや、“フアン・タレガ”フェスティバル出演は、私にとっては皇太子様の前で踊るくらい名誉なことだったのです。

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それにしても、またもやあまり覚えていない・・・何をどう踊ったのか・・・。踊ったのはバタ・デ・コーラ(裾の長い衣装)のソレアとマントン(フリンジみたいのがついた大判の布みたいの)のアレグリアス。観に来てくれたお友達がマントンのアレグリアスを撮影してくれていて、その一部をYouTubeにアップしてしまいました・・・↓

第33回“フアン・タレガ” フラメンコ・フェスティバル「萩原淳子 アレグリアス・コン・マントン」

「アップしてしまった」というのは、このビデオを観て思い出しました。最後の最後でマントンが足にひっかかっちゃんたんだよー。がーん。それがまるまるアップされています。がーん。それまではよかったはずなのに(多分)。よりによって失敗した所がアップされているなんて。がーん。でもお友達は大興奮していたので、そりゃ、「みんなジュンコの踊りを観てよ〜!」というつもりでアップしてくれたのでしょう。だから削除して、なんて言えないしね。だからもう開き直ってみなさんにご紹介してしまいます。どうぞどうぞご覧下さいませ。

ちなみに、他の出演者の模様もアップしているみたいです。

第33回“フアン・タレガ” フラメンコ・フェスティバル 「エル・カブレーロ」

第33回“フアン・タレガ” フラメンコ・フェスティバル 「ヘスス・メンデス」

それと、バタ・デ・コーラのソレア。これは私の夫が録画してくれていたので、近日中に自分でYouTubeアップします。お楽しみに!

それにしても、自分の踊りは覚えていないけど、あの舞台で踊ったのは本当に筆舌尽くし難い経験でした。フアン・タレガのフェスティバルに出演すること、素晴らしいアーティスト達と同じ舞台に立てること。それだけで本当に名誉で、本番までは本当に緊張したけれど、舞台の上から5000人収容の客席を見渡した時、ほぼ満席で埋め尽くされている客席を見た時、うあーここで私踊るんだ!!!とものすごいエネルギーを感じました。あんなに大観衆のアンダルシア人達の前で、だからこそエネルギーがみなぎってくる。舞台の上では緊張していなかったのではないかな。屋外の劇場なので、敵は風。マントンやバタが風にあおられる時もあるので、室内の劇場で踊るのよりも難しい。それは分かっていたけど、私はどうしてもマントンとバタと一緒に舞台に立ちたかった。周りの人から「勇気あるね」と言われたけど、うーん、そうなのかな。勇気というよりも、そうしたいという自分の希望が強かっただけ。なぜならマントンもバタも私の身体の一部だから。それがなくても踊れるし、それも私の踊りだけど。

バタのソレアを最初に踊り、歌い手達がアレグリアスをいくつか歌っている間に早着替えして、すぐにマントンのアレグリアス。だからあっという間に終わってしまった。終わった後、ヘスス・メンデスや、カブレーロのギタリストであるラファエル・ロドリゲス(この人も素晴らしいギタリストです。)が「おめでとう!」と声をかけてくれて嬉しかったです。

ここに至るまでいろいろなことがあった。自分の心の中にしまってがまんして乗り越えなければいけないことばかりだった。そうやって年月が過ぎ、やっとつかんだ“フアン・タレガ” フェスティバルへの出演。コネやカネでひょいと舞台に立ててしまう踊り手には絶対に分からないだろう。努力をする前に他人をやっかむ踊り手にも絶対に分からないだろう。上手いとか下手ではない。スペイン人とか日本人とかいう問題でもない。私は私で、私には私の踊りがある。あとはカンテとギターを聴けばよい。共演のギタリストミゲル・ペレス、歌い手のモイ・デ・モロンとミゲル・ピクオに拍手を。そして私に多大なエネルギーを与えてくれた観客にも。いつも私を支えてくれる夫、アントニオ・ペレスにも。最後に特別な感謝の気持ちを、スペインで踊る私を一度も観た事のない私の両親に。

この舞台は私を何十倍も成長させるでしょう。ありがとう、ドス・エルマーナス。

次回はマルベージャのペーニャでソロ公演です。

2013.6.22(土))// 萩原淳子ペーニャソロ公演

  • 22:00
  • ペーニャ・サン・ペドロ(サン・ペドロ・デ・アルカンタラ、マラガ)
  • 入場無料
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • ラ・ディビ
  • ミゲル・ペレス 

2013年6月18日 セビージャにて

Jun 10

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

土曜日のペーニャ・“ニーニョ・デ・ラ・アルファルファ”公演(セビージャ)はお陰様で無事終了しました。ありがとうございました!

2013.6.8(土))// 萩原淳子ペーニャソロ公演

  • ペーニャ・ニーニョ・デ・ラ・アルファルファ(セビージャ)
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  •  モイ・デ・モロン
  • ミゲル・ペレス 

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当日はセビージャやセビージャの郊外でたくさんのフラメンコ公演があり、お客様いらっしゃるのかな・・・と不安もありましたが、会場に着くと、年配の外国人ご夫婦と観られるお客様がすでにお待ちになっていらっしゃいました。ペーニャ公演は21:30開演となっていますが、実際始まるのは22:00過ぎ。だからよく見ると、21:30開演ではなく、「21:30から」 と表記されてあります。セビージャの人達はそれをご存知ですから、みなさんいらっしゃるのはやはり22:00頃。私が着いたのは21:00だから相当早くにお着きなっていることになる。あれ、本当にペーニャ公演にいらっしゃったのかな?こんなに早く?と思い声をかけようとすると、「あなたがジュンコですね?」と片言のスペイン語で奥様から声をかけられました。今度は旦那様の方が「アナタの踊りはスバラシイ」とやはり片言のスペイン語でおっしゃっていました。「え?私の踊りをご覧になったことがあるのですか?」と私が片言の英語で聞くと、「観たことはありません」とおっしゃいます。「?ではどうしてスバラシイって分かるのですか?」と笑って聞くと、「何人もの人に、『セビージャにいるジュンコの踊りを観なさい』と薦められたからです」「!!!!!!」うっそーん。すごいー。萩原、びっくり仰天でした。「ありがとうございます!!!!!!」

というわけで前日までの緊張はどこへやら。やる気満々、勇気凛々となったフラメンコ公演。そのうちにギタリストのミゲルや歌い手のモイも到着。最終的にはたくさんの方にお越し頂き立ち見の方もいらっしゃるほど。ペーニャ自体は割と広い空間なのですが、舞台の板は小さく、お客様は板すぐ近く、コの字型に囲んで座っていらっしゃいます。濃密な空間の中で、濃密なフラメンコ公演となりました。

1曲目のソレアが終わった後。楽屋で休んでいると、ミゲルが言いました。「ジュンコ!オレはもうお前と合わせをしないぞ!!!」はあああああ?何言ってんのこの人?とぽかんとしていると隣にいるモイはニタニタ笑っています。なんなんでしょう、この二人。するとミゲルが「お前は合わせをしない方がいい踊りになる!だったら合わせない方がいい!」はああああああ?


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合わせとは、まあ、事前にどんな流れの踊りかというのを本番前に合わせるリハーサルみたいなものです。人によっては何十時間もする人もいれば、私の様に本番数日前に1回さっと合わせる人もいる。状況によっては事前の合わせなしでそのまま本番を迎えることもなきにしもあらず。

どうもミゲルの話によると、私はその事前の合わせとは全然違うことばかりやってしまったらしい。そしたらその踊りの方が前もって準備していた踊りよりもよかったらしいのだ。というより、私からすると、ミゲルやモイが合わせの時と全然違う歌やファルセータ(ギターのメロディがメインになる部分)を歌ったり弾いたりしたので、結局即興になってしまったのだ、と思う。

というのはあまり自覚がないのだ。その瞬間瞬間で身体が勝手に動くというか、動いているのも頭では分かっているのだけれど、もう一人の自分が頭の自分を動かしているというか、踊っている間に萩原淳子が3人いる感じなのです。①頭でコントロールしている萩原淳子と、②身体を動かしている萩原淳子、③それらを俯瞰し統率している萩原淳子。よく、「踊っている時に何を考えているのですか?」と聞かれるのですが、この3人の萩原淳子が入れ替わり立ち替わりしている感じなので、何かを考えているわけでもなく、でも頭がすっとんでいるわけでもない。でも気付いたら踊りが終わっている。不思議です。

でも悔しいのは、そういう状態の時の踊りはとてもいいらしいのだけど、でも自分では実感が湧かない。ピンと来ない。練習通りに完璧に踊れて10点満点!というスポーツの世界だったらやったー!と思うのかもしれないけど、フラメンコは新体操やシンクロナイズドスイミングではないからねぇ。。。。なんか悔しいな。みんなが私の踊りを楽しんでいるのに当の本人がピンと来ないってのは。

公演後、昔、習っていたトロンボが話してくれた同じ話をミゲルがしてくれました。

若き日のラファエル・リケーニ(素晴らしい、本当に素晴らしいギタリストです。)がファルーコ(ファルキートのおじいさん)の踊り伴奏をすることになりました。本番前にまだ一度も合わせていません。リケーニは偉大な踊り手ファルーコの踊り伴奏を初めてすることになり、緊張で震えています。本番前、楽屋でリケーニはファルーコに聞きました。「マエストロ(偉大な先生)・・・、合わせはいつするのでしょうか・・・・」するとファルーコはタバコの煙をくゆらせながら言いました。「まだだ」。リケーニの緊張が高まります。またしばらく時間が経ちました。本番まであと数分しかありません。耐えられなくなったリケーニはもう一度ファルーコに質問します。「マエストロ・・・合わせは・・・」するとファルーコは吸っていたタバコをもみ消し、リケーニをじっと見つめました。「お前はソレアを弾けるのか?」リケーニは震える声で言いました。「はい、マエストロ・・・」するとファルーコは歌い手のチョコラーテに向かって聞きました。「おい、お前はソレアを歌えるのか?」「もちろんだ」。ファルーコはリケーニに向き合っていいました。「お前がソレアを弾き、あいつがソレアを歌う。そしてオレはソレアを踊る。」

そして踊ったファルーコのソレアは、本当に素晴らしいソレアだったという話。

なんて素晴らしい話なんだーーーーなんてフラメンコなんだーーーー。いつ聞いても素晴らしい。これぞアルテ!!!!!これぞフラメンコ!!!!

で、でもね・・・・ミゲルは「だからお前とはもう合わせをしない」と言う。ええええええええーーーーそんなーーーー。それとこれとは違うでしょうが。私はファルーコじゃないーーーー。絶句する私を尻目にモイがやはりニタニタしながらちょっと踊って楽屋を出て行きました。!!!!!またその踊りがすごい!!!!そんじょそこらの踊り手よりもずっとフラメンコなのだ、そのちょっとした仕草や動きが。

なんだか笑ってしまいました。それにしても今週の金曜のフェスティバルの公演はどうなるんでしょう。今度はバタとマントンでも踊るのに?カブレーロやアルカンヘルと同じ舞台に立つのに?もうーーーー。

2013.6.14(金))// フェスティバル・フアン・タレガ(ドス・エルマーナス、セビージャ)

  • ドスエルマーナス オーディトリアム
  • 22:30開演
  • 要招待券
  • カンテソロ出演:カブレーロ、アルカンヘル、ヘスス・メンデス他
  • バイレソロ出演:萩原淳子
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子(バイレソロ)
  • モイ・デ・モロン 
  • ミゲル・ピクオ
  • ミゲル・ペレス 

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2013年6月10日 セビージャにて。  (写真:アントニオ・ペレス)

Jun 6

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2013.6.8// ペーニャ・ニーニョ・デ・ラ・アルファルファ(セビージャ)

21:30H. 6 euros.
Baile Cante Guitarra
  • 萩原淳子
  • モイ・デ・モロン
  • ミゲル・ペレス

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

今日は土曜日のセビージャ・ペーニャ公演の合わせをしてきました。ミゲルとモイと共演するのは4月の日本での公演「ハモンは皿にのせるだけでよい」以来です。踊る曲はソレアとアレグリアス。ペーニャ“ニーニョ・デ・ラ・アルファルファ”の舞台は小さいのでバタ・デ・コーラもマントンも使いません。もう二人とは何度も共演しているので、合わせは1時間程で終わってしまいました。

こんなこと言っては本人に悪いけど、モイは合わせに来ないかなと思っていたのです。今日の合わせは13:30から。実はミゲルと、「う〜ん、モイ、来るかね???」と電話で話していました。ミゲルとモイは大の仲良しですが、対照的。ミゲルは日本人並みに(人にもよるかもしれないが)時間に正確。もし5分でも遅れることがあれば必ず連絡してくるし、連絡がない時は何かが起きている証拠(だと思え、と本人も言っていた。)。というより遅れること自体がほとんどない。モイは・・・・時間通りに来たためしがない。合わせの練習に来ない時もある。本番は必ず来るけど。電話してもなかなかつながらないし(ミゲルはすぐつながる。つながらない時は必ず折り返し電話くれる)、携帯メッセージを送っても返信ないし。(ミゲルは送った瞬間に返事がくる!あまりの早さにかなりびびる。)

ところが最近モイとつながるんだよね。電話してもとってくれるし、携帯メッセージも返信来るし。・・・考えてみれば当たり前のことですが。今日はミゲルのスタジオで待っていたら、なんと練習開始前にモイの方から携帯メッセージが届いた。珍しい!!! 内容は

「8分遅れる」

え?8分ってなに???5分じゃ着かないけど、10分はかからないってことか。その「8」という数字に関していろいろ考えながら、といっても30分は遅れるだろう、と予測。ってなわけでミゲルと練習開始。ソレアのファルセータ(ギターのメロディ部分)の所で意見が食い違う。あーでもないこーでもない、と二人で意見を言い合っている。だから、ミゲル、そうじゃないってばー。なんで人の話を聞かないで勝手に決めつかるかなー。と心の中で思いつつ、うーん、この感覚。私はギタリストと話しているのか、夫と話しているのか。これではまるで夫婦喧嘩ではないか。

今夫はモロッコに行っていて私一人なので、昨日は姑の家にご飯を食べに行った。私達は割と仲が良い。なぜか姑は私のことを気に入っている。というより、かなり気に入っている。ま、そんなわけで夫抜きでご飯を食べたのだが、その時に面白いことを言っていた。

「世の中の男はまるで男が正しくて、女が間違っているように思っているけど、でも実際はその逆なのよ。」

OLE  OLE OLE  OLE オレーオレーオレー!!!ハギワラ、大笑い。やっぱり亀の甲より年の功。よくぞ言ってくれた!!!・・・とはいえ、私にとっての「男」というのは夫、つまりあなたの息子のことなんですが・・・。という言葉をぐっとこらえた私はできた嫁かもしれない。(自画自賛)

なんてことを思い出し、ミゲルと話しているうちに私はゲラゲラ笑い出してしまいました。何も知らずにそれを「和解の笑い」と勘違いしたか、ミゲルも笑い出し、うやむやになって一件落着。そのうちモイ登場。(もちろんとっくに8分は過ぎている。)そして3人で合わせ。モイは花粉症らしく、ずっと鼻声でした。しょっちゅう鼻をかんでいるのですが、本人はその鼻をかむ音をパーカッションのつもりにしている。その音がコンパスに入っている。コントラティエンポにしたり二拍三連にしたり、この器用さは一体なんなんだ。何をやってもフラメンコなのだ。恐るべし、モイ・デ・モロン。ゲラゲラ笑って足の音がコンパスを外れてしまう私はただの人。うーむ、やはりモイに見習うべき所はたくさんある。

という感じで合わせは終わってしまいました。大丈夫といえば大丈夫なのですが、でもやっぱり緊張する。明日、明後日あとは一人で練習して明々後日が本番です。笑っている場合じゃなかったな。ホント、段々緊張してきた。

2013年6月5日 セビージャにて。

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